ドコモの人事AI『Job-Voyage』がイノベ賞受賞
ベストカレンダー編集部
2025年9月25日 17:01
Job-Voyageが受賞
開催日:9月25日

ドコモの人事AI「Job-Voyage」がHRテクノロジー大賞で評価された背景
株式会社NTTドコモは、2025年9月25日13時00分付の発表において、人事AIレコメンド基盤「Job-Voyage」が『第10回 HR テクノロジー大賞』にて「イノベーション賞」を受賞したと公表しました。本受賞は、ドコモが開発・運用する人材マネジメントの高度化施策が評価されたものです。
「HR テクノロジー大賞」は、HRテクノロジーや人事ビッグデータ(アナリティクス)に関する優れた取り組みを表彰するもので、主催は「HR テクノロジー大賞」実行委員会です。本取り組みは、AIを活用した人材マネジメントの最適化を目的として2023年から運用を開始しており、今回の受賞はその効果と先進性が認められた結果となります。

発表の要点
発表本文には、受賞の名称や受賞テーマ、評価ポイントが明記されています。表彰名は第10回 HR テクノロジー大賞「イノベーション賞」、受賞テーマは「人事AIレコメンド基盤『Job-Voyage』による最適配置と自律的成長支援」です。
プレスリリースでは、本取り組みがドコモグループの人材マネジメントにおいてどのような役割を果たしているか、またシステムの技術的特徴や導入効果について具体的に説明されています。
Job-Voyageの構成と技術的特徴
「Job-Voyage」はドコモが独自開発した人事システムで、全社員と全ポストの情報を基に、社員一人ひとりに適切なポストをレコメンドします。システムには、ポスト情報(当該ポストの職務内容や要求スキル)と社員情報(専門性や将来的なキャリア希望など)が入力されます。
技術面では、ポストと社員の全情報を処理する際に自然言語処理技術や言語モデルを適用し、ドコモ独自のアルゴリズムでマッチングを行います。これにより、大規模データを実用的な処理時間で扱うことが可能になっている点が特徴です。
社員向けと人事向けの二面性
システムは社員がポストを探す際のレコメンド機能と、人事担当者が異動する社員の後任候補を探す際の支援機能の双方を備えます。社員は自身のスキルや希望に合ったポストを提示され、応募や自己研鑽の検討に役立てることができます。
一方、人事担当者は、特定ポストにマッチする社員を後任候補として提示されることで、候補者選定業務の効率化とマッチング精度の向上に寄与します。これらの機能により、適材適所の実現と生産性向上が促進されます。
受賞理由と導入による効果の詳細
プレスリリースは、今回の受賞で評価された主要ポイントを4点に整理して公表しています。これらはいずれも具体的な導入規模や効果に基づくものであり、実務面での有用性が重視されています。
以下に挙げる各ポイントは、受賞理由として明確に提示された内容です。すべてプレスリリースの記載を網羅しています。
- 大規模なマッチング対応:ドコモグループの2万人を超える社員と1万を超えるポストを対象にAIを活用した大規模な人材マッチングが可能である点。
- キャリア探索時間の削減:社員の希望やスキル、職歴を分析して最適な異動先をAIが提案することにより、社員が自身のキャリア探索に費やす時間を大幅に削減する点。
- 自律的キャリア形成の支援:社員が業務や自身のスキルに対する理解を深め、社内外の人材公募制度などへの挑戦を促進することで自律的なキャリア形成を支援する点。
- 運用効果と業務効率化:本取り組みにより年間約1,200時間の業務を効率化し、データドリブンな人事運営を通じて適材適所と生産性向上が可能である点。
これらの評価ポイントは、AIを用いた人材マネジメントの実務的価値を示すものであり、特に大規模組織内での即時性や精度が求められる運用において有効であることが示されています。
取り組みが目指す人材戦略とまとめ
ドコモは「人的資本経営」の実現に向け、次の3つの柱を掲げて人材マネジメントの高度化に取り組んでいるとプレスリリースで説明しています。これらはJob-Voyageの導入目的と直結しています。
- 経営や事業戦略と人材戦略の連動:経営方針や事業計画に沿った人材配置を実現することで、組織全体の戦略的な人材活用を図る。
- 社員一人一人の挑戦と成長の支援:社員が自らのスキルを可視化し、自己のキャリアを主体的に描ける環境を整備する。
- 個を活かす風土や文化の醸成:多様な人材が適切に配置され、個の強みが発揮される組織文化を育む。
プレスリリースは、これらの柱に基づいて社員の持続的な成長が顧客への提供価値につながることを期待しており、Job-Voyageはその具体的な実行ツールであると位置づけられています。
また、同リリースでは本システムが日本国内でも類を見ない大規模データを言語モデルで処理し、実用的な処理時間でマッチングを行っている点が強調されています。これにより、従来の人事業務が抱えていた時間的・精度的な制約に対する改善が可能になっています。
要点整理(表)
以下の表は、本記事で触れた主要な情報を整理したものです。受賞の事実、導入規模、技術的特徴、導入効果、運用開始年および掲げる3つの柱を網羅しています。
項目 | 内容 |
---|---|
発表企業 | 株式会社NTTドコモ |
発表日時 | 2025年9月25日 13時00分 |
受賞名 | 第10回 HR テクノロジー大賞「イノベーション賞」 |
受賞テーマ | 人事AIレコメンド基盤「Job-Voyage」による最適配置と自律的成長支援 |
運用開始 | 2023年 |
対象規模 | 社員:2万人超、ポスト:1万超 |
主な技術 | 自然言語処理、言語モデル、ドコモ独自アルゴリズム |
導入効果 | 年間約1,200時間の業務効率化、適材適所と生産性向上、キャリア探索時間の削減 |
掲げる3つの柱 | 経営と人材戦略の連動/社員の挑戦と成長支援/個を活かす風土の醸成 |
上記の表は、Job-Voyageの導入背景と受賞理由、技術的要素や運用効果を一目で確認できるよう整理したものです。プレスリリースに記載されたすべての主要情報を含め、導入の意義と評価点が把握できる構成としています。
本稿では、発表された情報をもとに受賞の概要、Job-Voyageの仕組み、評価されたポイント、そしてドコモが掲げる人材戦略の柱までを網羅的に整理しました。表にまとめた要点を通じて、本取り組みの意義と実務的な効果を把握しやすくしています。