9/19開幕|KUO DUO×日本ベネックスのアルミ家具展「HIKOU」
ベストカレンダー編集部
2025年9月12日 19:05
HIKOUコレクション展
開催期間:9月19日〜10月26日

アルミニウムの軽やかさと曲線美——KUO DUOと日本ベネックスが描く「HIKOU」の思想
株式会社日本ベネックスは、自社の精密板金加工技術を軸に展開するコラボレーションプロジェクトEETAL(イータル)の一環として、韓国ソウル拠点のプロダクトデザインスタジオKUO DUO(クオデュオ)と協働し、アルミニウム家具コレクション「HIKOU(ヒコウ)」を開発しました。開発は2024年春に始まり、素材と製造技術の関係性を再定義する試みとして進められています。
KUO DUOは日本ベネックスの工場を訪問した際、職人たちの高度な板金加工技術とクラフツマンシップに強い印象を受け、EETALの掲げる「ものづくりの過程で感じる喜びや、挑戦する精神を再認識できるように」という理念に共鳴してデザインに着手しました。板金の切断・曲げ・溶接・塗装・組み立てといった全工程をデザインに忠実に反映し、技術者がプロジェクト全体に主体的に関わる体制が構築されています。

名前とモチーフに込めた意味
コレクション名の「HIKOU(ヒコウ)」は日本語で「飛行」を意味します。名称には紙飛行機から着想を得たディテールや、飛び立つようなシルエットの表現が含まれ、KUO DUOと日本ベネックスの協働が結集してともに飛翔するという象徴的な意味も込められています。
素材としてのアルミニウムは「軽さ」と「柔軟性」が特徴ですが、HIKOUでは板金特有の鋭さを排し、温かみのある柔らかな曲線を採用することで、金属の冷たさを払拭するデザインを目指しました。製作を通じて素材感と製造工程の可視化を行い、製品が持つ機能性と物語性の融合を図っています。
- プロジェクト名: EETAL(イータル)
- デザイン: KUO DUO(イ・ファチャン、メン・ユミン)
- コア技術: 精密板金加工(切断、曲げ、溶接、塗装、組立)

HIKOUコレクションの構成と製品仕様
HIKOUコレクションはチェア、スツール、ベンチ、テーブルの4種で構成されています。いずれもアルミニウム板・パイプを主素材とし、溶剤塗装仕上げ。製品はすべて組み立て式に設計されており、軽量でコンパクトに梱包・流通できる点が特徴です。
各製品は屋内外を問わず空間に馴染むことを想定した設計がなされており、KUO DUOの緻密な設計と日本ベネックスの精密な製造技術が融合して完成しています。以下に、製品ごとの詳細仕様を示します。
製品 | 価格(税込) | サイズ(W x D x H) | 重量 | カラー |
---|---|---|---|---|
HIKOU Chair(ヒコウ チェア) | ¥134,200 | W575 x D319 x H764 | 約5.8kg | ブラック、クリームホワイト、グレー、レッド |
HIKOU Stool(ヒコウ スツール) | ¥93,500 | W399 x D364 x H430 | 約2.5kg | ブラック、クリームホワイト、グレー、レッド |
HIKOU Bench(ヒコウ ベンチ) | ¥132,000 | W1200 x D359 x H430 | 約5.6kg | ブラック、クリームホワイト、グレー、レッド |
HIKOU Table(ヒコウ テーブル) | ¥330,000 | W680 x D680 x H730 | 約16.8kg | サテンブラック、サテンクリームホワイト、サテングレー |
各モデルは組み立て式のため輸送効率が高く、流通面でも環境負荷とコストの最適化が図られています。色彩設計はマットなトーンを中心に据え、金属の質感を残しつつも温かみのある佇まいを重視しています。
製作過程では以下の工程が具体的に行われています。ものづくりのプロセスを意図的に見せることで、製作者の技術や工程そのものをデザインの一部とするアプローチが取られています。
- レーザーカット
- 曲げ加工
- 溶接
- 塗装
- 組み立て(最終検査を含む)

展示と体験の場——SKACでのローンチイベント詳細
HIKOUコレクションのローンチは、東京・西亀有の芸術文化施設SKAC(Skwat Kameari Art Center)にて、展示および販売を通じて行われます。展示デザインとクリエイティブディレクションはKUO DUOが担当し、デザインから開発に至る全工程を紹介する展示構成が予定されています。
会場では、来場者が実際に家具に触れ、座り心地や質感を体験できるカフェスペースも併設されます。製作に携わった技術者たちの貢献にも焦点を当て、ものづくりの背景にあるストーリーを空間全体で伝える構成です。
- 展示名称
- HIKOU Collection by KUO DUO & EETAL
- 期間
- 2025年9月19日(金) – 2025年10月26日(日)
- 営業時間
- 11:00 – 19:00(月曜・火曜定休)
- 会場
- SKAC(Skwat Kameari Art Center)
- 住所
- 東京都葛飾区西亀有3丁目26-4
- レセプション
- 2025年9月19日 18:00 – 21:00
- 空間デザイン&クリエイティブディレクション
- KUO DUO
展示ではKUO DUOによるスケッチやプロトタイプ製作過程の資料、工場での写真なども併せて展示されます。プロダクト写真はMH Photography、工場での制作風景写真は中島紳一郎が担当しています。
来場者は製品の見た目だけでなく、設計思想や工場工程に触れることができ、デザイナーと技術者が共に生み出したプロダクトの全体像を体感できます。

プロジェクトの全体像と企業情報の整理
HIKOUは、KUO DUOの設計力と日本ベネックスの製造力を組み合わせたコラボレーションの成果であり、EETALプロジェクトの理念を具体化した事例です。EETALは2021年に株式会社日本ベネックスが立ち上げたコラボレーションプロジェクトで、プロダクトデザイナーやグラフィックデザイナーなど外部クリエイターとの協働を通じて、板金とデザインの新たな可能性を模索してきました。
株式会社日本ベネックスは1957年設立で、創業から67年にわたり精密板金加工技術を蓄積してきました。2012年以降は再生可能エネルギー事業にも参入し、事業の柱を多角化しています。代表取締役社長は小林洋平、従業員数はグループ会社を含めて200名です。製造は日本国内で行われ、素材はアルミニウム板・パイプ、仕上げは溶剤塗装となっています。
- デザイナー
- KUO DUO(イ・ファチャン、メン・ユミン)
- ブランド
- EETAL(イータル)
- ディレクター
- 松尾敬介(MELLOW TALK)
- 製造
- 株式会社日本ベネックス(日本)
- 素材・仕上げ
- アルミニウム板・パイプ、溶剤塗装
- 製作年
- 2025年
- 写真
- MH Photography(プロダクト)、中島紳一郎(工場)
KUO DUOについては、弘益大学でインダストリアルデザインを学んだイ・ファチャンとメン・ユミンが設立したスタジオで、家具・空間・製品のデザイン開発を通じて素材の新しい使い方や製造技術への革新的なアプローチを行っています。KUO DUOの公式サイトおよびSNSの情報は次の通りです。
- KUO DUO ウェブサイト: www.kuo-duo.com
- KUO DUO Instagram: @kuo__duo
- EETAL ウェブサイト: www.eetal.com
- EETAL Instagram: @eetal_project
- 日本ベネックス ウェブサイト: https://www.japan-benex.co.jp/
項目 | 内容 |
---|---|
コレクション名 | HIKOU(ヒコウ) |
デザイン | KUO DUO(イ・ファチャン、メン・ユミン) |
ブランド/プロジェクト | EETAL(イータル) |
製造 | 株式会社日本ベネックス(日本) |
展示期間 | 2025年9月19日(金) – 2025年10月26日(日) |
会場 | SKAC(Skwat Kameari Art Center)、東京都葛飾区西亀有3丁目26-4 |
レセプション | 2025年9月19日 18:00 – 21:00 |
主要製品 | HIKOU Chair ¥134,200/HIKOU Stool ¥93,500/HIKOU Bench ¥132,000/HIKOU Table ¥330,000 |
素材 | アルミニウム板・パイプ、溶剤塗装 |
原産国 | 日本(製作年:2025年) |
関連写真 | MH Photography(プロダクト)、中島紳一郎(工場) |
この記事では、HIKOUコレクションのデザイン思想、製品スペック、展示情報、プロジェクトおよび企業の基本情報を整理して伝えました。展示では作品の外観だけでなく、製作工程や携わった技術者の役割も紹介されるため、デザインとものづくりの両面からHIKOUの全体像を把握することができます。
参考リンク: