「涙目シール」受賞 ファミマの食品ロス削減効果とは

涙目シール受賞

開催日:9月29日

涙目シール受賞
涙目シールって何?
値下し用のシールに「たすけてください」と涙目キャラを添え、単なる値引き表示でなく消費者の共感を誘って値下商品の購入心理のハードルを下げ、食品ロス削減を図る店頭コミュニケーション施策です。
どれくらい食品ロスが減るの?
実証実験(2024年10月)で購入率が向上し、2025年3月から全国展開。全店実施の試算では年間約3,000トンの食品ロス削減につながる可能性があると見積もられています。

消費者の共感を軸に評価された取り組み――第34回「食品安全安心・環境貢献賞」受賞の意義

株式会社ファミリーマート(本社:東京都港区、代表取締役社長:細見研介)は、2025年9月29日付の発表で、「第34回 食品安全安心・環境貢献賞」を受賞したと公表しました。本賞は主催が日本食糧新聞社で、農林水産省・環境省が後援するもので、食品産業における安全・安心や環境保全に関する先駆的な取り組みを評価するものです。

今回の受賞は、ファミリーマートが掲げる5つのキーワードのうち「食の安全・安心、地球にもやさしい」を実際の施策に落とし込み、食品ロス削減に具体的な成果を示した点が高く評価されました。主に評価の対象となったのは、消費者とのコミュニケーションを重視した「涙目シール」と、それを支える運用・拡張の仕組みです。

参考:「食品安全安心・環境貢献賞」関連ページ https://info.nissyoku.co.jp/modules/general/view.php?id=65

年間3000トンの食品を救う「涙目シール」「第34回 食品安全安心・環境貢献賞」を受賞!お客さまとの”共感”が受賞の決め手に 画像 2

「涙目シール」とは何か――仕組みと心理に働きかけるデザイン

「涙目シール」は、値下げ販売を行う際に単に割引金額を示すだけでなく、シール上に「お客さまの心に響くメッセージ」とキャラクターを添えることで、消費者の共感を喚起し、値下げ商品の購入を促すことを目的とした取り組みです。

具体的には、値下しに用いるシールに「たすけてください」というメッセージと「涙目」と呼ばれるキャラクターを併記するデザインを採用しています。キャラクターと短い呼びかけで消費者に直接語りかけることで、値下商品の購入に対する心理的ハードルを下げ、食品ロス削減につなげる狙いです。

年間3000トンの食品を救う「涙目シール」「第34回 食品安全安心・環境貢献賞」を受賞!お客さまとの”共感”が受賞の決め手に 画像 3

実証実験と全国展開

ファミリーマートは2024年10月に実証実験を実施し、従来のシールと比較して購入率が向上したことを確認しました。この実証結果を踏まえ、2025年3月に「涙目シール」を全国の店舗で導入開始しました。

全国展開の効果を試算した結果、同取り組みを全店で実施することで年間約3,000トンの食品ロス削減につながる可能性があると見積もられています。この数値は、日常の小売業務におけるロス削減としては大きなインパクトをもたらすものです。

店頭とデジタルを組み合わせた継続的なアプローチ

「涙目シール」は単体での導入に留まらず、店頭のレジ液晶画面や店内のデジタルサイネージ「Family Mart Vision」を活用して、涙目キャラクターが食品ロス削減を呼びかける形で継続的に消費者の意識向上を図っています。デジタルと物理の双方を組み合わせることで、メッセージの伝達力を高める工夫がなされています。

消費者からは「値下商品の購入は恥ずかしいが、助けるためだと思えれば購入できる」といった声が聞かれ、心理面での障壁を下げる効果が示唆されています。販売行動の変化は、単なる価格誘導ではなく感情面の共感を通じた行動変容である点が本取り組みの特徴です。

  • 値下しシールに「たすけてください」と涙目キャラクターを併記
  • 2024年10月の実証実験で購入率向上を確認
  • 2025年3月から全国展開開始
  • 店内デジタルサイネージやレジ画面とも連動

ファミリーマートの食品ロス対策と「ファミマecoビジョン2050」

ファミリーマートは中長期の環境目標として「ファミマecoビジョン2050」を策定しており、その中で「温室効果ガス(CO2排出量)の削減」「プラスチック対策」「食品ロス削減」を主要テーマに設定しています。持続可能な社会の実現に向けて、それぞれに数値目標を掲げながら取り組みを進めています。

食品ロス削減については、特に店舗での実践を重要視しており、これまでにも以下のような施策を展開してきました。

  1. 商品包装の改良によるロングライフ化(商品の品質保持を目指す包装設計の見直し)
  2. 発注精度の向上(需要予測や発注システムの改善)
  3. 「てまえどり」の継続実施(陳列方法の工夫で早期販売を促進)
  4. 店舗値下システム「ファミマのエコ割」(2021年7月導入)——消費期限が迫った中食商品にバーコード付き値下シールを貼る運用で、全国の9割以上の店舗で活用されている

こうした既存施策と「涙目シール」のような消費者心理を活用した取り組みを併用することで、2030年までに50%、2050年までに80%の食品ロス削減を目標に据えています。

関連情報はファミリーマートのサステナビリティページでも公開されています。https://www.family.co.jp/sustainability.html

補足情報と公開リンク

今回の受賞や取り組みに関する公表では、具体的な日付や実施状況が明記されています。プレスリリースは2025年9月29日 10時42分に発表されており、また「涙目シール」の全国展開は2025年3月から開始されています。

また、ファミマの環境目標や取り組みの詳細は以下のページで確認できます。

要点の整理

この記事では、ファミリーマートが「第34回 食品安全安心・環境貢献賞」を受賞した背景と、評価対象となった食品ロス削減施策「涙目シール」、および同社の中長期的な環境目標「ファミマecoビジョン2050」における位置づけについて整理しました。以下の表に主要な事実を要約します。

項目 内容
発表企業 株式会社ファミリーマート(本社:東京都港区、代表取締役社長:細見研介)
プレスリリース日時 2025年9月29日 10時42分
受賞 第34回 食品安全安心・環境貢献賞(主催:日本食糧新聞社、後援:農林水産省・環境省)
評価のポイント 「消費者の共感を軸とした食品ロス削減への挑戦」としての革新性および実効性
主要施策 「涙目シール」(値下シールに「たすけてください」と涙目キャラクターを併記)
実証実験 2024年10月実施、従来シールに比べ購入率向上を確認
全国展開開始 2025年3月から
推定削減効果 全国展開で年間約3,000トンの食品ロス削減見込み
既存の取り組み 包装改良、発注精度向上、てまえどり、店舗値下システム「ファミマのエコ割」(2021年7月導入、全国の9割以上で活用)
中長期目標(ファミマecoビジョン2050) 2030年に50%削減、2050年に80%削減を目標(テーマ:CO2削減、プラスチック対策、食品ロス削減)
関連リンク https://www.family.co.jp/sustainability.html

まとめとして、今回の受賞は消費者の感情に働きかけるデザインと店頭・デジタルの連携による実効性が評価された結果であり、既存の運用システムや中長期目標と整合させながら、具体的な食品ロス削減につながる施策として位置付けられます。今後もこうした取り組みが他の小売事業者や業界全体の実務に示唆を与える可能性がある点は注目に値します。

参考リンク: