10/1開始|髙島屋で配布、廃メイクが紙に生まれ変わる
ベストカレンダー編集部
2025年9月17日 15:05
メイクで色付く再生紙
開催日:10月1日
メイクの“色”が紙へ──廃メイク用品を着色料に使ったアップサイクルの全容
2025年9月17日12時に発表されたmizuiro株式会社のリリースによれば、同社は株式会社髙島屋が推進する「Depart de Loop(デパート デ ループ)コスメ再生プロジェクト」に協業し、役目を終えたメイク用品を再生紙の着色料として活用する「アップサイクルペーパー」を開発しました。開発では、赤・ピンク系のアイシャドウやチークのパウダー部分のみを選別して原料に混ぜることで、従来の再生紙に新しい表情を与える取り組みです。
このアップサイクルペーパーは、キラキラとしたラメが混ざるピンク色を基調とし、ショッピングバッグ、メッセージカード、名刺へと展開されます。素材として使用されるのは、主に使用済みのアイシャドウやチークなどの化粧パウダーで、紙の色付けにおいて通常の顔料や染料の代替となる形で再利用されます。
技術的なポイントと製造工程の統括
mizuiroは、メイク用品回収後の選別から原紙製造、さらにショッピングバッグやメッセージカード・名刺への加工に至る製造工程までを統括的にディレクションしています。原料となるパウダーは赤・ピンク系の色味に限定して取り出され、再生紙の原料に混入する際に均一な着色とラメの配合バランスが確保されます。
製造工程では以下のような工程が含まれます。選別(色彩・粒子の判定)→粉砕・調整→パルプへの混入→抄紙(紙をつくる工程)→裁断・加工(バッグやカードへ)という流れで、各段階で品質と安全性のチェックが行われます。
- 素材
- 赤・ピンク系のアイシャドウ、チークのパウダー(ラメ含む)
- プロセス
- 選別→粉末化→再生紙原料への混入→抄紙→製品加工
- 製品
- ショッピングバッグ、メッセージカード、名刺(アップサイクルペーパー使用)
配布・活用の具体的な流れと対象店舗・条件
アップサイクルされたショッピングバッグとメッセージカードは、髙島屋の5店舗の対象売場にて配布されます。配布開始日は2025年10月1日(水)で、税込3,000円以上購入したお客様を対象に、先着15,000名に提供されます。対象売場は日本橋・新宿・横浜・大阪・京都の5店舗です。対象売場の詳しい情報は、髙島屋が示す「こちら」をご確認ください。
名刺については、アップサイクルペーパーを活用して制作され、ビジネスシーンで使用される予定です。mizuiroは単に素材を供給するだけでなく、製造から加工までを取りまとめることで、実用的な製品として流通・活用される段取りを構築しました。
- 配布開始日:2025年10月1日(水)
- 配布対象:髙島屋の対象売場(日本橋・新宿・横浜・大阪・京都)で税込3,000円以上購入したお客様
- 配布数:先着15,000名
- 製品:ショッピングバッグ、メッセージカード、名刺(アップサイクルペーパーを使用)
配布の具体的な売場の区分や取り扱いについては、髙島屋側が公開している案内に従う形となっています。配布物はいずれもアップサイクル素材によるため、見た目に個体差が出る可能性がありますが、製造段階で安定した色味と強度が確保されています。
mizuiroの取り組みとプロジェクトにおける役割
mizuiro株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役:木村尚子)は、これまでも「おやさいクレヨン®」や「おはなのクレヨン」など、規格外野菜やロスフラワーを活用した商品を手がけてきました。今回の取り組みは、化粧品という新たな廃棄資源を対象に加え、アップサイクル事業の幅を広げる試みです。
同社はアップサイクル製品の企画・開発だけでなく、素材回収後の工程を含む製造全体を統括的にディレクションしました。これは、素材の特性(色素、ラメの混入、微粒子の流動性など)を理解した上で、再生紙としての性能を損なわずに製品化するための包括的な管理が必要だったためです。
過去の実績と今後の展開方針
過去の具体的なプロダクトとしては次のものがあります。「おやさいクレヨン®」(お米や野菜の廃棄物を原料としたクレヨン)や「おはなのクレヨン」(ロスフラワーを活用したクレヨン)などがあり、廃棄資源に新たな価値を与える試みに継続的に取り組んできました。
今後は、クレヨンや紙だけでなくプラスチック、繊維、木材など多様な素材を活用し、アップサイクルのパイオニア企業として事業拡大を推進すると明記されています。今回の化粧品を素材とする試みは、その一環として位置づけられます。
- 既存製品の延長としてのアップサイクル(クレヨン、紙)
- 新素材領域への応用(プラスチック・繊維・木材等)
- 製造から流通までを見据えた統括的ディレクションの継続
Depart de Loopプロジェクトの枠組みとリサイクルの流れ
「Depart de Loop(デパート デ ループ)」は、髙島屋が掲げるサステナブルな循環型社会の実現を目指すプロジェクトです。その一環である「コスメ再生プロジェクト」は、メイク用品と化粧品の空容器を回収・再生・製品化する取り組みを含みます。回収されたメイク用品は、クレヨンやキャンドルとして再生され、髙島屋で販売されています。
また、回収された空容器はECOMMITのリサイクルパートナーである有明興業のスキームを通じて、セメント原料などの環境資源として有効活用されています。今回のアップサイクルペーパーに加え、廃棄プラスチックを活用したアップサイクルコームも誕生し、化粧品由来の素材の新たな循環にチャレンジしています。
プロジェクト内での主要な取り組み
- メイク用品の回収→クレヨン・キャンドルへの再生→販売(髙島屋)
- 空容器の回収→有明興業経由でセメント原料等へ再利用
- 今回の取り組み:メイク用品を着色料にしたペーパーアイテム(ショッピングバッグ・メッセージカード・名刺)とアップサイクルコームの開発
プロジェクトに関する詳細情報やショートムービー等は、髙島屋側が公開している案内を参照する形となります。今回の発表資料では、アップサイクルペーパーやコームのショートムービーが紹介されています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発表日 | 2025年9月17日 12時00分(mizuiro株式会社による発表) |
| 関係企業 | mizuiro株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役:木村尚子)、株式会社髙島屋、ECOMMIT、有明興業(リサイクルパートナー) |
| 対象素材 | 赤・ピンク系アイシャドウ、チーク等のパウダー(ラメ含む)および廃棄プラスチック(コーム等) |
| 製品 | ショッピングバッグ、メッセージカード、名刺(アップサイクルペーパー使用)、アップサイクルコーム、クレヨン・キャンドル(既存の再生品) |
| 配布開始・条件 | 2025年10月1日開始。対象売場(日本橋・新宿・横浜・大阪・京都)にて税込3,000円以上購入のお客様に先着15,000名で配布 |
| mizuiroの役割 | 回収後の選別、原紙製造、ショッピングバッグ・カード・名刺への加工までの統括ディレクション |
| プロジェクトの狙い | 化粧品を含む廃棄資源の新たな循環スキーム構築とアップサイクル事業の拡大 |
上記表は本記事で取り上げた主要な事実を整理したものです。mizuiroは従来からのアップサイクル製品の実績を踏まえ、化粧品という新しい素材分野へも取り組みを拡張しました。髙島屋のDepart de Loopプロジェクトと連携することで、回収・再生・製品化という循環の実務的なスキームが具体化しており、配布されるショッピングバッグやメッセージカード、名刺はその取り組みの手触りが感じられる実例となっています。
本稿では発表資料に基づき、発表日時、関係組織、対象素材、製品ラインナップ、配布条件、並びにmizuiroの役割とプロジェクトの枠組みについて網羅的に整理しました。詳細や配布対象売場の具体的な一覧、ショートムービー等の関連情報は髙島屋の案内をご参照ください。