舞鶴市、万博京都ブースで抑留史料を展示 語り部とデジタル取組も紹介
ベストカレンダー編集部
2025年9月12日 11:36
舞鶴の万博出展
開催期間:9月8日〜9月14日

舞鶴が伝える「抑留から交流へ」—戦後の記憶を次世代へつなぐ取り組み
京都府舞鶴市は、戦後に海外からの引揚者を受け入れ、再会と再出発のまちとして歩んできました。2025年9月11日付の発表によれば、舞鶴市は大阪・関西万博の関西パビリオン京都ブース「いのち〜「生と死」と向き合って〜」において、2025年9月8日(月)から9月14日(日)まで出展を行っています。
舞鶴の取り組みは「次世代から、次世代へ」という視点を掲げ、引揚やシベリア抑留といった歴史的事実を国内外に発信するとともに、平和の願いを語り継ぐ活動を続けています。こうした活動は、戦争を経験しない世代が増える中で、記憶の継承と記録の保存を社会的に重要な課題として扱うものです。
- 発表元・日時
- 舞鶴市/2025年9月11日 18時13分
- 展示テーマ
- 抑留から交流へ〜「舞鶴モデル」による語り継ぎの新しいかたち〜
関西パビリオン京都ブースでの出展内容と開催概要
今回の出展は、万博会場の京都ブース内の特設コーナーで実施されており、会期は令和7年(2025年)9月8日(月)から9月14日(日)までです。ブースの正式名称は「いのち〜『生と死』と向き合って〜」で、関西パビリオンの一部として位置付けられています。
会場では、舞鶴引揚記念館が所蔵する資料の複製展示に加え、舞鶴市で行われている語り部活動やデジタル技術を活用した取り組み、国際交流の事例を紹介する映像を放映しています。展示は実物の一部ではなく、ユネスコ世界記憶遺産に登録された資料の複製展示を中心に構成されています。
項目 | 内容 |
---|---|
期間 | 令和7年9月8日(月)〜9月14日(日) |
会場 | 関西パビリオン 京都ブース「いのち〜『生と死』と向き合って〜」 |
出展主体 | 京都府舞鶴市 |
展示資料 | ユネスコ世界記憶遺産登録資料(複製)3点ほか |
映像内容 | 学生語り部、舞鶴工業高等専門学校のデジタル取組、ウズベキスタン共和国留学生の交流事例 |
展示されている資料の詳細
会場では、舞鶴引揚記念館が所蔵するユネスコ世界記憶遺産登録資料のうち、複製3点を展示しています。それぞれの資料は、引揚や抑留の実態を伝える重要な記録です。
以下に展示資料の詳細を整理します。各資料は実物の精神や歴史的意義を伝えるための説明とともに展示されています。
- 白樺日誌:白樺の皮をノート代わりにし、缶詰の空き缶からペン先を作り、煤をインク代わりにして書かれた記録。和歌・俳句およそ200首余が綴られており、故郷日本を想う心情が表現されています。
- スケッチブック:抑留中に描かれた記録画。ソ連側の指示でメーデーの様子を描くよう命じられた際に受け取った2冊のうち1冊で、絵具や筆を用いて収容所や労働の様子が描かれています。収容所の具体的な様子を描いた記録画として非常に稀少であり、没収を免れて日本に持ち帰られたことが特徴です。
- 俘虜用郵便葉書:抑留者が日本の家族と連絡を取り合うために許された往復葉書。ソ連側の検閲があり、生活の苦しさなどを直接書くことは制限されましたが、抑留者は生存を伝えるためにできる限りの文面を書き、家族からの返信を心の支えにしていました。
舞鶴引揚記念館の役割と資料保存の経緯
舞鶴引揚記念館は、引揚やシベリア抑留の経験を後世に伝え、平和の尊さを広く伝えるための拠点として位置づけられています。開館は昭和63年4月で、全国の体験者や関係者、市民の協力を得て設立されました。
歴史を知らない世代が増える中で、記念館の果たす役割はますます重要になっています。平成27年(2015年)10月10日には、収蔵資料のうち570点がユネスコ世界記憶遺産に登録され、国内外に向けた史料保存と発信が国際的にも評価されています。
- 昭和63年4月:舞鶴引揚記念館開館
- 平成27年10月10日:収蔵資料570点がユネスコ世界記憶遺産に登録
- 記念館の主な役割
- 引揚・抑留の記録保存、史実の公開、教育普及活動の推進、平和に関する啓発
- 国際的意義
- ユネスコ世界記憶遺産への登録を通じた国際的な史料共有と記憶の継承
映像紹介・教育的取り組みと出展の要点整理
会場では展示資料に加え、舞鶴市の具体的な継承活動を紹介する映像を放映しています。映像は、若い世代が歴史を継承する過程や、それが国際交流に結びつく様子を示す内容で構成されています。
映像の主な内容には次の要素があります。学生による語り部活動、舞鶴工業高等専門学校の生徒がデジタル技術を活用して行う取り組み、引揚の歴史を縁にしたウズベキスタン共和国の留学生との交流事例の紹介が含まれます。これらは展示資料と併せて、記憶の継承と国際的な相互理解の一側面を提示します。
- 学生語り部の活動紹介:若い世代が学び、語る過程を記録した映像
- 舞鶴工業高等専門学校の取組:デジタル技術を用いた歴史資料の利活用事例
- ウズベキスタン共和国留学生との交流:引揚の歴史を契機に始まった国際交流の実例
項目 | 詳細 |
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出展期間 | 2025年9月8日(月)〜9月14日(日) |
会場 | 関西パビリオン 京都ブース「いのち〜『生と死』と向き合って〜」 |
展示資料 | ユネスコ世界記憶遺産登録資料複製3点(白樺日誌、スケッチブック、俘虜用郵便葉書) |
映像内容 | 学生語り部、舞鶴工業高専のデジタル取組、ウズベク留学生の交流事例 |
舞鶴引揚記念館の沿革 | 開館:昭和63年4月、ユネスコ登録:平成27年10月10日(収蔵資料570点) |
関連リンク | https://www.city.maizuru.kyoto.jp/ |
以上は舞鶴市が大阪・関西万博の関西パビリオン京都ブースで実施している出展内容の詳細と、その背景にある舞鶴引揚記念館の役割および展示資料の概要です。出展は令和7年9月8日から同14日までの期間限定で、展示資料はユネスコ世界記憶遺産に登録された史料の複製を中心に構成されています。舞鶴市の取り組みは、戦後の史実を記録し、次世代に伝えることを目的とした教育的な側面と、国際交流につながる実践例を併せ持っている点が特徴です。
参考リンク: