オリックス生命、IBM Targetprocess導入でアジャイル開発を強化
ベストカレンダー編集部
2025年9月26日 13:16
Targetprocess導入
開催日:1月1日

オリックス生命が進めるコンタクトセンターのアジャイル強化
オリックス生命保険株式会社(以下「オリックス生命」)は、コンタクトセンター・システムの継続的な改善とビジネス価値への即時対応を目的に、エンタープライズ規模のアジャイル開発体制を強化しています。オリックス生命は「想いを、心に響くカタチに。」という理念のもと、生命保険・医療保険・がん保険など多様な商品を提供しており、コンタクトセンターは顧客接点として重要な役割を担っています。
背景には、長年利用してきたオンプレミス型コンタクトセンター・システムのサービス終了があり、これに伴う移行としてSaaS型の新システムへと切り替えを実施しました。移行に際しては、短期間で成果を積み重ねるアジャイル開発手法が採用され、組織全体のビジネス・アジリティー実現を目指してScaled Agile Framework(SAFe)を導入するとともに、当初はSAFe準拠の開発管理ツールを内製して運用していました。
- 企業:オリックス生命保険株式会社
- 背景:オンプレミス型システムのサービス終了に伴うSaaS型への移行
- 方針:短期での成果を重視するアジャイル開発とSAFeの導入

IBM Targetprocess の採用と導入スケジュール
日本アイ・ビー・エム株式会社(以下「日本IBM」)は、オリックス生命がアジャイル・プランニングのSaaSプラットフォームであるIBM Targetprocessを採用したことを2025年9月26日付で発表しました(発表日時:2025年9月26日 11時00分)。同プラットフォームは、企業全体の戦略策定から開発リソース計画、進捗管理までを支援するSaaSソリューションで、金融業界やIT業界など幅広い業界での採用実績があります。
導入の経緯としては、まず2024年11月に1か月間の試験導入を実施し、評価・検証を行ったうえで、2025年1月から正式導入を開始し本格運用に移行しています。導入・運用に際して日本IBMは、オリックス生命の利用状況に合わせたIBM Targetprocessの環境設定や運用支援を行っています。

導入スケジュールと支援体制
導入スケジュールは以下の通り明確に設定されました。試験導入を経て本格導入に移す段階を踏むことで、現場の運用負荷を抑えながら段階的に機能を移行しています。
日本IBMは環境設定支援により、オリックス生命の既存プロセスやSAFe運用にマッチした設定を行い、可視化やレポート出力など実務で必要なインターフェースの整備を支援しています。
- 試験導入
- 2024年11月(1か月間)
- 正式導入開始
- 2025年1月から本格運用
- 支援
- 日本IBMによる環境設定と運用支援
評価された主要機能と具体的な活用方法
オリックス生命がIBM Targetprocessを採用した主な理由は、組織横断での計画・可視化・調整を強力に支援する点にあります。特に以下の機能が評価されました。
これらの機能により、複数チーム間の依存関係の可視化や、ポートフォリオ単位での投資・ロードマップ管理が可能になり、現場での計画変更に対しても納得感を持って対応できる基盤が整います。
- ART Planning Board(アジャイル・リリース・トレイン プランニング・ボード)
複数のアジャイル・チームの作業とその依存関係を、2週間単位のイテレーションで時系列に可視化するプランニング・ボードを提供します。視認性・操作性に優れ、ワーク・アイテムの実施時期、担当チーム、ワーク・アイテム間の依存関係をカンバンビューで表示できます。
- リーン・ポートフォリオ管理(Lean Portfolio Management)対応
バリュー・ストリームごとのエピックやフィーチャーのロードマップを可視化・共有できるほか、投資を短期・中期・長期の時間軸で整理し、戦略的目標に沿った予算ガードレールを表示できます。ポートフォリオ単位での意思決定を支える機能が備わっています。
- OKRとの連携機能
将来的なOKR(Objectives and Key Results)の導入を見据え、日々の業務と組織の優先課題をつなぐ設計が可能です。目標達成に対する予算・リソースの貢献度を可視化し、戦略と実務を結びつけます。
用語説明と補足情報
プラットフォームの機能や導入に関する理解を深めるため、本文中に登場する主要用語の定義を整理します。これらはオリックス生命と日本IBMの運用設計で重要な位置を占めます。
また、添付のイメージやロードマップ図、OKR構造図がプレスリリースに含まれており、ワークアイテムやタイムラインの具体的な可視化例が示されています。
- SAFe®(Scaled Agile Framework®)
- 米Scaled Agile, Inc.が提供するフレームワークで、経営層から現場まで組織全体でアジャイルを導入するために用いられる。世界で2万を超える組織が実践している。
- エピック(Epic)
- 大規模なソリューション機能や目標を示すワークアイテム。
- フィーチャー(Feature)
- ビジネス・バリューを提供しステークホルダーのニーズを満たすソリューションの機能を示すワークアイテム。
- OKR(Objectives and Key Results)
- 組織やチームが「何を達成したいか(Objective)」と「それをどう測定するか(Key Results)」を定義する目標管理手法。
現場での運用と効果の整理
現在、オリックス生命ではIBM Targetprocessを用いてポートフォリオ全体のロードマップを起点に依存関係や進捗を共有しています。各チームやメンバーがインタラクティブに調整を行うことで、組織のアジリティーを高め、計画変更時にも現場が納得して迅速に対応できる体制が整っています。
導入による具体的な運用改善例としては、以下の項目が挙げられます。これらはシステム開発と顧客対応品質の双方に影響を与える要素です。
- 複数チーム間の依存関係の早期発見と解消による遅延の抑制
- 投資や機能優先度の時間軸に基づく整理によるリソース配分の最適化
- 目標(OKR)との連携による日々の業務と戦略目標の整合性向上
また、プラットフォームが提供するカスタマイズ可能なレポートにより、経営層や現場双方が必要とする情報を適切な粒度で取得できるようになり、意思決定の速度と精度の向上が期待されます。
要点の一覧表と締めの説明
以下の表に本件の主要な事項を整理しました。発表日や導入時期、採用の理由など、本文で触れた要素を網羅しています。
項目 | 内容 |
---|---|
発表日 | 2025年9月26日 11時00分(日本IBM発表) |
導入主体 | オリックス生命保険株式会社(導入支援:日本アイ・ビー・エム株式会社) |
導入対象 | コンタクトセンター・システムのアジャイル開発管理 |
導入経緯 | オンプレミス型システムのサービス終了に伴うSaaS型システムへの移行と、継続的な機能改善のためのエンタープライズ・アジャイル強化 |
試験導入 | 2024年11月(1か月間) |
正式導入 | 2025年1月から本格運用 |
採用理由(主な評価点) | ART Planning Boardによる可視化、リーン・ポートフォリオ管理対応、OKR連携機能 |
期待される効果 | チーム間依存の可視化、投資とロードマップの整合、戦略と日々の業務の連携強化 |
関連リンク・資料 | プレスリリース(日本IBM) / プレスリリース素材(画像ダウンロードあり) |
商標等 | SAFe®およびScaled Agile Framework®はScaled Agile Inc.の登録商標。IBM、ibm.comはInternational Business Machines Corporationの商標または登録商標。 |
本件は、オリックス生命が既に採用しているSAFeの運用をベースに、アジャイル開発管理をSaaSプラットフォームへ移行してエンタープライズレベルでの可視化・調整を強化する取り組みです。導入スケジュールや支援体制、評価された機能を含めて具体的に整理しました。
参考リンク: