調査で判明:海外赴任の9割が途中帰任、研修は3割未満
ベストカレンダー編集部
2025年9月30日 14:11
海外赴任前研修調査公表
開催日:9月30日

調査の背景と実施概要 — ビズメイツが明らかにした“海外赴任前研修”の現状
ビジネス特化型オンライン英会話サービス「Bizmates」を提供するビズメイツ株式会社は、2025年9月9日〜9月10日の期間に、海外赴任者を輩出している日本企業(従業員数500人以上)の人材育成・研修担当者400名を対象に「日本企業における『海外赴任前研修』の実態調査」を実施しました。本リリースは2025年9月30日10時30分に公表されています。代表取締役社長は鈴木伸明氏で、本社は東京都千代田区にあります。
本調査はIDEATECH提供のリサーチマーケティング「リサピー®︎」を用いたインターネット調査により行われ、有効回答は400件です。集計にあたり一部端数処理を行っているため、合計が100%になるよう調整されています。調査結果は、海外赴任の現場で実際に起きている課題と現状の研修体制のミスマッチを浮き彫りにしています。
- 調査名
- 日本企業における「海外赴任前研修」の実態調査
- 調査方法
- インターネット調査(リサピー®︎)
- 調査期間
- 2025年9月9日〜2025年9月10日
- 有効回答
- 海外赴任者を輩出している日本企業(従業員数500人以上)の人材育成・研修担当者400名

主要な調査結果 — 赴任規模の拡大と研修体制のばらつき
調査は複数の側面で日本企業の海外赴任の実態を示しました。まず、年間の赴任者数や派遣期間、選抜基準、求められる英語スキル、早期帰任の理由、研修実施状況、研修内容、研修開始時期、研修予算、語学研修の実施形態、トレーニー制度の導入状況、自由回答での課題指摘など、多岐にわたる質問項目で現状を把握しています。
以下で設問ごとの主要な結果を具体的な数値とともに整理します。各項目は、企業側の人材戦略と現場のニーズに直接結びつく内容が多く含まれており、研修のあり方を見直す示唆に満ちています。

年間赴任者数と平均派遣期間
「Q1.年間で何名程度海外赴任者を輩出していますか。」(n=400)において、最も多かった回答は101名以上が44.3%で最多でした。次いで「11~50名」が21.8%です。かつては大手中心の派遣が主流でしたが、現在は幅広い企業で継続的に多数の人材が派遣されていることが示されています。
「Q2.平均的な派遣期間」では、「3~5年未満」が38.6%で最多、続いて「5年~10年未満」21.8%、「1~3年未満」18.5%でした。3年以上の中期スパンでの派遣を前提とする企業が多く、現地での事業展開や人材育成に時間をかける意図が明確です。

選抜基準と求められる英語スキル
「Q3.選抜基準」で最も重視される点は、「語学力」15.9%、「職務経験・専門スキル」15.9%、「リーダーシップ」15.5%がほぼ同率で上位を占めました。続いて「コミュニケーション能力」13.8%、「ストレス耐性」13.5%です。これは語学以外の総合的な能力が重視されていることを示します。
「Q4.最も求められる英語スキル」では、「プレゼンテーション能力」25.4%が最多、次いで「部下やチームに対するマネジメント力」23.0%、「会議や交渉での発言力」19.0%となりました。一方で「雑談や共感を通じた信頼構築」は9.3%にとどまり、非公式な会話を軽視する傾向がある点は早期帰任の要因と関係します。

早期帰任の実態と主な理由
「Q5.過去3年間に任期途中で帰国した場合の理由」(複数回答)では、「現地の文化や価値観になじめなかったため」35.0%、「現地スタッフとのコミュニケーションがうまくいかなかったため」33.8%が上位でした。対して「語学力が不十分で業務に支障が出たため」は18.8%にとどまり、語学力よりも異文化適応や人間関係の問題が主要因であることが明らかになりました。
また「日本式の働き方に固執して現地に適応できなかったため」26.0%、「帯同家族が生活や教育環境に適応できなかったため」17.5%も挙がっており、家族を含めた包括的支援の必要性が示唆されます。「該当なし(途中帰任者はいない)」は8.8%であり、反対に約91.2%の企業で過去3年に途中帰任者が発生している実態が確認されました。

研修の実施状況、内容、開始時期、予算
「Q6.海外赴任前研修の運用状況」では、「会社が複数の研修を提示し個人が選択」36.4%が最多、次いで「必須研修を用意し全員が受講」28.0%でした。一方で「基本的に個人の自主学習に任せている」24.3%、「未実施」7.5%と、体系的な必須研修を設けていないケースが合計で約3割を超えています。
研修内容(必須化または選択制で実施している企業258社対象)では、「治安や危機管理等の安全対策」59.3%、「語学研修」55.0%、「異文化理解研修」49.6%が上位でした。帯同家族向け研修は20.2%、健康管理やメンタルヘルス研修は19.4%と低めで、家族支援やメンタル面のケアが十分に行われていないことがわかります。
研修の開始時期は「3か月前~半年未満」40.8%が最多、次いで「半年前~1年前未満」31.0%、一方で「1か月未満(直前)」は2.3%存在し、準備期間にばらつきがあります。研修予算(1名あたり)は「10万円以上~30万円未満」37.6%、「30万円以上~50万円未満」34.1%で合計7割超が10~50万円の範囲に留まります。「50万円以上」は11.6%でした。

語学研修の形態、トレーニー制度、自由回答の課題
語学研修の実施形態(語学研修実施企業142社対象)では、オンライン英会話が66.9%で最多、次いでeラーニング40.8%、短期集中コーチングや通学型スクールが各39.4%、公開講座・セミナーが29.6%でした。時間・場所の制約を緩和するオンラインの利用が中心です。
「Q11.トレーニー制度の導入状況」では、導入しているが37.0%、導入していないが社外研修機関や教育プログラムを導入しているが46.7%で、合わせて8割超の企業が何らかの育成施策を講じています。一方でトレーニー制度自体の導入は4割未満にとどまっています。
自由回答(Q12)には198件の回答が寄せられ、最多は「人材確保・意欲」(43件)で、希望者の減少や若手の海外志向の低下が最大の課題とされました。次いで「異文化適応・コミュニケーション」28件、「適性評価・人選」24件、「語学力」19件、「研修体制・費用対効果」17件が続いています。その他では治安不安、帰任後の離職、家族サポート不足などが挙がりました。

調査結果の要点整理とデータ一覧
本章では本調査で得られた主要な数値を表にまとめ、読みやすく整理します。各設問に対する代表的な数値を網羅的に示していますので、研修設計や人事施策の検討に利用しやすくまとめています。
調査結果の引用・転載の際は出典として「ビズメイツ株式会社」のクレジットを明記してください。関連リンクはビズメイツのウェブサイト(https://www.bizmates.co.jp/)です。参考文献として経済産業省やJETRO、矢野経済研究所の資料も本文に記載の通り参照されています。
項目 | 主な結果 |
---|---|
調査対象・期間 | 日本企業の人材育成・研修担当者400名、2025/9/9〜9/10 |
年間赴任者数(Q1) | 101名以上 44.3%、11〜50名 21.8% |
平均派遣期間(Q2) | 3〜5年未満 38.6%、5〜10年未満 21.8%、1〜3年未満 18.5% |
選抜基準(Q3) | 語学力 15.9%、職務経験 15.9%、リーダーシップ 15.5% |
求められる英語スキル(Q4) | プレゼン能力 25.4%、マネジメント 23.0%、交渉での発言力 19.0% |
早期帰任理由(Q5) | 文化になじめない 35.0%、現地スタッフとのコミュニケーション不全 33.8%、語学不足 18.8%、該当なし 8.8% |
研修運用状況(Q6) | 個人選択制 36.4%、必須で全員受講 28.0%、個人任せ 24.3%、未実施 7.5% |
研修内容(Q7) | 安全対策 59.3%、語学 55.0%、異文化理解 49.6%、帯同家族向け 20.2%、メンタル 19.4% |
研修開始時期(Q8) | 3か月前~半年未満 40.8%、半年前~1年前未満 31.0%、1か月未満 2.3% |
研修予算(Q9) | 10〜30万円未満 37.6%、30〜50万円未満 34.1%、50万円以上 11.6% |
語学研修形態(Q10) | オンライン英会話 66.9%、eラーニング 40.8%、通学/短期コーチング 39.4% |
トレーニー制度(Q11) | 導入している 37.0%、外部研修等を導入 46.7%(合計8割超で育成施策あり) |
自由回答の主要課題(Q12) | 人材確保・意欲 43件、異文化適応・コミュニケーション 28件、適性評価 24件、語学 19件、研修体制・費用対効果 17件 |
上表は本調査で示された主要な数値を整理したものです。研修の実施率や内容、予算配分、開始時期、それに伴う早期帰任の原因分析から、語学教育だけではなく異文化理解や現地での人間関係構築、帯同家族支援、選抜基準の見直しなど包括的な施策が必要である点が一貫して示されています。調査結果を活用する際には出典表記として「ビズメイツ株式会社」を明記してください。参考:経済産業省、JETRO、矢野経済研究所の関連資料も参照されています。
参考リンク: