第74回小学館児童出版文化賞、受賞作発表と11月13日授賞式

小学館児童出版文化賞授賞式

開催日:11月13日

小学館児童出版文化賞授賞式
受賞作って何が選ばれたの?
『あの空の色がほしい』(蟹江杏/河出書房新社)、『王様のキャリー』(まひる/講談社)、『山のフルコース』(はらぺこめがね/小学館)の3作。いずれも2024年刊の児童向け作品で、絵本や読み物などジャンルは多様です。
贈賞式っていつどこでやるの?
贈賞式は2025年11月13日(木)に都内で挙行予定。正賞は笹戸千津子作のブロンズ像「わかば」、副賞は各受賞者に賞金100万円が贈られます。

第74回小学館児童出版文化賞が示した今年の風景と贈賞式の予定

株式会社小学館は2025年9月11日(木)に第74回小学館児童出版文化賞の最終審査を行い、受賞作を決定したと発表しました。発表時刻は同日20時24分とされています。本賞は1952年の創設以来、児童出版文化の向上に寄与する作品や作家を顕彰する制度であり、今回も絵本・読み物・ノンフィクションなど多様なジャンルから選出されています。

受賞作は3作品で、いずれも2024年以降に刊行された作品群から選ばれました。贈賞式は2025年11月13日(木)に都内で挙行の予定です。正賞としては笹戸千津子作のブロンズ像「わかば」が授与され、副賞として賞金100万円がそれぞれの受賞者に贈られます。

第74回小学館児童出版文化賞が決定!! 画像 2

受賞作3作の紹介と詳細:物語の要旨、刊行情報、著者プロフィール

今回の受賞作は『あの空の色がほしい』(蟹江杏著/河出書房新社刊)、『王様のキャリー』(まひる著/講談社刊)、『山のフルコース』(はらぺこめがね作/小学館刊)の3作です。それぞれの刊行日、作風、作品梗概、著者の経歴を以下に整理します。

各作品の掲載情報は発行日や出版社、作品の要旨とともに、著者のこれまでの活動や受賞歴なども含めて紹介します。読者が作品の位置づけや背景を理解できるように、作品ごとに見出しを設けて詳述します。

第74回小学館児童出版文化賞が決定!! 画像 3

『あの空の色がほしい』—蟹江杏(河出書房新社、発行2024年6月30日)

作品梗概では、小学4年生のマコが土手沿いにある風変わりな美術教室を見つけ、そこで“オッサン先生”と呼ばれる近所で変人と噂される芸術家と出会う様子が描かれます。家族に見捨てられた芸術家と学校で浮いているお絵描き好きの小学生という二人の交流を通して心の交流が紡がれます。各誌で「100年後まで残る名作の誕生」などと評されました。

著者プロフィールによれば、蟹江杏氏は画家・作家として美術館や全国の百貨店、画廊で個展を多数開催しており、絵本『ハナはへびがすき』(第14回ようちえん絵本大賞受賞/福音館書店)や『ユキヒラさんとおなかのすいたゾウさん』(いわまタケツグ作/クレヨンハウス)などの著作があります。NPO法人3.11こども文庫理事長として被災地の子どもたちに絵本や画材を届ける活動、絵本専門の文庫設立などの社会的活動も行っており、Penクリエイター・アワード2021の審査員特別賞など評価を受けています。

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『王様のキャリー』—まひる(講談社、発行2024年8月20日)

中学二年生の勝生が熱中するeスポーツのストリーマー「lion(愛称:王様)」と、病院で出会った車いすの少年が同一人物であることを知るところから物語は始まります。lionことリオが「ゲームでキャリーしてやる」と語り、二人はゲームを通じて友情を深めていきます。やがて大会への招待状が届き、友情と競技の間で揺れる若い心情が描かれます。

著者まひる氏は2015年に第4回角川つばさ文庫小説賞一般部門で金賞を受賞し、2016年に『らくがき☆ポリス(1)美術の警察官、はじめました。』(KADOKAWA)でデビューしました。本作は第64回講談社児童文学新人賞を受賞した応募作の加筆・修正版にあたります。

『山のフルコース』—はらぺこめがね(小学館、発行2024年11月25日)

舞台は山奥の1軒のレストラン「レストラン山」。メニューは「山のフルコース」のみで、窓からは美しい山並みが見えるという設定です。料理が主題の絵本で、はらぺこめがねによる趣向を凝らした料理の描写と驚きの展開が見どころとされています。食べもの絵本の名手による隠れ家レストランの“絶品フルコース”が子どもたちの想像力を刺激します。

はらぺこめがねは夫婦イラストユニットで、原田しんや(1983年徳島県生)と関かおり(1982年大阪府生)が2005年に京都精華大学デザイン学科VCDを卒業後、2012年に『フルーツポンチ』(ニジノ絵本屋)でデビューしています。テーマは「食べ物と人」で、『やきそばばんばん』(あかね書房)で第9回ようちえん絵本大賞、『みんなのおすし』(ポプラ社)で第30回けんぶち絵本の里大賞アルパカ賞など受賞歴があります。

選考の流れと候補作品一覧:対象期間・推薦元・審査員の構成

選考対象は、2024年3月から2025年2月までに発表された、幼年および少年少女に推薦したい絵本(創作絵本・写真絵本等)、童話・文学(フィクション・詩・シナリオ等)、その他(ノンフィクション・科学絵本・図鑑・事典等)です。翻訳、キャラクター本、コミックスは選考対象から除外されています。

選考に先立ち、審査委員・作家・画家・写真家・各出版社・新聞社・児童文化団体・図書館・書店の児童図書担当者・読者からの推薦を募り、事務局が作品を収集しました。事務局内で予選委員会を設け予備選考を行い、最終的に審査委員5名が審査を行い、9月11日の最終選考会で受賞作を決定しました。

審査委員は以下の5名です(50音順)。

  • 荒井良二
  • 鈴木のりたけ
  • 舘野鴻
  • 富安陽子
  • 森絵都

候補作品の一覧(五十音順・ジャンル・作者・発行所・発行年月日)

以下は第74回の候補作品一覧で、全点が選考対象として予備選考を通過した作品です。ジャンルは概ね「読み物」「絵本」に分かれます。作品名は五十音順に整理されています。

ジャンル 作品名 作者名 発行所 発行年月日
読み物 あの空の色がほしい 蟹江杏/著 河出書房新社 2024年6月30日
読み物 いつまでもともだち 仁科幸子/作・絵 偕成社 2024年11月
読み物 王様のキャリー まひる/著 講談社 2024年8月20日
読み物 銀河の図書室 名取佐和子/著 実業之日本社 2024年8月10日
読み物 6days 遭難者たち 安田夏菜/著 講談社 2024年5月21日
読み物 森と、母と、わたしの一週間 八束澄子/作 ポプラ社 2024年10月
絵本 かいじゅうのすむしま 谷口智則/作 アリス館 2024年10月15日
絵本 クジラがしんだら 江口絵理/文 かわさきしゅんいち/絵 童心社 2024年9月1日
絵本 シロツメクサはともだち 鈴木純/著 ブロンズ新社 2024年3月25日
絵本 トドにおとどけ 大塚健太/作 かのうかりん/絵 パイ インターナショナル 2024年7月11日
絵本 ひつじシステム 大串ゆうじ/作 小学館 2025年2月10日
絵本 100ねんごもまたあした 瀬尾まいこ/作 くりはらたかし/絵 岩崎書店 2024年9月30日
絵本 山のフルコース はらぺこめがね/作 小学館 2024年11月25日

賞の由来と受賞の意義、記事のまとめ

「小学館児童出版文化賞」は1952年に小学館創業30周年を記念して「小学館児童文化賞」として創設され、1960年に「小学館文学賞・絵画賞」に改められ、1996年以後は「小学館児童出版文化賞」として継続されています。本賞は児童出版文化の向上に貢献すると認められる作品および作家を毎年選定し顕彰するもので、子どもたちへの推薦図書としての価値を評価する役割も担っています。

第74回では、読み物・絵本を含む幅広いジャンルから候補作が選ばれ、最終的に『あの空の色がほしい』『王様のキャリー』『山のフルコース』の3作品が受賞しました。正賞としてブロンズ像「わかば」(笹戸千津子作)が、副賞として賞金100万円が授与される予定です。贈賞式は2025年11月13日に都内で行われます。

項目 内容
発表日(プレスリリース) 2025年9月11日 20時24分(株式会社小学館)
最終選考日 2025年9月11日(木)
受賞作 『あの空の色がほしい』(蟹江杏/河出書房新社、2024年6月30日)
『王様のキャリー』(まひる/講談社、2024年8月20日)
『山のフルコース』(はらぺこめがね/小学館、2024年11月25日)
贈賞式 2025年11月13日(木)、都内にて挙行予定
正賞・副賞 正賞:ブロンズ像「わかば」(笹戸千津子作)/副賞:賞金100万円
選考対象期間 2024年3月〜2025年2月に発表された作品(翻訳・キャラクター・コミックス等は除外)
審査委員 荒井良二、鈴木のりたけ、舘野鴻、富安陽子、森絵都(50音順)
候補作一覧 本文中の候補作品一覧表を参照のこと

以上が第74回小学館児童出版文化賞の決定とその背景、受賞作品の詳細、選考経過の要点です。各作品の刊行日や出版社、著者プロフィール、選考に関わった審査員の顔ぶれ、贈賞式の日程と賞の内容を本文中で整理しました。今後の贈賞式における授賞発表や関連する広報でさらに詳細が明らかになることが期待されます。