淡路島の海ホタルショーが審査員特別賞を受賞
ベストカレンダー編集部
2025年9月26日 17:32
海ホタルショー受賞
開催日:9月26日

淡路島で生まれた参加型ネイチャーエンターテイメントが審査員特別賞を受賞
兵庫県淡路市の一般社団法人Smile∞Ribbon(代表:竹谷富士子)が展開する取り組み『神秘の光・海ホタル!! 淡路島の安全なビーチで「世界初/世界でココだけ」の海ホタルショー』が、第9回「ジャパン・ツーリズム・アワード」において審査員特別賞を受賞しました。発表は2025年9月26日15時58分に行われています。
本件は公益社団法人日本観光振興協会、一般社団法人日本旅行業協会(JATA)、日本政府観光局(JNTO)主催の同賞において選出された受賞取組の一つで、国内外からの応募213件のうち45件を選出した最終選考の結果、各賞受賞が決定しました。詳細は主催側のプレスリリースでも公表されています(https://t-expo2023-production.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/wp-2023/wp-content/uploads/2025/08/28125729/tej2025_pr_2025-08-28_award01.pdf)。

海ホタルショーの構成と体験内容──参加者が自ら作る青い光の演出
海ホタルショーは、従来の観賞型プログラムとは一線を画す参加型の構成です。紙芝居やクイズを用いた生態説明から始まり、波打ち際での演出、参加者が浅瀬に入って行う体験を通じて、生物発光を自ら作り出す仕組みになっています。
具体的には以下の要素で構成されています。いずれも参加者が主体的に体験する形式です。
- 紙芝居でのウミホタルの不思議と淡路島の生態系に関する解説
- クイズ等を通じた啓発活動(生態系の循環、維持・保全の重要性)
- 波打ち際での演出(海ホタル天の川、感動のファーストシーン)
- 参加者による海中での「海ホタルすくい」「海ホタル花火」「海ホタル花吹雪」などの実体験
こうした体験により、参加者は自分で青い光のシャワーを作る過程を楽しみながら、ウミホタルの生態や海の環境について理解を深めることができます。主催側では本プログラムを「世界初」(*¹)かつ「世界でココだけ」(*²)と位置付けています(当社調べ)。

ウミホタルの生態教育
ショーではウミホタルの生態面についても丁寧に解説します。日本での分布は青森以南で観察されること、ウミホタルが「卵胎生」であること、生物発光のメカニズムや捕獲方法、餌性がスカベンジャー( scavenger)である点などが扱われます。
教育的な内容を含めることで、単なる観光体験に留まらず、持続可能な生態系維持・保全の意識醸成を図るプログラムとなっています。

開催時期・規模とメディア露出
ショーは夏季限定で6月から10月に開催され、2022年に立ち上げられました。2024年にはインターネット記事やテレビ(読売テレビ/日本テレビ「遠くへ行きたい」等)、ラジオで紹介され予約が困難となるほどの人気プログラムへと成長しました。2026年度の予約受付は同年5月より開始予定です。
ショーに関する案内や体験詳細は淡路島観光協会のページおよび主催のSNS等で案内されています(https://www.awajishima-kanko.jp/taiken/detail.php?id=83、https://note.com/smileribbon55/n/nc8c43ff96659、https://www.instagram.com/awajiisland_retreat/)。

安全性、環境配慮、循環型運営──SDGsに資する取り組みの実態
海ホタルショーは開催地の選定や運営方法において安全性と環境配慮を両立させています。淡路島の一部のビーチは消波堤に囲まれて波や潮の流れが入りにくく、夜間でも安心して行える希少な浅瀬が確保されています。瀬戸内海周辺は潮流や大型船舶による引き波などがあり、特に夜間の沿岸は危険が伴いますが、ショーの開催地はそうした危険が少ない場所を厳選しています。
また大量のウミホタルを安定して用意するための餌付けには、近海の鮮魚小売で発生する魚のアラを活用するなど、食品ロス削減の観点から具体的な循環施策が組み込まれています。以下は運用面のポイントです。
- ウミホタルの量
- 各開催回で約0.5~1kgを用意(餌付けで捕獲)。
- 餌の供給
- 株式会社PLANT淡路店の協力による鮮魚のアラを仕入れて再利用。
- 餌の残滓の再利用
- 魚の骨などの残滓はSmile∞Ribbonの「スマイル∞ファーム」オープンファームでの土作りに再利用。
このように海と陸を循環させる仕組みは、主催側が示すところの「SDGsの実践的モデル」としての側面を有しています。エコツーリズムとエンターテイメントを統合し、持続可能性を考慮した運営を行っています。

地域経済・観光動向への波及効果とアワード評価の要点
海ホタルショーは夜間のアクティビティを創出することで、淡路島への宿泊需要を誘導しています。主催団体の発表では参加者のおよそ半数が島内の宿泊施設を利用しており、地域宿泊業への貢献度が高いと評価されています。地方における夜間コンテンツ不足という課題に対し、潜在的な観光資源を掘り起こして高付加価値化した点が注目されています。
また、料金体系面でも独自性があります。子どもは無料、大人は少額のエントリー制で受付し、加えてチップ制を導入することで参加のしやすさと自身で価値を考える契機を提供している点が示されています。

ジャパン・ツーリズム・アワードで評価されたポイント
今回の受賞にあたり、審査側からは以下のような観点で高い評価がなされたと発表されています。
- エコツーリズムにエンターテイメント性を取り入れ、啓蒙と持続性を両立している点
- 食品ロス削減や資源循環といった具体的なSDGs実践を示している点
- 夜間アクティビティの創出により宿泊需要を喚起し、地域経済に資する点
- 参加者が主体的に価値を考える機会を提供している点
「ジャパン・ツーリズム・アワード」は“旅のチカラ”の再生と持続可能性に資する取り組みを模範事例として表彰することを目的としており、ツーリズムEXPOジャパンと連携して優れた事例を広く紹介する仕組みです(https://www.t-expo.jp/biz/program/award)。

代表者の言葉
Smile∞Ribbon代表の竹谷富士子氏は受賞について次のようにコメントしています(原文の抜粋)。
「この度のジャパン・ツーリズム・アワードにおける審査員特別賞受賞は、私たちの淡路島における生態系や自然環境への啓蒙活動や地域活性化への成果が認められたことであると大変栄誉に感じています。また地域のみなさんの協力があればこそだと深く感謝しています。今後はさらに島内の他の観光資源とのコラボレーション等により、島全体がより魅力的なデスティネーションとなるよう挑戦し続けます」
同団体は受賞を契機に、既存プログラムである「ネイチャーアドベンチャー」や「国産み神話ミステリーツアー」などを通じて、観光マップに載らない地域資源の発掘や他事業者との協働、国内外のトラベルエージェントとの連携強化によりインバウンド拡大を目指す計画を示しています。

本記事の要点整理(事実関係を表で示す)
以下の表に本記事で示した主要情報を整理します。記事内容は、受賞情報、プログラムの運営実態、安全・環境配慮、地域経済への影響、今後の取り組みを網羅的に含んでいます。
項目 | 内容 |
---|---|
受賞名 | 第9回「ジャパン・ツーリズム・アワード」 審査員特別賞 |
発表日時 | 2025年9月26日 15:58 |
受賞取組名 | 『神秘の光・海ホタル!! 淡路島の安全なビーチで「世界初/世界でココだけ」の海ホタルショー』 |
主催者 | 公益社団法人日本観光振興協会、一般社団法人日本旅行業協会(JATA)、日本政府観光局(JNTO) |
応募状況 | 国内外213件の応募から45件を選出(第9回) |
主催団体(事業実施) | Smile∞Ribbon(淡路市、代表:竹谷富士子)、協力:一般社団法人 淡路島観光協会(会長 木下学) |
開催時期 | 夏季限定(6月〜10月)/2022年開始、2026年予約受付は2026年5月から |
体験内容 | 紙芝居・クイズ・海ホタルすくい・海ホタル花火・海ホタル花吹雪等の参加型プログラム |
安全対策 | 消波堤に囲まれた波や潮流が入りにくい浅瀬を厳選して開催(夜間でも安全に実施可能) |
環境配慮 | 魚のアラを餌にしてウミホタルを捕獲(約0.5〜1kg/回)。魚の骨は農地の土作りに再利用し、食品ロス削減と資源循環を実装 |
料金体系 | 子ども無料、大人は少額エントリー+チップ制 |
メディア等 | 2024年以降のネット記事、テレビ番組(例:「遠くへ行きたい」)等で紹介。予約が困難な人気プログラムに成長 |
関係リンク | 淡路島観光協会(https://www.awajishima-kanko.jp/)、プログラム案内(https://www.awajishima-kanko.jp/taiken/detail.php?id=83)、Instagram(https://www.instagram.com/awajiisland_retreat/)、主催側プレス(https://t-expo2023-production.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/wp-2023/wp-content/uploads/2025/08/28125729/tej2025_pr_2025-08-28_award01.pdf) |
以上が本記事で扱った主要な事実の整理です。受賞は、地域資源の高付加価値化、エコロジー循環の実践、夜間アクティビティの創出という複数の評価軸において高く評価されたことを示しています。今後も関係団体による連携やプログラムの拡充により、淡路島の観光資源としての価値がさらに整理・発信される見込みです。
参考リンク: