放課後ていぼう日誌と芦北町が連携 海の漂流ごみ回収プロジェクト

放課後ていぼう×芦北海ごみ

開催日:9月8日

放課後ていぼう×芦北海ごみ
見学って誰でもできるの?
見学は可能です。ただし漁業関係者の業務の妨げにならないよう配慮が必要で、計石港と田浦港の設置場所で受け入れています。事前確認や現地の指示に従ってください。
シービンって何を集めるの?
シービンは港の表層に漂うごみやマイクロプラスチック、小さな浮遊物や一部の漁具などを集める回収機で、週次で回収物を分類・計量してデータ化します。

漫画『放課後ていぼう日誌』の舞台で始まる地域発の海ごみ対策

一般社団法人くまもと海のミライは、人気漫画『放課後ていぼう日誌』(秋田書店刊)とのコラボレーションを通じて、熊本県葦北郡芦北町(あしきたまち)で海洋ごみ対策プロジェクトを進めています。本プロジェクトは日本財団の「海と日本プロジェクト」内の取り組みであるCHANGE FOR THE BLUEの一環として実施され、期間は2025年9月から12月下旬までを予定しています。

プレスリリースは2025年9月19日11時30分に発表され、芦北町は漫画の舞台となり多くの釣り人に親しまれている地域です。過去には陸上に打ち上げられたごみの回収や釣り人に向けた啓発を行ってきましたが、今年度は活動範囲を陸地から海上に広げ、漂流ごみの回収や発生経路の調査に新たに取り組みます。

人気漫画「放課後ていぼう日誌」とコラボ!ふるさとの海を守ろう!熊本県芦北町の高校生と海の漂流ごみ回収機&オリジナルデザイン拾い箱の設置プロジェクト進行中! 画像 2

地元高校との協働と地域特性

プロジェクトは芦北町の高校生(芦北高校)と連携して実施されます。地域の若者が主体的に参加することで、実地の調査やデータ収集・解析に教育的価値を持たせつつ、地域内外に発信する仕組みを構築します。

芦北町は、有明海・八代海・東シナ海に面する熊本県の沿岸部であり、海域ごとの流れや河川の存在が海洋ごみの分布に影響します。こうした地理的背景を踏まえ、今回の調査では河川由来の漂流ごみの動きを追跡する取り組みも進められます。

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海の漂流ごみ回収機「シービン」と経路調査の方法

浮遊する漂流ごみの回収にはオーストラリア発の回収機「シービン(Seabin)」を導入しました。シービンは港湾などに設置して表層に漂うごみやマイクロプラスチックを集める機器で、今回芦北町内の漁港に設置して稼働させます。

シービンは2025年9月12日(金)から12月下旬まで稼働予定で、稼働中は1週間ごとに回収されたごみの種類と量を調査します。これにより季節や気象条件、潮流の影響を受けた漂流ごみの傾向を把握し、地域のごみ対策に活用します。

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回収機設置場所と見学について

シービンの設置場所は下記の2か所です。見学は可能ですが、漁業関係者の業務の妨げにならないよう配慮が必要です。

  • 計石港(佐敷港)〒869-5458 熊本県葦北郡芦北町芦北2015
  • 田浦港 〒869-5305 熊本県葦北郡芦北町田浦426

回収機の周辺には、本コラボのために漫画『放課後ていぼう日誌』の作者である小坂泰之(こさか やすゆき)氏が書き下ろした2025年度版の特別イラストを用いた看板が設置されます。看板はプロジェクトの認知を高める目的で設置され、漫画ファンなど幅広い層へ活動を伝える役割を担います。

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漂流経路調査とデータ収集の設計

漂流ごみの発生源と到達先を明らかにするため、芦北町周辺から八代海へ注ぐ7河川にGPS機能の付いたボトルを放流し、最大1か月にわたる経路を追跡します。これにより、川を起点として海に流出したごみがどのように移動するかを定量的に把握します。

調査データは、シービンでの回収データと併せて解析され、どの河川がごみ流出に寄与しているか、あるいは外洋から逆流している可能性があるかなどを検証します。最終的には芦北町沿岸の海洋ごみマップ作成につなげることを目指します。

調査の頻度と解析の流れ

シービンの集計は週次で行い、回収物の種類(プラスチック、漁具、繊維、その他)と重量を記録します。GPSボトルのデータは1か月の追跡期間を基に経路図を作成し、複数回の放流結果を比較して傾向を明らかにします。

収集されたデータは、地域の環境管理に活かされるとともに、学術的な解析や啓発資料としても活用される予定です。これにより地域と連携した実効性の高いごみ削減モデルの構築を図ります。

オリジナルデザイン拾い箱の設置と地域参加の仕組み

海洋ごみ削減の継続的な取り組みとして、芦北町内の4か所にオリジナルデザインの拾い箱を設置します。拾い箱には『放課後ていぼう日誌』の新イラストを使用し、ビジュアルで参加を促す工夫をしています。

拾い箱は、日常的なごみ拾い活動の際に出るごみ処理の問題を緩和することを目的としています。拾い箱に集められたごみも調査対象とし、シービンの回収データと合わせて、より精度の高い海洋ごみマップ作成に活用されます。

設置場所と期間

オリジナル拾い箱の設置場所は次の4か所で、設置期間は2025年9月8日(月)から12月下旬までの予定です。

  1. 御立岬海水浴場 〒869-5305 熊本県葦北郡芦北町大字田浦町145
  2. 鶴ケ浜海水浴場 〒869-5454 熊本県葦北郡芦北町鶴木山
  3. 女島埋立地 〒869-5564 熊本県葦北郡芦北町女島
  4. フィッシングショップてんぐや 〒869-5461 熊本県葦北郡芦北町芦北2720

これらの設置箇所は海岸利用者や釣り人が利用しやすい場所に配置されており、日常の活動と連動してごみを持ち帰る仕組みを補助します。

活動の全体像と団体情報の整理

本プロジェクトは、漁港でのシービン稼働による海上漂流ごみ回収、河川からの経路調査、芦北高校との連携、そして町内4か所の拾い箱設置という4つの要素を組み合わせて実施されます。データ収集と可視化を通じて、地域に根ざした海洋ごみ削減モデルを構築することが目標です。

主催団体は一般社団法人くまもと海のミライで、熊本県の海の魅力を伝え、海と共生するムーブメントを起こすことを目的に活動しています。関連するプロジェクトとして日本財団が推進する「海と日本プロジェクト」と、そこから派生した「CHANGE FOR THE BLUE」があります。

団体概要と関連リンク

団体名称
一般社団法人くまもと海のミライ
活動内容(要旨)
熊本県の海の魅力を伝え、海洋ごみ対策や環境保全の啓発活動を行う。ダイビングや海水浴場、干潟などの地域資源を活かした地域連携型の活動を推進。
関連プロジェクト
日本財団「海と日本プロジェクト」及びその一環である「CHANGE FOR THE BLUE」
URL
https://kumamoto.uminohi.jp/

「CHANGE FOR THE BLUE」は2018年11月から推進され、国民一人ひとりが海洋ごみ問題を自分ごと化することを目的としています。産官学民が連携して削減モデルを作り国内外に発信します。

本取り組みのデータ活用と目標

本活動で収集されるデータは、回収量やごみの分類、漂流経路など多面的な情報となり、町域のごみマップ作成に用いられます。マップは地域のごみ発生源の特定や対策立案、啓発活動の根拠資料として利用されます。

また、漫画コラボという親しみやすい手法を用いることで、地域外への情報発信や、釣り人をはじめとする利用者の意識変容につなげることが期待されます。

要点の整理(概要表)

以下の表に、本プレスリリースで示された実施内容、期間、設置場所、関係団体などを整理しました。

項目 内容
発表日時 2025年9月19日 11時30分
実施期間(総括) 2025年9月~12月(各種設置は9月上旬~12月下旬予定)
主催 一般社団法人くまもと海のミライ
連携・支援 日本財団「海と日本プロジェクト」/CHANGE FOR THE BLUE
漂流ごみ回収機 オーストラリア製「シービン(Seabin)」を導入。設置期間:2025年9月12日~12月下旬予定。週次でごみの種類・量を調査。
シービン設置箇所 計石港(佐敷港)〒869-5458 芦北町芦北2015/田浦港 〒869-5305 芦北町田浦426
漂流経路調査 芦北町周辺から八代海に注ぐ7河川にGPS付ボトルを放流し、最大1か月の経路を追跡。
漫画コラボ拾い箱 『放課後ていぼう日誌』新イラストを使用したオリジナル拾い箱を町内4か所に設置。設置期間:2025年9月8日~12月下旬予定。
拾い箱設置箇所 御立岬海水浴場(芦北町大字田浦町145)/鶴ケ浜海水浴場(鶴木山)/女島埋立地(女島)/フィッシングショップてんぐや(芦北2720)
目的 漂流ごみの回収と発生経路の把握、地域のごみ処理課題の解決、海洋ごみマップ作成、啓発と意識変容の促進
関連URL https://kumamoto.uminohi.jp/(一般社団法人くまもと海のミライ)

上表は本プロジェクトの主要情報を整理したものである。設置期間や場所、調査の方法、連携体制といった具体的な要素が明記されているため、活動の実態と目的を把握しやすくなっている。今後は収集データに基づく海洋ごみマップの作成や、地域に根ざしたごみ削減モデルの構築が期待される。

参考リンク: