新幹線再生アルミ製ギター「Re:A-700 Talbo」を万博で披露

新幹線アルミギター展示

開催期間:8月29日〜8月31日

新幹線アルミギター展示
このギターってほんとに新幹線のアルミ使ってるの?どこに使われてるの?
はい。東海道新幹線で使われていたアルミを再生してギターのボディ材に転用したモデルです。JR東海と東海楽器が共同開発し、素材加工や音響設計を行って実用性を確保しています。
これって一般販売されてるの?どこで見られたの?
2025年8月29〜31日に大阪・関西万博のTEAM EXPOパビリオンで展示されました。記事時点での一般販売情報は未発表のため、購入は未確定。UNI SOUNDの公式発表を確認してください。

新幹線の再生アルミが楽器に生まれ変わる——大阪・関西万博で披露された「Re:A-700 Talbo」

2025年8月29日から31日までの3日間、大阪・関西万博のフューチャーライフヴィレッジ内「TEAM EXPO パビリオン」にて、東海楽器製造株式会社(以下、東海楽器)がJR東海と共同で開発した新幹線再生アルミを活用したギター、Talbo「Re:A-700 Talbo」が展示されました。展示はUNI SOUND株式会社(以下、UNI SOUND)の子会社である東海楽器が担当し、同パビリオンの中で東海道新幹線再生アルミの環境優位性や将来性を体感できるブース内にて公開されました。

この展示は、金属リサイクルと楽器製造の接点を示す取り組みとして位置づけられています。新幹線で使用されてきたアルミ素材を再生し、楽器のボディに転用することで資源循環を促進しつつ、音楽という表現手段に環境配慮の観点を持ち込む試みです。

大阪・関西万博で東海楽器が東海道新幹線の再生アルミを使用したギターが展示されました 画像 2

展示の性格と会場構成

展示が行われたTEAM EXPO パビリオンは、出展企業がそれぞれの技術や取り組みを来場者に体験させる場です。東海旅客鉄道株式会社(JR東海)が出店するコーナーでは、東海道新幹線再生アルミの素材サンプルや加工プロセスの説明、環境面でのメリットの提示が行われ、その一角にRe:A-700 Talboが配されました。

展示ブースでは、素材の特性に関する説明パネルや共同開発の経緯を示す資料が配置され、来場者は単に楽器を観賞するだけでなく、素材がどのように循環され、どのような工程で楽器へと組み込まれたかを理解できる構成になっていました。

  • 会期:2025年8月29日~31日(3日間)
  • 出展場所:フューチャーライフヴィレッジ・TEAM EXPO パビリオン
  • 出展主体:JR東海(出店)/東海楽器(共同出展)、UNI SOUND関連
  • 展示品:Talbo「Re:A-700 Talbo」
大阪・関西万博で東海楽器が東海道新幹線の再生アルミを使用したギターが展示されました 画像 3

Re:A-700 Talbo の開発背景と特性

Talbo「Re:A-700 Talbo」は、2024年12月にJR東海と東海楽器が共同で開発したモデルです。開発の出発点は、鉄道車両に使われたアルミ素材のリユースを通じたサステナビリティへの貢献でした。使用済みの東海道新幹線のアルミを再生し、ギターのボディ素材として再利用することで、資源の有効活用と環境負荷低減を両立させることが狙いです。

再生アルミを用いることにより、従来の木材主体のギターとは異なる音響特性や外観が生まれます。東海楽器はアルミボディの特性を活かしつつ、エレクトリックギターとしての実用性と演奏性を確保する設計を行っています。具体的には金属特有の共振やサステイン、ピックアップとの兼ね合いなどを調整し、音色に新たな表情をもたらすよう設計されています。

開発時期
2024年12月(JR東海と共同で開発)
主な特徴
東海道新幹線の再生アルミをボディ素材として使用。金属ならではの音響特性を持つエレキギター。
意図
資源循環(リユース)、環境負荷低減、楽器製造における素材多様化の推進。

音響設計と製造上の工夫

東海楽器はアルミホディを過去にも独自開発した経験を有しており、Re:A-700 Talboでは素材の剛性や厚み、接合方法といった製造工程上の工夫を重ねています。これにより金属特有の倍音構成をコントロールし、演奏者の意図を正確に伝える設計を追求しています。

加えて、ギターのハードウェアやピックアップの選定、配線やブリッジの設計を含めたトータルチューニングが行われており、再生素材であるアルミを単なる話題性に留めず実用楽器として成立させるための配慮がなされています。

東海楽器とUNI SOUND、JR東海の関係と会社概要

東海楽器製造株式会社は創業75年の歴史を持つ老舗の楽器製造メーカーです。1947年1月5日に設立され、長年にわたりエレキギター、アコースティックギター、ピアニカ、アンプなど幅広い楽器の設計・製造を手がけてきました。1967年にはピアニカの開発に成功し、当社製造品がヤマハに提供された実績もあります。

2021年11月にはGRACE(株式会社GRACE)が株式を取得して完全子会社化されました。その後、2025年5月1日にUNI SOUNDがGRACEから楽器事業部を独立させる形で新設され、東海楽器はUNI SOUNDの子会社となっています。こうした企業再編成は、楽器製造と流通を一貫して強化する動きの一環です。

会社名 所在地 代表者 設立
東海楽器製造株式会社 静岡県浜松市中央区遠州浜2-26-10 沢村 優太 1947年1月5日
UNI SOUND株式会社 神奈川県横浜市中区新山下3丁目4番7号 藤木企業新山下第一倉庫 西薗 樹 2025年5月1日
東海楽器の事業内容
楽器の設計・開発・製造、輸出入、国内外市場開拓および卸販売
UNI SOUNDの事業内容
中古楽器買取、楽器販売、楽器製造。ブランドリブランディングにより「音のコレクションブランド」として展開
従業員数(UNI SOUND)
401名

沿革と主要な出来事

東海楽器は長年にわたり独自技術で製品開発を続け、アルミボディなどのユニークな製品も手掛けてきました。GRACEによる株式取得は2021年11月、ここから組織再編が進み、2025年5月のUNI SOUND新設とともに経営体制が更新されています。

UNI SOUNDは、GRACEの楽器事業部としての歴史を引き継ぎつつ、ロゴやウェブサイトの刷新を行い、楽器の買取・販売を中心に据えた事業を新たに展開することになりました。ブランドフィロソフィーとして「音は自分を表現する最高の言葉」を掲げています。

展示の意味と展示品の今後の位置づけ

今回の展示は、鉄道車両の素材を再利用して楽器を製造するという具体的な事例を提示しました。素材のライフサイクルを延伸させる取り組みは、楽器業界におけるサステナビリティの議論に新たな視点を提供します。再生アルミを用いることで材質面の特性を生かした新しい楽器表現が可能になり、環境配慮と音楽表現の両立を具体的に示す試みです。

展示されたTalbo「Re:A-700 Talbo」は、材料そのものの価値を再定義するプロジェクトの一環であり、今後の製品展開や素材流通のモデルケースとして注目されることが見込まれます。来場者は実物を通じて、素材の由来や製造プロセス、音の特性を直接確認できた点が重要です。

  • 資源循環の可視化:使用済み新幹線アルミの再利用事例
  • 製品化の可否検証:リサイクル素材の楽器適合性の評価
  • ブランドと環境の接点:音楽カルチャーとサステナビリティの融合

関連情報と問い合わせ先

展示に関する詳細情報やUNI SOUNDのブランド情報については、公式サイトでの案内があります。UNI SOUNDはリブランディングに伴いブランド哲学や事業内容の刷新を行っており、オンラインでの情報更新が進められています。

関連リンク:https://unisound.co.jp/

項目 要約
展示品 Talbo「Re:A-700 Talbo」(東海道新幹線再生アルミを使用したエレキギター)
展示期間 2025年8月29日~31日
展示場所 フューチャーライフヴィレッジ・TEAM EXPO パビリオン(大阪・関西万博)
共同開発 JR東海(東海道新幹線再生アルミ提供)+東海楽器(製造)
開発時期 2024年12月に共同開発
企業関係 東海楽器は創業75年。2021年にGRACEが完全子会社化、2025年5月にUNI SOUNDの子会社となる。
関連URL https://unisound.co.jp/

この記事では、東海道新幹線の再生アルミを用いたギターの展示と、それを実現した企業関係、製品の特性や展示の意義を整理して提示しました。展示は資源循環と楽器製造の接点を示す具体例として位置づけられ、今後の素材活用や製品展開のひとつの指標となることが期待されます。

参考リンク: