CDC Pitch #5レポ:万博で広がる共創とものづくり

CDC第5回ピッチ

開催日:9月22日

CDC第5回ピッチ
このイベントって何だったの?
9月22日に万博のフューチャーライフヴィレッジで開かれたCDC Pitch #5は、コクヨ、&SPACE PROJECT、友安製作所の3社が地域材や廃材、宇宙廃材を使ったプロダクトと共創の取り組みを報告する最終ピッチで、CDCでは合計22事業が万博で実装されています。
展示はいつどこで見られるの?
会場は万博西側のフューチャーライフヴィレッジで、CDC紹介の展示台が2台設置され万博閉幕まで展示される予定。万博自体は2025/4/13〜10/13、友安のFactorISMは10/23〜10/26に開催予定です。

デザインと共創で描く、これからの日本のくらし

2025年9月22日、万博会場内のフューチャーライフヴィレッジ(以下「FLV」)で開催された「Co-Design Challenge Pitch #5 ― デザイン × ものづくりで日本の新しい価値を世界に広げる これからの日本のくらしをつくる22の挑戦 ―」は、全5回のピッチシリーズの最終回として行われました。本イベントは、公益社団法人2025年日本国際博覧会協会が推進する「Co-Design Challenge(CDC)」プログラムの一環であり、万博を契機に多彩なプレイヤーと共創し、新たなモノや仕組みを実装することを目的としています。

本リリースはCo-Design Challenge PR事務局が発信したもので、発表日時は2025年9月26日 17時00分です。イベント当日は、ナビゲーターに齋藤精一氏、矢島進二氏を迎え、コクヨ、&SPACE PROJECT、友安製作所の3社がそれぞれプロダクト開発の背景、地域や技術との関わり、万博での実装とその先に見据えるビジョンを語りました。

「Co-Design Challenge Pitch #5」 イベントレポート「デザイン × ものづくりで日本の新しい価値を世界に広げる」――これからの日本のくらしをつくる22の挑戦―― 画像 2

登壇3社の取り組みと舞台裏

登壇事業者はそれぞれ異なる社会課題や資源に着目し、デザインとものづくりのアプローチで具体的なプロダクトと体験を作り上げています。ここでは各社が示した狙い、協働構造、プロダクトの特徴を詳述します。

各社の発表はプロダクトそのものだけでなく、地域住民や高校生、地元製造業、アーティストとの連携を通じて生まれた背景が大きな特徴です。ものづくりの工程や材料選定、耐久性や展示後の継続利用まで意識した設計が共通していました。

「Co-Design Challenge Pitch #5」 イベントレポート「デザイン × ものづくりで日本の新しい価値を世界に広げる」――これからの日本のくらしをつくる22の挑戦―― 画像 3

コクヨ株式会社:地域木材を使ったベンチと組み立てワークショップ

コクヨ株式会社(TCM本部マーケティング部 担当課長 酒井宏史氏)は、地域の森が抱える課題に意識を向け、地域材を活用したベンチ製作とワークショップを組み合わせた企画を実施しました。協賛自治体は、兵庫県伊丹市、大阪府河内長野市、高知県四万十町です。

プロジェクトでは、地域性や住民の想いをデザインに反映しつつ、世界中の利用者を想定した耐久性と屋外利用に適した品質を追求しました。各地域から生まれたデザインモティーフは以下の通りです。

  • 伊丹市:伊丹空港から世界へ飛び立つ飛行機の飛行機雲
  • 河内長野市:森林が生み出す自然の恵み(豊かな水源)、想いをつむぐ高野街道
  • 四万十町:こころの源流 四万十川、人と人をつなぐ沈下橋

ワークショップは小物作り、ベンチの組み立て、チャーム作りと飾り付けなどを行い、四万十町では地元高校生がアイデア検討とプレゼンテーションを経てデザイン案作成に貢献しました。酒井氏は、この取り組みを通じて企業としても新たな価値追求の手応えを得たと述べています。

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&SPACE PROJECT:宇宙ロケット廃材のアップサイクル

&SPACE PROJECT(株式会社DOKASEN 代表取締役 中井章郎氏)は、北海道大樹町にあるアジア初の民間商業宇宙港「北海道スペースポート」に注目し、ロケット開発で生じるアルミ合金燃料タンクの廃材を活用した家具化プロジェクトを紹介しました。代表的なプロダクトは「宇宙タンクベンチ」です。

開発後もロケット廃材を使ったスピーカーや、ロケットの立体モデルを参考にした積み木などの制作を行っています。また、道東エリアの魅力発信を目的とした体験企画「プラスワントリップツアー」と、連動する催事「EXPO酒場釧路店」を実施し、万博を道標にして地域へ関心を向けさせる取り組みも展開しました。中井氏は、宇宙産業が次世代の基幹産業として生活者にとって身近になることを重視しています。

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株式会社友安製作所:廃材と端材を用いたオープンファクトリーの実践

株式会社友安製作所(ソーシャルデザイン部 担当執行役員 松尾泰貴氏)は、2020年に立ち上げた「FactorISM(ファクトリズム)」で、工場(Factory)の思い、旅(Tourism)の体験、主義・主張(ISM)を結びつけるコンセプトを掲げ、地域一体型のオープンファクトリーを推進してきました。口癖のように「こうばはまちのエンターテインメント」と語る同氏は、ものづくりの現場を一般開放することで技術や仕事の背景を可視化しています。

2025年のFactorISMは「五感」をテーマに、10月23日から26日に開催予定で、八尾市をはじめ13市町92社が参加しています。万博では町工場で生じた端材や廃材を活用したテーブルやスツールを制作・設置し、職人技とアーティストのデザインを融合させた作品として展示しました。松尾氏は、価値を失ったモノに新たな価値を吹き込み、技術を次世代に継承する「式年遷宮」のような仕組みを作りたいと述べました。

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クロージングトークとCDCの歩み—実装へ向けた5回のピッチ

クロージングでは齋藤精一氏が「デザイン(モノ・コト・仕組み)の力で万博を『共創』の場所にしたい」という思いを再確認し、この『共創』が2025年以降に地域産業を強化し、世界に良い影響を与えるレガシーになることを目標にしていると語りました。矢島進二氏も、万博が新しいモノづくりの起点になったことを評価しました。

登壇者のコメントは以下の通り、ものづくりの継続性と次世代への繋ぎ方に焦点が当たりました。

  • 松尾氏:公正な価格で継続提供できるフェアトレード的な仕組みと、手仕事の背景価値の可視化にこだわる必要があると述べました。
  • 中井氏:日本の宇宙産業は打ち上げ本数や予算、人材面で課題があるため、異なるアプローチで次世代産業につなげる重要性を訴えました。
  • 酒井氏:CDCによって、コクヨでも地域密着型かつ柔軟なものづくりの仕組みを取り入れる可能性が見えてきたと振り返りました。

CDCプログラムは、2023年の第1弾(CDC2023)で「モノの開発」に取り組み、2024年の第2弾(CDC2024)では新たに「地域誘客」の視点を加え、生産現場公開やオープンファクトリー等を通じた体験要素を拡充しました。募集は合計2回行われ、結果として22事業が実装され、万博会場で来場者が実際に触れられる形で展開されています。

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登壇者・プロジェクトの整理と展示情報

本ピッチに登壇したナビゲーターと事業者、および万博関連の実装情報は以下の通りです。登壇者の略歴や役職も含めて整理します。

ナビゲーター
齋藤精一:EXPO共創プログラムディレクター。Expo Outcome Design Committee(EODC)代表。建築デザインをコロンビア大学で学び、2006年に(株)ライゾマティクス(現:(株)アブストラクトエンジン)を設立。2023年よりグッドデザイン賞審査委員長。
矢島進二:公益財団法人日本デザイン振興会 常務理事。グッドデザイン賞等のデザインプロモーションに関与し、大学での非常勤講師経験も有する。
登壇事業者
コクヨ株式会社(大阪府大阪市):国産材、地域材活用のための木製ベンチと組み立てワークショップ
&SPACE PROJECT(株式会社DOKASEN):宇宙ロケット試験用燃料タンクを用いたアップサイクル家具「宇宙タンクベンチ」等
株式会社友安製作所(大阪府八尾市):端材と廃材を活用した中庭スツールとテーブル(LIVE!SM)

会場内のフューチャーライフヴィレッジには、CDCを紹介する2台の展示台が設置されており、万博閉幕まで展示される予定です(※一時展示を行っていない場合あり)。万博の開催期間は2025年4月13日から10月13日までで、テーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」、サブテーマとして「いのちを救う」「いのちに力を与える」「いのちをつなぐ」を掲げています。会場西側(フューチャーライフゾーン)にFLVは位置しています。

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参考資料と関連リンク

本リリースには、登壇事業者の詳細を記載した別紙(d154689-15-1e3e1aecff220f228ac26d98780b78e8.pdf)への言及があります。体験企画の詳細や各種ツアー情報は以下のリンクで案内されています。

  • Co-Design Challenge(公式)
  • 体験企画参考(外部リンク): https://www.expo2025travel.jp/(複数の詳細ページがリリースに示されています)
「Co-Design Challenge Pitch #5」 イベントレポート「デザイン × ものづくりで日本の新しい価値を世界に広げる」――これからの日本のくらしをつくる22の挑戦―― 画像 9

要点の整理(表)と締めくくり

以下の表は、本記事で扱った主要事項を項目別に整理したものです。続く段落では表に示した情報を補足する形で本稿を締めます。

項目 内容
イベント名 Co-Design Challenge Pitch #5 ― デザイン × ものづくりで日本の新しい価値を世界に広げる
開催日 2025年9月22日(ピッチ) / リリース日: 2025年9月26日 17:00(Co-Design Challenge PR事務局)
開催場所 万博会場内フューチャーライフヴィレッジ(会場西側・フューチャーライフゾーン)
ナビゲーター 齋藤精一、矢島進二
登壇事業者(プロジェクト) コクヨ(地域木材ベンチ+ワークショップ)、&SPACE PROJECT(宇宙タンクベンチ等)、友安製作所(端材・廃材の中庭スツール/テーブル)
CDCの実装件数 22事業が万博で実装
万博開催期間 2025年4月13日〜10月13日(テーマ: いのち輝く未来社会のデザイン)
関連展示 フューチャーライフヴィレッジ内にCDC紹介の展示台2台(万博閉幕まで設置予定)
別紙・参考 d154689-15-1e3e1aecff220f228ac26d98780b78e8.pdf、公式サイト: https://www.expo2025.or.jp/co-creation-index/co-design-challenge/

5回にわたるピッチを経て、CDCは単なる展示ではなく、地域や産業、技術を横断する共創プログラムとしての輪郭が明確になりました。各プロジェクトは地域資源や廃材、職人技とデザインを接続し、万博という場で〈触れられるかたち〉に落とし込まれています。会期中は展示品に触れることで、それぞれの背景にある課題や取り組みを実感できる場となっており、万博のテーマである「いのち輝く未来社会のデザイン」に沿って、実装と体験を通じた学びの機会を提供しています。

参考リンク: