就活振り返り:自己分析が最多、業界研究の不足が課題
ベストカレンダー編集部
2025年9月30日 12:07
自己分析最多の就活調査
開催期間:8月20日〜9月2日

自己分析が最多—就職活動で学生が直面した課題と成果
株式会社学情が2025年8月20日から9月2日に実施したWebアンケート(有効回答数275件)では、2026年3月卒業(修了)予定の大学生・大学院生が就職活動を振り返り、「大変だったこと」「頑張って良かったこと」「もっとやれば良かったこと」を尋ねました。本調査は、スカウト型就職サイト「Re就活キャンパス」へのサイト来訪者を対象に行われ、数値は小数点第二位を四捨五入して小数点第一位まで表記しています。
調査結果の概要として、「大変だったこと」と「頑張って良かったこと」の両方で「自己分析」が最多となり、上位は共に「面接」「エントリーシート(ES)作成」「業界・企業研究」「インターンシップ/オープン・カンパニー参加」という並びでした。一方で「もっとやれば良かったこと」では「業界・企業研究」がトップとなり、学生の振り返りは自己理解の深掘りと企業理解の不足という二つの軸に集約される結果でした。

調査結果のハイライト
調査で明らかになった主なポイントは以下の通りです。本項では主要項目の順位と割合、学生の声を明示します。
- 大変だったこと(複数回答可):自己分析 60.7%、面接 57.1%、エントリーシートの作成 45.8%、業界・企業研究 39.6%、インターンシップ/オープン・カンパニー参加 27.3%、筆記試験対策 23.3%。
- 頑張って良かったこと(複数回答可):自己分析 46.5%、面接対策 42.5%、エントリーシート作成 31.3%、業界・企業研究 31.3%、インターンシップ/オープン・カンパニー参加 26.5%。
- もっとやれば良かったこと(複数回答可):業界・企業研究 33.8%、インターンシップ/オープン・カンパニー参加 29.1%、面接対策 25.8%、OB・OG訪問 23.6%、自己分析 21.5%。
これらの結果は、学生が「自己理解」と「企業理解」の両方を重視する必要性を感じていることを示しています。特に「自己分析」が大変である一方、そこに注力したことで成果を実感している層が多い点が注目されます。

「大変だったこと」としての自己分析、具体的な声と背景
回答者からは自己分析に関する具体的な困りごとや、その結果得られた気づきが多数寄せられています。自己分析が不十分だとESや面接で自分の強みを示せない、逆に深めたことで志望先の選定がしやすくなった、という両面の声が見られました。
代表的な意見は次の通りです。調査結果の数値と合わせて、学生の生の声が選考体験にどのように影響したかを示しています。
- 「自分のことが分かっていないとエントリーシートも何も進まない」
- 「自己分析が不十分だったため、面接やエントリーシートで自分の強みと企業の強みを掛け合わせてアピールするのが難しかった」
- 「面接は完璧な回答できたところに落ち、正解がわからなかった」
- 「企業とのミスマッチを防ぐため企業研究に注力したが、志望動機に落とし込むのに大変時間がかかった」
- 「筆記試験が辛かった」
「大変だったこと」と「頑張って良かったこと」で上位が重なる点は重要です。具体的には60.7%が自己分析を大変と回答する一方、46.5%が自己分析に取り組んで良かったと答えており、困難を乗り越えた経験が選考での成果に結び付いたことが示唆されます。
業界・企業研究不足が露呈—「もっとやれば良かった」項目の示す課題
「もっとやれば良かったこと」のトップは業界・企業研究(33.8%)でした。これに続いてインターンシップ/オープン・カンパニー参加(29.1%)、面接対策(25.8%)、OB・OG訪問(23.6%)、自己分析(21.5%)となっています。業界・企業研究の不足は、志望動機の練り込みや内定承諾時の判断に影響を与えたとの指摘があります。
学生のコメントには以下のような具体例があり、研究不足が選考や内定後の判断にどのように影響したかが明記されています。
- 「就活や企業・業界に対する解像度が低いまま選考に進んでしまった」
- 「広い視野で業界を見るべきだった」
- 「企業研究をあまりしなかったため各企業の違いがあまり分からず、最終的に内定を承諾する際に苦労した」
- 「業界・企業研究が圧倒的に足りなかった。志望動機が練れていないのはここにも原因があると思う。第一志望の業界を決める前にももう少しその研究が必要だった」
これらの指摘から、学生は自己理解を深めるだけでなく、業界や企業の具体的な違いを把握するための時間確保や手法が求められていることが分かります。インターン参加や現場理解の機会活用、先輩への情報収集など複数の手段が有効であることが示唆されます。
選考準備のバランスと実務的な示唆
調査結果は、自己分析(内的探求)と業界・企業研究(外的理解)の両面での準備が重要であることを示しています。面接やESの成否は両者の掛け合わせで左右されやすく、どちらか一方に偏ると選考で苦戦するケースが散見されました。
また、面接対策や筆記試験対策、OB・OG訪問といった具体的な活動も、やり方次第で効果が大きく変わるとの指摘があり、計画的な準備と振り返りのサイクルが有用であると考えられます。
調査概要と株式会社学情の事業紹介
本調査の概要は以下の通りです。調査期間や対象、方法などの基本情報を明示します。
- 調査期間
- 2025年8月20日~2025年9月2日
- 調査機関
- 株式会社学情
- 調査対象
- スカウト型就職サイト「Re就活キャンパス」へのサイト来訪者(※2025年3月1日より、あさがくナビからブランドリニューアル)
- 有効回答数
- 275件
- 調査方法
- Web上でのアンケート調査
- 備考
- 各項目の数値は小数点第二位を四捨五入し小数点第一位までを表記しているため、択一式回答の合計が100.0%にならない場合がある
調査を実施した株式会社学情は、東証プライム上場・経団連加盟の大手就職・転職情報会社です。主な事業と沿革は次の通りです。
- 2004年から「20代通年採用」を提唱
- 会員数260万人の「20代向け転職サイト〈Re就活〉」(2019年~2024年 東京商工リサーチ調査 20代向け転職サイト 第1位)や「30代向けダイレクトリクルーティングサービス〈Re就活30〉」を運営
- 会員数60万人の「スカウト型就職サイト〈Re就活キャンパス〉」は2025年3月1日にブランドリニューアル(旧:あさがくナビ)
- 日本で初めて「合同企業セミナー」を開催(自社調べ)、転職博や就職博を運営
- 2019年には外国人材の就職・採用支援サービス「Japan Jobs」を立ち上げるなど多様なサービスを展開
- 創業1976年、資本金15億円。加盟団体には日本経団連などが含まれる
詳細は学情の公式情報ページで確認できます:https://service.gakujo.ne.jp/jinji-library/report/250930/
調査結果の要点整理(表)
以下の表は、本記事で取り上げた主要項目の数値を分かりやすく整理したものです。調査対象や期間、回答数なども含めて一覧化しています。
項目 | 順位/内容 | 割合(%) | 備考 |
---|---|---|---|
就職活動で大変だったこと(複数回答) | 自己分析 | 60.7 | 最多 |
面接 | 57.1 | 2位 | |
エントリーシートの作成 | 45.8 | 3位 | |
業界・企業研究 | 39.6 | 4位 | |
インターンシップ/オープン・カンパニー参加 | 27.3 | 5位 | |
筆記試験対策 | 23.3 | 6位 | |
頑張って良かったこと(複数回答) | 自己分析 | 46.5 | 最多 |
面接対策 | 42.5 | 2位 | |
エントリーシートの作成 | 31.3 | 同率3位 | |
業界・企業研究 | 31.3 | 同率3位 | |
インターンシップ/オープン・カンパニー参加 | 26.5 | 5位 | |
もっとやれば良かったこと(複数回答) | 業界・企業研究 | 33.8 | 最多 |
インターンシップ/オープン・カンパニー参加 | 29.1 | 2位 | |
面接対策 | 25.8 | 3位 | |
OB・OG訪問 | 23.6 | 4位 | |
自己分析 | 21.5 | 5位 | |
調査実施期間等 | 調査期間/対象/有効回答数 | 2025年8月20日~9月2日/Re就活キャンパス来訪者/275件(Web調査) |
以上の表は、本調査の主要な数値を整理したものです。自己分析を苦労した者の多くが、その取り組みを通じて就職活動の軸を確立できたと回答しており、一方で業界・企業研究の不足が最終的な志望決定に影響を与えた事例も多く見られました。本調査の詳細レポートは学情の公開ページにて確認できます。
(出典:株式会社学情「就職活動で大変だったこと、頑張って良かったことは『自己分析』が最多。もっとやれば良かったことは『業界・企業研究』がトップ」調査レポート、2025年9月30日)
参考リンク: