Entaarへジェネシアがリード出資、AIでIT企画を革新
ベストカレンダー編集部
2025年9月29日 12:36
Entaar プレAラウンド出資
開催日:9月29日

ジェネシア・ベンチャーズがEntaarのプレシリーズAラウンドをリード出資
出資の概要と発表日時
株式会社ジェネシア・ベンチャーズは、運用するGenesia Venture Fund 4号(GV-4)より、株式会社EntaarのプレシリーズAラウンドにリード投資家として出資したと、2025年9月29日9時10分に発表しました。出資の決定および発表は同日付のプレスリリースで公表されており、出資の背景やEntaarの事業計画、資金の使途が明示されています。
本出資は、エンタープライズ向けIT投資データベースとそれに付随するプロフェッショナルサービスを提供するEntaarに対するもので、出資元であるジェネシア・ベンチャーズ代表取締役/General Partnerの田島聡一氏、Investment Managerの黒崎直樹氏が関与しています。発表には、Entaar代表取締役の齋藤大和氏に関する評価や今後の期待についても言及されています。
関係者と会社概要(要点)
出資を行ったのは株式会社ジェネシア・ベンチャーズ(本社:東京都渋谷区)。Entaarは東京都港区を拠点とするスタートアップで、代表取締役は齋藤大和氏です。Entaarは2024年5月設立で、事業は大企業向けのIT投資データベースシステムの開発・提供および導入前後のプロフェッショナルサービスを中核としています。
両社の公式Webページや拠点情報は以下のとおりです。ジェネシア・ベンチャーズのWebはhttps://www.genesiaventures.com/、Entaarのソリューション紹介はhttps://entaar.com/solutionで確認できます。
Entaarの提供するソリューションの全体像
IT投資データベースと蓄積されるナレッジ
Entaarの中核サービスは、各顧客企業ごとに構築する専用のIT投資データベース(以下:Entaarデータベース)です。ここには、自社のIT資産・契約情報・プロジェクト情報・過去の検討資料・問い合わせ履歴など、IT企画業務に関連するあらゆる情報を集約します。
データベースは単なるデータの倉庫に留まらず、Entaarのエグゼキューションサービスを通じて取得された知見や検討履歴が蓄積される仕組みになっています。これにより、企業内のIT投資・企画業務に関するナレッジが体系化・標準化され、過去の検討履歴が横断的に参照可能になる点が特徴です。
AIエージェントと業務自動化の仕組み
Entaarは、蓄積されたデータを基にIT企画業務に特化したAIエージェントを提供します。AIエージェントは、ユーザーである顧客企業のIT部門担当者が自社のIT投資ポートフォリオを可視化・分析したり、システム更改計画やROI試算を自動化したりするための支援を行います。
具体的な支援機能としては、RFPやシステム更改計画の作成支援、ROI試算の自動化、ベンダーへの問い合わせ・見積取得プロセスの半自動化、IT実務者向けの壁打ち・相談機能などが挙げられます。これらは、エンタープライズのIT企画プロセスを効率化すると同時に、意思決定の質を向上させることを目的としています。
- Entaarデータベースに蓄積される主な情報
- IT資産台帳、契約情報、プロジェクト履歴、過去の検討資料、問い合わせ・対応履歴、見積り情報など。
- AIエージェントの主な機能
- ポートフォリオ可視化、ROI試算自動化、RFP支援、ベンダー対応半自動化、IT実務の相談・壁打ち。
調達資金の使途と成長戦略
資金の具体的な用途
プレスリリースでは、今回の調達資金の用途が三つに整理されています。第一に既存サービスの強化です。足元の重点は、IT実務者向けのエグゼキューションサービスの普及と、それを通じて構築されるIT企画業務特化型のAIエージェントの提供です。
第二に採用の強化で、開発(特にプロダクトマネージャーを含む全方位)、事業開発、営業責任者の採用を拡充する予定と明示されています。採用職種の一覧は公表されており、募集詳細は以下のリンクから確認できます。
他領域参入とマーケットプレイス構想
第三に、EntaarはITエグゼキューションサービスで得た顧客リレーションやデータを活かし、他領域への参入を目指す計画です。具体的には「テクノロジー経済圏の再構築」をミッションに掲げ、独自のリレーションを活用した収益性の高いITマーケットプレイス事業を展開する意向を示しています。
また、旧来の硬直化したITディストリビューター市場のアップデートにも挑戦するとしており、既存の市場構造を見直す取り組みが資金使途の一部となっています。
出資の背景とエンタープライズIT市場が抱える課題
既存システムのブラックボックス化という課題
多くのエンタープライズ企業の情報システム部門・IT企画部門では、事業部門や子会社ごとに異なるSIer/ベンダーに外注が行われた結果、IT資産や構成が複雑化し、全体像が把握できないケースが散見されます。過去の検討履歴が横断的にデータベース化されていないため、IT投資計画は前年踏襲や場当たり的な予算積み上げに留まりがちです。
このような状況では、投資の妥当性や戦略的優先度を評価するための情報基盤が欠けており、DXからAX(AIトランスフォーメーション)への時代変化を控えた企業にとって、現状(As-is)の情報整理ニーズは今後さらに高まると想定されます。
投資家側の評価と期待
ジェネシア・ベンチャーズ側は、エンタープライズIT領域が国内SaaS市場の数倍・数十倍の規模を有すること、既存システム群の管理難易度の高さ、AXや専門人材不足といった時代変化が新しい事業機会を生む点を出資判断の背景として挙げています。
また、Entaar代表の齋藤大和氏については、アスエネ・メドレー出身で高い営業実績を残して起業に至った実践派の人物であり、エンタープライズ領域における領域知見や営業力に基づくFounder-Market-Fitを強く感じると評価しています。出資を通じてチームEntaarが今後10年のエンタープライズIT領域の新しい在り方を提示する可能性を期待している旨がプレスリリースに記されています。
要点の整理と主要情報のまとめ
以下の表は、本記事で取り上げた発表の主要点を分かりやすくまとめたものです。資金調達の概要、Entaarの事業内容、資金使途、主要関係者や参照リンクなどを一覧で示します。
項目 | 内容 |
---|---|
発表日 | 2025年9月29日 09:10(プレスリリース発表日時) |
出資者(リード) | 株式会社ジェネシア・ベンチャーズ(Genesia Venture Fund 4号) |
投資先 | 株式会社Entaar(プレシリーズAラウンド) |
Entaar代表 | 齋藤 大和(代表取締役CEO) |
Entaar所在地・設立 | 東京都港区虎ノ門2-2-1 住友不動産虎ノ門タワー6F/設立:2024年5月 |
Entaar事業概要 | 大企業向けIT投資データベースシステムの開発・提供および導入前後のプロフェッショナルサービス事業 |
資金使途(主な項目) | 1) 既存サービス強化(AIエージェント含む) 2) 採用強化(開発・PdM、事業開発、営業責任者等) 3) 他領域参入(ITマーケットプレイス構想、ディストリビューター市場のアップデート) |
採用情報 | https://herp.careers/v1/entaarinc |
関連リンク(出資者) | https://www.genesiaventures.com/ |
以上が発表内容の要点と整理です。本件は、既存システムのブラックボックス化というエンタープライズITが抱える課題に対して、データベース化とAIエージェントによる業務自動化を組み合わせたソリューションで応える試みであり、出資側は市場規模と創業者の実績を評価してリード出資を行っています。発表文に含まれる会社情報やリンクは、上記の表と本文中に示したとおりです。
参考リンク: