採用を全社戦略に変える「あるべき姿」の実践法

採用ブランディングセミナー

開催日:9月24日

採用ブランディングセミナー
このセミナーで何が学べるの?
採用を単なる人数確保で終わらせず、インナーブランディングとアウターブランディングを両輪で回し人を集め育て定着させる具体策と、SHRM引用の離職コストなど根拠データ、管理職育成や評価制度への落とし込み手法、関野氏の実践的な5つのポイントが学べます。
中小企業でもすぐ実行できることは何?
まず経営層と管理職で『あるべき姿』を定め、日々の評価や研修に結びつけること。小規模なパイロット部署で評価基準とフィードバックを試し、管理職の育成と明確な役割設計を順次広げる手順なら実行性が高いです。

中小企業が直面する採用の危機と、セミナー開催の背景

2025年9月24日、東京中小企業投資育成株式会社主催の「採用ブランディング導入セミナー」において、株式会社イマジナ代表取締役社長の関野吉記氏が講師を務め、採用と定着に関する根本的な解決策を提示しました。本セミナーは、人口減少や賃金上昇の停滞といったマクロ要因が複雑に絡む日本の雇用市場を背景に、特に中小企業が直面する採用・定着の課題に焦点を当てた内容となりました。

セミナー当日は、採用を単なる人事の課題ではなく全社戦略として扱う重要性が強調され、参加者からは実務に活かせる具体的手法に関心が集まりました。ここではセミナーの主な論点と、株式会社イマジナの提案するブランディング手法、その根拠となるデータや実践ポイントを整理して紹介します。

開催概要と登壇者

本セミナーは2025年9月24日(水)に開催され、講師は株式会社イマジナ代表取締役社長の関野吉記氏が務めました。関野氏は海外での経験を背景に、組織心理学や行動経済学を組み合わせた独自のブランディング手法を提唱しています。

登壇者の紹介を簡潔にまとめると、関野氏は15歳で米国留学、21歳でイタリア就職、26歳でニューヨークで起業という経歴を持ち、2006年に日本で株式会社イマジナを設立し、これまでに3,000社以上の支援実績があります。

開催日
2025年9月24日(水)
主催
東京中小企業投資育成株式会社
講師
株式会社イマジナ 代表取締役社長 関野吉記

離職コストと人材育成の停滞がもたらす影響

セミナーでは、国内の多くの中小企業が抱える深刻な人材課題として、まず「離職コスト」と「人材育成の停滞」が指摘されました。従来の日本的な人件費の捉え方、すなわち人件費を単なるコストと見なして削減対象とする企業風土が、結果として長期的な損失を生んでいるという指摘です。

具体的には、SHRM(米国人材マネジメント協会)の調査を引用し、社員の離職が生む損失がその年収の10倍以上に達するケースがあると紹介されました。採用時のコストだけでなく、育成や引継ぎ、顧客関係の再構築といった複合的な負担が企業の収益性や成長を阻害します。

なぜ「数を集める」だけでは不十分なのか

関野氏は、真の採用課題は応募者数や採用人数の確保ではなく、「採用した人材を育てて定着させること」にあると述べました。採用後の教育や評価、フィードバックが適切でない組織では、若手社員が成長機会を感じられず早期離職につながります。

特に日本企業では新人教育以降の継続的な教育やフィードバックが不足しがちで、20代後半から30代にかけて社員のエンゲージメントが大きく低下する傾向があると指摘がありました。この点は、社員の「やるべきことが不明確」な状態を放置することに直結します。

  1. 採用コスト(求人、採用業務、採用エージェント費用)
  2. 教育コスト(研修、OJT、メンター時間)
  3. 離職による業務効率低下・ナレッジ喪失
  4. 顧客対応やプロジェクト再構築に伴う機会損失

提示された解決策:インナーブランディングと「あるべき姿」

関野氏は、3,000社以上の支援実績に基づき、採用と定着を両立させるためのブランディング手法を「人」にフォーカスして提示しました。ここで言うブランディングは、単に外部に対するイメージ戦略ではなく、社内に理念や文化を深く浸透させるインナーブランディングと、外部に魅力を伝えるアウターブランディングの両輪を指します。

特にインナーブランディングは、管理職の育成を通じて組織全体の活性化を図ることが重要だとされました。管理職が理念を理解し、日々の評価やフィードバックに落とし込むことで社員の行動変容を促し、定着と生産性向上へと結びつきます。

「あるべき姿」を核に据える理由

提唱された中心概念は「あるべき姿」の追求です。社員一人ひとりがリアルに想像できる具体的なあるべき自分像を持つことで、意思決定が速くなり、行動の一貫性が高まると説明されました。これにより社員は不必要な躊躇や消極性から脱却し、自律的に貢献する姿勢を取り戻せるとされます。

関野氏は理念をつくるだけで終わらせず、評価制度へ落とし込むこと、そして浸透を加速させることが不可欠だと強調しました。評価に反映されることで、行動変容が実際の業務へとつながり、組織全体のパフォーマンスが向上します。

インナーブランディングの目的
理念・文化を組織内部に浸透させ、日常の行動と評価に結びつけること。
アウターブランディングの目的
外部に対して企業の魅力を伝え、適合する人材の応募を促すこと。

実践のための5つのポイントと、イマジナの支援体制

講演では、「あるべき姿」を描き社員の成長を促すための具体的手法として、関野氏が5つのポイントを示しました。これらは社員個人の自己理解を促進し、組織とのシナジーを生み、優先度の高い行動へと導く実務的なフレームワークです。

さらに、株式会社イマジナは2006年の設立以来、企業ブランディング、コンサルティング、企業研修を主な事業として、これらの考え方を実践に移す支援を提供してきました。3,000社以上の伴走実績に基づくノウハウが、今回のセミナーでの提言を裏付けています。

あるべき姿を描くための5つのポイント

  • 自分の強みを知る:自己理解により役割の明確化と適材配置を実現する。
  • シナジーを生み出す:個人の強みをチームや組織の目的に結びつける。
  • ゴールから逆算する:成果を基点に行動計画を設計する。
  • 本当に優先すべきことをやる:時間とリソースを集中させる判断基準を明確にする。
  • 主体性をもつ:自律的な行動を促す評価と支援を組織で整備する。

これらのポイントは単体で完結するものではなく、評価制度や研修、日々のリーダーシップ実践と連動させることで効果を発揮します。管理職育成、評価制度の再設計、理念浸透のための研修設計などが、具体的な施策として挙げられます。

イマジナのプロフィールと支援実績

株式会社イマジナは、代表取締役社長 関野吉記を中心に、企業の理念浸透や人材育成に特化した支援を提供しています。2006年に日本へ拠点を移し設立され、これまでに3,000社の企業支援に携わってきた実績を持ちます。

提供する主要サービスは企業ブランディング事業、コンサルティング事業、企業研修事業であり、組織心理学や行動経済学を活用した手法で、実務に即した変革を伴走して支援する点が特徴です。

セミナー要点の整理と問い合わせ先

ここまでに紹介したセミナーの内容を、重要項目ごとに整理して示します。本文で触れた課題、提案、実践手法、および株式会社イマジナの連絡先情報を明確にまとめることで、関心を持った読者が参照しやすいように構成しています。

以下の表は、今回のセミナーで示された主要な情報と、企業概要・問い合わせ先を整理したものです。必要な情報を一目で確認できます。

項目 内容
セミナー名 採用ブランディング導入セミナー(主催:東京中小企業投資育成株式会社)
開催日 2025年9月24日(水)
講師 関野 吉記(株式会社イマジナ 代表取締役社長)
主要テーマ 採用を全社戦略とする考え方、離職コストの実態、インナーブランディングとアウターブランディングの両輪、管理職育成、あるべき姿の提示
提示した重要データ SHRMの調査を引用:社員の離職が年収の10倍以上の損失を生むケースがある
あるべき姿を描く5つのポイント 自分の強みを知る、シナジーを生み出す、ゴールから逆算する、本当に優先すべきことをやる、主体性をもつ
会社名 株式会社イマジナ
所在地 〒102-0083 東京都千代田区麹町3-5-2
設立 2006年6月
代表者 代表取締役社長 関野 吉記
事業内容 企業ブランディング事業、コンサルティング事業、企業研修事業
URL https://www.imajina.com
問い合わせ先 担当:青江 美波 / TEL:03-3511-5525 / FAX:03-3511-8228 / MAIL:info@imajina.com

この記事では、セミナーで示された課題と解決策、ならびに株式会社イマジナの提供する支援内容を整理しました。採用を単なる人数確保ではなく、育てて定着させる全社的な取り組みとして捉え直す視点と、具体的な実践ポイントが提示された点が本セミナーの要点です。上記の表に示した内容は本セミナーの主要事項を網羅的にまとめたものであり、関係者や実務担当者が現状分析や施策検討を行う際の参照として活用できます。