INDXがシードで1億円調達、非構造化データを生成AIで活用へ

INDXが1億円調達

開催日:9月30日

INDXが1億円調達
INDXって何をする会社?
INDXは企業内に散在する文書・画像・スライド等の非構造化データを、オンプレで安全にベクトル化・構造化して生成AIやRAGで活用できる形に変える技術を提供するスタートアップです。
今回の資金調達は何に使うの?
今回のシードで調達した1億円は、INDXエンジンの研究開発と製品化、セールス・マーケティング体制の整備、採用など事業基盤の強化に充てられ、企業導入の拡大を目指します。

日本企業の「眠る資産」——非構造化データが抱える現状とINDX創業の背景

企業が保有するデータの約80%は、画像・動画・文書・スライドなど、人間には読みやすいがAIには扱いづらい形式の非構造化データであるとされます。こうした多様で不規則なフォーマットは、生成AIやLLMを導入する企業にとって大きな障壁になっており、社外のクラウド型生成AIへデータを投入する際のセキュリティリスクへの懸念も相まって、有効活用されないまま放置されがちです。

この課題に応えるため、株式会社INDX(商号:インデックス、本社:東京都港区、代表取締役:伊藤克哉)は2025年に発足し、社内の非構造化データを安全かつ効率的に生成AIで活用可能な形へと変換するソリューションの開発に取り組んできました。この記事は同社が2025年9月30日12時00分に公表したシードラウンドの資金調達に関する情報を基に、その背景と提供する技術の詳細を整理したものです。

日本企業に眠る「非構造化データ」を整理し生成AI活用を促進する株式会社INDXがシードラウンドで総額1億円の資金調達を完了 画像 2

課題の具体像と企業影響

非構造化データは、書式が自由であるために分析や検索、機械学習前処理において手作業や高度な前処理が多く必要です。企業の基幹システムやBIツールに取り込む際にも多くの工数がかかり、デジタルトランスフォーメーション(DX)や生成AI導入の効果を十分に発揮できない原因になっています。

以下は非構造化データの代表例です。これらが社内に点在することで、ナレッジの形式知化や業務高度化の実現は阻害されます。

  • 文書(PDF、ワード、レポート)
  • プレゼン資料(スライド)
  • 画像、図表、設計図
  • 動画、音声データ
非構造化データの定義
あらかじめ厳格なスキーマに従わない自由形式のデータ。AIや自動解析の前処理が必要なケースが多い。
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INDXエンジンの設計思想と技術的特徴

INDXは「顧客企業の自社サーバーやオンプレミス環境で安全に動作する軽量データ構造化AI」を掲げ、独自のデータ構造化エンジンを開発しています。開発の目的は、機密情報を外部に出すことなく、非構造化データをAIが利用できる形式へ高速に変換することです。

同社が提供するINDXエンジンは、文書のレイアウトや文脈を解析し、マルチモーダルデータをベクトル化・構造化して、社内の基幹システムやBIツール、RAG(Retrieval-Augmented Generation)を用いた高度な社内検索に活用できる資産に変えることを目指しています。

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主な機能と期待される効果

エンジンは軽量な独自モデルを採用しており、大量データの一括変換やオンプレミスでの高効率処理、生成AI活用時の計算負荷低減を念頭に設計されています。これにより企業はセキュアな内部環境で生成AI基盤を構築できます。

INDXエンジンによる主な効果は次のとおりです。

  • 膨大な暗黙知やナレッジを低コストで形式知化することによる知識資産化
  • 生成AI基盤の構築において解答精度が高く、誤情報が含まれにくいデータ基盤の提供
  • オンプレミス環境で安全性を保ったまま生成AIを運用する社内基盤の構築
技術要素 具体的な機能 期待される効果
レイアウト解析 文書やスライドの構造を識別し項目化 検索性と抽出精度の向上
ベクトル構造化(マルチモーダル) 文章・画像・表の意味的ベクトル化 RAGやLLMとの連携で即時応答性向上
軽量モデルのオンプレ実装 社内サーバーでの高速処理 セキュリティ維持と計算負荷の削減
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シードラウンドの資金調達と投資家の視点

INDXはシードラウンドで合計1億円の資金調達を完了しました。今回のラウンドにはインキュベイトファンド株式会社、イーストベンチャーズ株式会社、株式会社日本政策金融公庫などが出資しています。発表は2025年9月30日12時00分付で行われました。

調達資金は「INDXエンジン」の研究開発、並びにセールス・マーケティング体制の構築など事業基盤の強化に充当される予定です。企業向けの導入を拡大するための体制整備と技術深化が主な使途とされています。

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出資者とそのコメント

出資者には以下の企業が含まれます。

  • インキュベイトファンド株式会社(本社:東京都港区、代表パートナー:赤浦 徹・本間 真彦・和田 圭祐・村田 祐介・ポール・マクナーニ)
  • イーストベンチャーズ株式会社(本社:東京都港区、代表取締役:金子剛士)
  • 株式会社日本政策金融公庫(本店:東京都千代田区)
本間 真彦(インキュベイトファンド 代表パートナー)
「生成AIの拡大に伴い、電力やGPUといった計算資源を効率的に消費することが求められる時代に入っています。INDX社は、企業や組織が保有するマルチモーダルデータをベクトル構造化するエンジンを開発し、生成AI活用に伴う計算負荷を大幅に削減します。日本発のデータレイヤー領域のAIスタートアップとして、日本の大企業・中堅企業に対して安全かつ高性能な生成AI活用環境基盤をターンキーで提供できる、同社の成長に期待しています。」
平田 智基(イーストベンチャーズ プリンシパル)
「生成AIを活用するには、企業が持つ大量のデータをどう安全に、効率よく使える形にするかが大きな課題です。INDXは社内に眠る文書や画像などの非構造化データを『AIが理解しやすい形』に整理し、必要な情報をすぐに呼び出せる仕組みを提供します。その結果、従来は活かせなかった情報資産を新しいAI基盤として再利用でき、企業のポテンシャルを最大限に引き出すことが可能になります。」
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組織体制、採用情報、会社概要を整理

INDXは代表取締役やCTOなど経験豊富なメンバーを中心に設立され、事業拡大に合わせて追加の人材募集を行っています。採用ポジションにはAIエンジニアやデータサイエンティスト、ビジネスディベロップメント/セールス、プロジェクトマネージャーなどが含まれます。

募集に関心のある方は同社の採用ページから詳細を確認できます。応募フローにはカジュアル面談の案内も含まれており、外部プラットフォーム経由での応募が可能です。

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経営メンバーのプロフィール

創業メンバーの経歴は技術と事業開発の両面で強みを持つ構成です。以下に主要メンバーの略歴を整理します。

代表取締役 伊藤 克哉

1994年生まれ。東京大学理学部数学科、同大学院経済学研究科を卒業。株式会社Preferred Networks(PFN)でエンジニアとして金融業界等のAIアルゴリズム開発に従事した後、三井物産株式会社でAI・データプラットフォーム技術の事業開発を担当しました。学術面ではAAMAS・AAAI等での採択歴や国内学会での表彰歴があり、早期に応用情報技術者試験に合格した経歴もあります。

取締役 髙谷 謙介

1994年兵庫県生まれ。東京大学理学部生物学科、筑波大学大学院を修了後、オムロングループでソフトウェアエンジニアとしての開発経験を積み、2022年からFPTコンサルティングジャパンでITコンサルティング業務に従事しました。日本化学オリンピック金メダリストや物理オリンピック銅メダリストの経験もあります。

最高技術責任者(CTO) オレリアン・クルゾ

1990年パリ生まれ。フランスのグランゼコール、セントラル・シュペレックを卒業。フランスでフルスタックエンジニアとして活躍し、AI企業Buster.AIの共同創設者兼CTOを務めた経験を持ち、Exit後に来日して2025年にINDXのCTOとして参画しました。ACLやCLEFの非構造データ分析コンペティションでの入賞歴も有します。

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採用情報と応募先

INDXが公表している主な募集中職種は以下の通りです。これらの職種は事業フェーズに合わせて技術・事業両面での採用が進められます。

  • AIエンジニア/データサイエンティスト
  • ビジネスディベロップメント/セールス
  • プロジェクトマネージャー

応募や詳細は以下の外部採用ページから確認できます。

項目 内容
発表日 2025年9月30日 12:00
資金調達額 シードラウンド 合計1億円
主な出資者 インキュベイトファンド、イーストベンチャーズ、株式会社日本政策金融公庫 等
事業内容 生成AI技術を用いた非構造化データの整理・分析・活用ソリューションの開発・提供
代表者 伊藤 克哉
設立 2025年4月
資本金 4,800万円
所在地 東京都港区
公式ウェブサイト https://indx.jp/
問い合わせ 株式会社INDX 広報担当 contact@indx.jp

本稿は株式会社INDXが公表したプレスリリースの内容を整理した報告です。資金調達の規模、出資者、INDXが目指す技術的な方向性、事業の対象となる課題(非構造化データの存在とその影響)、および採用情報と会社概要を具体的に示しました。企業内の非構造化データを活用可能な資産へと変換する取り組みは、生成AIの実効性を左右する点として多くの企業にとって重要な論点であり、今回の資金調達はその技術実装と事業展開のための基盤整備に充てられる旨が明記されています。