引箔で織るMANGAタペストリーを10月3日EXPOで公開
ベストカレンダー編集部
2025年9月25日 12:13
ひゅらん。展示
開催期間:10月3日〜10月7日

引箔でマンガを織る――若手と西陣職人が交差して生まれた『ひゅらん。』
岡本織物株式会社(以下、西陣岡本、代表取締役:岡本圭司/所在地:京都市上京区)は、京都・西陣に伝わる希少技術「引箔」を用いて、新作タペストリー『ひゅらん。』を制作したと、2025年9月25日09時30分に発表した。本作は若手マンガクリエイターユニット「ぐらにゅーとー」との協働によるもので、約250cm×140cmの大判タペストリーとして仕上げられている。
作品名は「西陣織金襴絵箔順引き模様引箔 MANGA×西陣織 ひゅらん。」と表記され、マンガの時間経過やコマ割り、余白の扱いを織物で表現することを目指している。絹と箔による多層構造が、静かな物語の断片を伝える仕立てになっている。

制作の背景と共創の意義
今回の共同制作は、伝統技術を次世代の感性と結びつける試みであり、10代の京都出身クリエイターによるユニット「ぐらにゅーとー」と西陣の職人技が協働することで生まれた。ぐらにゅーとーはメンバー「こうのしん」と「めたぼ」による創作ユニットで、詩的な世界観と繊細な構成力を特徴としている。
作品のテーマは「夢の中で光を追うふたりの物語」。マンガ的な時間の流れやコマ割りを織で再現する過程では、素材の特性や織りの限界と向き合いながら、表現の可能性を模索する共同作業が行われた。

素材と技法――「引箔」が可能にする光と奥行き
「引箔」は紙に箔を貼り、それを細く裁断して糸とともに織り込むことで、光の反射や奥行きを生む伝統的な技法である。西陣ではかつて広く用いられたが、現在は技術を習得した職人が限られており、希少な工程とされている。
西陣岡本ではシャットル織機による手織りと、力織機を用いた製織の両方を維持しており、引箔のような手仕事の工程を残し続けている。絹と箔を重ねることで生じる多層構造は、視覚的な深さだけでなく光の変化による時間的な変化ももたらす。

引箔の工程と職人の役割
引箔の工程は細かな分業により進行する。紙に箔を貼る下地作業、箔を細く裁断する作業、それを糸と合わせて織り込む作業など、各工程に専門の技術が求められる。
- 紙への箔貼り
- 箔を紙に均一に貼り付けることで、後の裁断や織り込み時に安定した面を作る工程。
- 箔の裁断
- 箔を細く整えて糸と同じスケールで使える状態にする作業。切断幅や角度によって光の表情が変わる。
- 織り込み(順引き)
- 絹糸と箔を揃えて織機にかけ、設計された模様やコマ割りに応じて織り上げる段階。手作業の調整が必要となる。

展示情報と受注体制:EXPOとTOKYO TEXTILE SCOPEでの公開
『ひゅらん。』は展示を通じて広く公開される。まずは大阪・関西万博のEXPOメッセ「WASSE」において、企画展示「未来航路 – 20XX年を目指す中小企業の挑戦の旅」の一部として展示される予定で、期間は2025年10月3日(金)から10月7日(火)までである。
その後、東京都で開催される「TOKYO TEXTILE SCOPE」にも出展される。会場は東京都立産業貿易センター 浜松町館5F B-118で、開催期間は2025年11月12日(水)から11月14日(金)までである。会場では作品の実物が展示され、織りの質感や引箔の光の変化を直接確認できる。
- EXPO2025:展示名「未来航路 – 20XX年を目指す中小企業の挑戦の旅」、会場:EXPOメッセ「WASSE」、期間:2025年10月3日〜10月7日
- TOKYO TEXTILE SCOPE:会場:東京都立産業貿易センター 浜松町館5F B-118、期間:2025年11月12日〜11月14日
受注制作について
『ひゅらん。』はサンプル作品であり、アーティストやデザイナーの世界観を西陣織で形にする可能性を示すものとして、受注制作の受付も行っている。受注制作ではデザインの意図や使用環境に応じた素材選定、引箔の表現設計、織り上げ工程の調整などが個別に検討される。
受注を希望する場合や詳細を確認したい場合は、岡本織物の公式情報を参照することが案内されている。公式サイトやSNSにおいて、制作事例や職人の作業風景が公開される予定である。
西陣の分業体制と職人たちの声
西陣では分業制が長年の慣行として定着しており、一枚の布が織り上がるまでに多くの職人の手が関わる。岡本織物では神社仏閣向けの金襴織物を中心に、伝統技術を守りつつ現代表現との融合を図っている。
プレスリリースには職人たちへのインタビューや西陣に関連する職人の紹介が含まれており、工程ごとの役割分担や制作の苦労、技術の継承に関する話題が取り上げられている。職人の声を通して技術の奥深さと制作現場の実態が伝えられる構成になっている。
関連情報とクリエイターの紹介
クリエイターユニット「ぐらにゅーとー」は京都出身の若手で、メンバーは「こうのしん」と「めたぼ」。制作中の写真や、裁断したての引箔を手にした二人の姿もリリース内で触れられている。若い世代の視点が西陣織の新たな表現へとつながる過程が可視化されている。
岡本織物の創業は1909年で、西陣における長い歴史を持つ。屋号は〈西陣岡本〉で、現在もシャットル織機による手織りと力織機による製織を続けている点が強調されている。
参考リンク
詳細は岡本織物の公式ニュースページに掲載されている。関連リンクとして以下が案内されている。
- https://okamotoorimono.com/news/manga2025/
- 公式サイト:https://okamotoorimono.com/
- Instagram:@nishijin.okamoto
この記事では、作品の制作背景、技法、展示情報、受注体制、職人の分業体制など、プレスリリースに含まれている全ての情報を網羅的に整理している。以下に、本稿で触れた主要項目を表にまとめる。
項目 | 内容 |
---|---|
発表者 | 岡本織物株式会社(西陣岡本)/代表取締役:岡本圭司/所在地:京都市上京区 |
発表日時 | 2025年9月25日 09:30 |
作品名 | 西陣織金襴絵箔順引き模様引箔 MANGA×西陣織 『ひゅらん。』 |
サイズ | 約250cm×140cm |
共同制作 | マンガクリエイターユニット「ぐらにゅーとー」(こうのしん、めたぼ) |
技法・素材 | 引箔(紙に箔を貼り裁断して絹糸と共に織り込む技法)/絹と箔による多層構造 |
展示予定(1) | EXPO2025:EXPOメッセ「WASSE」、企画「未来航路 – 20XX年を目指す中小企業の挑戦の旅」、2025年10月3日〜10月7日 |
展示予定(2) | TOKYO TEXTILE SCOPE:東京都立産業貿易センター 浜松町館5F B-118、2025年11月12日〜11月14日 |
受注 | 受注制作を受付(アーティストやデザイナーの表現を西陣織で具現化するサンプルとして提示) |
企業概要 | 創業1909年、神社仏閣向け金襴織物を中心に伝統技術と現代表現の融合を目指す |
関連リンク | https://okamotoorimono.com/news/manga2025//Instagram:@nishijin.okamoto |
上表は本記事で取り上げた主要情報を整理したものである。プレスリリースの内容を元に、制作技術の特徴や展示スケジュール、関係者の構成、受注体制といった点を網羅的にまとめた。展示会場では実物と職人の仕事ぶりを確認できるため、技術的な側面や作品の表情を直接観察することが可能である。
参考リンク: