Riepert IT、OcNOS導入でバックボーンを100Gへ
ベストカレンダー編集部
2025年9月30日 18:47
Riepert ITが100G導入
開催日:9月30日

オーストリアのISPが選んだオープンネットワーク戦略と導入の背景
2025年9月30日15時00分、ACCESS経由で公表されたプレスリリースによれば、オーストリアのインターネットサービスプロバイダーであるRiepert ITは、ディストリビューションパートナーであるEPS Globalの支援を受け、IP InfusionのネットワークソフトウェアOcNOS® Service Provider(SP)を導入し、UfiSpace製ハードウェアを組み合わせた高性能なファイバーネットワークへ更新したと発表しました。
本導入は、バックボーンリンクの10Gから100Gへのアップグレードを実現することを主要目的とし、既存のMikroTikベースのレガシーソリューションからの移行を図るものでした。Riepert ITは新規敷設(グリーンフィールド)戦略を採用し、ディスアグリゲーション(ハードウェアとソフトウェアの分離)を活用することで、コスト効率と機能拡張性の両立を図っています。
導入された技術要素とネットワーク機能
Riepert ITが採用したハードウェアはUfiSpaceのスイッチモデルS9510-28DCであり、これにIP InfusionのOcNOSソフトウェアを組み合わせています。OcNOSはキャリアやサービスプロバイダー向けに設計されたネットワークOSで、オープンなネットワークアーキテクチャを前提とした機能群を提供します。
プレスリリースに記載された導入で活用されている主要なプロトコル・機能は以下のとおりです。これらはバックボーンレベルでのスケーラビリティや運用効率を向上させることを狙いとしています。
- IS-IS(Interior Gateway Protocolとしてルーティングの安定化と収束性を高める)
- SR-MPLS(Segment Routing over MPLS。トラフィックエンジニアリングと運用の簡素化に寄与)
- TI-FLA(Traffic Engineering/フロー制御機能を用いた柔軟な経路制御)
- EVPN-MPLS(データセンターやマルチテナント環境でのL2/L3エートリアビリティを提供)
これらの機能により、Riepert ITは既存インフラの制約に縛られないネットワーク設計が可能となり、顧客向けに高帯域幅で信頼性の高いサービスを提供できる基盤を確立しました。
各社の役割と関係者コメント
本プロジェクトでは三者がそれぞれの役割を担いました。Riepert ITは自社ネットワークの近代化を推進し、EPS Globalはディストリビューター兼グローバルサプライチェーンおよびマルチベンダーサポートを提供しました。IP InfusionはOcNOSの提供と技術支援を行っています。
プレスリリースに記載された主要コメントは以下の通りです。導入に対する目的や効果、協業の評価が明示されています。
- Riepert IT CEO Gerald Riepert
- 「IP Infusionの『OcNOS』のおかげで、当社は急増する帯域幅需要に対応しながらもコストを管理可能な範囲に抑え、ネットワークを拡張することが可能になりました。IP Infusionの明快なライセンスモデルとEPS Globalのシームレスなサポートにより、この度のアップデートは容易で費用対効果の高いものとなりました。本アップデートにより、当社はお客様に自信を持って最先端のサービスを提供できるようになりました。」
- EPS Global グローバルネットワーキング担当マネージングディレクター Chris Curley
- 「IP Infusionとの協業のもと、Riepert ITのネットワークの進化を支援できたことを誇りに思います。『OcNOS』の堅牢なオープンなネットワーク機能に、当社の合理化されたグローバルなインベントリー戦略とマルチベンダーのサポートを組み合わせることで、Riepert ITは高性能で拡張性の高いネットワークを実現することができました。当社は、複雑性を簡素化するとともにサプライチェーンのリスクを軽減することで、Riepert ITのようなISPが自信を持って効率的に事業を拡張できるよう取り組んでいます。」
- IP Infusion CEO 大石 清恭
- 「Riepert ITの導入の成功は、『OcNOS』が従来のベンダーに比べてわずかなコストで、最新かつ拡張性の高いネットワークソリューションを提供できることを実証しています。当社はEPS Globalをはじめとするパートナーと協業し、世界中のISPが自社ネットワークを変革し、成長とイノベーションの新たな機会を創出できるように支援してまいります。」
これらのコメントは導入の経済性、運用面での利点、パートナーシップの重要性を強調しています。特にライセンスモデルの明瞭さとグローバルなインベントリ管理は、コスト管理と迅速な導入に寄与した点として評価されています。
企業情報、関連カテゴリー、そして今回の導入まとめ
プレスリリースには、IP Infusionと親会社であるACCESSの企業説明も含まれています。IP InfusionはネットワークOS(NOS)分野で広範な実績を持ち、OcNOSによりディスアグリゲーションを促進して運用の合理化と総所有コスト(TCO)の低減を図ることを標榜しています。IP Infusionは米国カリフォルニア州サンタクララを拠点とし、ACCESSの100%出資子会社として独立運営されています(https://www.ipinfusion.com/)。
ACCESSは東証プライム上場企業(証券コード:4813)で、1984年設立以来、通信、放送、自動車、家電、出版、エネルギーインフラ等の分野でネットワークソフトウェアやモバイル技術を提供してきました。ACCESSは組み込みとクラウドを融合させたDX/IoTソリューションに注力しており、国際展開も推進しています(https://www.access-company.com/)。
以下の
項目 | 内容 |
---|---|
発表日 | 2025年9月30日 15時00分(ACCESS配信) |
導入主体 | Riepert IT(オーストリア、ISP) |
主要パートナー | IP Infusion(OcNOS提供)、EPS Global(ディストリビュータ/サポート) |
導入ハードウェア | UfiSpace S9510-28DC |
導入ソフトウェア | IP Infusion OcNOS® Service Provider(SP) |
主な機能/プロトコル | IS-IS、SR-MPLS、TI-FLA、EVPN-MPLS |
目的 | バックボーンリンクの10G→100Gアップグレード、レガシー置換、コスト効率の高いネットワーク近代化 |
企業関連情報 | IP InfusionはACCESSの100%出資子会社。ACCESSは東証プライム上場(4813) |
関連リンク | https://www.access-company.com/(ACCESS) |
本件は、オープンネットワーキングとディスアグリゲーションを活用した実運用での事例として、ISPが限られたコストで帯域幅需要に応じた拡張を行い、運用の柔軟性を確保する方法を示すものです。導入済みのプロトコル群とハードウェア構成により、Riepert ITは顧客に対してより高い帯域幅と高度なサービスを提供できる基盤を整えました。以上が本リリースに基づく事実の整理です。
参考リンク: