内戦下ヤンゴンで刻む一歩 ミャンマー初の人権セミナー

ミャンマー初の人権セミナー

開催日:8月27日

ミャンマー初の人権セミナー
このセミナーって何が歴史的なの?
内戦下のミャンマー・ヤンゴンで、1948年の世界人権宣言以降同国で公に開かれた初の人権セミナーとしてingo PEACE.が単独開催し、国内外で注目された点が歴史的意義です。
今後の予定やアクションって具体的に何があるの?
セミナー直後に8月28〜30日の「平和未来ビジネス評議会」で実務協議を実施。10月中下旬に東京での日緬交流会(Hope Alliance拡大)を予定し、9月に追加発表があります。

内戦下のヤンゴンで開催された歴史的な人権セミナーの現場

2025年8月27日、一般財団法人International Non-governmental Organization PEACE.(略称:ingo PEACE.)は、ミャンマー・ヤンゴンにおいて「Myanmar Human Rights Seminar 2025(Universal Values of Humanity Seminar)」を単独で開催した。このセミナーは、1948年の「世界人権宣言」採択以来、ミャンマー国内で公に実施された初の人権セミナーとなり、国際的にも注目される歴史的な節目を刻んだ。

開催に至るまでには、複数の共同主催予定団体からの辞退表明、会場ホテルへの中止要請圧力、セミナータイトルの前日変更要請など数々の困難があり、直前まで開催の可否が危ぶまれた。しかしingo PEACE.本部とミャンマー管理本部は、民間の独立組織としての使命を踏まえ粘り強く調整を行い、最終的に政府の理解を得て安全かつ円滑に実施された。

当日はCPR(平和・紛争解決センター)、タマディ財団、法曹界、宗教界、財界、政党、メディアなど多様な立場の要人を含む約300名が参列した。参列者はセミナー開催を歴史的な一歩と受け止め、会場は拍手と緊張感に包まれた。閉会後は参列者が順次壇上へ集まり、ingo PEACE.会長を中心に開催を祝した写真撮影が続いた。

発表資料や参加者の証言では、1948年当時の国連加盟58カ国のうち賛成48カ国に旧ビルマ(現ミャンマー)が含まれていたという史実が指摘され、今回の開催が歴史的連続性の上に立つ意味を強くもつことが確認された。

《 ingo PEACE. 》77年の時を経て、ミャンマー連邦共和国初の人権セミナーを非政府組織として単独開催 ~「世界人権宣言」の精神を未来へ、人間の尊厳に基づく共生型社会モデルへの出発~ 画像 2

基調スピーチの核心と提唱された共生型社会の旗印

《 ingo PEACE. 》77年の時を経て、ミャンマー連邦共和国初の人権セミナーを非政府組織として単独開催 ~「世界人権宣言」の精神を未来へ、人間の尊厳に基づく共生型社会モデルへの出発~ 画像 3

中澤弘幸会長による基調スピーチの要旨

ingo PEACE. 会長 中澤弘幸は30分にわたる基調スピーチで、「人間の尊厳」と「人権」の再定義を提唱した。スピーチは歴史的背景の再確認から始まり、1948年12月10日に採択された世界人権宣言の精神を現代に引き継ぐ重要性が語られた。

中澤会長は人権を「誰かに与えられるものではなく、未来を選択し生き抜こうとする意思そのもの」と定義し、平和を「食、教育、医療、生活、文化といったあらゆるエネルギーがすべての生命に届いている状態」であり、最も力の弱い人が安心して暮らせる世界が平和であると説明した。また、国を越えた新たな共同体として「希望共生体:Hope Alliance」の構想を提示し、共生益(平和、人間の尊厳と人権、地球益)に基づく共生型経済モデルの構築を呼びかけた。

次世代を軸とした仕組みとして「平和未来評議会」の設立を提案し、経験豊富な世代は若者たちを支えるガードナー(庭師)やガーディアン(守護者)となるべきだとの立場を示した。最後に「未来は過去との契約ではなく、共に築くべき希望との契約である」と述べ、参加者に対して希望に基づく行動の重要性を訴えた。

《 ingo PEACE. 》77年の時を経て、ミャンマー連邦共和国初の人権セミナーを非政府組織として単独開催 ~「世界人権宣言」の精神を未来へ、人間の尊厳に基づく共生型社会モデルへの出発~ 画像 4

登壇者からのメッセージとその内容

セミナーには多様な立場のスピーカーが登壇し、個別の視点から人権と共生社会に関する論点を提示した。各発言は相互に補完し合い、全体として「未来社会を共に構想する協働の場」としての性格を強めた。

以下は登壇者の主な発言要旨である。

  • カウン・テッ・トゥー・ゾウ(ingo PEACE. 法務マネージャー)

    法の下の平等を基本に、ミャンマー連邦共和国憲法に基づく市民の基本的権利について現行条文を示しながら説明した。刑務施設での人権改善プログラムや人権教本を通じた意識改革の必要性、これまでの取り組みの報告と今後の方針が述べられた。

    法曹界の視点から実務的な改善策を提示し、民間主体による継続的な法的支援の重要性が強調された。

  • ワンナ(Myanmar Interfaith Dialogue Organization 会長)

    宗教間対話を人間の尊厳と人権普遍性の基盤と位置づけ、社会統合のための信頼構築を訴えた。民族や宗教の違いを超えた対話を基盤とする平和国家構築への期待と決意が示された。

    戦争の歴史からの教訓に触れ、自由かつ安全な民主化が実施されるよう各組織の連携を求める発言があった。

  • クリストファー・アトキンス(Group of Nations 代表)

    ingo PEACE. の理念が「競争から共創へ」という文明の価値転換を象徴していると述べ、今回のセミナーの開催が国際的な意義を持つ出来事であると評価した。Gサミット公式メディアでの取り上げを約束する発言もあった。

    グローバルな政策枠組みでの共有を通じ、今回の取り組みが国際的議論に繋がる可能性が示された。

  • クー・リャン・カム(Former ingo PEACE. Founding Representative Director、現政党メンバー)

    人権を「人間が尊厳をもって生きる意思そのもの」と再定義する必要性を訴え、1948年の世界人権宣言の理念を現代に継承・発展させる重要性が語られた。

    国や宗教・民族を超えた普遍的価値の共有を呼びかけ、共感を集めるメッセージとなった。

  • Dr. ピーター・ウン・ザー・チュン(ingo PEACE. 代表理事)

    人権は条文ではなく「命の奥底に宿る光」であり、分断や憎悪がそれを曇らせると述べた。互いの中に宿る光を見失わない努力の必要性を説き、参加者に新たな誓いを促した。

    セミナーの締めくくりでは、未来は与えられるものではなく自ら築くものであるとのメッセージが改めて示された。

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平和未来ビジネス評議会と実務的な議論の進展

人権セミナーの直後、8月28日から30日にかけて3日間にわたり「平和未来ビジネス評議会」が連続開催された。これはセミナーを起点にした実務的な議論と制度設計を目的とする会合であり、ingo PEACE. が提唱するHope Alliance プロジェクトに直結する内容が議題となった。

評議会は各日とも長時間の協議が行われ、農業政策、バイオマス発電、カーボンクレジット協議、共生型経済モデルの具体化、事業会社設立に関する協議など、幅広いテーマが扱われた。これらの議論は制度設計や金融ストラクチャー構築に資する具体的な進展を促した。

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3日間のスケジュールと主な参加者

評議会は以下の内容で実施された。

日付 主な議題 参加者概況
8月28日(1日目) 農業・バイオマス発電・カーボンクレジット協議会(9:30〜17:00) CPR会長中心、農業政策関係者、銀行頭取ら約38名
8月29日(2日目) 未来構想協議会(共生型経済モデル、平和未来評議会設立等) 業界団体会長、商工会議所要人等約40名
8月30日(3日目) 事業会社設立協議会(制度設計、実務体制検討) CPRおよび業界団体、商工会議所中核メンバーら約20名

これらの協議はHope Alliance プロジェクトに繋がる具体的なステップとして位置づけられ、経済復興・制度設計の議論が深められた。

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今後の取り組みと組織情報

ingo PEACE. は、今回のミャンマーでの開催を起点に、2025年10月中下旬に東京でミャンマー主要要人を招いた日緬交流会(仮称)を予定している。そこではHope Alliance構想を国際社会へ広げ、平和未来評議会を軸に経済復興開発スキームを具体化するメンバーを募る方針である。

さらに、国際的な人道支援団体や人権団体との連携を推進し、教育現場や地域社会への広がりを見据えた活動を展開するとしている。情報発信と登録を通じてHope Alliance プロジェクトへの参加を呼びかける計画があり、賛同署名となる登録であってもミャンマー民主化復興への応援につながると位置づけている。詳細は準備が整い次第、9月を目処に追加プレスリリースで配信される予定である。

ingo PEACE. のこれまでの活動としては、経済制裁下にあるミャンマーへの国際医療支援物資の正式輸送、2025年3月の震災発生時に発災後72時間以内で実施した1万世帯規模の食糧支援、刑事事件に関わる無償法的支援(プロボノ)、国内刑務施設公式訪問と生活衛生物資寄附などがあり、広範な人道支援と人権重視の実務活動が示されている。

組織名
International Non-governmental Organization PEACE.(ingo PEACE.)
所在地
東京都千代田区丸の内1-8-3 丸の内トラストタワー本館20階
代表者
中澤 弘幸(会長)、ウン・ザー・チュン(代表理事)
設立年
2024年6月
公式サイト
https://ingo-peace.org
お問い合わせ
E-mail:pr@ingo-peace.org
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報道の反響と今回の意義の整理

今回のセミナーは、内戦下で封じられていた公の場での人権議論が復活した歴史的瞬間と受け止められている。参加者の多くは「勇気を持って参列したことを誇りに思う」と語り、会長への握手を求める列が続いたことや長時間にわたるメディア取材からも大きな反響が確認された。

現地メディアや国際メディアの掲載例として、Global New Light of Myanmar(英字日刊紙)、Myanmar Digital News(MDN、国営に位置づけられるニュースサイト)、MRTV(国営テレビ)などが報道に関与しており、国内外での注目度は高い。

セミナー後の動きとして、一連の評議会で具体的な経済協議や事業会社設立に関する協議が進められ、Hope Allianceに基づく共生型経済モデルや金融・制度設計の検討が実務レベルで前進した点は、単なる理念表明にとどまらない実効性を伴う展開である。

今回の開催は、ミャンマー国内の人権と民主化に関する議論を再び公の場へ導く試みとして、民間非政府組織が果たした役割の重要性を示すものでもある。ingo PEACE. は今後、国際的な人道支援団体や人権団体との連携を深め、教育や地域社会への働きかけを続ける計画である。

記事の要点まとめ
項目 内容
セミナー名 Myanmar Human Rights Seminar 2025(Universal Values of Humanity Seminar)
開催日 2025年8月27日
開催地 ミャンマー・ヤンゴン
主催 International Non-governmental Organization PEACE.(ingo PEACE.) 単独開催
出席者 約300名(CPR、タマディ財団、法曹界、宗教界、財界、政党、メディア等)
主な登壇者 中澤弘幸(会長)、カウン・テッ・トゥー・ゾウ、ワンナ、クリストファー・アトキンス、クー・リャン・カム、Dr. ピーター・ウン・ザー・チュン 他
議題の主眼 人間の尊厳と人権の普遍性の確認、Hope Alliance 構想、共生型経済モデル、平和未来評議会の設立提案
関連イベント 平和未来ビジネス評議会(2025年8月28日〜30日、3日間連続)
今後の予定 東京での日緬交流会(仮称、2025年10月中下旬予定)、Hope Alliance 登録・情報発信(詳細は9月目処で公表)
組織情報 ingo PEACE.(本部:日本)、所在地:東京都千代田区丸の内1-8-3、設立:2024年6月、公式サイト:https://ingo-peace.org、E-mail:pr@ingo-peace.org
報道 Global New Light of Myanmar、Myanmar Digital News(MDN)、MRTV 他

以上が本セミナーとその直後に行われた評議会、ならびにingo PEACE. が示した今後の計画と組織情報の整理である。今回の取り組みは、ミャンマー国内の人権をめぐる議論を再び可視化し、共生型社会モデルの具体化に向けた実務的な一歩を示した点で重要であると報告できる。

参考リンク: