Nudgeが10月開始 JPYCでクレカ返済を実現
ベストカレンダー編集部
2025年9月11日 11:29
NudgeのJPYC返済開始
開催日:10月1日

NudgeがJPYCによるステーブルコインでのクレジットカード返済を開始へ
ナッジ株式会社は、次世代クレジットカード「Nudge(ナッジカード)」において、JPYC株式会社が発行を予定する日本円建てステーブルコインJPYCでのカード返済受付を、2025年10月を目処に開始すると発表しました。プレスリリースは2025年9月11日付で公表されており、国内での「クレジットカードの支払いをステーブルコインで行える仕組み」は同社によれば国内初(※1)となります。
本取り組みにより、VISA加盟店ネットワーク(世界で約1億5000万店舗超)にて、ステーブルコインを活用した買い物の利便性が拡大する点が特徴です。ナッジはマイクロサービス基盤と柔軟な決済設計を活かし、JPYC社の業登録完了から約1ヶ月という短期間で実装する計画です。
発表の背景と市場状況
ステーブルコイン市場は世界的に拡大しており、発行総額は既に約2,500億ドル(約42兆円)を超えているとされます(※2)。オンチェーン上の取引量については、報告によってはVisaやMastercardを上回る規模との指摘もあります(※3)。こうした流れの中で、JPYC社は2025年8月に資金決済法第37条に基づく「資金移動業者」として登録(関東財務局長 第00099号)を得ており、国内での円建てステーブルコイン発行を予定しています。
一方で、ステーブルコインを日常生活で広く利用するには、利用可能店舗の拡大と身近なインターフェース整備が必要となります。店舗側ではアンホステッドウォレットの開設や管理、POSシステム改修などの負担が生じるケースがあり、既存のカード加盟店ネットワークを活かすことは実効的な拡大手段となります。
- 参考(出典)
- (※1)自社調べ
- (※2)CoinPost「ステーブルコインの種類一覧|市場規模・取引量・規制の行方」 https://coinpost.jp/?p=272361
- (※3)World Economic Forum(WEF)レポート(2025年3月)
サービス設計とユーザーの利用フロー
ナッジカードの返済手段は従来の月1回の銀行口座引き落としに加え、任意のタイミング・金額で返済できる「いつでも好きなだけ返済」や、セブン銀行ATM払い、銀行振込などが提供されてきました。今回これらに新たに「ステーブルコイン払い(JPYC払い)」が加わります。
ステーブルコイン払いでは、ナッジ指定のウォレットアドレスへJPYCを送金することでカード利用代金の返済が行われます。サービス開始時点は対象者を限定し、Nudge NFTで実績があるPolygonからの対応を予定しています。今後は対象ユーザー数や対応チェーン・チェーン上のトークン等を順次拡大する方針です。
利用手順(概略)
- ユーザーがJPYCを保有する(対応チェーンはサービス開始時にPolygonを想定)。
- ナッジが指定するウォレットアドレスへ必要なJPYCを送金。
- 送金の確認後、送金分をカード残高の返済として処理。
- 返済処理の後、ナッジ側で会計処理・与信情報の更新が行われる。
上記のフローはサービス開始時点の運用案であり、詳細な手順や対象範囲、対応チェーンの追加は公式ページで随時案内されます。公式の案内は以下のリンクで提供されています。
- 公式: https://nudge.cards/repayment-with-stablecoin
- 「いつでも好きなだけ返済」詳細: https://nudge.cards/magazine/posts/how-to-repay-your-nudge-card
- Nudge NFTに関する詳細: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000100.000073456.html
JPYCの仕組みと両社の事業概要
JPYCは日本円と1:1で交換可能な日本円建てステーブルコインであり、裏付け資産は預貯金および国債によって保全されることが明示されています。資金移動業者の登録を得て発行されるJPYCは、Ethereum、Avalanche、Polygonの3つのチェーンでの発行が予定されています。
なお、JPYC(電子決済手段)とJPYC Prepaid(前払式支払手段)は異なるトークンであり、JPYC社は両トークン同士の交換を受け付けない点が明記されています。JPYC社はこれまで前払式トークンとしての運用実績を有し、今回の資金移動業者登録を機に円建てステーブルコイン事業を本格展開する意向です。
JPYC株式会社の主な情報
- 会社名
- JPYC株式会社
- 代表者
- 代表取締役 岡部 典孝
- 所在地
- 東京都千代田区大手町1-6-1 大手町ビル4階 FINOLAB内
- 設立
- 2019年11月
- 事業内容
- 電子決済手段の発行及び償還、ステーブルコイン等ブロックチェーンに関するコンサルティング、他
- 加入団体
-
- 一般社団法人 ブロックチェーン推進協会(BCCC) 会員
- 一般社団法人 日本暗号資産ビジネス協会(JCBA) 会員
- 一般社団法人 日本資金決済業協会 第一種会員
- 一般社団法人 Fintech協会 ベンチャー会員
- デジタルアセット共創コンソーシアム(DCC)
- 一般社団法人 JPCrypto-ISAC 賛助会員
- 一般社団法人 日本暗号資産等取引業協会(JVCEA) 第一種会員
- ホームページ
- https://corporate.jpyc.co.jp/
- X(Twitter)
- https://x.com/jpyc_official
ナッジ株式会社の主な情報
- 設立日
- 2020年2月12日
- 代表者
- 代表取締役 沖田 貴史
- 所在地
- 東京都千代田区大手町一丁目6番1号 大手町ビル4階 FINOLAB
- 資本金
- 約46億円(資金準備金等含む)
- 事業内容
- 次世代クレジットカード「Nudge(ナッジ)」の運営、認定包括信用購入あっせん業者としての与信・返済サービス等
- コーポレートサイト
- https://nudge.works/
- 採用情報 / note
- https://nudge.works/talents / https://note.com/nudgecard
導入上の留意点と関係者のコメント
プレスリリースでは、事業実装における留意点として、店舗側の導入負担やユーザーのウォレット管理に伴う金融・ITリテラシーの必要性を挙げています。JPYC決済を店舗が受け付ける場合、JPYC社との加盟店契約は不要である一方で、アンホステッドウォレットの開設や管理、POS改修などが必要となるケースがあるため、導入のハードルが存在します。
そのためナッジは、既存のカード加盟店ネットワークを活用してステーブルコインの利用可能環境を広げる方針を取っています。サービス開始時は対象ユーザーを限定し、対応チェーンも限定される点に留意が必要です。また将来的には他のステーブルコインやトークン化預金、CBDCなどへの対応も検討するとのことです。
代表者の主なコメント
- ナッジ株式会社 代表取締役 沖田貴史
-
沖田氏はステーブルコインを「プログラマブルな特性により自律的な金融システムの可能性を秘める存在」と評価しつつ、利用に当たってはアンホステッドウォレット等の専門知識が障壁となる点を指摘しています。
その上で、クレジットカードという既存インフラを介しオンチェーン経済と実体経済を繋ぐ取り組みとしてJPYC返済機能を早急に提供することを決めた旨を述べ、将来的には多様なステーブルコインやトークン化預金、CBDCにも対応する意向を示しています。
- JPYC株式会社 代表取締役 岡部典孝
-
岡部氏は、クレジットカード代金をJPYCで支払えるようにするユースケースの実現を歓迎しており、特に日本の主流である「後払い(与信)」方式でJPYCが対応可能になった点を重要視しています。
また、ナッジの技術基盤やUX設計との相性を評価し、本取り組みがステーブルコインの社会実装に向けた重要なマイルストーンになるとの見解を示しています。
項目 | 内容 |
---|---|
発表日 | 2025年9月11日(ナッジ株式会社のプレスリリース) |
サービス開始予定 | 2025年10月を目処(JPYCの業登録完了後、約1ヶ月での開始を想定) |
対象サービス | Nudgeカードのカード利用代金返済をJPYCで受け付け |
対応チェーン(当初) | Polygonを予定(将来的にEthereum、Avalanche等を含める可能性あり) |
JPYCの性格 | 日本円建てステーブルコイン(1:1の裏付け:預貯金・国債) |
発行予定チェーン | Ethereum、Avalanche、Polygon |
関係企業 | ナッジ株式会社(次世代クレジットカードNudge)/JPYC株式会社(日本円建ステーブルコイン発行) |
関連リンク | https://nudge.cards/repayment-with-stablecoin、https://corporate.jpyc.co.jp/ |
注意点 | 店舗側ではアンホステッドウォレット開設やPOS改修の可能性、対象ユーザー・対応チェーンはサービス開始時点で限定 |
本記事は、ナッジ株式会社とJPYC株式会社の共同発表に基づき、導入の背景、仕組み、事業者情報、代表者コメントおよび導入上の留意点を整理して伝えました。具体的な利用方法や対象ユーザー、対応チェーンの追加など詳細は公式サイトに掲載される案内を確認することが適切です。
参考リンク: