感情表現だけで魅せる舞台『THE MOUSETRAP』博品館で上演
ベストカレンダー編集部
2025年9月20日 06:18
THE MOUSETRAP上演
開催期間:9月19日〜9月28日

吹雪に閉ざされた邸宅で繰り広げられる、感情表現を軸にした新たな『THE MOUSETRAP』
株式会社キョードーメディアスが2025年9月19日22時13分に発表したプレスリリースによれば、野坂実が演出を務めるノサカラボ×アガサ・クリスティ 3rd Play『THE MOUSETRAP』が同日より東京・博品館劇場で上演される。
原作はアガサ・クリスティの戯曲で、1952年の初演以来70年以上にわたり上演が続くロングラン作品である。通算上演回数3000回超えとしてギネス記録にも登録された作品を、ノサカラボが野坂実の演出で舞台化するという取り組みだ。

あらすじと舞台設定
物語は吹雪で外界と隔絶された邸宅を舞台に進行する。モリーとジャイルズが開業したゲストハウスに、開業初日から続々と個性的な宿泊客が集まる。ラジオは大雪の予報を伝え、ロンドンでは殺人事件が発生し犯人が逃走中であることも報じられている。
そこへ車がスリップしたという謎の男性が急遽宿泊することになり、邸宅は一気に賑やかになる。翌日、警察の捜査のためトロッター刑事が邸宅を訪れ、殺人が起きると予告する。予告通り宿泊客の一人が殺害され、登場人物全員が容疑者となる。
- 舞台: 吹雪で閉ざされた邸宅(ゲストハウス)
- 主要地点: フロントや客室を中心としたワンシチュエーション
- 物語の構図: 密室的状況で人間の本性や秘密が次第に露わになる構造

演出の方針と舞台上の表現
野坂実は本作について、クリスティの脚本がト書きやキャラクター設定に細かな指定がある点を重視し、脚本に忠実に舞台を構築したと語っている。舞台上の道具類も脚本指定に従い配置されている。
演出の一つの特徴は余計な装飾を排した構成である。過剰なBGMを使わず、ワンシチュエーションのシンプルなセットにより、俳優の感情表現のみで物語を紡ぐことを意図している。

音楽を抑えた演出意図
野坂は「曲(BGM)をかけずに、感情表現だけで見せる芝居」を掲げ、俳優の演技によって空気や緊張感を生み出すことを目指している。稽古場では出演者と議論を重ね、演技の精度を高めるプロセスを踏んできた。
この手法により、観客は照明や音響による印象に頼ることなく、俳優たちの表情、呼吸、間のとり方といった細部を通じて物語に没入することが求められる。

セットと脚本の忠実な再現
舞台上の小道具や家具の配置は脚本に沿って固定され、俳優の動線や立ち位置が厳密に組まれている。こうした「決めごと」があるからこそ、俳優たちは細部の感情表現に集中できる構成となっている。
結果として過剰な演出効果に頼らず、俳優自身の技量で観客に緊迫感を伝える舞台を目指している点が、本公演の大きな見どころになっている。

出演者の表現とゲネプロでの言葉
本作はキャストの個性が役ごとに前面に出ることで登場人物の差別化がはかられている。登場人物全員が何かを隠しているという設定により、各俳優は「表面の振る舞い」と「内面の暗さ」をバランスよく演じ分ける必要がある。
金子隼也がトロッター刑事を演じ、紅ゆずるや古山憲太郎らベテラン陣が刑事の追求を受け流しつつ物語の核心へと導いていく構図が作られている。過剰な音楽や装置がない分、俳優同士の呼吸や間合いがドラマの中心となる。
ゲネプロと囲み取材の模様
公演初日前に行われたゲネプロ取材会には金子隼也、天華えま、富永勇也、石垣佑磨、古山憲太郎、旺なつき、中尾隆聖、紅ゆずるおよび演出の野坂実が登壇した。金子はトロッター刑事の役どころを「個性あふれるキャラクターの中に入ってくる存在」と説明し、物語が進むにつれて明らかになる真実に注目を促した。
紅は野坂演出によるクリスティ作品が3作目であることを踏まえ、「ミステリーの謎解きよりも人間ドラマを重視する演出」と述べた。会話のひとつひとつを深掘りして演じているため、舞台上の対話の細部に注目してほしいと語った。
登壇者の主なコメント
以下は囲み取材およびゲネプロでの主な発言の要約である。発言は出演者個々の稽古や作品に対する率直な思いを伝えている。
- 金子隼也
- ベテラン陣と共演できることを光栄に思い、緊迫した空気を伝えられるよう学びながら演じていると述べた。
- 紅ゆずる
- 男装の表現は宝塚時代の経験と異なる点を説明し、閉ざされた空間で観客も同様に恐怖を感じられる作品だと語った。
- 天華えま
- 稽古場での学びを千穐楽まで生かして全力を尽くす意向を示した。
- 中尾隆聖
- 世界的ロングラン作品に参加できる幸せを述べ、楽日まで努力する意向を表明した。
- 富永勇也
- クリストファー・レンという初挑戦の役柄に緊張しつつも伸び伸び演じたいと語った。
- 旺なつき
- 稽古を進めるほど作品にのめり込む感覚があり、スタッフ・キャストと共に全力で取り組むと述べた。
- 石垣佑磨
- 個性と知性の高い共演者に囲まれ緊張していると語りつつ、足を引っ張らないよう努力する意志を示した。
- 古山憲太郎
- 稽古後にネズミを見る機会が増えたと冗談交じりに話しつつ、深堀りして役作りを継続する意欲を示した。
- 野坂実(演出)
- 音楽を用いず俳優の演技のみで2時間半を紡ぐこと、そして今回のメンバーでなければ成し得ないと考えキャスティングした点を強調した。
公演情報とチケット・問い合わせ先
公演は2025年9月19日(金)から同年9月28日(日)まで、博品館劇場で実施される。会場の所在地は東京都中央区銀座8-8-11である。未就学児は観劇不可としている。
チケット料金はS席12,000円、A席9,000円(いずれも税込・全席指定)。当日券はS席12,500円、A席9,500円。問い合わせはキョードー東京の電話番号0570-550-799で、オペレータ受付時間は平日11:00〜18:00、土日祝10:00〜18:00となっている。
- 公演タイトル: 舞台『THE MOUSETRAP』
- 演出: 野坂実
- 作: アガサ・クリスティ
- 翻訳: 小田島恒志・小田島則子訳
- 日程: 2025年9月19日(金)〜9月28日(日)
- 会場: 博品館劇場(東京都中央区銀座8-8-11)
- 公式サイト: https://nosakalabo.jp/the_mousetrap/
- 問合せ: キョードー東京 0570-550-799(平日11:00〜18:00 / 土日祝10:00〜18:00)
キャスト一覧
本作に出演するキャストは下記の通りである。劇中での主要な役名は一部発表されているが、トロッター刑事を金子隼也が演じることが明言されている。
キャスト全員が個性豊かな役どころを担い、互いの微妙な関係性が物語の緊迫感を高める配役となっている。
- 金子隼也
- 天華えま
- 富永勇也
- 石垣佑磨
- 古山憲太郎
- 旺なつき
- 中尾隆聖
- 紅ゆずる
本記事内容の要点整理
ここまでに紹介した公演の主要事項を表で整理する。記事本文で触れた上演の特徴、出演者、日程や会場、チケット情報、問い合わせ先などを網羅している。
項目 | 内容 |
---|---|
公演タイトル | 舞台『THE MOUSETRAP』 |
演出 | 野坂実 |
原作・作 | アガサ・クリスティ |
翻訳 | 小田島恒志・小田島則子訳 |
上演期間 | 2025年9月19日(金)〜9月28日(日) |
会場 | 博品館劇場(東京都中央区銀座8-8-11) |
キャスト | 金子隼也、天華えま、富永勇也、石垣佑磨、古山憲太郎、旺なつき、中尾隆聖、紅ゆずる |
料金 | S席 12,000円、A席 9,000円(当日券 S席 12,500円、A席 9,500円、いずれも税込・全席指定) |
未就学児 | 観劇不可 |
公式サイト | https://nosakalabo.jp/the_mousetrap/ |
問合せ | キョードー東京 0570-550-799(平日11:00〜18:00 / 土日祝10:00〜18:00) |
企画・製作 | 舞台『THE MOUSETRAP』製作委員会(ノサカラボ、講談社) |
宣伝 | キョードーメディアス |
本稿は発表されたプレスリリースの内容を基に、上演作品のあらすじ、演出方針、主要な出演者のコメント、上演スケジュールと実務的な案内を整理してまとめた。舞台の構成や演出の狙い、ゲネプロでの発言などを踏まえ、観劇前の情報として参照いただけるよう配慮している。
参考リンク: