実習で学べるLinuxシステム管理教科書 Ver.2公開

Linux教科書Ver2公開

開催日:9月16日

Linux教科書Ver2公開
これって無料で手に入るの?
PDF版とePub版はクリエイティブ・コモンズ下で無料配布。Kindle版は300円、印刷版は2,200円で有料販売。商用改変や二次配布にはライセンス制約があるので利用前に確認を。
初心者でもちゃんと学べるの?
はい。実習中心の6章構成でユーザー管理やネットワーク、サービス運用、トラブル対応まで段階的に学べ、LinuCレベル1/2の範囲にも対応しているため独学でも進めやすいです。

初心者に寄り添う再構成──「Linuxシステム管理標準教科書 Ver.2.0.0」について

特定非営利活動法人エルピーアイジャパン(LPI-Japan)は、Linuxシステムの運用管理を体系的に学べる学習用教材『Linuxシステム管理標準教科書』を全面改訂し、「バージョン2.0.0」として2025年9月16日にリリースしました。改訂はオープンコミュニティ型プロジェクトを通じて行われ、実習を中心にしたシンプルで独学しやすい構成へと再編されています。

新版では最新のLinuxディストリビューションへの対応や、学習者が実際に手を動かして学べる演習の整備、そして不要と判断された旧来の項目の削除などが行われています。PDF版とePub版は無料で配布され、Kindle版と製本版は有料で提供される点も重要な提供形態の特徴です。

LPI-Japan、無料のLinux学習用教材「Linuxシステム管理標準教科書」の新版「バージョン2.0.0」を発表 画像 2

リリース日と配布形態の詳細

本教科書 Ver.2.0.0の提供開始日は2025年9月16日(火)です。配布形式はPDF版(2.7MB)、ePub版(1.6MB)、Kindle版(1.6MB)、および印刷版(98頁)となっています。

PDF版とePub版はクリエイティブ・コモンズのライセンスの下で無料で提供されます。Kindle版は300円(税込)、印刷版は2,200円(税込)での販売が予定されています。教材の配布ページは下記URLにて公開されています。

教材の構成と学習方針:実習中心で身につく運用管理スキル

新版は、Linux技術者認定「LinuCレベル1」「LinuCレベル2」の学習範囲に含まれる運用管理分野を、実習を通じて学べる構成に整えられています。ユーザーやグループの管理、ネットワーク設定、サービス運用、ファイルシステム管理、システムのメンテナンス、トラブルシューティングまで、運用現場で必要とされる基本的な技術を段階的に学べるようになっています。

実際の手順を試せる具体的な演習が多数掲載されており、Webサーバーの稼働確認やユーザー・ファイル管理など、作業を通して理解を深められる設計です。これにより、教科書単体でも学習が進めやすく、既存の「Linux標準教科書」「Linuxサーバー構築標準教科書」と併用することで、幅広い運用知識の獲得が期待できます。

テキストの章立てと主要内容

新版は次の6章から構成されています。各章は実習中心にまとめられており、段階的に学べる工夫がなされています。

  • 第1章 ユーザーとグループの管理
  • 第2章 ネットワークの管理
  • 第3章 サービスの管理
  • 第4章 ファイルシステムの管理
  • 第5章 システムのメンテナンス
  • 第6章 トラブルシューティング

各章では基礎概念の説明にとどまらず、実際にコマンド操作や設定ファイル編集を行う演習手順が示されています。演習は、学習者がローカル環境や仮想環境で再現できることを想定しているため、導入の敷居が低く設定されています。

開発プロセスと主要な改訂点:コミュニティで磨いた教材

今回の改訂はLPI-Japanが支援するIT技術者コミュニティ「LinuC Open Network」による学習教材開発プロジェクトの協力で行われました。プロジェクトはオープンで透明性の高い運営を行い、Markdown形式の原稿をリポジトリで公開するなど、オープンソースコミュニティに近い方法で進められています。

企画段階から技術的な調査、執筆、レビューまでをコミュニティメンバーで分担し、複数の参加者によるレビューを経て改訂作業が行われた点が特徴です。今後もコミュニティ内での意見交換やレビューを通じて随時アップデートが行われる予定とされています。

主な改訂ポイント

Ver.2.0.0で明示された改訂点は大きく3点です。学習効率と現行環境への適合を重視した内容になっています。

  1. 独学しやすさの追求:章構成と実習内容の見直しにより理解しやすさを向上。現業で不要と判断した項目は削除してシンプル化。
  2. 新しいディストリビューションへの対応:解説の実行環境としてAlmaLinux 9.6を採用し、最新の挙動やパッケージ管理に対応。
  3. 最新環境との整合:Windows標準のSSHクライアントを使用する流れに変更し、窓口となるクライアント環境の最新化を図った。

これらの改訂により、学習者は最新の業務環境に近い形で学べる構成となり、教材の実用性が高められています。

執筆体制・LPI-Japanの役割と提供に関する情報

開発は「LinuC Open Network」学習教材開発プロジェクトが主導し、プロジェクトリーダーの宮原 徹氏を中心に多くのメンバーが章構成の議論や原稿レビューに参加しました。宮原氏は今回の改訂について、過去の標準教科書群と合わせて“Linux初心者向けの標準教科書 三部作”の一冊として位置付ける旨を述べています。

LPI-Japanは教材の公開・配布を通じて、オープンテクノロジーの普及と技術者育成を支援する組織です。2000年7月に設立され、これまでに延べ41万以上の認定試験を実施、延べ15万以上の認定実績があります。理事長は鈴木 敦夫氏で、理事や監事を含む体制で認定制度と教育支援を推進しています。

ライセンス、問い合わせ先、関連情報

本教科書はクリエイティブ・コモンズ・パブリック・ライセンス「表示 – 非営利 – 改変禁止 4.0 国際(CC BY-NC-ND 4.0)」の下に提供されます。商用改変や二次配布に制約があるため、利用時はライセンス条項の確認が必要です。

報道関係者お問い合わせ先
LPI-Japan 事務局
TEL:03-6205-7025 / E-mail:press@lpi.or.jp
配布ページ/プレスリリース
https://linuc.org/textbooks/admin/
https://lpi.or.jp/news/press/page/20250916_01/

参考としてLPI-Japanが公開している他の標準教科書群や関連教材のURLも案内されています(Linux標準教科書、Linuxサーバー構築標準教科書、Linuxセキュリティ標準教科書など)。

要点の整理

本文で扱った情報を表形式で整理します。教材の配布形態、価格、章立て、改訂の主眼、開発体制、問い合わせ先などを一望できるようにまとめました。

項目 内容
教材名 Linuxシステム管理標準教科書(Ver.2.0.0)
提供開始日 2025年9月16日(火)
提供形式とサイズ PDF版(2.7MB)、ePub/Kindle版(1.6MB)、印刷版(98頁)
価格 PDF・ePub:無料、Kindle:300円(税込)、印刷版:2,200円(税込)
主な章構成 第1章~第6章(ユーザー管理/ネットワーク/サービス/ファイルシステム/メンテナンス/トラブル対応)
主な改訂点 実習中心の再構成、不要項目の削除、AlmaLinux 9.6対応、Windows標準SSHクライアント使用へ変更
開発体制 LinuC Open Network 学習教材開発プロジェクト(Markdownでの原稿公開・コミュニティベースでの執筆/レビュー)。プロジェクトリーダー:宮原 徹氏
ライセンス CC BY-NC-ND 4.0(表示 – 非営利 – 改変禁止)
問い合わせ LPI-Japan 事務局 TEL:03-6205-7025 / E-mail:press@lpi.or.jp
関連URL https://linuc.org/textbooks/admin/
https://lpi.or.jp/news/press/page/20250916_01/

以上が本稿で取り上げた『Linuxシステム管理標準教科書 Ver.2.0.0』に関する主な情報の整理です。教材は無料版も用意されているため、学習の導入から運用管理の基礎固めまで幅広い用途で活用できます。

参考リンク: