JMAGに公式搭載 日本金属の極薄STシリーズ

JMAGにSTシリーズ搭載

開催日:9月25日

JMAGにSTシリーズ搭載
JMAGにSTシリーズが載ったって何が変わる?
JMAG上でSTシリーズの材料データを直接選べるようになり、手入力の手間が省けて高精度な電磁界シミュレーションでモータ設計が効率化され、開発期間短縮が期待できます。
STシリーズってどんなモータ向けなの?
板厚0.05〜0.15mmの極薄電磁鋼帯で渦電流損失を抑制し、400Hz〜20kHzの高周波領域で低損失。ドローンや高速小型モータ、精密機器・医療・航空用途に最適です。

電磁界解析『JMAG』に公式搭載 — 小型高速モータ設計の手間を削減

日本金属株式会社(本社:東京都港区、取締役社長:下川康志)は、株式会社JSOLが開発する電磁界解析ソフトウェア『JMAG』の材料データベースに、同社の無方向性極薄電磁鋼帯STシリーズの材料データが公式に搭載されたことを、2025年9月25日に発表しました。

本搭載により、JMAGユーザーはこれまで手作業で行っていた材料データの入力作業から解放され、シミュレーションを活用したモータの設計・開発プロセスを大幅に効率化できます。結果として開発期間の短縮に寄与することが期待されます。

小型高速モータ用極薄電磁鋼帯「STシリーズ」の材料データを電磁界解析ソフトウェア『JMAG』に搭載 画像 2

搭載バージョンと対象データ

搭載は、JMAGの最新バージョンであるJMAG-Designer Ver.24.2(2025年9月リリース)に対して行われました。JSOLの公式案内は同社サイトのリリースページにて公開されています(https://www.jmag-international.com/jp/products/jmag-designer/index_v242/)。

公式データとして新たに搭載された鋼種は以下のとおりです。これによりJMAGの材料データベースから直接選択して設計検討を行えます。

  • ST050(板厚0.05mm)
  • ST080(板厚0.08mm)
  • ST100(板厚0.10mm)
  • ST150(板厚0.15mm)
小型高速モータ用極薄電磁鋼帯「STシリーズ」の材料データを電磁界解析ソフトウェア『JMAG』に搭載 画像 3

STシリーズの仕様と電磁特性

STシリーズは板厚0.050~0.150mmの無方向性極薄電磁鋼帯であり、従来の一般的な電磁鋼帯(例:厚さ0.35mm)と比較して大幅な薄型化が図られています。極薄化によってモータ内部で発生する渦電流損失を低減し、高周波領域における損失低減効果を発揮します。

特に400Hz~20,000Hzという高周波領域での低損失特性が確認されており、高回転・高周波で動作する小型高速モータにおける効率改善、小型化、軽量化に貢献します。

渦電流損失と高周波特性の説明

渦電流損失とは、交流磁界によって電磁鋼帯内部に発生する不要な電流であり、モータの効率を低下させる要因です。薄板化により、その流路が短くなることで渦電流が抑制され、結果として損失が低減されます。

STシリーズは厚みの差異に応じて磁気特性が最適化されており、400Hzから最大20,000Hzの領域での低損失に寄与します。実際の解析ではJMAG上の材料データを用いることで、高精度な電磁界シミュレーションが可能になります。

表1 各鋼種の磁気特性の一例(リリース記載)
鋼種 板厚 備考
ST050 0.05mm 極薄化モデル
ST080 0.08mm 高周波領域での低損失特性
ST100 0.10mm バランス重視の汎用厚み
ST150 0.15mm やや厚めの極薄帯

用途分野と生産体制・環境認証

STシリーズはドローン、精密機器、医療機器、航空宇宙機器、電動工具など、多様な分野で活用される小型高速モータの高効率化・小型化・軽量化に寄与します。高周波領域での損失低減は、回転数の高い用途やスイッチング周波数の高いパワーエレクトロニクス機器にも好適です。

また、STシリーズは当社が独自に定める環境配慮製品「エコプロダクト」として認定されています。日本金属は2050年のCO₂排出量ネットゼロ達成を目標に掲げ、環境対応素材の普及を通じて持続可能なものづくりに貢献する方針です。

生産技術と体制

当社およびグループ会社である日金電磁工業株式会社は、長年の圧延技術を基盤としており、日本で唯一、板厚0.1mm未満の極薄電磁鋼帯を提供しています。電磁鋼帯の生産・販売で50年以上の実績があり、素材提供からリアクトル等の製品化まで一貫した体制を構築しています。

この一貫体制は、材料供給にとどまらず、試作や製品設計段階での技術支援を可能にし、国内外の顧客から高い信頼を得ています。方向性極薄電磁鋼帯「GTシリーズ」についても多くの実績があり、STシリーズと合わせて幅広いニーズに対応します。

  • 提供企業:日本金属株式会社(本社:東京都港区)
  • グループ会社:日金電磁工業株式会社(当該極薄電磁鋼帯の生産)
  • 実績:電磁鋼帯の生産・販売で50年超

問い合わせ先・関連情報と要点の整理

製品や技術に関する問い合わせ窓口、総務窓口、関連リンクなどは以下の通りです。技術的な質問や製品導入検討はプロダクションプロセス・サポート部へ、報道や一般的な問い合わせは総務部へ連絡することが想定されています。

また、JMAGはJSOLの登録商標であり、JMAGのリリースページには搭載された材料データに関する案内が掲載されています。

本リリース発表日
2025年9月25日 08:30
問い合わせ(総務)
日本金属株式会社 総務部 TEL:03-5765-8100
https://www.nipponkinzoku.co.jp/contact-other
問い合わせ(製品・技術)
日本金属株式会社 プロダクションプロセス・サポート部 TEL:03-5765-8113
https://www.nipponkinzoku.co.jp/contact
企業サイト
https://www.nipponkinzoku.co.jp
日金電磁工業株式会社
https://nikkindenjikogyo.co.jp/
JMAG製品情報
https://www.jmag-international.com/jp/products/jmag-designer/index_v242/
要点整理
項目 内容
発表企業 日本金属株式会社(代表取締役社長:下川康志)
発表日 2025年9月25日 08:30
対象製品 無方向性極薄電磁鋼帯「STシリーズ」
搭載先ソフトウェア JMAG-Designer Ver.24.2(株式会社JSOL)
搭載鋼種 ST050(0.05mm)、ST080(0.08mm)、ST100(0.10mm)、ST150(0.15mm)
主要特性 厚さ0.050~0.150mmの極薄化による渦電流損失低減、400Hz~20,000Hzでの低損失特性
主な用途 ドローン、精密機器、医療機器、航空宇宙機器、電動工具、小型高速モータ、トランス、インダクタ等
環境認証 当社独自の「エコプロダクト」として認定、2050年CO₂ネットゼロ目標に貢献
生産体制 日金電磁工業株式会社を中心とする独自の圧延技術、国内で唯一の板厚0.1mm未満の提供実績、50年以上の生産・販売実績
問い合わせ先 総務部 TEL:03-5765-8100 / プロダクションプロセス・サポート部 TEL:03-5765-8113
関連リンク https://www.nipponkinzoku.co.jp、JMAGリリースページ(上記)
注意事項 JMAGはJSOLの登録商標です。搭載データはJMAG-Designer Ver.24.2に基づくものです。

本稿では、JMAGへのSTシリーズ材料データの公式搭載に関する発表内容を、搭載バージョン、搭載鋼種、STシリーズの仕様と高周波領域での特性、想定される用途分野、生産体制および問い合わせ先まで含めて整理しました。製品導入や設計検討に際しては、上記の連絡先および関連リンクを通じて詳細な技術情報の確認を行うことが推奨されます。

参考リンク: