マイナビ調査:56.9%が「いい会社があれば転職」
ベストカレンダー編集部
2025年9月24日 13:31
マイナビ転職調査2025
開催日:9月24日

転職活動に臨む姿勢は多様化 ― 「いい会社があれば」が過半数に
株式会社マイナビは2025年9月24日付で「マイナビ 転職活動実態調査(2025年)」を発表しました。本調査は、直近1年間(2024年7月~2025年6月)に転職活動を行った20代~50代の正社員を対象に実施されたインターネット調査で、調査対象は1,500名(うち転職者500名、転職活動者1,000名)です。調査の実施期間はスクリーニング調査が2025年7月2日~7月15日、本調査が2025年7月10日~7月15日となっています。
調査結果の最上位に位置づけられたトピックの一つは、転職活動時のスタンスです。回答では「いい会社が見つかれば転職したい」が56.9%と過半数を占め、一方で「必ず転職したい」は28.5%にとどまりました。この結果から、転職に対する緊急度や決意の度合いが人により大きく異なることが示唆されます。

「いい会社が見つかれば」層の特徴と転職者との比較
「いい会社が見つかれば転職したい」と答えた人は、現状に決定的な不満を抱えているわけではなく、より良い条件が出れば移ることを検討するスタンスの人が多い点が特徴です。金銭面や労働条件が上回ることを重視し、転職候補先を慎重に見極める傾向が表れています。
一方、実際に転職した人と転職に至らなかった人を比較すると、「いい会社が見つかれば転職したい」スタンスの割合は、転職者が42.2%であるのに対し転職していない人は64.3%と高く、スタンス別に転職の実行度合いに差があることがわかります。
- 必ず転職したい:28.5%
- いい会社が見つかれば転職したい:56.9%
- いざとなった時の転職先が見つかればいい:9.4%
- 無理に転職しなくてもいい:5.2%

転職活動の期間感と“ゆる転職”の存在
転職活動にかける想定期間はばらつきが見られました。回答の最多は「3カ月以上半年未満」で28.1%、次いで「3カ月未満」が26.4%でした。これらは比較的短期での転職を想定した層です。
一方で「1年以上(1年以上3年未満+3年以上)」を想定していた人が22.7%を占め、時間をかけてじっくりと機会を探す、いわゆる「ゆる転職活動」を行う人が一定数いることも明らかになりました。早期に転職することをゴールにせず、長期視点で活動する人が存在する点は注目に値します。

想定期間の内訳
転職活動の想定期間は選択肢ごとに分散しており、短期で集中的に動く人と、長期で機会を待つ人の二極化だけでなく多様な選択が確認されます。
具体的な割合は以下のとおりです(抜粋)。
- 3カ月未満:26.4%
- 3カ月以上半年未満:28.1%
- 1年以上(合計):22.7%

転職の動機と重視点 ― 給与・労働条件が上位
転職活動を始めた理由の一位は「給与が低かった」で29.2%でした。次いで「仕事内容に不満があった」が25.1%、「会社の将来に不安があった」が23.5%と続き、収入面や職務内容、企業の将来性が主な動機となっています。
転職活動においてこだわった点(重視したポイント)を見ると、上位3項目は「納得のいく収入が得られること」76.8%、「希望のエリアで働けること」76.3%、「休日・残業時間が適正であること」76.1%であり、給与や勤務地、労働時間など待遇面の優先度が高いことが確認されました。

動機と重視点の一覧
転職を開始した主な理由と、転職時にこだわった項目を列挙します。これらのデータは、転職意向と企業選定基準の実際を示しています。
- 転職を始めた理由:給与が低かった(29.2%)、仕事内容に不満があった(25.1%)、会社の将来に不安があった(23.5%)
- 転職でこだわったこと:納得のいく収入(76.8%)、希望エリアで働けること(76.3%)、休日・残業時間が適正(76.1%)

転職に対する心理的側面と調査担当者の見解
転職活動時の心境に関する5項目のうち、以下の3つの項目で特徴的な傾向が見られました。まず、転職活動に対するためらいについては「そう思わない(あまりそう思わない+そう思わない)」が合計で62.8%と多数派で、活動そのものへの抵抗感は比較的低いことが示されました。
一方で、転職して所属組織が変わることへの不安は「そう思う(ややそう思うを含む)」が合計で63.8%と高く、環境変化に対する不安を抱えつつも活動を進める人が多い点が浮かび上がります。さらに「転職することでキャリアは前進すると思う」人は合計で74.4%に達し、転職に対する期待感が強い一方で不安も共存している状況が見て取れます。

心境に関する主要数値
該当5項目の内、特に示された3項目の内訳(合計値)は以下の通りです。
- 転職活動をすることにためらいがあるか
- 「そう思わない(あまりそう思わない+そう思わない)」合計:62.8%(あまりそう思わない:33.6%、そう思わない:29.2%)
- 転職して所属組織が変わることに不安があるか
- 「そう思う(ややそう思う+そう思う)」合計:63.8%(ややそう思う:43.2%、そう思う:20.6%)
- 転職することでキャリアは前進するか
- 「そう思う(ややそう思う+そう思う)」合計:74.4%(ややそう思う:50.5%、そう思う:23.9%)
調査担当者のコメントと関連データの位置付け
マイナビキャリアリサーチラボ 研究員の宮本祥太氏は、本調査結果について、総務省の「労働力調査(詳細集計)2024年平均結果」を参照しつつ、正規雇用の転職希望者が増加している点に触れました。宮本氏は、転職希望者が増えている一方で転職に至らない人も多いこと、さらに転職活動を行う人の姿勢や意欲に温度差があることを指摘しています。
宮本氏はまた、決定的な不満が無くとも転職活動が行われている点を挙げ、転職が働く人にとって身近な選択肢になりつつあると説明しました。社会や仕事の環境が変化する中で、長期視点でキャリアを捉え、組織の外を含めた備えの意識が広がっているとの見解を示しています。
調査概要と重要データの整理
調査の方法、対象、期間といった基本的な調査概要は報告書に明記されています。本調査はインターネット調査(外部パネル)で実施され、対象は直近1年間に転職活動をした正社員の20代~50代の男女で合計1,500サンプルです。内訳は転職者500サンプル、転職活動者1,000サンプルです。スクリーニング調査は2025年7月2日~7月15日、本調査は2025年7月10日~7月15日に実施されています。
調査結果の公開元や関連資料はマイナビのサイトに掲載されており、詳細は調査報告ページで確認できます。公開ページのURLは以下のとおりです:
https://career-research.mynavi.jp/reserch/20250924_102151/
以下の表は、本記事で取り上げた主要な数値と要点を整理したものです。調査の図表は本文中で参照されている「図1~図6」に対応していますが、ここでは主要数値をまとめています。
項目 | 結果(割合・数値) | 備考 |
---|---|---|
調査対象(合計) | 1,500サンプル | 転職者500、転職活動者1,000 |
調査期間 | スクリーニング:2025/7/2~7/15、本調査:2025/7/10~7/15 | 直近1年間の転職活動対象(2024/7~2025/6) |
転職活動スタンス(主な選択肢) | 必ず転職したい:28.5%、いい会社が見つかれば:56.9%、いざとなった時の転職先:9.4%、無理に転職しなくても:5.2% | 「いい会社が見つかれば」は過半数 |
想定期間(上位) | 3カ月以上半年未満:28.1%、3カ月未満:26.4%、1年以上:22.7% | 長期的に活動する「ゆる転職」も存在 |
転職開始の理由(上位) | 給与が低かった:29.2%、仕事内容不満:25.1%、会社将来不安:23.5% | 収入・仕事内容・将来性が主因 |
転職でこだわった点(上位) | 納得の収入:76.8%、希望エリア:76.3%、休日・残業:76.1% | 待遇面の優先度が高い |
心境(抜粋) | 転職にためらいがない(合計):62.8%、所属変更への不安(合計):63.8%、キャリア前進期待(合計):74.4% | 期待感と不安が併存 |
発表日/発表元 | 2025年9月24日 11時00分/株式会社マイナビ | 代表取締役 社長執行役員:土屋芳明 |
本記事はマイナビが公表したプレスリリース「マイナビ 転職活動実態調査(2025年)」の内容を基に、調査結果と調査概要、担当者コメントを整理して報じたものです。調査の図表(図1~図6)等は同リリースに掲載されていますので、より詳細な数表やクロス集計を確認したい場合は公開ページを参照してください。