シャウエッセン『夜味』が大賞に 夕食需要を開拓
ベストカレンダー編集部
2025年10月3日 11:44
マーケター・オブ・ザ・イヤー
開催日:10月3日

「シャウエッセン 夜味」で示した消費行動の再定義と大賞の受賞理由
日経クロストレンドは2025年10月3日に「マーケター・オブ・ザ・イヤー2025」の大賞受賞者を発表しました。編集部が選出した大賞は、日本ハムの加工事業本部マーケティング統括部マーケティング室ブランドマネジメント課 課長・岡村香里氏と、同本部ブランド推進室 マネージャー・加藤雄太氏が担当した「シャウエッセン 『夜味』」です。受賞発表は同日10時00分に行われました。
大賞選出の背景には、発売40周年を迎えるロングセラーブランドの需要固定化という課題に対し、夕食需要を新たに切り開くという戦略がありました。朝・昼での喫食が約8割を占めるという消費実態を踏まえ、あえて具体的な味を明示しない「夜味」というネーミングで若年層を中心とした夜の喫食層を喚起した点が高く評価されました。
- 受賞プロジェクト:シャウエッセン 『夜味』
- 企業:日本ハム
- 受賞者:加工事業本部マーケティング統括部マーケティング室ブランドマネジメント課 課長 岡村香里氏、同本部ブランド推進室 マネージャー 加藤雄太氏
- 写真クレジット:(写真/山田愼二)
編集部は、岡村氏がプロモーションを統括し、加藤氏が味の開発を担当した点を受賞ポイントとして挙げています。具体的には、消費者インサイトの分析に基づくネーミング戦略とプロモーション設計、そして商品開発の連携によって夕食需要を創出した点が評価されました。

優秀賞・審査員特別賞・地方編の受賞者と事例ごとの評価ポイント
大賞以外にも幅広いカテゴリで受賞が行われ、企業の組織運営や商品開発、地域活性化に至るまで多様な取り組みが評価されています。ここでは各受賞案件と審査で指摘された主要な受賞ポイントを整理します。
各受賞案件は、取り組みの狙い・手法・成果の観点から具体的な評価が付されています。以下に受賞一覧と要点を漏れなく記載します。

優秀賞(社名50音順)とその受賞ポイント
優秀賞は複数の企業に贈られ、それぞれ異なるアプローチでマーケティング課題に応えています。ここでは花王、TENTIAL、トリドールホールディングス(丸亀製麺)、ローソンの4件を詳細に列挙します。
各社の取り組みは、組織改革、素材・商品開発、消費者インサイトに基づく新商品、地域密着の出店戦略など多岐に渡ります。
- 花王 — 花王のマーケティング改革
- 受賞者
- グローバルコンシューマーケア部門ヘルスビューティケア事業部門ヘアケア事業部 ブランドマネジャー 野原聡氏(写真/古立康三)
- 受賞ポイント
- 全社横断での「スクラム型」商品開発体制を導入し、1年半以内に新ブランド3つ(melt、THE ANSWER、MEMEME)を展開、既存ブランド3つを刷新。生活者目線に立ち返ったマーケティングで短期間に複数のヒットを生んだ点が評価された。
- TENTIAL — リカバリーウエア【BAKUNE】
- 受賞者
- 執行役員 マーケティング本部 本部長 岩松泰平氏(写真/村田和聡)
- 受賞ポイント
- 累計販売数100万セットを突破した就寝用リカバリーウエア「BAKUNE」シリーズのマーケティングを指揮。特殊素材の採用やアスリートの意見反映、ギフト需要の掘り起こしでヒットに導き、質の高い睡眠を補完する社会的意義が認められた。
- トリドールホールディングス(丸亀製麺) — 丸亀うどーなつ
- 受賞者
- 執行役員 CMO兼 丸亀製麺 常務取締役 マーケティング本部長 南雲克明氏(写真/古立康三)
- 受賞ポイント
- うどん粉を活用した新商品「丸亀うどーなつ」を開発し、2000万食超の販売に到達。特に女性や若年層の来店を促した点、生成AIを活用した従業員の内発的動機向上など運営面の工夫も評価された。
- ローソン — 地域共生コンビニ
- 受賞者
- 執行役員開発本部長 髙橋忠男氏(写真/山田愼二)
- 受賞ポイント
- 過疎地の出店を強化し、出店後にはKDDIの位置情報データと自社統計を併用して次の出店計画に活用。24年10月オープンの「ローソン龍神村西店」では冷凍食品が全店平均比約4倍、生鮮食品が約5倍の売上を達成するなど、事業継続性と地域ニーズへの順応が評価された。

審査員特別賞と地方編の受賞
審査員特別賞と地方編は、マーケティングやプロデュースの独自性、地域貢献や社会的インパクトに着目して選ばれています。ここでは受賞プロジェクトの概要と評価点を整理します。
各案件は、既存の市場枠組みを超える発想や、地域社会に直接的な便益をもたらす取り組みとして評価されています。
- 審査員特別賞 — KAWAII LAB.
- 受賞者
- アソビシステム KAWAII LAB. 総合プロデューサー 木村ミサ氏(提供/アソビシステム)
- 受賞ポイント
- FRUITS ZIPPERやCANDY TUNEなどを生み出すプロジェクトをプロデュース。TikTokでの再生数が数十億回を超える楽曲を次々にヒットさせ、世界中で多様化する「かわいい」を再定義し、新しいアイドル像を作り上げた点が評価された。
- 地方編 — ポイポイバトラー(堀商店)
- 受賞者
- 専務取締役 堀新太郎氏
- 受賞ポイント
- 水鉄砲対戦型スポーツ「ポイポイバトラー」を開発し、子どもだけでなく大人も熱中する競技として普及を推進。23年に協会を設立、24年には地方のブロック大会が相次いで開催されるなど、全国展開に向けた動きが評価された。
- 地方編 — おてつたび
- 受賞者
- 代表取締役CEO 永岡里菜氏(写真/村田和聡)
- 受賞ポイント
- 過疎地の農家や宿泊施設と旅行者をマッチングするサービス「おてつたび」を運営。提携事業者は全国1600カ所超、旅行者層はシニアからZ世代まで拡大。宿泊費無料で仕事を手伝う仕組みにより関係人口の創出や地方創生に資する点が評価された。
- 地方編 — 竹の箸ブランド『okaeri』
- 受賞者
- ヤマチク 代表取締役CEO 山﨑彰悟氏(写真/浦川祐史)
- 受賞ポイント
- 従来のOEM中心から脱却し、2019年に自社ブランド『okaeri』を立ち上げることで価格決定力を確保。24年7月から25年6月までの売上は毎月前年同月比約30%増で推移し、従業員の給与改善など事業継続性を高める取り組みが評価された。

評価基準と外部審査員:何をもって「マーケティングの価値」とするか
「マーケター・オブ・ザ・イヤー2025」は、日経クロストレンドのビジョンである「マーケティングの力で消費者や社会に『前向きな変化』をもたらしていく」という観点を基礎に、5つの評価項目で審査を行いました。これらは受賞選考の判断軸として外部審査員および編集部による選考の核になっています。
評価は定性的側面(志、挑戦、話題性)と定量的・実行面(便益、実行)の両面を重視し、単なる話題作りに終わらない持続性や顧客課題への実効的な対応が重視されました。
- 志
- 企業・ブランドの理念や志、解決しようとする顧客・社会の課題の明確さを評価。
- 挑戦
- 新市場創造や一過性でない継続的変革の期待を評価。
- 便益
- 消費者理解に基づく価値提供と販売実績、潜在顧客獲得の可否を評価。
- 実行
- 手段と実務面(商品開発、マーケ手法、ビジネスモデルの革新性)を評価。
- 話題性
- 新たな視点で世の中に価値提供できたか、コミュニケーション設計の驚きと納得感を評価。
外部審査員は6名で、24年に北原規稚子氏を加えた構成です。審査員の顔ぶれは次の通りです。
- 入山 章栄氏(早稲田大学大学院経営管理研究科 早稲田大学ビジネススクール教授)
- 音部 大輔氏(クー・マーケティング・カンパニー、代表取締役)
- 鹿毛 康司氏(かげこうじ事務所、代表・クリエイティブディレクター)
- 北原 規稚子氏(MICHI inc.、代表取締役、CEO)
- 富永 朋信氏(プリファード・ネットワークス、CMO)
- 古市 優子氏(Comexposium Japan、代表取締役社長)

関連イベントと参加方法、問い合わせ先
受賞発表に関連する公開イベントとして、日経クロストレンド編集長・中村勇介氏が「ad:tech tokyo」に登壇します。イベントでは受賞者や審査員とともに、マーケティングに求められる能力や潮流について議論が行われます。
イベントの概要、参加方法、有料会員向けの特典情報、問い合わせ先についても以下に整理します。
- イベント名:マーケター・オブ・ザ・イヤー2025 審査員と語る『マーケティングの未来に必要な力』(ad:tech tokyo)
- 開催日:2025年10月23日(木)12:30~13:10
- 場所:東京ミッドタウン&ザ・リッツ・カールトン東京
- 講演紹介ページ:https://adtech-tokyo.com/ja/program/session.html?num=Keynote-4_year2025
- 有料会員特典:日経クロストレンドの有料会員は、10月3日に公開した大賞発表記事に記載された専用URLから参加パス(ビジターパス)を無料で入手可能。参加には有料会員登録が必要です。
- 参加パス入手先(記事):https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/18/01242/00010/
日経クロストレンドについての説明、および問い合わせ先も案内されています。媒体はマーケティング戦略や商品開発、新事業創造に関する情報を提供するデジタルメディアで、対象読者は企業の経営企画や新事業開発、商品企画・開発、システム、マーケティング、営業、顧客窓口など幅広いビジネスパーソンです。
問い合わせは以下の窓口が案内されています。
- 日経クロストレンド 問い合わせフォーム:https://support.nikkeibp.co.jp/app/ask_0301/p/218/
- 日経BP コーポレートサイト(取材の問い合わせ):https://www.nikkeibp.co.jp/faq/

今回の発表内容の要点まとめ
ここまで紹介した内容を表にまとめます。受賞者名、企業名、受賞理由や主要データを網羅しています。
賞 | プロジェクト・商品 | 企業/受賞者 | 主な受賞ポイント |
---|---|---|---|
大賞 | シャウエッセン 『夜味』 | 日本ハム/岡村香里氏(課長)、加藤雄太氏(マネージャー) | 発売40周年ブランドの夕食需要開拓、ネーミング戦略とプロモーションの連携 |
優秀賞 | 花王のマーケティング改革 | 花王/野原聡氏 | スクラム型開発で短期間に新ブランド3つ展開、既存ブランド3つ刷新 |
優秀賞 | リカバリーウエア【BAKUNE】 | TENTIAL/岩松泰平氏 | 累計販売100万セット突破、特殊素材採用とギフト需要開拓 |
優秀賞 | 丸亀うどーなつ | トリドールHD/南雲克明氏 | 2000万食超のヒット、新規顧客層の開拓とAI活用で従業員動機付け |
優秀賞 | 地域共生コンビニ | ローソン/髙橋忠男氏 | 過疎地域出店強化、龍神村西店で冷凍食品約4倍・生鮮約5倍の売上 |
審査員特別賞 | KAWAII LAB. | アソビシステム/木村ミサ氏 | TikTokで数十億回の再生、大ヒット楽曲の連発と「かわいい」の再定義 |
地方編 | ポイポイバトラー | 堀商店/堀新太郎氏 | 水鉄砲対戦スポーツの開発と普及、23年に協会設立、24年に地方大会複数開催 |
地方編 | おてつたび | おてつたび/永岡里菜氏 | 提携事業者1600カ所超、旅行者層拡大による関係人口創出と地方活性化 |
地方編 | 竹の箸ブランド『okaeri』 | ヤマチク/山﨑彰悟氏 | 脱OEMで自社ブランド確立、24/7~25/6売上毎月前年同月比約30%増 |
本記事は日経BP(マーケティング&イノベーション専門メディア「日経クロストレンド」)が発表したプレスリリースの内容を基に構成しています。受賞者に関する取材記事は2025年9月29日から日経クロストレンドのWebサイトで公開されています。詳細と関連情報は以下の公式リンクを参照してください:https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/18/01242/
問い合わせ先は日経クロストレンドの問い合わせフォーム(https://support.nikkeibp.co.jp/app/ask_0301/p/218/)および日経BPの取材窓口(https://www.nikkeibp.co.jp/faq/)が案内されています。
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