10月末商用開始予定:iPhoneでマイナンバーカード全機能読み取り

iPhoneでマイナンバ読み取り

開催日:10月31日

iPhoneでマイナンバ読み取り
これっていつから使えるの?
既存顧客向けの評価版は2025年9月末から順次提供、一般向けの商用サービスは2025年10月末開始予定です。店頭導入は事業者の準備状況に応じ順次行われます。
iPhoneでマイナンバーを読み取るのは安全なの?
今回の技術は国際規格mdoc(ISO/IEC18013-5)準拠で実装され、総務省・デジタル庁基準に基づく認定を取得しており、高いセキュリティ要件で設計されています。

iPhone上のマイナンバーカード情報を「全機能」読み取りへ:発表の要旨とスケジュール

2025年9月25日15時30分、株式会社フライトソリューションズは、本人確認ソリューションmyVerifist(マイ・ベリフィスト)において、iPhoneに搭載されたマイナンバーカード情報の活用を拡大し、国際規格mdoc(ISO/IEC 18013-5)に準拠した読み取り技術の開発を完了したと発表しました。これにより、iPhone上のマイナンバーカードから公的個人認証に加え、券面情報(氏名、住所、生年月日等)の読み取りが可能となります。

同社はこの取り組みを国内初のiPhoneとiPadを組み合わせた本人確認事例(当社調べ、2025年8月時点)と位置づけており、既存顧客向けに2025年9月末より評価版の提供を開始、2025年10月末より商用サービスを開始する予定としています。読み取りにはキャッシュレス決済も兼ねる専用端末「Incredist Premium II/III」とiPadを用いる設計です。

iPhoneのマイナンバーカード“全機能”を読み取り可能に 画像 2

発表の背景と主要なポイント

発表の中心は、mdoc規格準拠による「マイナンバーカードの全機能読み取り」の実現です。第一弾として対応していた公的個人認証に続き、券面事項確認・券面入力補助などの機能範囲を拡張した点が特徴として示されています。

発表資料では、同社が提供してきたハードウェア・ソフトウェアの組合せを継承しつつ、mdoc準拠のプロトコルとセキュリティ要件を満たす形で実装したことが明記されています。評価版は既存顧客向け提供、商用サービス開始は2025年10月末の予定です。

  • 製品名:myVerifist(マイ・ベリフィスト)
  • 読み取り端末:Incredist Premium II/III(インクレディスト・プレミアム・ツー/スリー)
  • 操作端末:iPad
  • 対応規格:mdoc(ISO/IEC 18013-5)
  • 提供スケジュール:評価版:2025年9月末開始、商用:2025年10月末開始予定

社会的課題と法制度の変化が促す本人確認強化の必要性

近年、なりすまし詐欺をはじめとする本人確認に関わる犯罪が増加しており、被害額や件数が深刻な水準に達しています。警視庁が2025年5月23日に公表した広報資料によれば、2024年の特殊詐欺の被害額は717.6億円、認知件数は2万件超に上っています。こうした状況を受け、本人確認手法の厳格化が社会的に求められている点が、今回の技術開発の背景にあります。

さらに法制度の側面でも変化が予定されており、2026年4月には携帯電話契約時に「ICチップ読み取りによる本人確認」が原則義務化される法改正が控えています。これにより、ICチップを用いた高信頼の本人確認手段の整備は事業者にとって急務です。

スマートフォン搭載の意義と普及性

政府はデジタル社会の実現を掲げ、マイナンバーカードのスマートフォン搭載を段階的に進めています。スマートフォンやタブレットといった日常的に利用されるデバイスに本人確認機能を統合することで、利用者の利便性向上と同時にセキュリティの底上げを図ることができます。

特にiPhoneにマイナンバーカード情報を搭載する方式は、個人が常に持ち歩く端末を正式な証明媒体として利用できる点で、カードの携帯率向上や行政・民間サービス側の業務効率化につながると期待されています。これらの動きは、医療機関や行政機関、金融・不動産など業界横断的に影響を及ぼします。

myVerifistの技術仕様と導入事例、運用の進め方

myVerifistはシンクライアント型の本人確認ソリューションで、マイナンバーカードや各種身分証明書を用いて電子署名、署名検証、公的個人認証を実現します。今回の開発では、mdoc規格に準拠することでスマートフォン上の公的証明書情報の安全な読み取りを実現しています。

技術構成としては、マイナンバーカード情報をiPhone上に格納したものを、専用の読み取り端末「Incredist Premium II/III」で読み取り、操作端末であるiPad上のmyVerifistアプリケーションで本人確認を完了する設計です。これにより、店頭での対面確認をiPad上で完結させることが可能になります。

主な機能(今回の拡張内容)
公的個人認証、券面事項確認(氏名・住所・生年月日等)、券面入力補助
ハードウェア構成
読み取り端末:Incredist Premium II/III、操作端末:iPad
規格・認証
mdoc(ISO/IEC 18013-5)準拠、総務省とデジタル庁の基準に準拠したプラットフォーム事業者認定を取得
提供形態
評価版(既存顧客向け):2025年9月末より順次提供、商用サービス開始:2025年10月末予定

現在、myVerifistは全国のソフトバンクショップおよび高級宝飾店を扱う店舗で導入実績があります。今回の機能追加によりiPhoneを用いたマイナンバーカードの全機能読み取りが技術的に可能となり、ソフトウェアライブラリは2025年9月末から提供されます。

店頭での運用開始時期は各事業者の準備状況に応じて順次進められる見通しです。導入検討を行う事業者に対しては、既存のIncredist端末との組合せによる運用設計や、mdoc準拠によるセキュリティ要件への対応方針が提示されることになります。

導入対象分野と期待される効果

発表文では特に行政、医療、金融、不動産といった分野への導入を想定しています。各分野に共通する課題は、対面・非対面を問わない正確で信頼性の高い本人確認の確保です。

具体的には、不動産契約時の券面情報確認や、医療機関における行政手続きの効率化、金融機関における口座開設の本人確認強化など、業務プロセスの信頼性と効率性が向上する効果が期待されます。これらは同時に詐欺抑止や社会的信頼の強化にも寄与します。

補足情報と要点の整理

以下は本発表に含まれる主要情報を整理したものです。注釈として、発表内での脚注情報も記載します。

項目 内容
発表者 株式会社フライトソリューションズ(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長 片山圭一朗)
発表日時 2025年9月25日 15:30
製品・サービス myVerifist(マイ・ベリフィスト)/Incredist Premium II/III(読み取り端末)+iPad(操作端末)
技術的特徴 mdoc(ISO/IEC 18013-5)準拠。公的個人認証、券面事項確認、券面入力補助をiPhoneから読み取り可能に
導入スケジュール 評価版提供:2025年9月末(既存顧客向け)/商用サービス開始:2025年10月末予定
既導入事例 全国のソフトバンクショップおよび高級宝飾店を扱う店舗
関連規制・背景 特殊詐欺被害(2024年):被害額717.6億円、認知件数2万件超(警視庁2025年5月23日広報資料)。2026年4月のICチップ読み取り義務化予定
関連リンク フライトソリューションズ:https://www.flight.co.jp / myVerifist:https://www.myverifist.com/index.html
脚注 *1 当社調べ(2025年8月時点)/*2 mdoc:Mobile Driving Licence等を含むISO/IEC 18013-5/*3 情報出典:警視庁広報資料(2025年5月23日付)

上の表は発表文に記載された主要事実を整理したものであり、技術規格、提供スケジュール、既導入事例、社会的背景の各点を一目で確認できるようにまとめています。

本件は、スマートフォン搭載の公的証明書と国際規格に基づく読み取り技術を組み合わせる点で、行政・民間の本人確認手法に新たな選択肢を提供します。事業者は提供されるソフトウェアライブラリや既存のIncredist端末を活用して運用設計を進めることが想定されます。以上が本発表の要点と整理です。