名鉄百貨店で開催中|川口博敬 組子展『貝合わせ』
ベストカレンダー編集部
2025年10月3日 05:49
組子細工 川口博敬展
開催期間:10月1日〜10月7日
組子細工が描き出す光と影――川口博敬の表現世界
愛知県田原市在住の匠、川口博敬(かわぐち ひろゆき、1976年生まれ)が手がける組子(KUMIKO)細工は、木材の微細な繊維と接合の技術を通じて、光と影のコントラストを空間に刻み込む作品群として知られている。本展では、緻密な幾何学模様と素材の持つ温度感が同居する実作を通じて、鑑賞者が実空間でしか得られない視覚的経験を享受できる構成になっている。
川口の作品は伝統技術の継承と現代的な美意識の接点を模索するものであり、事業承継という社会的課題が深刻化するなかで文化遺産としての価値や「空間価値」を問い直す契機ともなっている。細部における寸分の狂いも許さない精度、そして設計図から現物へと転じる際の職人的判断が、観賞者に静かな説得力をもたらす。
展示の中心作「貝合わせ(Kai-awase)」の特徴
本展の注目作品「貝合わせ」は、第49回 全国建具展示会において内閣総理大臣賞を受賞した作品である。貝桶と蛤を題材に、約1mmの厚さに整えた木材を用いて組子細工で繊細に表現している点が大きな特徴だ。和の時間性や懐かしさ、日本らしさを想起させる造形が、鑑賞者の感情の流れを自然に誘導するよう設計されている。
作品説明にある通り「Times may change, but the feeling of awe remains the same(時代は変化しても、感動は変化しない)」という理念のもと、幾何学的な構成と光の映り込みが一体となり、現実空間でしか得られない美的体験を提供する。展示作品は購入可能で、配送方法等については相談に応じる旨が案内されている。
- 作品名:「貝合わせ(Kai-awase)」
- 受賞:第49回 全国建具展示会 内閣総理大臣賞(2015年 / 平成27年)
- 技法:組子細工(KUMIKO)、木材を約1mmの精度で加工
- 購入:可能(配送方法は相談)
会場と開催スケジュール:名鉄百貨店・メンズ館「めいてつアートストリート」
本展は、愛知県名古屋市の名鉄百貨店・メンズ館6階「めいてつアートストリート」にて開催中である。会場は名古屋駅に直結したアクセスの良い施設内に位置し、買い物や通勤で訪れる人々にとって立ち寄りやすいロケーションである。
開催期間および時間は以下の通りであるので、来場を検討する際は時間帯にご注意いただきたい。最終日は閉場時間が16:00に繰り上がる点が案内されている。
| 開催期間 | 2025年10月1日(水)~10月7日(火) |
|---|---|
| 開催時間 | 10:00~19:00(最終日 16:00まで) |
| 開催場所 | 愛知県 名古屋駅 名鉄百貨店・メンズ館 6階「めいてつアートストリート」 Meitetsu Department Store Men’s Building, 6F “Meitetsu Art Street”, Nagoya Station, Aichi, Japan |
来場に際しての留意点
展示は実物による光と影の効果が重要な要素となるため、写真や映像では感じ取りにくい空間的要素が多数含まれている。時間に余裕を持って来場することで、細部の組子や材の表情を落ち着いて観察できる。
販売可能な作品については、購入を希望する場合に配送方法や納期等の相談が必要となる。会場での説明を受けたうえで注文手続きや引渡し方法の確認を行う形となるため、購入予定の方はスタッフに確認することが推奨される。
受賞歴・褒章と技能の証明
川口博敬は長年にわたって国内の競技会・展示会や技能検定の場で評価を受けている。受賞歴と褒章は職人としての技術力と表現力を示す客観的な証となっている。
以下に記載する受賞歴・表彰は、経年にわたる作品制作と技能の研鑽が結実した結果であり、伝統工芸の領域における高い評価を示すものである。
- 平成23年(2011年)
- 第45回 全国建具展示会 内閣総理大臣賞
- 平成27年(2015年)
- 第49回 全国建具展示会 内閣総理大臣賞(作品:「貝合わせ」等)
- 平成31年(2019年)
- 第30回 技能グランプリ 厚生労働大臣賞(金賞)
- 令和4年度(2022年)
- 厚生労働省 卓越技能者表彰「現代の名工」
- 令和7年(2025年) 春の褒章
- 黄綬褒章受章(2025年)
経歴(プロフィール)
川口博敬は1976年生まれ、愛知県田原市在住(旧渥美郡渥美町出身)であり、地域に根差した伝統工芸の担い手として活動している。地場の木材や伝統技術と向き合いながら、現代の生活空間に応じた工芸表現を模索している。
受賞や表彰歴は、彼の制作活動が単なる技巧に留まらず現代社会における価値の提示につながっていることを示している。技能の高さだけでなく、デザイン観や空間把握能力も評価対象となっている点が特徴である。
文化的意義と購入に関する案内
今回の展示は単なる作品発表にとどまらず、伝統工芸の継承や事業承継という社会課題に対する示唆を含む。組子細工という技術は、世代継承と市場の両面で保存・発展させる必要があり、本展はその重要性を喚起する場となる。
展示はアート・カルチャーの文脈だけでなく、環境・エコ・リサイクルという観点からも注目される。木材を主素材とする工芸は持続可能な素材利用やローカル資源の活用というテーマと結びつくため、空間価値の再評価にも寄与する。
- カテゴリー:アート・カルチャー/環境・エコ・リサイクル
- キーワード:日本の伝統工芸、Japanese traditional craftsmanship、事業承継という社会課題、Business succession as a social challenge、空間価値、Space value、文化遺産、Cultural heritage、国宝級の技
- 販売について:展示作品は購入可能。配送方法や納期については個別相談。
購入希望者への注意事項
購入を希望する場合、作品は実物の確認と展示側との納期・配送条件の相談が必要である。会場での説明や展示スタッフとの打ち合わせを経て契約に至る流れになるため、事前に来場のうえ確認することが望ましい。
価格や引渡し条件、配送の手配方法などは会場で案内される旨がプレスリリースに記載されている。具体的な注文手続きや支払い方法については、会場スタッフに確認を求めることになる。
要点の整理
以下の表は、本記事で触れた展示の主要情報を分かりやすくまとめたものである。展示期間・会場、主要作、受賞歴、購入の可否などを網羅しているため、来場や購入検討時の参照に適している。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 展覧会名(原題) | 日本の伝統工芸 組子細工/0.1mmの精度 川口博敬展|KUMIKO Exhibition: Master Craft & Space Value |
| 掲載日時・出典 | KI、2025年10月2日 21時56分(プレスリリース情報) |
| 開催期間 | 2025年10月1日(水)~10月7日(火) |
| 開催時間 | 10:00~19:00(最終日 16:00まで) |
| 会場 | 名鉄百貨店・メンズ館 6階「めいてつアートストリート」/Meitetsu Department Store Men’s Building, 6F, Nagoya Station |
| 作家(プロフィール) | 川口 博敬(1976年生まれ、愛知県田原市在住、旧渥美郡渥美町出身) |
| 主要展示作品 | 「貝合わせ(Kai-awase)」— 約1mmの精度で表現された組子細工。第49回 全国建具展示会 内閣総理大臣賞受賞作品。 |
| 受賞歴・褒章 | 平成23年(2011)内閣総理大臣賞(第45回)/平成27年(2015)内閣総理大臣賞(第49回)/平成31年(2019)技能グランプリ 厚生労働大臣賞(金)/令和4年度(2022)厚生労働省 卓越技能者表彰「現代の名工」/令和7年(2025)春の褒章「黄綬褒章」受章 |
| 購入可否 | 展示作品は購入可能。配送方法等は相談に応じる。 |
| 関連カテゴリ・キーワード | アート・カルチャー、環境・エコ・リサイクル、日本の伝統工芸、事業承継、空間価値、文化遺産、国宝級の技 |
本展は、組子という素材と技術が現代空間に与える影響や、継承すべき技の価値を改めて示す場である。展示作品の鑑賞を通じて、伝統工芸が持つ時間的厚みや空間表現の可能性を確認することができるだろう。