iPSポータルとステムセル、臍帯血由来iPSで共同研究を開始

臍帯血iPS共同研究開始

開催日:9月30日

臍帯血iPS共同研究開始
自家臍帯血由来のiPSって何がいいの?
本人由来なので免疫適合性が高く拒絶反応リスクが低い点が最大の利点。臍帯血は出生直後で細胞が若くゲノム変異やエピジェネティック変化が少ないため、より均質で安全性の高いiPS細胞が期待される。
このサービスっていつから使えるの?
今回の発表は両社の共同研究開始の告知で、一般向けサービスの提供開始日は未定。まずは製造・保管プロセスや品質管理、法規対応の検証を経て事業化時期が示される見込み。

自家臍帯血由来iPS細胞の共同研究が始動 — 両社の役割と発表日時

2025年9月30日10時00分、株式会社iPSポータル(本社:京都市左京区、代表取締役社長 小林正和)と株式会社ステムセル研究所(本社:東京都港区、代表取締役社長 清水崇文、東証グロース:7096)は、自家臍帯血由来iPS細胞の製造および保管、並びに臨床応用に関する共同研究契約を締結し、共同研究を開始することを発表しました。本共同研究は、保管された臍帯血を起点としたiPS細胞の確実な製造と、あらかじめ製造したiPS細胞の長期保管を可能にするサービス実現を目指すものです。

発表文では、iPSポータルが持つ自家細胞由来iPS細胞の製造および臨床開発の実績と、ステムセル研究所が持つ臍帯血採取・長期保管のノウハウを結び付けることで、 自家臍帯血由来iPS細胞の実用化に向けた技術と運用の両面を同時に推進する方針が明記されています。両社の協働により、新たな医療スキームの構築が期待されます。

共同研究の狙いと範囲

共同研究は主に次の二つの柱で構成されます。ひとつは、長期保管された臍帯血から確実にiPS細胞を作製するための製造プロセスの開発、もうひとつは、あらかじめ作製したiPS細胞を安全に保管・管理する仕組みの構築です。両社はそれぞれの専門性を持ち寄り、実用化に向けた技術検証および事業スキームの設計を行います。

発表には、臨床利用を見据えた品質管理、トレーサビリティ、法規制対応など、臨床応用に不可欠な要素の検討も含まれる旨が記載されています。これにより、製造から保管までの一貫したサービスの提供を目指します。

臍帯血由来iPS細胞の技術的意義 — 生物学的利点と安全性

iPS細胞はあらゆる体細胞から誘導可能で、再生医療や新規治療法の開発において有望な細胞資源です。とりわけ自家由来のiPS細胞は、患者本人の細胞が起源であるため免疫学的適合性が高く、他者由来の細胞に伴う免疫拒絶のリスクを回避しやすい点が強調されています。発表では、この免疫学的優位性が臨床応用における決定的な利点であると説明されています。

さらに臍帯血由来の細胞には特有の利点があります。臍帯血は出生直後に採取されるため、細胞が生物学的に若く、成人由来の体細胞と比較してゲノム変異の蓄積やエピジェネティックな修飾が少ないと考えられます。これにより、ゲノム安定性が高く、より均質で安全性の高いiPS細胞製造が期待されます。

技術的検討項目と定義

発表では、ゲノム変異およびエピジェネティック修飾に関する説明が添えられています。これらはiPS細胞の安全性・品質評価に直結する重要な観点です。共同研究では、これらの評価基準や検査方法の最適化も検討対象とされます。

ゲノム変異
細胞が分裂を繰り返す過程などでDNA配列に生じる変化を指します。遺伝情報の誤りや欠損・置換などが含まれ、細胞の性質に影響を及ぼす場合があります。
エピジェネティック修飾
DNAの配列自体は変化しないものの、化学的修飾によって遺伝子の働きが変わる現象を指します。加齢や環境要因によって蓄積することが知られています。

事業的意義と想定されるスキーム — さい帯・臍帯血保管サービスとの連携

両社の取り組みにより、ステムセル研究所が提供するさい帯・臍帯血の保管サービス利用者が、将来的にiPSポータルのiPS細胞製造サービスを活用して治療アクセスする仕組みが期待されています。発表文はこの点を明確に示しており、保管からiPS細胞作製、保管、臨床応用に至るまでの連携スキームを念頭に置いた共同研究であると述べています。

このスキームは、個人が出生時に採取・保管した臍帯血を長期的な医療資源として活用するための道筋を示します。事業化にあたっては、品質管理基準の確立、法規制との整合性、患者情報の管理といった実務面の整備が必要とされます。

関連する事業基盤と提携の強み

ステムセル研究所は、産婦人科施設とのネットワークを活用した周産期組織由来の細胞バンク事業を展開しており、その事業基盤は再生医療やフェムテック等の関連領域での事業展開・投資を支えるものです。一方、iPSポータルはiPS細胞やゲノム編集技術などを取り入れたCell-Techを通じ、創薬や再生医療のみならず生活習慣病予防や健康美容分野など幅広い応用を視野に入れた事業化を目指しています。

両社の強みを融合させることで、安全性と実現可能性の高いサービスの設計が可能になるとされています。共同研究では、これらの基盤を活かした具体的な研究課題と運用方針を策定していくことが示されています。

企業情報・連絡先・キーワード整理

以下に、プレスリリースに含まれる企業情報、連絡先、関連キーワードを整理します。本文中の数値・日付・連絡先は発表資料に基づいた情報です。

記事末尾には、発表内容の要点を表形式で整理したまとめを掲載します。まずは両社の公式情報と問い合わせ先、主要キーワードの一覧を示します。

株式会社iPSポータル(概要)

  • 設立年月日:2014年7月31日
  • 資本金等:8億3,100万円(資本金9,900万円、資本準備金7億3,200万円)
  • 代表取締役社長:小林 正和(こばやし まさかず)
  • 本社所在地:京都市左京区田中門前町103番地5 ルイ・パストゥール医学研究センタービル
  • TEL:075-707-1057
  • ホームページ:https://ipsportal.com/
  • 問い合わせ(報道関係):経営戦略部 TEL:075-707-1057 / MAIL:RSD@ipscell-portal.com

株式会社ステムセル研究所(概要)

  • 設立年月日:1999年8月5日(東証グロース上場:7096)
  • 資本金:7億480万円
  • 代表取締役社長:清水 崇文(しみず たかふみ)
  • 本社所在地:〒105-0001 東京都港区虎ノ門1-21-19 東急虎ノ門ビル2階
  • TEL:03-6811-3230
  • ホームページ:https://www.stemcell.co.jp/corporate/
  • グループ会社:STEMCELL INNOVATIONS PTE. LTD.(シンガポール)、株式会社ミルケア
  • 問い合わせ(報道関係):総合企画本部 TEL:03-6811-3235 / MAIL:ir@stemcell.co.jp

主要キーワード

  • iPS細胞
  • 再生医療
  • さい帯血(臍帯血)
  • 臨床応用
  • ゲノム安定性
  • エピジェネティクス
  • 医療・病院/医薬・製薬分野の事業連携

発表内容の要点整理(表)

以下の表は、本プレスリリースに記載された主要項目を整理したものです。重要な数値、連絡先、目的などを一覧にまとめています。

項目 内容
発表日時 2025年9月30日 10時00分
発表主体 株式会社iPSポータル(京都市、代表 小林正和)/株式会社ステムセル研究所(東京都、代表 清水崇文)
共同研究の目的 保管臍帯血からのiPS細胞製造・保管サービスの実現、臨床応用の検討
技術的意義 自家由来iPS細胞による免疫学的適合性の確保、臍帯血由来細胞の生物学的若さによるゲノム安定性の期待
iPSポータル:設立・資本 設立:2014年7月31日、資本金等:8億3,100万円(資本金9,900万円、資本準備金7億3,200万円)
ステムセル研究所:設立・資本 設立:1999年8月5日(東証グロース:7096)、資本金:7億480万円
連絡先(iPSポータル) TEL:075-707-1057 / MAIL:RSD@ipscell-portal.com / https://ipsportal.com/
連絡先(ステムセル研究所) TEL:03-6811-3235 / MAIL:ir@stemcell.co.jp / https://www.stemcell.co.jp/corporate/
関連事業基盤 ステムセル研究所:産婦人科施設ネットワークによるさい帯・臍帯血の保管サービス。iPSポータル:iPS細胞製造・臨床開発の実績

本記事は、両社が公表したプレスリリースの内容を忠実に整理したものです。共同研究は臨床利用を意識した技術検討と事業スキームの確立を目的としており、臍帯血由来iPS細胞の製造・保管・運用に関する具体的な検討項目が含まれています。報道関係の問い合わせ先は上記の通りです。すべての画像素材やプレスリリース資料のダウンロードに関する案内は、各社の公式発表ページを参照ください。