9月22日発表:メナードの透明とパール両立セラミド技術
ベストカレンダー編集部
2025年9月18日 13:19
セラミド新製剤技術発表
開催期間:9月22日〜9月25日

セラミド配合化粧品の課題を解く「ディスク状ベシクル」技術の全容
2025年9月18日 10時30分に公表された日本メナード化粧品株式会社のプレスリリースは、化粧品原料として重要な成分であるセラミドの安定配合と見た目の多様性を両立する新たな製剤技術について詳細に伝えています。発表者は日本メナード化粧品株式会社(所在:愛知県名古屋市中区丸の内3-18-15、代表取締役社長:野々川 純一)です。
リリースは、食品にも使用される界面活性剤であるショ糖脂肪酸エステルを用いて、セラミドを内包するディスク状ベシクルを作製する独自技術の開発を報告しています。ベシクルとは、両親媒性の脂質や合成界面活性剤の二分子膜からなる小胞体(脂質小胞体)を指します。

技術の位置付けと解決する課題
セラミドは肌のバリア機能を担う細胞間脂質の主要成分であり、乾燥や肌荒れ防止に不可欠です。しかし高い結晶性のため、透明な化粧品などに安定的に配合することが従来困難でした。また、皮膚への効率的な浸透も長年の課題です。
今回の技術は、これらの課題に対して二つの重要な解決策を示します。一つはセラミドの化学的・物理的安定性を向上させて様々な製剤へ配合しやすくする点、もう一つは粒子設計によって製剤の見た目(透明性やパール光沢)を制御できる点です。

ショ糖脂肪酸エステルとディスク状ベシクルの組成と機能
メナードの技術では、植物由来で安全性の高い界面活性剤であるショ糖脂肪酸エステルをセラミドと組み合わせます。ショ糖脂肪酸エステルは食品用途でも使用される成分であり、肌への浸透促進効果も期待される点が特徴です。
この組み合わせにより、セラミドを内包する非常に小さなディスク状粒子、いわゆるディスク状セラミドベシクルが形成されることが詳細分析で確認されました。ベシクル内部にセラミドが収まることで、結晶化しやすい性質が抑えられ、長期の外観安定性が得られます。

粒子サイズと見た目の関係
リリースでは、ベシクルの粒子サイズを制御することで製剤の見た目を変化させられる点が強調されています。具体的には、粒子が小さい場合は光が透過して透明な製剤となり、粒子を大きくすると光が反射してパール光沢が生じることが示されています。
この粒子サイズ制御は、同時に配合する保湿剤などの種類や配合量を調整するだけで可能であり、配合設計の柔軟性が高いことが利点です。下記のポイントは技術のキーデータを整理したものです。
- 主要素材:セラミド+ショ糖脂肪酸エステル(植物由来)
- 形成構造:ディスク状ベシクル(ディスク状セラミドベシクル)
- 外観制御:粒子サイズを小→大へ変えることで透明→パール光沢へ変化
- 粒子制御因子:保湿剤の種類と量の調整
オイル成分の配合による形態変化と機能的意義
さらに、本研究はオイル成分を配合した場合の挙動も検証しています。透明なディスク状ベシクル製剤にオイルを加えると、粒子形状はオイルを内包した球状に変化することが確認されました。重要な点は、形状が球状に変わっても外観の透明性は維持されるという点です。
この結果は、オイル成分を用いた多機能製剤の開発にとって意義深いものです。ショ糖脂肪酸エステルは有効成分の浸透を促進する効果を持つため、セラミドだけでなく、機能性オイル成分も効率よく肌へ届ける製剤設計が可能になると期待されます。
期待される応用例と設計上の留意点
オイル含有型での球状化は、油溶性有効成分の内包と安定化に資するため、保湿やエモリエント機能を強化した製品設計につながります。一方で、球状化に伴う物性変化(粘度、流動性、エモルジョン安定性など)を考慮する必要があります。
製剤開発では以下の点が設計上のチェックポイントとなります。
- 配合オイルの種類と相溶性評価
- ベシクルの粒度分布とそれに伴う光学特性の評価
- 保存安定性試験(長期・加速)と外観変化の監視
- 皮膚浸透性評価(ショ糖脂肪酸エステルの浸透促進効果の定量)
研究発表の予定とリリース情報の整理
本研究成果は学会での公開発表も予定されています。発表は「第76回コロイドおよび界面化学討論会」において、2025年9月22日から25日に千葉大学で行われる予定です。学会発表により、同分野の研究者や企業技術者に向けてデータや解析結果が提示されます。
プレスリリースには参考資料として以下の図示が併記されています。図は本文の観察と概念を視覚的に補完するものです。
- 図1
- 開発したセラミド製剤とディスク状セラミドベシクルの概念図
- 図2
- 透明タイプおよびパール光沢タイプのディスク状セラミドベシクルのイメージ
- 図3
- オイル成分を含まない場合(左)と含む場合(右)の粒子形状比較イメージ
なお、リリース文中の用語注記として、ベシクルは「両親媒性の脂質や合成界面活性剤の二分子膜からなる小胞体」であり、脂質小胞体とも呼ばれる旨が明記されています。
発表元の公表情報
発表主体は日本メナード化粧品株式会社 総合研究所です。会社情報の要旨は以下の通りです。
- 会社名:日本メナード化粧品株式会社
- 所在地:愛知県名古屋市中区丸の内3-18-15
- 代表者:代表取締役社長 野々川 純一
- リリース日:2025年9月18日 10時30分
- 学会発表:第76回コロイドおよび界面化学討論会(千葉大学、2025年9月22日~25日)
本リリースは、セラミドの安定配合と製剤の外観制御に関する明確な技術的根拠を示しており、化粧品分野の製剤設計や商品開発に資する情報が含まれています。
要点の整理表と締めの解説
以下の表で、今回のプレスリリースに記載された主要な情報を整理します。技術の核となる要素、確認された効果、今後の学会発表日程などをまとめています。
項目 | 内容 |
---|---|
発表日 | 2025年9月18日 10時30分 |
発表機関 | 日本メナード化粧品株式会社 総合研究所(所在地:愛知県名古屋市中区丸の内3-18-15、代表:野々川 純一) |
技術の概要 | ショ糖脂肪酸エステルを用いてセラミドを内包するディスク状ベシクルを作製する独自技術。粒子サイズ制御により透明製剤とパール光沢製剤の両方を実現。 |
主要素材 | セラミド、ショ糖脂肪酸エステル(植物由来)、保湿剤、必要に応じてオイル成分 |
確認された特性 | ディスク状ベシクルの形成、粒子サイズ制御による外観変化(透明→パール光沢)、オイル配合時の球状化と透明性維持、浸透促進の期待 |
学会発表 | 第76回コロイドおよび界面化学討論会(千葉大学、2025年9月22日~25日) |
本技術は、セラミドを含む製剤の設計自由度を高め、安全性と高い浸透性を兼ね備えた化粧品の開発に資するものと位置付けられます。図示資料や学会での詳細発表により、測定データや評価指標が示されれば、製剤開発や商品化に向けたより具体的な検討が進むと考えられます。