花蓮せき止め湖決壊で15人死亡、避難の課題浮上

花蓮せき止め湖決壊

開催日:9月23日

花蓮せき止め湖決壊
被害はどれくらい大きいの?
23日午後の決壊で約6800万トンの水・土砂が流入し、光復郷を中心に広範囲が被災。発表時点で死亡15人、負傷32人、行方不明31人、600人超が避難所での生活を余儀なくされています。
避難はちゃんと行われてたの?
中央は21日から避難指示やショートメッセージで呼びかけたが、実際の避難は計画通り進まず遅れが出たと報告。遺体発見地点は指定避難範囲内で、高齢者の避難支援不足が課題とされています。

花蓮・馬太鞍渓の堰止め湖決壊──被害の状況と避難対応の経緯

台湾を襲った「スーパー台風」18号(アジア名ラガサ、中国語名樺加沙)の豪雨により、花蓮県の馬太鞍渓上流に形成されていた堰止め湖が9月23日午後に決壊しました。流出した水や土砂は光復郷へ押し寄せ、被害は広範囲に及んでいます。ワイズコンサルティングの報告では、流入量は約6800万トンに上るとされ、人的被害は死亡15人、負傷32人、行方不明31人(発表時点)とされています。

堰止め湖は、今年7月に台風6号(ウィパー)の影響で国有地の大規模崩落が発生し、土砂が河道を塞いだことにより形成されました。林業自然保育処(林保署)は堰止め湖の満水時の水位を1,150メートルと認定しており、7月時点での水位は1,040メートル、8月8日には1,071メートルまで上昇していました。通常の気象条件であれば10月に自然消失する見込みでしたが、台風接近により水位は23日午前0時の1,123メートルから1,141メートルへ上昇しました。

避難指示と行政の対応

中央災害対策本部は台風接近に伴い、21日午前に直ちに避難が必要と判断し、範囲指定を実施しました。21日午後には花蓮県政府と鳳林鎮、光復郷、万栄郷の各公所とオンライン会議を行い、県側に対して避難措置を要請しています。22日午前7時には中央が「紅色警戒」(避難指示レベルの警戒)を発出し、住民の携帯電話へショートメッセージで避難を呼びかけました。

しかし実際の避難は計画通りに進まず、結果として遺体の発見場所は中央政府が指定していた避難対象範囲内であったことが報告されています。被災地では6百人以上が避難所での生活を余儀なくされ、泥撤去作業は24日から慈済基金会が開始しました。政府首脳や地方関係者の動きでは、徐榛蔚・花蓮県長が18日から韓国出張中であり、22日夕に台湾に戻った点なども報告されています。

被災日時
台風18号接近に伴う豪雨の影響で、堰止め湖は9月23日午後に決壊。
主要被災地
花蓮県馬太鞍渓上流、流出先:光復郷など。
人的被害
死亡:15人、負傷:32人、行方不明:31人(発表時点)。
避難状況
21日以降、中央・県・郷鎮レベルで避難指示やメッセージ送信を実施。避難は一部遅れが出た。

中科院(NCSIST)とレオナルドDRSの提携──戦車用システムの海外販売委託

国家中山科学研究院(中科院、NCSIST)は、自機関が開発したM60A3戦車向けの戦車砲制御・照準システムについて、海外向けの代理販売を米国の軍事企業であるレオナルドDRSに委託することを決定しました。この決定は、台北で開催された国際航空宇宙・防衛産業展(TADTE、台北国際航太暨国防工業展覧会、開催日:18〜20日)の場で、両者が提携の覚書(MOU)を交わして確認されています。

中科院が自己開発した装備の海外販売を外部に委託するのは今回が初めてのケースであり、台湾の防衛装備の海外展開という面で新たな局面を示しています。今回の協業は技術移転や売却ではなく、代理販売契約を通じた海外市場への展開を目的としています。

  • 対象装備:M60A3戦車用 戦車砲制御・照準システム
  • 代理販売先:レオナルドDRS(米軍事企業)
  • MOU調印の機会:TADTE(台北国際航太暨国防工業展覧会、18〜20日)

政治・都市開発・小売──安倍晋三研究センター、高雄再開発、セブンのロッカー

報告は政治・都市開発・小売分野の重要な動きも伝えています。国立政治大学(NCCU、台北市文山区)は、故・安倍晋三元首相の誕生日である21日に、国際事務学院付属機関として「安倍晋三研究センター」を正式に開設しました。開所式には頼清徳・総統や安倍氏の妻・昭恵氏、日本側代表である日本台湾交流協会台北事務所の片山和之代表らが出席しました。

安倍晋三研究センターは日本の外交・経済政策を研究対象とし、学術的な研究と日台関係の理解促進を意図しています。設立日や出席者の顔ぶれから、日本との関係強化をめぐる学術的な拠点としての性格が明確です。

高雄駅前の大規模再開発計画

高雄市政府は22日、台湾鉄路(台鉄)高雄駅(三民区)駅前の都市再開発計画で、冠徳建設が最優秀申請者に選ばれたと発表しました。冠徳建設の馬志綱董事長は、虎ノ門ヒルズを手掛けた森ビルのグループ会社である森ビル都市企画と協力し、平日・休日を問わず人々が生活・訪問する都市空間の創出を目指すと述べています。完成予定は2034年です。

この再開発は駅前エリアの都市機能強化や商業・居住の複合化を狙うもので、不動産開発と都市計画の連携が焦点となります。関係企業や地元住民、行政間の調整が今後の課題となります。

セブン-イレブン(統一超商)のAI・IoTロッカー

コンビニ大手の統一超商(セブン-イレブン運営)は、経済部商業発展署と共同でAIやIoT技術を取り入れた宅配便自動受取ロッカーを開発しました。新型ロッカーは従来比で1坪当たりの保管数を倍増させ、1坪当たり100個以上を保管できるとされています。これによりカウンターで列を作らずに荷物を受け取れる利便性が向上します。稼働は第4四半期(10〜12月)を予定しています。

AIとIoTの活用により、受取時のセキュリティや在庫管理の効率化、受け取り時間の柔軟化が期待されます。店舗運営の省力化や宅配業務の再配達削減にもつながる可能性があります。

報告書概要・ワイズコンサルティングの情報と本件まとめ

今回の報告はワイズコンサルティンググループによる台湾経済・社会の注目動向をまとめた最新レポートとして、災害対応、国防装備の国際展開、学術的な日台関係の深化、都市再開発、そして小売のデジタル化という幅広い分野をカバーしています。報告の配信日は2025年10月1日 09時20分で、同社は台湾拠点の情報サービス企業として各種コンサルティングや日本語による台湾経済ニュース配信を行っています。

以下の

トピック 内容概要 日時・期日 主要関係者・組織
台風18号と堰止め湖決壊 馬太鞍渓上流の堰止め湖が決壊し、6800万トンの水・土砂が流入。死亡15、負傷32、行方不明31。避難指示や救援が実施。 決壊: 2025年9月23日午後。避難対応: 9月21日以降。 林保署、中央災害対策本部、花蓮県政府、慈済基金会
中科院の装備の代理販売 M60A3戦車用砲制御・照準システムの海外代理販売をレオナルドDRSに委託。MOUはTADTEで交わされた。 TADTE開催: 2025年9月18〜20日(MOU締結) 国家中山科学研究院(NCSIST)、レオナルドDRS
安倍晋三研究センター設立 国立政治大学に付属機関として開設。日本の外交・経済政策を研究対象とする。 設立・開所式: 2025年9月21日(安倍氏の誕生日) 国立政治大学、頼清徳・総統、安倍昭恵氏、日本台湾交流協会(台北)
高雄駅前再開発 冠徳建設が最優秀申請者に選定。森ビル系と協力し駅前を再整備。完成予定2034年。 発表: 2025年9月22日。完成予定: 2034年 高雄市政府、冠徳建設、森ビル都市企画
セブン-イレブンの自動受取ロッカー AI・IoTを活用した高密度ロッカーを開発。1坪当たり100個超を収納可能。第4四半期稼働予定。 稼働予定: 2025年第4四半期(10〜12月) 統一超商(セブン-イレブン)、経済部商業発展署

ワイズコンサルティングは日本語で台湾のビジネス・経済・産業動向を平日17時に配信する「Y’sNews」を運営しており、2週間の無料試読を提供しています。詳しいサービス情報や問い合わせ先は以下の通りです。

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問い合わせ
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TEL:+886-22381-9711(日本時間10:00〜19:00)
補足動画
関連動画: https://www.youtube.com/watch?v=zHeJsAGUafw

本稿は、ワイズコンサルティングが発表した報告の内容を基に、災害対応や防衛装備の海外展開、学術機関・都市開発・小売分野における具体的な事象と数値を整理してお伝えしました。

参考リンク: