約9割が成功と実感、キャラクターIPのROI測定課題
ベストカレンダー編集部
2025年9月30日 10:32
キャラクターIP効果測定調査
開催期間:8月29日〜8月30日

キャラクターIP施策の現状:高い成功実感と測定の課題が同居する実態
エイスリーグループ(株式会社エイスリー、株式会社A3X)は、BtoC向け商品・サービスを展開する企業のマーケティング責任者・担当者のうち、過去1年以内にキャラクターIPを起用した施策に企画立案・運用で携わった111名を対象に、キャラクターIP効果測定の実態調査を実施しました(調査期間:2025年8月29日〜8月30日、調査委託先:株式会社IDEATECH)。本稿では、その主要な調査結果を整理し、データが示す現状と今後想定される企業側の対応について報告します。出典:エイスリーグループ調べ(出典URL:https://www.a3corp.jp/2025/07/31/307/)。
調査結果の概要として、87.4%がキャラクターIP起用施策を「成功した」と評価している一方で、ROI(費用対効果)を十分に把握できていなかったと回答した割合は13.5%にのぼります。成功実感と効果測定の不均衡が示すのは、施策の定性的評価や売上などの直接指標による満足感と、投資対効果を定量的に評価するための仕組みが十分に整備されていない現場のギャップです。

調査対象と方法のポイント
本調査は自社調査で、対象はBtoC向け商品・サービスのマーケティング責任者・担当者のうち、過去1年以内にキャラクターIPを使用した企画立案・運用に携わった111名の有効回答を基にしています。なお、合計を100%とするため一部の数値について端数処理を行っており、実際の計算値と若干の差異が生じる場合があります。
調査期間は短期間(2日間)で集中的に行われていますが、対象者の経験が直近1年以内に限定されているため、最近のマーケティング実務の状況を反映するデータと判断できます。詳細資料は資料請求ページで入手可能です(https://www.a3corp.jp/document/)。

施策の目的と選定理由:ブランド・SNS・売上が上位に並ぶ
キャラクターIPを起用した主な目的は多岐にわたりますが、複数回答の結果からは「ブランドイメージの向上」(51.4%)が最多で、次いで「SNSでの話題化・拡散」(48.6%)、「売上・販売数の増加」(45.9%)が続きます。これらはいずれもマーケティング上の主要目的であり、キャラクターIPが幅広い目的に利用されていることを示しています。
施策目的の内訳は以下の通りです。ブランドや認知拡大、既存顧客のロイヤリティ、競合との差別化など、狙いに応じてキャラクターの活用法が選ばれている点が読み取れます。
- ブランドイメージの向上:51.4%
- SNSでの話題化・拡散:48.6%
- 売上・販売数の増加:45.9%
- 商品・サービスの認知拡大:38.7%
- 新規顧客層の開拓:34.2%
- 既存顧客のロイヤリティ向上:21.6%
- 競合他社との差別化:9.0%

IP選定の決め手とデータドリブン化の兆し
IPを選定する際の最も大きな決め手は「自社顧客とIPファン層の属性データの一致度」(57.7%)でした。外部専門家のアドバイス(46.8%)や競合他社の活用実績(45.0%)も高く、勘や経験だけでなくデータや第三者の知見を取り入れた意思決定が進んでいることが示唆されます。
選定理由の詳細は以下の通りです。過去の成功事例や社内の直感・経験則、IP権利元からの提案や予算との兼ね合いも考慮されますが、属性データの一致が最重視される点が特徴的です。
- 自社顧客とIPファン層の属性データの一致度:57.7%
- 外部専門家のアドバイス:46.8%
- 競合他社の活用実績:45.0%
- 過去の成功事例データ分析:31.5%
- 社内の直感・経験則:24.3%
- IP権利元からの提案:16.2%
- 予算との兼ね合い:9.9%

効果測定の実態:約9割がROIを把握する一方で測定不能の課題も顕在化
ROI把握については「明確に把握できていた」が27.9%、「ある程度把握できていた」が57.7%であり、合計すると85.6%がROIを把握できていたと回答しました。これは多くの企業が施策の効果を意識していることを示します。
しかし同時に「あまり把握できていなかった」(11.7%)と「全く把握できていなかった」(1.8%)を合わせると13.5%がROI未把握であり、その理由として「測定に必要なツールや仕組みがなかったから」(46.7%)、「起用による直接的な効果の切り分けが困難だったから」(40.0%)、「効果が長期的で測定期間が定めにくかったから」(33.3%)などが挙がっています。

ROI未把握の詳細要因
ROIを把握できなかった層(n=15)への複数回答では、測定ツール・仕組みの欠如が最大のボトルネックでした。効果の切り分けや期間設定の難しさ、社内評価基準の未整備、測定コストの高さも挙げられています。
- 主な理由(複数回答)
- 測定に必要なツールや仕組みがなかったから:46.7%
- 起用による直接的な効果の切り分けが困難だったから:40.0%
- 効果が長期的で測定期間が定めにくかったから:33.3%
- 社内で統一された評価基準がなかったから:26.7%
- 効果を数値化する方法が分からなかったから:20.0%
- 測定にかかるコストが高かったから:6.7%

成功要因と失敗要因:売上達成と訴求力の差が明暗を分ける
施策を「成功した」と評価した回答者(87.4%)に、その理由を尋ねると「売上目標を達成できたから」が58.8%で最多でした。続いて「SNSで大きな話題になったから」(44.3%)、「ターゲット層に効果的に訴求できたから」(41.2%)が上位に挙がっています。売上貢献や拡散力、ターゲット訴求力が成功の主要指標となっていることが分かります。
一方、失敗と感じた回答者(やや失敗・完全に失敗、計11名)は「ターゲット層にうまく訴求できなかったから」が72.7%と圧倒的で、「売上への貢献が見られなかったから」「費用に見合う効果が得られなかったから」がそれぞれ45.5%でした。施策の企画段階でのターゲット設計とIP選定のミスマッチが失敗要因として目立ちます。

人タレント比較におけるキャラクターIPの強み
人タレントと比較した場合のキャラクターIPの強みとしては「ファン層が明確で訴求しやすい」(51.4%)がトップに挙がっています。その他「長期的な起用が可能」(44.1%)、「グローバル展開がしやすい」(42.3%)などが続き、スキャンダルリスクの低さやコラボ商品の作りやすさといった運用面での利点も評価されています。
自由回答では「コストパフォーマンスが高い」「キャラクターは年を取らない」「認知度が資産化されている」といった声が寄せられ、キャラクターIPが持つ長期的価値や安定性が認識されています(自由回答は50件、抜粋掲載あり)。

今後必要とされる施策・仕組み
今後キャラクターIPを活用する上で最も必要だと考えられているものは「ROI測定の仕組み作り」(35.2%)で、次いで「IP選定の専門的支援」(27.0%)、「成功事例の情報共有」(18.0%)でした。事前の定量的な効果予測を挙げる回答も14.4%にのぼり、定量評価と選定支援の両面での整備要求が明確です。
これらの結果は、企業側が勘と経験に依存したIP選定から、データドリブンな判断や測定手法の導入へとシフトする必要性を示唆しています。効果測定の標準化と予測手法の確立が業界全体の喫緊の課題です。

サービス情報と企業情報:A3Xを含むエイスリーグループの取り組み
エイスリーグループはマーケティング戦略・企画立案に強みを持ち、子会社A3Xの本格営業を2024年6月より開始しています。A3Xはビジネスプロデューサー、PRプランナー、デジタルマーケター、イベントプロモーター、キャスティングディレクターなどを擁し、タレントを軸にしたソリューションを提供しています。
同グループはインサイトデータを活用し、認知拡大、売上拡大、ブランドイメージ刷新などのマーケティング目標に対して投資対効果の高い施策を提供するとしています。関連サービス情報は下記リンクで確認できます(サービスページ:https://www.a3corp.jp/service/marketing/)。
- エイスリー(A3 Co., Ltd.)
- 代表者:代表取締役社長 羽地 健
- 所在地:東京都渋谷区神宮前3-35-2 クローチェ神宮前ビル 6F
- 資本金:1,000万円/設立:2008年10月14日
- 事業内容:総合キャスティング、エンタメ特化型人材、M&A仲介、アカデミー、タレント支援、エージェント等
- 株式会社A3X(A3X Co., Ltd.)
- 代表者:代表取締役CEO 澤 宏明
- 所在地:東京都渋谷区神宮前3-35-2 クローチェ神宮前ビル 6F
- 資本金:1,000万円/設立:2024年5月21日
- 事業内容:ビジネスデザイン事業
本リリースに記載された内容は2025年7月31日発表日現在のもので、事前予告なく変更される場合があります。資料請求(https://www.a3corp.jp/document/)および本調査の出典ページ(https://www.a3corp.jp/2025/07/31/307/)を参照してください。

まとめ:データに基づく選定と測定基盤の整備が次段階の鍵
今回の調査は、キャラクターIP活用が企業のマーケティング成果に寄与している一方で、投資対効果を定量的に把握・予測する仕組みが未整備なケースが一定割合存在することを明らかにしました。IP選定は属性データの一致度が決め手となる傾向が強く、データドリブンな選定が進みつつあることも示されています。
企業に求められるのは、ROI測定のためのツールと評価基準の整備、IP選定支援や成功事例の共有を通じた知見の蓄積です。これにより、勘や経験に頼る段階から、定量的な効果予測に基づく意思決定へと転換が可能になります。
項目 | 内容 |
---|---|
調査名 | キャラクターIP効果測定の実態調査(エイスリーグループ調べ) |
調査期間 | 2025年8月29日〜2025年8月30日 |
有効回答 | 111名(BtoC向け商品・サービスを展開する企業のマーケティング担当者) |
施策成功実感 | 87.4%が「成功した」と回答(非常に成功:25.2%、やや成功:62.2%) |
ROI把握状況 | 85.6%が「把握できていた」(明確:27.9%、ある程度:57.7%)、13.5%が未把握 |
最も多い起用目的 | ブランドイメージの向上:51.4% |
IP選定の決め手 | 自社顧客とIPファン層の属性データの一致:57.7% |
ROI未把握の主因 | 測定に必要なツールや仕組みがなかった:46.7% |
今後必要なもの | ROI測定の仕組み作り:35.2%、IP選定の専門支援:27.0% |
上表は本記事で取り上げた主要数値を整理したものです。文中で示した各数値は、調査実施主体であるエイスリーグループの公表資料に基づきます(出典:エイスリーグループ調べ、詳細ページ:https://www.a3corp.jp/2025/07/31/307/)。
参考リンク: