八芳園、10月1日グランドオープン 生涯式場へ進化

八芳園グランドオープン

開催日:10月1日

八芳園グランドオープン
いつオープンするの?
八芳園は2025年10月1日にグランドオープン。独立型チャペルは先行して2025年5月に開業、9月12日にはニュウマン高輪の2店舗も同時オープン。会員制やCLUB FLOORも順次本格稼働する予定だ。
今回のリニューアルで何が変わるの?
ブライダル中心から『生涯式場』へ転換し、MICE強化やエリアプロデュース、会員サービス拡充、五感体験のインスピレーションサロンやDX導入を進め、ZEB Oriented認証取得で環境配慮も強化している。

白金台の八芳園が描く「継承と創造」──リブランディングの全体像

総合プロデュース企業である株式会社八芳園は、2025年10月1日にグランドオープンを予定し、半年を超える休館と大規模改修を経てリブランディングを完了します。創業1943年、庭園の歴史は約400年におよび、80年以上にわたる日本の文化とおもてなしの伝統を背景に、今回の改修は創業以来最大規模のものと位置づけられています。

今回のテーマは「継承と創造」。婚姻数が減少する時代でも祝う文化を次世代へ紡ぐという方針のもと、施設の用途再編、MICE(企業・国際会議等)事業の強化、白金台を起点としたエリアプロデュースを通じて地域と時代に根ざした文化の継承と創造を目指します。プレスリリースは2025年9月17日12時に公表されました。

【館内公開】半年を超える改修を経て、10月1日グランドオープン ー 生涯式場 × MICE強化 × エリアプロデュースによる地域と時代に根ざした文化の継承 画像 2

リニューアルの狙いと事業のアップデート

八芳園は従来のブライダル中心の事業から、「生涯式場」へと進化し、ライフイベント全般をプロデュースする体制にアップデートします。結婚式を起点としながら、会員制サービスやMICE向け専用フロア、エリア横断の出店などを通じて事業の多角化を図ります。

改修コンセプトは「日本の、美意識の凝縮」。ZEB Orientedの認証取得など環境配慮を機軸に、伝統工芸や地域連携を取り入れた空間づくりを通じて、白金台から白金・高輪エリアへの展開を進めます。

  • グランドオープン日:2025年10月1日
  • プレスリリース公開:2025年9月17日 12:00
  • 改修の主眼:生涯式場化、MICE強化、エリアプロデュース
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空間改修と環境配慮──ZEB Oriented認証取得の意味

今回の改修では既存建物の創造的利活用、庭園と都市を結ぶ都市型日本庭園の再整備、日本文化に根ざした環境配慮型建築という3つの方針を掲げました。バンケット数は従来の15室から11室へと減少していますが、1会場あたりのキャパシティを拡大し、庭園と建物の調和を重視する設計となっています。

改修の結果、本館はZEB Oriented(ゼブ・オリエンテッド)の認証を取得しました。認証取得日は2025年8月19日で、延床面積1万平米以上の非住宅建築物に求められる条件の下、年間の一次エネルギー消費量を基準から30%以上削減することが必須条件です。

ZEB Oriented 認証のポイント
・空調熱源や空調機器の高効率化
・照明のLED化
・断熱強化と高断熱性ガラスの導入
・ファサードに木材を多用しCO₂の吸収・貯蔵効果を確保

この認証は既存施設の改修による取得であり、宴会場用途の建物として国内で先駆けたケースにあたります。一次エネルギーは石油、石炭、天然ガス、水力、原子力、太陽光など自然から得られるエネルギーを指します。

環境配慮の取り組みは設備面だけでなく、素材選定にも及び、建築的表現としても日本の美意識を体現する方針です。

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ブライダルから生涯式場へ──サービス、空間、会員制度の刷新

結婚式場としての価値を深化させつつ、ライフイベント全般へ対応する「生涯式場」化が中心施策です。結婚式に限らずご家族の祝祭や日常に寄り添うサービス提供へと舵を切ります。

主な取り組みとして、独立型チャペルの設置、五感を通じた提案を行う「インスピレーションサロン」、衣裳室ブランドの立ち上げ、会員制サービスの展開などが挙げられます。

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インスピレーションサロンと五感体験

インスピレーションサロンは視覚・触覚・味覚・聴覚・嗅覚の五感を使って結婚式やライフイベントのイメージを深める場です。VRを用いた「HAPPO-EN EXPERIENCE SHOWCASE」で披露宴のイマーシブな体験が可能となり、装花アトリエやシェフズキッチン、オリジナル音楽と香りによる没入空間を提供します。

これにより従来のウエディングサロンの枠を超え、さまざまな用途の来訪者に対して五感を通した新たな気づきを提供することを目指しています。

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ブライダル空間のリニューアル

バンケット「HAKOU(波光)」「KIOTO(木音)」をリニューアル。HAKOU(1階)は月夜をテーマに金と黒を基調としたシックな空間で、収容人数は〜122名。KIOTO(2階)は光あふれる寄木の宝箱をモチーフにした会場で、収容人数は〜102名です。

また、2025年5月には独立型チャペル「Celebration Hall – The GARDEN」を先行してオープン。チャペルを“誓いの場”から“祝いの場”へと位置づける空間設計が行われています。

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衣裳と会員サービス

2025年3月1日には八芳園初の衣裳室ブランド「The Bridal Boutique KOTOHOGI by HAPPO-EN」が誕生しました。コンセプトは「こころを、纏う。」で、モダンな感性と伝統技術を掛け合わせた衣裳を提供します。

会員制サービスCLUB HAPPO-ENは2024年10月に立ち上がり、2025年8月時点の会員数は約3,800名です。会員限定イベント、ギフトオンラインストア、店舗優待、ポイントサービスなどを展開し、結婚式後も長期にわたり顧客と関係を築く仕組みとしています。

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MICE強化、エリアプロデュース、DX導入──事業展開の具体策

2000年代からMICE事業にも注力してきた八芳園は、今回の改修でさらにMICE需要に応える機能を強化しました。会員制の特別フロア「CLUB FLOOR」新設や、企業向けメンバーシッププログラムの導入、地域連携による新店舗出店など、都市内外とつながる交流拠点としての役割を明確にしています。

またDXとAIの導入によりスタッフの作業効率を高め、接客に注力できる体制を整備しています。これにより人によるおもてなしの質を高める意図があります。

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CLUB FLOOR と会員プログラム

会員専用の「CLUB FLOOR」は庭園を望む上質空間を提供します。専用アクセスとしてROOFTOP TERRACEへ直接つながる専用エスカレーターが設けられ、会員企業向けプログラム「CLUB HAPPO-EN for Business」は2025年2月から開始されました。

CLUB FLOORの主な設備は以下の通りです。

  • 専用アクセス:ROOFTOP TERRACE(会員専用)
  • 5F「STUDIO KOKU」:ラウンジ約85㎡、会場約562㎡(スクール140名、シアター322名/サイドテーブル付き189名)、天井高3.1m、全長約20mのLEDウォール設置
  • 6F「HALL HAKU」:BAR約73㎡、会場約520㎡(着席(円卓)256名、立食300名)、天井高3.0m
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ムスリム対応と国際性

施設内にムスリム対応専用のセントラルキッチンを新設し、NPO法人日本ハラール協会による「ハラールフードサービス施設認証」取得を予定(2025年9月時点)しています。多様な宗教的・文化的背景を持つゲストにも安心して利用できる食の提供体制を整えることが目的です。

この取り組みは、国際会議や海外ゲストを視野に入れたMICE誘致や、地域の文化発信においても重要な要素になります。

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エリアプロデュースと新店舗出店

2025年9月に東日本旅客鉄道株式会社と「共創パートナーシップ協定」を締結し、白金・高輪エリアを文化発信・体験の拠点として位置づける連携を開始しました。これに関連して、高輪ゲートウェイ駅直結の「ニュウマン高輪」内に2店舗を出店しています。

2025年9月12日(金)に同時オープンした2店舗は次の通りです。

  1. 「割烹 BUTAI」:ニュウマン高輪 LUFTBAUM 29F。高さ約150mの眺望を活かし、岩手県産栗材の一枚板カウンターや聚楽壁風の壁面を用いた設えの中で“江戸”をテーマとした日本料理を提供。料理や店舗演出を通じて地域と都市を結ぶ食の発信拠点とする。
  2. 「八芳園洋菓子店」:ニュウマン高輪 North 1F。八芳園初のパティスリーで、旬の果物を用いたタルトや和三盆糖のプリンロール、ショコラ、パンなど常時約100種のオリジナルスイーツを販売する。
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DX・AI・ロボット導入の具体例

サービス効率化と接客強化のために複数の先進技術を導入します。ロボットは料理や飲み物の運搬、宴会の下げ物・ドリンク補充などを担い、清掃ロボット(窓拭き・床掃除)も導入して業務時間を短縮します。

また、タッチパネル型の大型「スマートAIボード」を設置し、全社員にAIアシスタントを配布して資料作成や調査の効率化を図ります。これらの取り組みはスタッフがより多くの時間を顧客対応に充てることを可能にします。

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数値目標と今後の位置づけを整理する

八芳園は今回のリニューアルを通じて、婚礼事業に依存しない事業基盤の確立を目指しています。2030年にはグループ年間売上130億円規模を目標に掲げ、その達成は平日の稼働率改善やエリア展開、MICE事業強化による収益多角化を通じた現実的な指標とされています。

また、2043年のグループ100周年に向けて、日本の美意識や文化を次世代に継承し、世界へと発信する礎を築くことを明確に目的としています。

項目 内容
グランドオープン 2025年10月1日
プレス公表日 2025年9月17日 12:00
改修コンセプト 「日本の、美意識の凝縮」/テーマ「継承と創造」
バンケット数 従来15→改修後11(1会場あたりのキャパ拡大)
ZEB Oriented認証取得 取得日:2025年8月19日(延床面積1万平米以上の非住宅建築で一次エネ消費量を基準から30%削減が条件)
主要新設・改修空間 メインロビー(組子アート「光風庭伝」等)、インスピレーションサロン、独立型チャペル(Celebration Hall – The GARDEN)ほか
組子アート製作 水墨画家:小林東雲氏、組子職人:木下正人氏(高さ約4m)
新レストラン ALL DAY DINING FUDO(石窯料理、石窯ピザ等、自治体の生産者と連携)
衣裳ブランド The Bridal Boutique KOTOHOGI by HAPPO-EN(2025年3月1日開始)
会員制サービス CLUB HAPPO-EN(開始:2024年10月、会員数:約3,800名/2025年8月時点)
企業向け会員プログラム CLUB HAPPO-EN for Business(開始:2025年2月)、CLUB FLOOR(専用エスカレーター・ROOFTOP TERRACE等)
CLUB FLOOR主要設備 5F STUDIO KOKU:ラウンジ約85㎡、会場約562㎡(スクール140名、シアター322名)、天井高3.1m/6F HALL HAKU:会場約520㎡(着席256名、立食300名)、BAR約73㎡
ムスリム対応 館内にムスリム対応専用セントラルキッチンを新設。日本ハラール協会による認証取得予定(2025年9月時点)
新店舗出店 割烹 BUTAI(ニュウマン高輪 LUFTBAUM 29F)、八芳園洋菓子店(ニュウマン高輪 North 1F)——両店とも2025年9月12日開業
DX・AI導入 運搬ロボット・清掃ロボット導入、スマートAIボード設置、全社員へAIアシスタント配布
2030年目標 グループ年間売上 130億円規模
100周年 2043年(グループ100周年に向けた取り組みの一環)
公式サイト https://happo-en.com/

以上の取り組みは、単なる設備投資にとどまらず、地域と連携した文化発信、環境配慮、サービスの高度化、デジタルトランスフォーメーションの活用を通じて、結婚を中心とした祝祭の価値を拡張し、白金・高輪エリアにおける新たな交流拠点を目指すものです。グランドオープン日および主要な施策、認証取得日や各種数値目標を本稿で整理しましたので、利用検討や取材、地域連携の観点からの確認にご活用ください。

参考リンク: