9/25に初公開 大容量対応NFT API「OrdinalX」登場
ベストカレンダー編集部
2025年9月24日 17:39
OrdinalX TGS出展
開催期間:9月25日〜9月26日

ゲームやアプリにNFTを手軽に組み込むための新たな選択肢:OrdinalXの登場
円ポイント株式会社は2025年9月24日15時に、新たなAPIサービス「OrdinalX(オーディナルエックス)」の開発を発表しました。同サービスは、ゲームやアプリにNFT(非代替性トークン)機能を容易に導入できる仕組みとして設計されており、従来の導入に伴う複雑さや高額な運用コストといった課題を軽減することを目指しています。
発表にあわせて、OrdinalXは2025年9月25日(木)・26日(金)に幕張メッセで開催される「東京ゲームショウ2025(TGS2025)」に出展し、一般向けにサービスの詳細を初公開します。円ポイント株式会社の本社は宮城県仙台市、CEOは佐藤研一朗です。

発表の背景と位置づけ
NFTが注目を集めた2020年ごろ以降、デジタル資産の所有や流通に関する新たな価値創出が期待されてきましたが、技術的制約やコスト面が足かせとなり、幅広い産業領域での普及は進んでいませんでした。OrdinalXはこうした現状を踏まえ、実運用で障壁になっているポイントを重点的に解消することを狙いに開発されました。
同サービスは特にゲーム、アート、音楽、イベントといったコンテンツ産業におけるNFTの利活用を想定しており、開発者や運用事業者が短期間かつ低コストでNFT機能を組み込めることを重視しています。

OrdinalXが解決する主要な技術課題
OrdinalXが打ち出す主要な特徴は大容量データの直接ブロックチェーン保存、低廉な手数料、ユーザー側でのガス代不要化、そしてメールアドレス形式による送付(ペイメール)という4点に集約されます。以下で各項目を具体的に解説します。
これらの機能は、従来のブロックチェーン運用で発生していた「データは外部ストレージへ、メタ情報のみをチェーンに記録する」設計からの脱却を目指すものであり、データの真正性・保全性を高める効果が期待されます。

大容量データ対応:25MBまでをチェーンに直接書き込み
従来の一般的なブロックチェーンは数KB規模の格納しか想定しておらず、画像や音声、動画、電子書籍といった大容量コンテンツをそのままチェーン上に保管することができませんでした。OrdinalXは最大で25MB規模のデータを直接ブロックチェーン上に書き込むことを可能にしています。
この方式により画像・音楽・動画・電子書籍などがオンチェーンでNFT化でき、改ざん防止や半永久的な保管性というブロックチェーン本来の利点を活かした運用が可能になります。

手数料の低減:大容量でも低コストを実現
OrdinalXは1MBの大容量データでも手数料が1円以下となるように設計されており、運用コストの大幅な削減を図ります。高額な手数料がネックとなってNFT事業が継続できないケースを減らすことが目的です。
なお、手数料の負担主体はご契約内容に応じて変わります。サービス運用事業者が負担する場合と、OrdinalX(円ポイント株式会社)が負担する場合の両パターンが設定される旨が明記されています。
ガス代の不要化:APIが自動付与
従来のNFT送信や取引では、ユーザーが暗号通貨を用意してガス代(送信手数料)を支払う必要があり、ユーザー体験や導入のハードルになっていました。OrdinalXではAPI側が自動で必要なガス代を付与する仕組みを提供し、ユーザーが自らガス代を準備する必要がないようにしています。
この機能により、開発者はガス代の計算やユーザー向けの支払フローを意識せずにNFT機能を提供可能になります。実装面の工数とユーザー側の心理的ハードルの双方を低く抑える効果を期待できます。
ペイメール方式:メールアドレス形式でのNFT送付(国際特許出願中)
OrdinalXは「ペイメール方式」と呼ばれる、メールアドレス形式(例:alice@yenpoint.jp)で暗号通貨やNFTを送付できる技術を採用しています。従来の複雑で長大なブロックチェーンアドレス(例:1MkzNFcApxUAvJq6L4WRN1fnFkJvCCQVJs)に替わる、より直感的で運用しやすいアドレッシング手法です。
このペイメール技術は円ポイント株式会社によって2023年8月にPCT国際特許出願が行われており、国際的な知的財産として保護する手続きを進めています。
- APIとは
- APIは「Application Programming Interface」の略で、異なるソフトウェア間をつなぐ“橋渡し”の役割を果たします。OrdinalXのAPIを利用することで、ゲームやアプリ、外部サービスがNFT機能を容易に呼び出し、機能連携やデータの送受信を行えます。
具体的な利用シーンと導入事例
OrdinalXは複数の業界での利用を想定した設計がなされており、特にゲーム、アート・音楽、イベントチケットやスタンプラリーなどでの活用が示されています。ここでは各領域ごとの想定ユースケースと、既存の導入例を紹介します。
実際の導入例や運用方法はそれぞれの事業者のニーズに合わせてカスタマイズが可能であり、API経由でNFTの発行・送付・保管といった一連の機能を組み込めます。
ゲーム分野:所有権の明確化と二次流通の可能性
ゲームでは限定アイテムやキャラクターをNFTとして発行し、ユーザー間での売買や移転を可能にします。従来は運営側の事情でアカウント凍結やアイテム消失のリスクがありましたが、ブロックチェーンに所有権を記録することでユーザー自身に帰属させる運用ができます。
また、ゲーム終了後に資産として半永久的に保有できる点や、特典NFTを通じたファンとの関係性強化など、新しい収益モデルやコミュニティ形成も期待されます。導入例としては『Crafters Wild』が挙げられます(https://x.com/CraftersWildHQ)。同作は無料プレイのサバイバルクラフティングゲームで、装備をブロックチェーンに保存し、集めたアイテムを外部マーケットで売買できる仕組みを実装しています。
アート・音楽分野:作品の履歴と希少性の担保
クリエイターは作品をオンチェーンに記録することで「誰がいつ作ったか」「誰が購入したか」といった履歴情報を明確に残せます。これによりデジタル作品にも限定性や希少性を付与でき、限定アートや記念音源など、コレクタブルな価値を創出できます。
オンチェーン保存により作品の真正性が担保されるため、二次流通市場での信頼性向上や、クリエイターの収益取り分の維持といったメリットが期待されます。
イベントチケット・スタンプラリー:デジタル参加体験と記録の保存
来場者にデジタルスタンプや記念NFTを配布することで、紙や物理的な配布物を削減し、スマートフォンで参加・収集が完結する体験を提供できます。スタンプや限定NFTはブロックチェーン上に記録されるため、来場の証明やコレクションとしての価値を高めることができます。
この方式は、イベント運営側にとっても再発行や不正利用防止の観点で管理負担を軽減する効果が見込まれます。
ステーブルコイン対応と円ポイント株式会社の技術基盤
円ポイント株式会社はUTXO系ブロックチェーン技術において深い専門知識と実績を持ち、研究・開発、教育、ゲーム分野での応用を推進しています。OrdinalXは同社の技術基盤を活かしたサービスであり、トークン検証に関する独自技術や特許出願、大学との共同研究などを通じて信頼性の高いソリューションを構築しています。
また、会社概要として以下の情報が公開されています:会社名は円ポイント株式会社、CEOは佐藤研一朗、本社所在地は宮城県仙台市、公式サイトはhttps://yenpoint.jp/です。
対応予定の通貨とフィンテック領域への展開
OrdinalXは将来的な対応として、円・ドル・ユーロなどの法定通貨に連動した暗号通貨であるステーブルコインへの対応を予定しています。ステーブルコイン対応により、NFTの発行・取引に安定的なデジタル通貨を組み合わせることが可能になり、決済や金融、フィンテック分野での応用が視野に入ります。
この取り組みは、NFTを単なるコレクタブルやゲーム内アイテムの枠に留めず、より幅広い経済圏で活用するための重要な技術的発展と位置づけられます。
研究・教育・特許などの取り組み
円ポイント株式会社はUTXO系ブロックチェーンの専門的知見を基に、講習やセミナーの開催、受託開発、基盤技術の研究を積極的に行っています。これらの活動は技術の普及と産業応用を促進するための基盤を形成します。
また、ペイメール方式に関するPCT国際特許出願(2023年8月出願)をはじめ、トークン検証技術に関する独自研究や大学との共同研究を通じて、知的財産と学術的裏付けを両立させています。
まとめ:OrdinalXの要点整理
以下の表は、本記事で触れたOrdinalXの主要ポイントや関連情報を整理したものです。数値や日付、契約に関する注意点なども含めてまとめています。
項目 | 内容 |
---|---|
サービス名 | OrdinalX(オーディナルエックス) |
発表日時 | 2025年9月24日 15:00(円ポイント株式会社による発表) |
一般公開(展示) | 東京ゲームショウ2025(幕張メッセ) 2025年9月25日(木)・26日(金) |
開発・提供元 | 円ポイント株式会社(本社:宮城県仙台市、CEO:佐藤研一朗) |
主な特徴 |
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手数料負担 | ご契約内容に応じてサービス運用事業者もしくはOrdinalX(円ポイント株式会社)が負担 |
想定利用分野 | ゲーム、アート、音楽、イベントチケット、スタンプラリーなど |
導入事例(言及あり) | 『Crafters Wild』:装備をブロックチェーン上に保存し外部マーケットで取引 |
将来対応予定 | 円・ドル・ユーロ等のステーブルコイン対応(決済・フィンテック領域への展開を視野) |
公式サイト | https://yenpoint.jp/ |
本稿では円ポイント株式会社が発表したOrdinalXの技術的特徴、想定ユースケース、手数料設計、特許出願状況、会社情報および今後の通貨対応予定について整理しました。意図された用途や契約形態に応じて、導入や運用の詳細は個別に確認する必要がありますが、提示された仕様は従来のNFT運用で課題となっていた多数のポイントに対する解決策を示しています。
参考リンク: