10月15日放送 冨永愛が高知で『いざなぎ流』を体験

いざなぎ流特集放送

開催期間:10月15日〜10月22日

いざなぎ流特集放送
いざなぎ流って何なの?
高知・物部町に伝わる民間信仰で、陰陽道・修験道・神道・密教が混じって成立。太夫が口伝で御祈祷や御幣作り、舞神楽を行い、昭和55年に国重要無形民俗文化財に指定されています。
番組はいつ見られるの?
BS日テレで2回放送されます。放送は2025年10月15日と10月22日いずれも水曜よる10時。見逃しや関連映像は番組公式HPやYouTube、X、TikTokで確認できます。

高知・物部町に息づく「いざなぎ流」──成立と伝承の系譜

高知県香美市物部町(かみし ものべちょう)に古くから伝わる民間信仰「いざなぎ流」は、陰陽道、修験道、神道、密教などが混合して成立したと考えられる複合的な宗教文化である。名称は「いざなぎ祭文(さいもん)」に登場する「いざなぎ様(大神)」に由来し、その祭文では、占いに長けた「天中姫宮」が人を救うため天竺へ渡り、そこで「いざなぎ大神」から人形祈祷や祈祷法を習い日本に伝えたと語られている。

この信仰体系では、祈祷や神事を担う者を太夫(たゆう)と呼び、代々口伝で秘伝が継承されてきた。昭和55年(1980年)には、いざなぎ流が国指定の重要無形民俗文化財に指定されている点からも、地域文化としての価値が認められている。

冨永愛が高知に伝わる民間信仰「いざなぎ流」を体験! 画像 2

祭文と太夫の役割

祭文に記された由来は、いざなぎ流の儀礼と信仰理解の基盤を示す。太夫は各家庭を訪れ、その家の神を祀り、病気を癒すための「病人祈祷」などを行なってきた。かつて物部町では、町民が病気になると病院に行かず太夫を呼ぶことが一般的であった。

太夫の儀礼には細かな作法があり、御幣(ごへい)の作成や舞、呪文の口伝など多岐にわたる。こうした伝承は地域社会の医療・信仰の一端を担ってきたが、現代では太夫の高齢化と後継者不足により、かつて日常的であった家回りでの御祈祷は少なくなっている。

指定
昭和55年(1980年) 国重要無形民俗文化財
主要な儀礼
病人祈祷、御幣切り、舞神楽(舞や太鼓)
継承方法
太夫から口伝のみで伝承
冨永愛が高知に伝わる民間信仰「いざなぎ流」を体験! 画像 3

冨永愛が体験した「御幣切り」と舞神楽の現場

テレビ番組「冨永愛の伝統to未来~ニッポンの伝統文化を未来へ紡ぐ~」の取材で、冨永愛(とみなが あい)は高知県香美市物部町の一棟貸しの宿「まきの宿」を訪ね、いざなぎ流の伝統体験を行った。取材では、御祈祷で用いる切り紙である御幣の制作体験(御幣切り)と、舞神楽の披露という二つの核心的な場面が撮影された。

御幣は神や精霊をかたどった切り紙であり、祈祷の種類や屋外・屋内での祭儀によって形が変わる。いざなぎ流に伝わる御幣の形は実に200種類以上に及ぶとされ、今回冨永が挑んだのはその中の「天神の払い幣」であった。

御幣切りの重要性と「生き幣/死に幣」

御幣をうまく切ることは儀式の効力に直結する。うまく切れた御幣は「生き幣」と呼ばれ、祈祷の効果が期待される。一方で形が崩れたり意図した切り方にならない御幣は「死に幣」とされ、祈祷の効果が薄れると考えられている。番組では冨永が切った御幣が生き幣となるか否かが見どころの一つになった。

御幣切りは単なる技術作業ではなく、祈りと技、伝承された形の意味を同時に体現する行為である。冨永はこの体験を通じて「とっても不思議で神秘的で、なんともいえない気持ちになりました」と感想を述べている。

舞神楽の披露と公演の様子

取材当日は太鼓の音に合わせて四人の太夫が集まり、いざなぎ流の舞神楽を披露した。舞は多様で、拍子や所作によって祈祷の種類や効果を表現する。舞うことで結界や祓いを行う場面もあり、視覚的・聴覚的な儀礼の重層性が示された。

また、2025年1月3日には高知県立美術館ホールで略式御祈祷神楽の公演が行なわれた。公演ではステージ周辺にしめ縄で結界を作り、御幣を飾るとともに、通常は1週間ほど泊まり込みで行なう御祈祷を一日で行なうという略式の構成が採られた。子どもたちも舞に参加し、会場は立ち見が出るほどの盛況となったが、保存会会長の佐竹美保さんは太夫の高齢化を理由に今回が最後の公演になる可能性を示唆している。

保存と継承の現状──地域の取り組みと番組の役割

いざなぎ流は数百年にわたって地域で受け継がれてきたが、現在は太夫の高齢化と後継者不在が深刻な課題となっている。物部いざなぎ流神楽保存会の会長、佐竹美保さんは伝統を絶やさないために、子どもたちへの舞神楽指導など地域での継承活動に取り組んでいる。

保存会の活動は、地元で行なわれてきた御祈祷の知恵や所作を次世代に伝えるための現場教育を含む。厳密な口伝の文化をどう現代社会の枠組みで保存・公開していくかが大きなテーマであり、地域と文化財指定の両輪で持続性を探る必要がある。

  1. 保存会による子ども向け舞神楽指導
  2. 地域の公演・公開での知識共有
  3. 口伝保存のための記録化と公開手法の検討

こうした現状報告と並行して、テレビ番組は地域外へ文化の意義を伝える役割を担う。番組「冨永愛の伝統to未来」は、先人から受け継がれてきた伝統の素晴らしさを伝えるとともに、後継者問題など伝統が直面する課題についても掘り下げる構成となっている。

番組の主旨
各地の伝統文化を紹介し、現状と未来を探る
出演
冨永愛
クレジット
ⒸBS日テレ

放送詳細、関連情報と使用上の注意

本企画「冨永愛の伝統to未来 高知の民間信仰・いざなぎ流」は、BS日テレで2回にわたり放送される。放送日は2025年10月15日2025年10月22日の水曜日、いずれも夜10時から。なお番組は毎週水曜よる10時放送のレギュラー枠で放送される。

取材時の映像やオフショットは番組公式SNSでも配信されており、視聴者は番組HPやX(旧Twitter)、YouTube、TikTokで関連コンテンツを確認できる。以下に公式リンクを示す。

放送・配信に関するクレジットはⒸBS日テレであり、この記事で使用している取材情報および素材は、本件記事以外の用途での二次使用ができない旨の注意がある。素材の取り扱いに際しては番組側の権利表記と使用制限を遵守する必要がある。

この記事の要点まとめ

以下の表は、本記事で触れた主要情報を整理したものである。信仰の由来、儀礼の内容、保存状況、放送情報、関連リンクなどを一目で確認できるようにまとめた。

項目 内容
番組名 冨永愛の伝統to未来~ニッポンの伝統文化を未来へ紡ぐ~
放送日時 2025年10月15日、2025年10月22日(水)夜10時(毎週水曜よる10時放送)
放送局 BS日テレ(BS日テレ)
取材地 高知県香美市物部町・一棟貸しの宿「まきの宿」ほか
体験内容 御幣切り(天神の払い幣)、いざなぎ流舞神楽の披露
文化的指定 昭和55年 国重要無形民俗文化財
保存活動 物部いざなぎ流神楽保存会(会長:佐竹美保)による子ども指導等
公演例 2025年1月3日 高知県立美術館ホールで略式御祈祷神楽を開催(子ども参加、立ち見出る盛況)
出演 冨永愛
公式リンク 番組HP/X/YouTube/TikTok(本文参照)
注意事項 本件記事以外の用途での二次使用は不可。ⒸBS日テレ

以上が、番組取材で明らかになった高知・物部町のいざなぎ流に関する主要な情報である。取材を通じて紹介された伝統の現場は、地域の生活と密接に結びついた宗教文化の複層性と、保存・継承の課題を具体的に示している。

参考リンク: