少数株ドットコム控訴 ハイアス旧経営陣の賠償争点
ベストカレンダー編集部
2025年9月28日 11:53
ハイアス旧役員控訴
開催日:9月28日
訴訟の経緯と東京地裁判決が認定した事実関係
少数株ドットコム株式会社は、2025年9月28日 10時00分に発表したリリースにおいて、株式会社ハイアス・アンド・カンパニーの旧経営陣を被告とする損害賠償請求訴訟に関し、東京地方裁判所民事第8部が2025年3月27日に言い渡した一審判決に対して控訴したことを公表しました。
東京地裁は一審判決において、旧経営陣が行ったと認定された行為の核心を「実態のない加盟店契約を利用した売上過大計上スキーム(不正会計)」であると明記しました。これにより会社法第355条が定める善管注意義務違反を認めた点が判決の重要な部分です。
- 一審で認定された不正の概要
- 実態のない加盟店契約を媒介とする売上の過大計上という会計上の不正スキームが存在したと認定されました。
- 賠償対象とされた費用の種類
- 第三者委員会費用、監査費用、違約金、弁護士費用などの一部が、旧役員らの責任に基づく損害として認定されました。
- 減額または排斥された項目
- 判決では、特定の費用について「重複」または「因果関係なし」と判断され、賠償額が減額あるいは一部排斥されました。
被告の当事者情報と会社名の変更
被告となっているのは旧経営陣を含む複数の個人であり、会社としての当該法人は現在、株式会社くふう住まいコンサルティングという商号で存続しています。代表取締役社長は新野 将司、所在地は東京都港区です。
社名変更や代表者情報は訴訟の背景を理解するうえで重要です。旧経営陣の行為が会社に与えた影響と、組織名や代表者の変遷が判決文の事実認定にどのように反映されているかが、審理の過程で確認されています。
控訴の理由と当社が主張する損害の範囲
少数株ドットコム株式会社は、一審判決の一部判断に対して不服があることを理由に控訴を選択しました。特に一審で減額・排斥された費用の扱いについて、当社は法的に争う必要があると判断しています。
当社の立場は明確であり、不正会計スキームによって不可避的に発生した各種対応費用は、本来すべて旧経営陣の任務懈怠に起因する損害であるという点にあります。この点を控訴審で再度立証する意向です。
- 主な争点
- 第三者委員会設置に伴う費用の損害性
- 監査費用および外部専門家費用の因果関係
- 違約金や弁護士費用の賠償責任の範囲
- 判決で指摘された重複支出の評価方法
- 当社の主張の要旨
不正会計に起因して生じた対応費用は、会社および株主の利益を回復するために不可欠だったと位置付け、これらを損害として完全に賠償すべきであると主張します。
一審判決で認められた不正会計自体の認定と、そこから派生する費用の因果関係を切り離して評価することは不適切であるとの見解を示しています。
一審で認められた損害と減額事由の具体的な関係
一審では第三者委員会費用や監査費用などが一部損害として認定される一方、同じ支出の中でも重複や因果関係の欠如を理由に減額・排斥された項目が存在します。
当社は、これらの減額判断が実務上の対応の必要性や被害回復のための正当な支出を十分に考慮していないと考えており、控訴審での再評価を求めています。
代表コメントと会社としてのガバナンス対応
当社代表取締役会長である山中 裕は、一審判決について「不正会計そのものは認定されたものの、その後に会社が負担せざるを得なかった費用の多くが減額された」とし、これらの費用を株主・会社の利益を守るために不可欠な支出として位置づけています。
代表はまた、今回の控訴を「ガバナンスの実効性を高め、少数株主の権利を守るための重要な一歩」との見解を示しています。発言は訴訟戦略の一部として、控訴の理由を説明するものです。
- 会社概要と統治に関する姿勢
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少数株ドットコム株式会社は、所在地を東京都練馬区、代表者を山中 裕とします。事業内容は委任状争奪などの会社支配権に関するコンサルティング、会社法関連の紛争対応アドバイザリー、創業家や資産家向けのファイナンシャルアドバイザリー、企業統治体制構築支援、ベンチャー投資などです。
同社は金融庁の「責任ある機関投資家のための原則」(日本版スチュワードシップ・コード)に準拠し、投資先企業のモニタリングや対話を実施しています。関連情報は会社ウェブサイトに掲載されています。
判決の影響、手続きの見通し、そして要点の整理
判決が認定した不正会計の事実関係は、企業統治の観点から重要な示唆を含みます。具体的には、役員の善管注意義務違反が認められたことで、同種の事案における損害賠償責任の範囲が裁判所により判断された点が大きな意味を持ちます。
一方で、費用の減額・排斥が示したように、実際に発生した費用の損害性をどのように評価するかが当面の争点となります。控訴審では因果関係の立証方法、支出の必要性、重複の有無といった点が詳細に審理されることが想定されます。
項目 | 内容 |
---|---|
発表者 | 少数株ドットコム株式会社(代表取締役会長 山中 裕) |
発表日時 | 2025年9月28日 10時00分 |
被告 | 株式会社ハイアス・アンド・カンパニー旧経営陣(現 株式会社くふう住まいコンサルティング、代表 新野 将司) |
第一審判決日 | 2025年3月27日(東京地方裁判所民事第8部) |
一審の主要認定 | 実態のない加盟店契約を利用した売上過大計上スキームを不正会計として認定、会社法第355条違反を認定 |
認定された損害の例 | 第三者委員会費用、監査費用、違約金、弁護士費用などの一部 |
一審での減額事由 | 費用の重複、因果関係の欠如などを理由に一部を減額・排斥 |
当社の対応 | 一部判断に不服として控訴。株主補助参加(会社法第849条)等の枠組みを通じて手続きを継続 |
会社ウェブサイト | https://www.shosukabu.com/ |
上表は本件に関する主要事項を整理したものであり、判決の事実認定、認定された損害の範囲、一審での減額理由、当社の控訴の意図および会社の基本情報をまとめています。控訴審ではこれらの点についてさらに審理が行われ、損害賠償の範囲や金額の最終的な評価が争われることになります。
以上が発表内容の要点と整理です。本件は株主権利保護や企業統治に関わる重要な争点を含んでおり、今後の手続きと裁判所の判断が引き続き注目されます。
参考リンク: