アビーム×MOTER提携で変わるフリート保険の実務
ベストカレンダー編集部
2025年9月29日 12:27
アビームとMOTER業務提携
開催日:9月29日
モビリティのリスク管理に新たな選択肢を提示
アビームコンサルティング株式会社とMOTER Technologies, Inc.が戦略的業務提携を開始したことが、2025年9月29日11時00分に公表されました。今回の提携は、モビリティ産業におけるリスクマネジメントと保険サービスの新たな価値創出を通じて、安心・安全で持続可能なモビリティ社会の実現に寄与することを目的としています。
提携の当事者は、アビームコンサルティング(本社:東京都中央区、代表取締役社長:山田 貴博)と、あいおいニッセイ同和損害保険株式会社の米国子会社であるMOTER Technologies, Inc.(本社:米国カリフォルニア州、CEO:藤井 謙治)です。両社は各々の強みを持ち寄り、モビリティ領域における次世代の保険関連サービスとリスクコンサルティングモデルを共同で構築します。
提携の目的と位置づけ
本提携の核心は、業務用車両を保有するフリート事業者向けに、リスクマネジメントを起点とした事業運営の効率化とサービス高度化を実現する総合コンサルティングモデルを構築する点にあります。MOTERの先進的な車載デバイスやデータ解析、保険業務オペレーション能力に対し、アビームは戦略構想から導入、業務設計、運用支援、事業化まで一貫したコンサルティングを提供します。
この連携により、単なる技術導入ではなく、経営課題解決や社会的価値の創出を見据えた実効性の高いソリューション提供が可能となります。日本市場の特性に即した展開を行い、フリート運営コストの最適化や保険料設計への新たなアプローチを進めます。
- 発表日:2025年9月29日 11時00分
- アビームコンサルティング:本社 東京都中央区、代表取締役社長 山田 貴博
- MOTER Technologies, Inc.:本社 米国カリフォルニア州、CEO 藤井 謙治
市場背景と求められるリスク管理の再定義
近年のモビリティ産業は電動化、自動運転、コネクテッドカー、シェアリングなど新技術の進展により産業構造の転換期を迎えています。特に日本市場においては人口減少や若年層の車離れによる市場縮小、部品や人件費の高騰によるフリート運営コスト上昇など、構造的な課題が顕在化しています。
業務用車両を保有する企業に対しては、従業員の安全運転教育やリスク管理が企業の社会的義務として重視されており、限られたコスト・リソースのなかで複雑化するリスクに対応する必要があります。こうした状況下で、多様化するニーズに応えるためにリスク管理のあり方自体を再定義することが求められています。
日本市場が抱える具体的課題
日本におけるフリート運営では、コストの上昇とともに安全管理の高度化、事故発生時の迅速な対応、保険コストの最適化が重要な経営課題となっています。従来のGセンサー中心の評価では捉えきれない運転挙動や視覚的なリスク要因の把握が必要です。
本提携は、こうした課題を背景に、テクノロジーとコンサルティングの融合によって、企業の経営課題解決と社会的安全性の向上を同時に目指す点に特色があります。
- 電動化・自動運転への適応
- 市場縮小とコスト上昇への対処
- 従業員の安全運転教育とリスク管理の強化
技術連携の中身と提供されるソリューション
MOTERが提供するのは、画像認識機能を備えた車載デバイス、エッジコンピューティングを活用したリアルタイム解析、ドライブレコーダー映像と連動する高度な運転スコアリングなど、先進的なモビリティソリューションです。これらのデータを保険商品の設計から運用まで支援するシステムへと連携します。
アビームコンサルティングは、こうした技術を日本のフリート事業者へ展開するため、戦略策定、導入コンサルティング、業務設計、運用支援、事業コンサルティングまで一貫して担い、実務に沿った導入と運用の定着を支援します。
MOTERの技術特性と背景
MOTERは、ソフトウェア・ファーストの概念に基づき保険ソフトウェアの研究開発を行うため、2021年4月にあいおいニッセイ同和損害保険の100%出資子会社として米国カリフォルニア州に設立されました。エッジコンピューティングやコンピュータビジョンを活用した車載可能な保険ソフトウェアの開発を進めています。
同社の技術は、EVや自動運転車両に対応した次世代型保険商品・サービスの基盤として設計されており、デバイスレベルでの処理・分析能力を特徴としています。
- 車載デバイス
- 画像認識機能を備え、ドライブレコーダー映像の取得と初期解析をデバイス側で実行します。
- エッジコンピューティング
- デバイス側でのリアルタイム処理により通信帯域・遅延の課題を低減し、即時の運転評価や警告が可能です。
- データ連携と保険運用
- 取得データを基に保険商品の設計や運用支援システムへ連携することで、保険料設計やリスク評価の精度向上を図ります。
導入がもたらす価値と期待効果
MOTERのソリューションは、従来のGセンサーベースの運転評価を超え、ドライブレコーダー映像とエッジ解析を組み合わせた多角的な運転スコアリングを可能にします。これにより、納得感と実効性の高い運転指導やコンサルティングが提供でき、自動車保険料をはじめとする総合的なコスト削減に貢献します。
さらに、運転データを活用したドライバーコーチング、リスク管理、フリート運用の効率化、事故リスクの可視化と保険コストの最適化といった具体的サービスを展開します。将来的には、取得データを基にした保険商品の設計や次世代プログラムの開発も目指されます。
事業者・社会にもたらす影響
総合的なリスクコンサルティングを提供することで、単にコスト効率化を図るだけでなく、経営課題の解決や社会的価値創出に向けた戦略策定を支援し、企業の競争力強化を後押しします。
また、運転行動の可視化と評価により事故リスク低減や安全運転促進が期待され、ドライバー・企業・社会全体の安全性向上にも寄与します。加えて、ソフトウェアデファインドビークル(SDV)普及を見据えたエコシステム構築にも取り組むとされています。
期待効果 | 対象 |
---|---|
事故リスクの可視化と低減 | ドライバー、企業、社会 |
保険料最適化とコスト削減 | フリート事業者 |
運用効率化と業務・事業支援 | 企業の経営層と運用部門 |
提携の要点を整理
本提携は、MOTERの先進的な車載デバイス・解析技術とアビームコンサルティングの戦略・業務ノウハウを融合させ、業務用車両を中心としたフリート事業者に対する新しいリスクマネジメントおよび保険関連サービスの提供を目指すものです。日本市場に適合させるための導入支援や運用定着まで含めた総合的な支援体制が構築されます。
以下の表は本記事で扱った主要な情報を整理したものです。提携の目的、提供される技術・サービス、期待効果、関連会社情報などを明確にまとめています。
項目 | 内容 |
---|---|
発表日時 | 2025年9月29日 11時00分 |
提携企業 | アビームコンサルティング株式会社(本社:東京都中央区、代表:山田 貴博) MOTER Technologies, Inc.(本社:米国カリフォルニア州、CEO:藤井 謙治) |
提携の目的 | フリート事業者向けリスクマネジメントを起点とした総合コンサルティングモデルの構築と次世代保険サービスの提供 |
MOTERの技術 | 画像認識搭載車載デバイス、エッジコンピューティング、ドライブレコーダー映像解析、保険運用支援システム |
アビームの役割 | 戦略策定、導入コンサルティング、業務設計、運用支援、事業コンサルティング |
主要提供価値 | 高精度な運転スコアリング、ドライバーコーチング、事故リスクの可視化、保険コスト最適化 |
期待効果 | コスト効率化、経営課題の解決、競争力強化、安全性向上、SDVエコシステム構築の基盤整備 |
企業情報・参照 | アビームコンサルティング:https://www.abeam.com/jp/ja ニュース一覧:https://www.abeam.com/jp/ja/news/ |
MOTERの設立背景 | 2021年4月設立、あいおいニッセイ同和損害保険の100%出資による米国子会社として保険ソフトウェアの研究開発を推進 |
今回の提携は、技術とコンサルティングを組み合わせることで、事業者側のリスク管理と保険設計の在り方に具体的な変化をもたらすことが期待されます。両社の連携によって生成される運用ノウハウとデータは、フリート運営の実務改善や保険商品の高度化につながる見込みです。
参考:アビームコンサルティング ニュースページ https://www.abeam.com/jp/ja/news/ および 会社情報 https://www.abeam.com/jp/ja
参考リンク: