菱洋エレクトロが豊田自動織機へWBGT監視導入
ベストカレンダー編集部
2025年9月30日 15:28
WBGT監視システム導入
開催日:9月30日

工場内の暑熱環境を「見える化」する取り組み──長草工場での導入背景と狙い
エレクトロニクス商社の菱洋エレクトロ株式会社は、台湾のkiwi technology Inc.が開発した暑熱環境向けWBGT監視システムを、株式会社豊田自動織機の長草工場へ導入しました。発表日時は2025年9月30日11時10分であり、本導入は製造現場における作業環境の安全衛生管理を強化する目的で行われています。
導入の背景には、近年の気候変動に伴う夏季の高温化と、それに起因する熱中症被害の深刻化があります。とくに産業現場では、熱中症の初期症状を見逃すことで重篤化するケースや、対応の遅れによる死亡災害の発生が問題視されています。2025年6月1日からは労働安全衛生規則の改正により、特定の暑熱環境に対して事業者に熱中症対策の実施が義務付けられました。

規則改正で義務化された作業環境の条件
改正規則で義務化の対象となる作業環境は、次のいずれかの条件を満たす環境です。
- WBGT値が28℃以上
- または
- 気温が31℃以上
- これらの状態が連続して1時間以上、または1日4時間を超える作業環境が対象となります。
製造業や建設業など、屋外作業や高温環境での作業が避けられない業種にとっては、これらの基準に適合する環境を適切に監視・管理することが求められます。豊田自動織機の長草工場では工場内の各作業場のWBGTをリアルタイムで計測・可視化し、複数工場の情報を一元管理するニーズがあり、菱洋エレクトロはそれに応じたシステム導入支援を行いました。

kiwi technologyのWBGT監視システムの構成と主要機能
本システムはハードウェアとクラウドを組み合わせた構成で提供されます。基本構成はLAS-603V2(温湿度センサー)、ゲートウェイ、そしてkiwi Cloudサーバーからなります。必要に応じて可視化ソフトウェアをカスタマイズし、現場の要求に合わせた表示や通知が可能です。
システムはLoRaWANなどの無線通信技術を活用し、センシングデバイスからクラウドまでを短期間で一気通貫に実装できる点が特徴です。クラウドベースでデータを一元管理することで、複数工場の状況把握や傾向解析に活用できます。
主要機能(製品仕様・機能一覧)
- リアルタイム環境監視:温度、湿度、WBGTを一括して監視します。
- アラート通知:環境の急変時に組織単位で設定可能な通知を発報します。
- 電池・通信監視:バッテリー残量や通信のオフライン発生時にアラートを出します。
- クラウドデータ管理:データの蓄積とクラウドでの一元管理を行います。
- データ可視化:温度、湿度、WBGTのグラフ表示、日報・月報のCSV出力。
- 複数工場の一元管理:工場ごとのデータを統合管理できます。
- オプション機能:工場内マップ上で温度・湿度・WBGTを表示する機能(オプション)。
また、本システムは現場の要望に合わせて各種可視化ソフトウェアをカスタマイズできるため、工場の運用フローに合わせたアラート設定やレポート出力の最適化が可能です。
注記:本システムは作業環境の暑熱状態を測定し注意喚起を行うものであり、熱中症の直接的な予防、診断、あるいは治療を目的とした医療機器ではありません。得られる情報は作業環境管理上の参考情報として使用し、作業者の体調管理や総合的な安全衛生対策と併せて運用する必要があります。
導入による期待効果と菱洋エレクトロの提供サービス
導入により期待される効果は多岐にわたります。まず、WBGTの危険値を自動検知して早期にアラートを発することで、現場は迅速に対策(作業の短縮や休憩の指示、作業スケジュールの変更など)を実施でき、熱中症発生リスクの低減につながります。
さらに、蓄積されたデータを基に日単位・月単位での分析を行えば、作業スケジュールの最適化や長期的な安全管理体制の構築に寄与します。複数工場のデータを一元管理することで、各工場間での傾向比較や共通対策の策定も可能になります。
期待される具体的効果
- 迅速な対策実施:温湿度・WBGTの危険値検知によるアラート発報で対応を早める。
- 業務最適化:計測データを作業スケジュールや休憩設定に活用しリスク低減。
- 安全管理の一元化:複数工場のデータ統合で全体最適の安全対策を構築。
菱洋エレクトロは単なる製品導入だけでなく、導入前のヒアリングを重視し現場要件に合わせた技術提案を行います。導入後も技術サポートやシステム拡張、運用データを基にした継続的な改善提案を行い、現場ニーズに応じたカスタマイズを継続的に支援します。
導入先のコメント、関係企業情報と問い合わせ先
本導入に関して、株式会社豊田自動織機 自動車事業部 安全・総務部 ワーキングリーダーの平岩耕司氏は、当工場でのIoT技術を活用した「暑熱環境の見える化」によって従業員の熱中症リスクの早期把握および未然防止を強化し、働きやすい職場環境の実現を目指す旨を述べています。
また、kiwi technology Inc. 取締役副社長のPeter Lin氏は、豊田自動織機への導入を光栄に思う旨を述べ、製造業界における安全衛生管理の向上に貢献したいとの意向を示しています。
kiwi technologyの概要
- 事業内容
- LoRaWANなどの無線通信技術を用いたIoTソリューション、センシングデバイス、ゲートウェイ、クラウド型プラットフォームの開発・製造。
- 所在地
- 115 台湾台北市南港区三重路66號12階−2
- 代表者
- 代表取締役社長 Steve Lo
- Web
- kiwi technology 公式サイト(詳細は同社サイトを参照)
菱洋エレクトロについても企業情報が公開されています。設立は1961年2月、代表取締役社長執行役員は中村守孝氏、資本金は13,672百万円です。2024年4月1日にリョーサンと経営統合し「リョーサン菱洋ホールディングス株式会社」を設立しています。
問い合わせ先
- 本件に関するお問い合わせ:リョーサン菱洋ホールディングス株式会社 企画本部 広報部
TEL:03-3546-5003 Mail:pr@rr-hds.co.jp - 製品に関するお問い合わせ:菱洋エレクトロ株式会社 デバイス事業本部 第三ビジネスユニット
TEL:03-3546-5070 Mail:lpwa@ryoyo.co.jp
プレスリリースには製品画像や添付PDFのダウンロード素材が用意されている旨の記載もあり、商品・サービスに関する詳細資料が利用可能です。
導入の要点を整理した表と締めくくり
以下に、本記事で紹介した導入事例とシステムの主要点を表形式で整理します。導入目的、システム構成、主要機能、関係者連絡先などを明確にまとめました。
項目 | 内容 |
---|---|
発表タイトル | 菱洋エレクトロ、kiwi technology製の暑熱環境向けWBGT監視システムを導入支援 |
発表日 | 2025年9月30日 11:10 |
導入先 | 株式会社豊田自動織機(長草工場) |
導入主体(支援) | 菱洋エレクトロ株式会社 |
システム名 | 暑熱環境向けWBGT監視システム(kiwi technology) |
基本構成 | LAS-603V2(温湿度センサー)、ゲートウェイ、kiwi Cloudサーバー |
主要機能 | 温度・湿度・WBGTのリアルタイム監視、アラート通知、バッテリー・通信監視、クラウドデータ管理、グラフ表示、CSV出力、複数工場一元管理、工場内マップ表示(オプション) |
規則改正日 | 2025年6月1日(労働安全衛生規則改正) |
義務化の対象条件 | WBGT≧28℃または気温≧31℃が連続1時間以上、または1日4時間を超える作業環境 |
注意事項 | 本システムは医療機器ではなく、作業環境管理上の参考情報として使用すること |
菱洋エレクトロの連絡先 | TEL:03-3546-5070 Mail:lpwa@ryoyo.co.jp |
リョーサン菱洋ホールディングス(広報) | TEL:03-3546-5003 Mail:pr@rr-hds.co.jp |
本導入事例は、気候変動に起因する高温化の進行を受けて、製造現場における作業環境管理の高度化を図る一例です。センサーによる継続計測とクラウドでの一元管理により、現場の即応性と長期的な安全管理体制の両方を強化することが期待されます。