獣医師開発の記録共有アプリ「ノコロク」β版公開
ベストカレンダー編集部
2025年10月13日 16:44
ノコロクβ版公開
開催日:10月13日
獣医師が開発した病歴・病状の記録共有アプリ「ノコロク」β版を公開
株式会社e-PON(所在地:神奈川県座間市、代表取締役 兼 獣医師:鷲沼輝勝)は、飼い主と動物病院向けのソフトウェア「ノコロク」β版を、2025年10月13日(“じゅういさんの日”)に公開しました。サービスはLINE公式アカウントを用いる形式で、アプリのダウンロード不要の仕組みとなっています。
同社は、飼い主と獣医師の間に生じる「医療情報把握の不確実性」を診療のボトルネックと捉え、家庭と診察室をリアルタイムにつなぐ記録共有ツールとして本サービスを開発しました。飼い主用ノコロクβ版の紹介ページは以下です:https://e-ponvet.com/nocoroku-app
公開日時と提供方法
β版公開日時は2025年10月13日14時00分です。利用開始は、ノコロクのLINE公式アカウントを友だち追加するだけで、アプリのダウンロードや新たな会員登録を必要としません。
飼い主がLINE上で病状を記録すると、飼い主が登録した動物病院すべてに記録がリアルタイムで共有されます。ノコロクを導入する動物病院側は、診療に役立つ病歴や病状データを取得でき、飼い主からの診察後フィードバックも受け取れる設計です。
背景:ペット医療の現状と情報ギャップが生む問題
ペットの飼育頭数や高齢化、動物医療の高度化により、飼い主がペットの看病に直面する機会は増えています。一般社団法人ペットフード協会の調査によれば、2024年の犬と猫の飼育頭数は約1,595万頭で、15歳未満人口を上回る規模です(※2)。
一方で動物病院は全国的に増加し、夜間救急や二次診療、オンライン診療、往診など業態が多様化しています(※4)。そのため、1頭のペットが複数の病院を受診することが珍しくなく、診療履歴や観察情報の分散が問題になります。
自社調査が示す「情報ギャップ」の実態
株式会社e-PONが行った自社調査(2024年11月~12月、飼い主100人、獣医師12人)では、以下のような結果が出ています(※5)。
- 飼い主の83%が自分のペットの病名・罹患時期・薬などを正確に把握できていない
- 獣医師の81%が飼い主の説明が不足していると感じている
- 獣医師の90%が飼い主が過去の診察内容を忘れていると感じている
これらのギャップは診療の効率や治療方針決定に影響します。株式会社e-PONはこれを解消するため、「確かな医療情報の記録・共有」を基本設計に据えました。
ノコロクの仕組みと主要機能
ノコロクはLINEを軸に、飼い主側での記録入力と病院側での閲覧・活用が連動するシステムです。飼い主は家族で情報を共有し、動物病院側は治療判断に資する構造化された記録を受け取れます。
病院受診時には通院履歴と病歴が自動で蓄積され、現疾患に応じた記録項目が自動設定されます。飼い主が記録した診察の備忘録は、登録したすべての導入病院に共有されます。
主な機能と特徴
ノコロクの主要な機能・特徴は以下の4点です。
- 450種疾患を網羅した独自システム:現病歴に応じて治療に関わる観察項目を自動設定。飼い主は観察項目とその意義を理解でき、獣医師は学術的な記録を治療に効率的に活用できる。
- 簡単なサービス登録:LINE公式アカウントを友だち追加するだけで利用開始。アプリ本体のダウンロードが不要。
- 分かりやすいUI:飼い主はアイコンと文章型の選択肢をスワイプ操作で記録。動物病院側では記録がスコア化して学術的に表示される。
- 家族共有と日記機能:3ステップで家族のLINEアカウントと連携でき、闘病中の記録を写真付きで家族と分かち合える。
これらにより、家庭での日々の観察を簡便に記録し、診察現場での情報不足を補うことが想定されています。
利用者と病院の利便性
飼い主にとっては、日々の変化を手軽に残せる点が利点です。家族での共有や写真付記録により、単なる備忘録に留まらず思い出の機能を兼ねます。
動物病院にとっては、受診前からの情報が管理画面で定量化されて表示されるため、診療時間の短縮や診療方針の精度向上が期待できます。導入病院間での情報共有により、複数病院受診時の連携も円滑化されます。
導入病院、会社概要、連携方針と研究活用の見通し
まずは在宅緩和ケア専門動物病院「犬と猫の緩和ケア」に導入されます。同院は往診に特化し、動物医療・介護・看取りまでを地域で支える「犬と猫の地域包括ケア」ネットワークの一員として地域多職種連携を進めています。
導入先病院の情報は以下です。院長は吉田昌平。所在地は神奈川県大和市林間1-17-39-1。病院のウェブサイトはhttps://inunekokaigo.com/で、代表電話は090-5442-1511です。
連携・活用の方針
e-PONは、導入動物病院を増やしつつ以下の方向でサービスを発展させる計画を示しています。
- ① 地域の複数病院・ペット関連事業者との情報連携
- 包括的なケア実現のため、地域ネットワークと連携して患者情報の共有基盤を整備することを目指す。
- ② 疾患ごとの生涯の病状記録データの研究活用
- 蓄積したデータを研究支援やダイレクトマーケティング支援に活用する計画。
- ③ 飼い主の看病状況を証明するツール連携
- 看病状況を示す記録を通じて適正飼養を支えるサービスとの連携を図る方針。
同社は「飼い主が最も心配するのはペットの病気である」という認識のもと、病気になった際に飼い主家族の負担を軽減し、ペットと家族の生活を支えることを目標に掲げています(※6)。
会社概要と代表者略歴
株式会社e-PONの社名は「e- Pet Owner’s Neighborhood」の頭文字に由来し、ITを用いて動物医療の社会基盤を更新するという理念を表しています。所在地は神奈川県座間市相模が丘1丁目33-25ベルハイツ相模が丘202。代表取締役は獣医師の鷲沼輝勝。設立日は2025年6月20日、資本金は2,000,000円です。
代表の鷲沼は東京大学卒、小動物臨床獣医師として澤動物病院神奈川動物医療センターに勤務し、医長として延べ1万件以上の犬猫診察を担当してきました。診察経験から診療コミュニケーションに課題を感じ、2025年に株式会社e-PONを設立。県の起業支援プログラムKSAP等に採択されています(参考:神奈川県の採択情報)。
問い合わせ先と参考情報の整理
本サービスや取材等に関する問い合わせは、株式会社e-PONの広報窓口が窓口となります。メールアドレスは contact@e-ponvet.com、会社ウェブサイトは https://e-ponvet.com です。
記事内の出典や注記は以下の通りです。※1は同社調べ(2025年10月時点)、その他の統計は出典を明示しています。
- ※1 2025年10月時点、弊社調べ
- ※2 一般社団法人ペットフード協会 令和6年(2024年)全国犬猫飼育実態調査
- ※3 Team HOPE 2024年ペットのご家族様アンケート調査報告書
- ※4 農林水産省 飼育動物診療施設の開設届出状況
- ※5 株式会社e-PON 2024年11月~12月 飼い主100人、獣医師12人へのアンケート調査
- ※6 株式会社クロス・マーケティング 2024年に実施のペットに関する調査
導入病院(犬と猫の緩和ケア) 概要
往診動物病院「犬と猫の緩和ケア」は、在宅での緩和ケアを重視する往診専門病院であり、治療終了を目的としない“その子らしく生きるためのケア”を掲げています。地域包括ケアネットワークを通じて地域の多職種で支える体制を構築しています。
所在地や連絡先、ウェブサイトは先述の通りで、導入初期段階の事例として同院での運用が開始されます。
記事の要点まとめ
以下の表は、本記事で触れたノコロクβ版の主要事項を整理したものです。サービスの公開日、提供方法、主要機能、導入先、会社情報、問い合わせ先などを項目ごとにまとめています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| サービス名 | ノコロク(ペットの病歴・病状の記録共有アプリ、LINEベース) |
| β版公開日 | 2025年10月13日 14:00(“じゅういさんの日”) |
| 提供方法 | LINE公式アカウントを友だち追加する方式(アプリダウンロード不要) |
| 主な機能 | 450種疾患の観察項目自動設定、スワイプ操作による記録、家族共有、学術的スコア表示 |
| 初期導入病院 | 往診動物病院「犬と猫の緩和ケア」(神奈川県大和市) |
| 代表者 | 鷲沼 輝勝(獣医師、東京大学卒、延べ1万件以上の診察経験) |
| 会社所在地 | 神奈川県座間市相模が丘1丁目33-25 ベルハイツ相模が丘202 |
| 設立・資本金 | 設立:2025年6月20日、資本金:2,000,000円 |
| 問い合わせ | メール:contact@e-ponvet.com、会社HP:https://e-ponvet.com |
| 参考リンク | ノコロク紹介:https://e-ponvet.com/nocoroku-app、採択情報:神奈川県サイト |
本記事では、公開されたノコロクβ版の仕組みと機能、社会的背景、導入病院や企業情報、問い合わせ先および参考出典を整理しました。サービスは飼い主の記録負担を軽減し、診療現場の情報精度を高めることを狙いとしており、導入拡大と地域多職種連携を視野に段階的な整備が進められる予定です。
参考リンク: