こうの史代30周年展|佐倉で500点超の原画公開
ベストカレンダー編集部
2025年9月11日 09:52
こうの史代30周年展
開催期間:9月10日〜10月2日

こうの史代の30年を一望する大規模回顧展の全貌
佐倉市立美術館で開催中の「漫画家生活30周年 こうの史代展 鳥がとび、ウサギもはねて、花ゆれて、走ってこけて、長い道のり」は、こうの史代のデビュー前から最新作に至るまでの画業を網羅した回顧展である。会場では、500枚以上の漫画原画、挿絵原画、絵本原画、コンテやメモ、スケッチブック、初公開の制作風景動画など、多様な資料が一堂に展示されている。
これまでにも『夕凪の街 桜の国』『この世界の片隅に』の原画展は各地で開催されてきたが、デビューから現在までを包括的に振り返る大規模な展覧会は本展が初めてになる。会期は2025年10月2日(木)までで、現時点で関東地方の他会場への巡回予定はない。

展示構成と収蔵資料の特徴
本展は複数のコーナーで構成され、こうの史代の描線、色彩、物語性を多角的に紹介している。原画の量と多様性が特徴であり、四コマから長編まで作品ごとの手法や制作過程を見比べられる構成になっている。
展示資料には、漫画原画のほかに下記のような資料が含まれる。
- 挿絵原画、絵本原画
- 作品のコンテやメモ類
- ブログ「こうのの日々」に登場するスケッチブック
- 制作風景を記録した初公開の映像資料

注目の展示作品(展示の一部)
会場では代表作の原画が多数展示されている。以下はプレスリリースで明記された具体的作品と著作権表記である。
- 《この世界の片隅に》2007年 ©︎こうの史代/コアミックス
- 《夕凪の街 桜の国》カバーイラスト2004年 ©︎こうの史代/コアミックス
- 《ぴっぴラ帳(ノート)》1巻カバーイラスト2000年 ©︎こうの史代/コアミックス
- 《百一 hyakuichi》2018年 ©︎こうの史代/日本文芸社
- 《星月夜》(「太田川」表紙、広島太田川ライオンズクラブ、1996年) ©こうの史代
- WEEKLY漫画アクション新人賞募集イラスト、1992年 ©こうの史代
- 《ありがた屋のよいちべえ》(投稿作、1995年) ©こうの史代
- 《ぴっぴら帳(ノート)》口絵、2004年 ©︎こうの史代/コアミックス
- ((描く人)) ©️こうの史代

会期・観覧時間・入場料など来場前に知っておきたいこと
会期と開館時間、休館日の情報は来場予定を立てるうえで特に重要である。本展は2025年10月2日(木)までの開催で、開館時間は毎日10時から18時、最終入館は17時30分となっている。月曜日は休館だが、例外として9月15日(月)は開館、9月16日(火)は休館となるため注意が必要である。
入場料金や割引、障害者対応に関する情報もあらかじめ確認しておくと安心である。以下に料金と利用条件を整理する。
区分 | 料金 | 備考 |
---|---|---|
一般 | 1,000円 | |
大学生 | 800円 | 学生券をお求めの場合は学生証の提示が必要 |
高校生以下 | 無料 | |
団体(20名以上) | 2割引 | |
障碍者対応 | ご本人とお付き添い1名無料 | 障碍者手帳の提示が必要 |
会期終了間際や休日は混雑が予想されるため、可能であれば平日の来場を推奨する。なお、本展は現時点で関東地方のほかの会場への巡回予定はないため、関東圏の来場機会は限られている。
来場者からは「圧倒的な原画の量で、30年の画業を楽しませて頂きました」「間口が広い、奥が深い、笑いがたのしい」「ボリュームがすごい。出し惜しみが全くない。ぜいたくでした」といった感想が寄せられている。こうの史代の描線や色彩、物語性を集中的に体感できる構成であることが来場者の言葉からもうかがえる。

関連イベント、特別展示、ブックフェアと参加方法
本展では会期中に関連イベントや特別展示を複数実施している。図書館や美術館を舞台にしたトークや朗読イベント、ブックフェア、会場内の参加型コーナーなど、来場体験を拡張する企画が用意されている。
以下にプレスリリースに明示された関連イベントとその要項を整理する。

図書館の中のこうのさん(ミニトーク)
こうの史代本人と監修者の福永信によるミニトーク。図書館と本への思いを語る企画で、図書館好きであるこうの史代の側面に焦点を当てる。
- 出演:こうの史代(漫画家)、福永信(本展監修者/小説家)
- 日時:9月20日(土)11時から(約40分)
- 場所:夢咲くら館(千葉県佐倉市新町40-1)1階 ゆめさくひろば
- 定員:50名(事前申込不要)
- 協力:青幻舎プロモーション
事前申し込みは不要で、定員に達した場合の入場制限等は会場の判断により実施される可能性があるため、早めの来場が無難である。

こうのさんといっしょに漫画を朗読してみよう!
来場者が一コマずつ朗読していく参加型のイベント。何を朗読するかは当日まで非公開で、会場では朗読の自由さと新たな読み方を楽しむことになる。こうの史代と監修者が出演する。
- 出演:こうの史代(漫画家)、福永信(本展監修者/小説家)
- 日時:9月20日(土)14時から読み終わるまで(入退場自由)
- 場所:佐倉市立美術館4階ホール
- 定員:99名
- 事前申込不要・参加無料(ただし、本展チケットが必要)
入退場自由の形式で、参加は無料だが本展の観覧券が必須である点に注意が必要である。

こうの史代さんブックフェアとファンレターコーナー
展覧会会場の向かいに位置する佐倉図書館と連携したブックフェア「図書館の中のこうのさん」を開催。選書は本展監修者の福永信によるもので、解説集も配布される。
また、会場内にはファンレターを書けるコーナーが設けられており、来場者なら誰でも参加できる。特製ポストへ投函された手紙はこうの史代に直接届けられる。

限定公開のライブペインティング作品
本展の初日と2日目には、こうの史代が当館で描いた幅10メートルのライブペインティング作品を全幅で期間限定展示している。作品には佐倉市にちなんだ桜の花も描かれているため、展示期間中に来場の際は確認しておきたい。
作家・監修者の略歴、アクセスと問い合わせ先
展示の理解を深めるため、こうの史代と監修者・福永信のプロフィールを紹介する。あわせて美術館へのアクセス方法と問い合わせ先を明記する。
こうの史代は1968年広島市生まれ。広島大学理学部中退、放送大学教養学部卒。1995年に「街角花だより」の連載で漫画家デビューし、「ぴっぴら帳(ノート)」「こっこさん」「かっぱのねね子」など多彩な作品を発表。代表作「夕凪の街 桜の国」は第9回手塚治虫文化賞新生賞、第8回文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞を受賞し映画やドラマ化もされている。「この世界の片隅に」は第13回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞し、アニメーション映画がロングランヒットとなった。
その後も「平凡倶楽部」「ぼおるぺん古事記」(古事記出版大賞稗田阿礼賞受賞)、「日の鳥」「ギガタウン 漫符図譜」「百一 hyakuichi」「空色心経」などジャンルや技法の異なる作品を次々に発表している。ブログ「こうのの日々」では制作過程や日常のスケッチを公開している。
監修者の福永信は1972年東京都生まれ。京都造形芸術大学中退後、1998年に短編「読み終えて」で小説家デビュー。多数の小説集を刊行し、展覧会企画協力や編集に携わるなど、文学と美術の接点で活動している。展覧会の監修者として本展の構成と解説に関与している。
以下は会場へのアクセスと問い合わせ先である。
- 会場
- 佐倉市立美術館(千葉県佐倉市新町210番地)
- 車でのアクセス
- 東関東自動車道 佐倉インターより約15分。付近の「夢咲くら館」駐車場等を利用可能だが台数に限りがあるため、できるだけ公共交通機関の利用が推奨される。
- 公共交通機関
- 京成佐倉駅南口より徒歩8分、または京成バス千葉イースト「JR佐倉駅」方面行きで「佐倉市立美術館」下車すぐ。JR佐倉駅北口より徒歩20分、または京成バス千葉イースト「京成佐倉駅」方面行きで「二番町」下車すぐ。
- 問い合わせ先
- 佐倉市立美術館
TEL:043-485-7851
URL:https://www.city.sakura.lg.jp/section/museum/
重要事項の整理とまとめ
以下の表は本記事で扱った主要情報を整理し、来場前に確認すべき日程、料金、会場、関連イベント等を一目でわかるようにまとめたものである。時間帯や定員、事前申込の有無などは各項目を参照のうえ、来場計画を立てられたい。
項目 | 内容 |
---|---|
展覧会名 | 漫画家生活30周年 こうの史代展 鳥がとび、ウサギもはねて、花ゆれて、走ってこけて、長い道のり |
会場 | 佐倉市立美術館(千葉県佐倉市新町210番地) |
会期 | 開催中~2025年10月2日(木) |
開館時間 | 10時~18時(最終入館17時30分) |
休館日 | 通常は月曜休館。ただし9月15日(月)は開館、9月16日(火)は休館 |
入場料 | 一般1,000円/大学生800円/高校生以下無料(20名以上は2割引) |
障碍者対応 | 障碍者手帳提示でご本人とお付き添い1名無料 |
資料点数 | 500枚以上の漫画原画を中心に多彩な原画・映像資料を展示 |
巡回予定 | 現時点で関東地方の他会場への巡回予定は無し |
関連イベント(主なもの) | 9/20 11:00 図書館の中のこうのさん(ミニトーク、夢咲くら館1階、定員50、事前申込不要) 9/20 14:00 漫画朗読イベント(美術館4階ホール、定員99、事前申込不要・要本展チケット) |
ブックフェア | 佐倉図書館と連携した「図書館の中のこうのさん」。監修者・福永信による選書と解説集配布 |
限定展示 | 会期初日・2日目に幅10mのライブペインティングを期間限定で全幅展示(佐倉市にちなんだ桜を含む) |
問い合わせ | 佐倉市立美術館 TEL:043-485-7851 URL:https://www.city.sakura.lg.jp/section/museum/ |
この記事では展覧会の概要、展示の見どころ、関連イベントの内容、作家と監修者のプロフィール、アクセス・問い合わせ先を一覧で整理した。展覧会はこうの史代の描業を総覧できる機会であり、資料点数の多さと初公開資料の存在が大きな特徴となっている。会期は10月2日までで、関東での他会場巡回予定は現時点ではないため、興味のある方は会期内の平日など混雑の少ない時間帯に来場を検討するとよい。