10月開始:JPYCでナッジカードの返済が可能に

JPYCでカード返済開始

開催日:10月1日

JPYCでカード返済開始
JPYCでクレジットカード代金の支払いって本当にできるの?
はい。JPYC株式会社とナッジの連携により、Nudgeカードの返済を日本円建ステーブルコインJPYCで行える仕組みが導入されます。送金はナッジ指定のウォレットアドレスへJPYCを送ることで完了します。
いつから誰が使えるようになるの?
サービスは目標で2025年10月に開始予定。初期は対象ユーザーを限定し、Nudge NFT実績のあるPolygonチェーン利用者などから段階的に提供されます。

JPYCでクレジットカード返済が変わる:VISA加盟店の支払いをステーブルコインで後払い可能に

2025年9月11日、JPYC株式会社は次世代クレジットカード「Nudge(ナッジカード)」を提供するナッジ株式会社との連携により、日本円建ステーブルコインJPYCでのカード返済受付を2025年10月を目処に開始すると発表しました。発表日と目標開始時期は明確に示されており、サービス導入により世界約1億5,000万超のVISA加盟店での決済に対して、JPYCによる返済が可能となります(※1 自社調べ)。

ステーブルコイン市場はすでに発行総額が約2,500億ドル(約37兆円)を超え、オンチェーン取引量ではVisaやMastercardを上回る規模に達しています。こうしたグローバルな成長に対し、日本国内では店舗やシステム対応の制約から日常利用の普及が課題でした。今回の連携は既存のカード決済インフラを活用して、ステーブルコインを日常の支払い手段として利用できるユースケースを具体化するものです。

【国内初(※1)】クレジットカード返済方法に、日本円建ステーブルコイン「JPYC」が導入されます。 画像 2

発表の位置づけと法的背景

JPYC株式会社は2025年8月に資金決済法第37条に基づく資金移動業者登録(関東財務局長 第00099号)を取得しており、これを受けて国内初となる日本円建ステーブルコインの発行を今秋に予定しています。ナッジ株式会社との取り組みは、その登録からわずか1か月という短期間で実現した事例です。

発表は、ステーブルコインが単なる暗号資産の一形態を超え、既存の決済手段と融合していく過程を示すものでもあります。JPYCは日本円と1:1で交換可能な電子決済手段として設計され、裏付け資産として日本円(預貯金および国債)で保全される点が明言されています。

Nudgeカードとの連携:返済の仕組みと利用方法

Nudgeカードはマイクロサービス基盤を活かし、多様な返済手段を提供する次世代クレジットカードです。これまでの返済方法は月1回の銀行口座からの自動引き落としのほか、「いつでも好きなだけ返済」できる任意タイミング・金額での返済、セブン銀行ATM払い、銀行振込がありました。

今回、新たに追加される返済方法が「ステーブルコイン払い」です。カード利用代金をJPYCで支払う場合、ナッジ指定のウォレットアドレスにJPYCを送金することで返済を完了します。サービス開始時は対象者を限定し、Nudge NFTで実績のあるPolygonチェーンからの対応を予定しています。

具体的な利用フローと対象

利用者はNudgeカードでVISA加盟店(実店舗・EC問わず)で買い物を行い、利用代金の返済時にJPYCを選択します。ナッジ側が指定するウォレットアドレスへJPYCを送金することで、カードの請求に対する返済が行われます。支払いは後払い(与信型)として扱われる点が従来の前払型とは異なる大きな特徴です。

初期段階では対応チェーンと対象ユーザーが限定されるため、利用可能なユーザーはナッジ側の案内に従う必要があります。サービスに関する詳細はナッジカードの公式サイトにて公開されています:https://nudge.cards/repayment-with-stablecoin

JPYCの技術的・制度的特徴と連携パートナー

JPYCが発行する日本円建ステーブルコインは、Ethereum、Avalanche、Polygonの3つのチェーンで発行が予定されています。JPYCは日本円と1:1で償還可能であること、裏付け資産が預貯金および国債で保全されることが明示されています。ただし、JPYC(電子決済手段)とJPYC Prepaid(前払式支払手段)は異なるトークンであり、同社は両トークン同士の交換を受け付けないと明言しています。

JPYCは「オープンな金融インフラ」として、特定の加盟店契約や利用契約を必要とせず、あらゆる事業者・開発者が自由に組み込める点を強調しています。これにより業種を問わず導入が想定され、多様なユースケースが検討・開発されつつあります。

具体的な連携・開発事例

発表では既に複数の事業者と連携した開発が進行中であることが示されています。代表的な取り組みは以下の通りです。

  • 株式会社電算システム:全国のコンビニやドラッグストア等で構築した6万5千店超の収納代行・コンビニ決済ネットワークとJPYCを活用し、B2C/B2B決済や企業間精算のユースケースを具体化。
  • アステリア株式会社(ASTERIA Warp):ノーコードの業務連携ツールにJPYC連携機能を追加し、資金移動手続きの自動化やワークフロー統合を可能にする予定。
  • 株式会社HashPort(HashPort Wallet):国内ユーザー数No.1のweb3ウォレットでの対応が決定。大阪・関西万博公式デジタルウォレットアプリ『EXPO2025デジタルウォレット』は2025年10月に『HashPort Wallet』へリニューアル予定で、JPYC対応を予定。既報では約70万人(2025年8月時点)の利用者基盤に提供される計画。

これらの連携により、実店舗・EC・SaaS・ウォレットといった幅広いチャネルでJPYCの活用範囲が拡大すると見込まれます。

関係者のコメントと企業概要

JPYC株式会社代表取締役の岡部典孝氏は、クレジットカード代金をJPYCで支払える仕組みの実現を待望していた旨を述べ、今回ナッジカードを通じて与信型(後払い)でJPYCを使える第一歩を具体化できたことに意義を置いています。また、ナッジの柔軟なUX設計やマイクロサービス基盤との相性が、ステーブルコイン社会実装の重要なマイルストーンになると述べています。

ナッジ株式会社代表取締役の沖田貴史氏は、ステーブルコインのプログラマブルな特性が自律的な金融システムや金融の民主化を後押しする可能性を指摘。一方でアンホステッドウォレットに代表される専門知識依存やユーザーの金融・ITリテラシーの課題を挙げ、既存インフラの活用によってオンチェーン経済と実体経済を繋ぐ狙いを説明しています。

各社の要点と会社情報

ナッジ株式会社は2020年創業、マイクロサービスアーキテクチャを強みとする次世代クレジットカード『Nudge』を運営し、「認定包括信用購入あっせん業者」としての位置づけを持ちます。本社所在地は東京都千代田区大手町1-6-1 大手町ビル4階 FINOLAB内で、代表は沖田貴史、設立は2020年2月です。コーポレートサイト:https://nudge.works/

JPYC株式会社は2019年11月設立で、2021年からステーブルコイン関連事業を展開してきました。これまで前払式支払手段である『JPYC Prepaid』を発行しており、今回資金移動業の登録を経て新たに日本円建ステーブルコイン『JPYC』を発行する計画です。本社住所はナッジと同じく東京都千代田区大手町1-6-1 大手町ビル4階 FINOLAB、代表は岡部典孝。コーポレートサイト:https://corporate.jpyc.co.jp/。公式X(Twitter):https://x.com/jpyc_official

JPYC株式会社の加入団体としては、一般社団法人ブロックチェーン推進協会(BCCC)、日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)、日本資金決済業協会、Fintech協会など多数が明示されています。また、デジタルアセット共創コンソーシアム(DCC)、JPCrypto-ISAC、JVCEA等の名称も挙げられています。

発表内容の要点整理

以下の表は、本プレスリリースで示された主要事項を整理したものです。重要な日付、関係企業、技術要素、利用対象、規制上の登録情報などを一目で確認できます。

項目 内容
発表日 2025年9月11日 08:00
サービス開始(目標) 2025年10月(目処)
提供内容 Nudgeカードの返済手段として日本円建ステーブルコイン「JPYC」を利用可能に
対応加盟店規模 世界約1億5,000万超のVISA加盟店での買い物に対する返済が対象(※1 自社調べ)
JPYCの特徴 日本円と1:1で交換可能。裏付け資産は預貯金および国債。Ethereum/Avalanche/Polygonで発行予定。
法的登録 資金移動業者 登録:関東財務局長 第00099号(登録取得:2025年8月)
初期対応チェーン・対象 Polygonチェーンからの対応を予定(Nudge NFT実績がある利用者を中心に限定提供)
代表者 JPYC:岡部 典孝、ナッジ:沖田 貴史
関連連携・開発中の事例 電算システム(実店舗・コンビニ等)、アステリア(ASTERIA Warp連携)、HashPort(HashPort Wallet対応)
参考リンク https://nudge.cards/repayment-with-stablecoinhttps://corporate.jpyc.co.jp/

以上は本リリースの内容を整理したものです。JPYCとナッジの連携は、ステーブルコインを既存のクレジットカードの返済手段として組み込むことで、日常生活におけるステーブルコイン利用の実用性を高める取り組みとして位置づけられます。法的な登録情報、技術的な対応チェーン、各社の役割や連携事例を含めて、今回の発表は国内におけるステーブルコインの社会実装に向けた具体的な一歩となることが示されています。

(※1)自社調べ

参考リンク: