INSTEROID日本初公開レポ|音とゲームで魅せた夜
ベストカレンダー編集部
2025年10月23日 10:13
INSTEROID日本初公開
開催日:10月22日
音楽とゲームカルチャーが融合した夜 ― INSTEROID Night の会場レポート
2025年10月22日、水曜日の夕刻、東京・Terada E Hallにてヒョンデのデザインコンセプトカー「INSTEROID(インスタロイド)」の日本初公開イベント「INSTEROID Night by Hyundai」が開催されました。開催時間は16:30から19:00で、メディア関係者、インフルエンサー、クリエイターなど感性の最前線に立つ約150名が来場し、音楽・映像・光が融合する没入空間で体験が提供されました。
会場は単なる車両展示の枠に留まらず、ゲームカルチャーと空力設計を融合したデザイン表現や、サウンドを軸にした演出が一体化した空間として設計されていました。来場者は視覚と聴覚を同時に刺激される演出の中で、INSTEROIDの姿とコンセプトを直接体験しました。
イベントは、Japan Mobility Show 2025に先駆けた日本独自のカルチャーイベントという位置づけで企画され、ヒョンデが掲げる“クルマを超えた体験”を体現するための場として実施されました。
INSTEROIDの発想と外装・内装のデザイン哲学
INSTEROIDは、2025年4月に販売が開始された受賞車INSTERをベースに、”What if(もしも?)”という問いから生まれた“創造と遊びの実験車”です。Hyundai Motorの欧州デザインチームが自動車業界の「Glitch(グリッチ)」として開発したコンセプトカーで、デザイナーの遊び心と挑戦を凝縮した造形を特徴としています。
会場での初披露は、黒いベールに包まれた車体が重厚な音楽と共に姿を現す演出で行われ、フレアフェンダー、リアウィング、21インチホイールを備えたダイナミックなフォルムが来場者の注目を集めました。シャッター音や熱気が渦巻く中、空力と造形の両立が強く印象付けられました。
外装の特徴と機能美
INSTEROIDの外装は、遊び心と機能性が融合することで“生きたデザイン”を表現しています。空力性能を重視したリアウィングやウィングスポイラー、ホイールアーチに組み込まれたエアフラップ、そして力強いフェンダーラインが外観に躍動感を与えています。
サイモン・ロスビー(Hyundai Design Center長)は「INSTEROIDはデジタルとリアル、カルチャーとデザインの境界を超える実験だ」と説明し、特に「Boost」というキャラクターにデザイナーの遊び心を込めた点を強調しました。21インチホイールや空力に配慮した造形は見た目のインパクトだけでなく走行性能のための設計思想も併せ持っています。
- フレアフェンダー:力強い印象を与え、空力との協調を図る造形。
- リアウィング/ウィングスポイラー:空力性能と視覚的な主張を両立。
- 21インチホイール:大径ホイールによる存在感と機能性。
- ホイールアーチのエアフラップ:空気の流れを制御することで走行安定性に寄与。
インテリアとサウンドスケープ
インテリアは、ゲームのコックピットから着想を得た演出が随所に施され、乗るたびに“次のステージへ進むような冒険心”を喚起することを意図しています。コックピット的な視点設計やキャラクター「Boost」を配したディテールが組み込まれ、感性を刺激する空間構成でした。
また、インスタロイド・サウンドスケープと称するサウンド・デザインが重要な要素になっており、車両とドライバーの感情的コミュニケーションという新たな概念を音で表現する試みが行われています。車の音を単なる機械音ではなく情緒や体験に変換するアプローチが示されました。
ステージで語られた“感性の哲学”と音楽による表現
イベント冒頭にはHyundai Mobility Japan代表取締役社長の七五三木 敏幸が登壇し、ヒョンデが目指す「クルマを単なる移動手段ではなく、見て、触れて、感じて、心を動かす存在にしたい」という考えを語りました。日本市場において技術だけでなく“感性の価値”が重視されるとするメッセージが示されました。
続いてサイモン・ロスビーが登壇し、INSTEROIDの開発背景とデザイン思想を解説。デザイナーの遊び心と挑戦を詰め込んだ作品であること、デジタルとリアル、カルチャーの融合がコンセプトの核であることを紹介しました。
クロストークの要点
七五三木とサイモン氏のクロストークでは、日本市場へのコミットメント、感性重視の価値観、そしてINSTEROIDに込めた挑戦のスピリットが議論されました。サイモン氏は「ゲームの世界の自由と発見をクルマに取り入れたい」と述べ、乗るたびに冒険心を感じる体験を提供する意図を説明しました。
七五三木は、日本での発表時期に意味があるとし、Japan Mobility Show前に日本で発表できた意義を強調しました。両者の対話は、デザインにおける感性と機能の関係を具体的に示す内容となりました。
DJ SO-SO と DJ Ryota によるライブパフォーマンス
フォトタイムの後、会場は音と光のライブパフォーマンスへと移行しました。まず登場したのは世界的ヒューマンビートボクサー DJ SO-SO。2019年Grand Beatbox Battle TAG LOOP部門で日本人初優勝、2021年・2023年に世界チャンピオンに輝いた実績を持つ彼は、INSTEROIDのサウンドスケープをテーマにしたオリジナルリミックスをループステーションを駆使して披露しました。
SO-SOは自身の感想として、INSTEROIDの未来感ある白いデザインや“クリーンなエネルギー”と自身の演奏スタイルの親和性を語り、かわいい音から重低音まで幅広い音色を用いたパフォーマンスで会場を盛り上げました。ビートボックスのみで構築された音楽は、INSTEROIDの「インスタロイド・ユニークサウンド」と呼応しました。
続いてDJ Ryotaが登場。ベースミュージックとダンスビートを融合させたプレイで来場者を巻き込み、関西を拠点に活動し2025年にはアジア・オーストラリアツアーを完遂した彼のジャンルレスな選曲が“BOOST空間”を創出しました。DJ RyotaはDJコレクティブ「FULLHOUSE」を主宰し、国際的なアーティスト招聘でも知られています。
メディア・インフルエンサーとの共創、イベント概要と企業情報
当日は自動車メディアのみならず、ライフスタイル、カルチャー、テクノロジー分野のメディア・インフルエンサーが一堂に会しました。七五三木はクロストークの中で、車の本当の良さは「見て、触れて、感じる」ことから伝わると述べ、情報発信を担う来場者との共創を重視する姿勢を示しました。
INSTEROIDは10月29日(水)から開催されるJapan Mobility Show 2025(東京ビッグサイト)でも展示予定とアナウンスされており、東京での公開展示が続くことが明示されました。イベントの位置づけは、日本独自のカルチャーイベントとしてヒョンデの感性と創造性を発信する試みです。
- イベント名
- INSTEROID Night by Hyundai
- 開催日時
- 2025年10月22日(水)16:30〜19:00
- 会場
- Terada E Hall(東京)
- 来場者
- メディア、インフルエンサー、クリエイターなど約150名
- 今後の展示
- Japan Mobility Show 2025(東京ビッグサイト)にて10月29日より展示予定
Hyundai(ヒョンデ)に関しては、1967年設立のHyundai Motor Companyが世界200か国以上で事業を展開し、12万人以上の従業員を擁する企業であることが示されました。同社はブランドビジョン「Progress for Humanity」の下、スマートモビリティ・ソリューション・プロバイダーへの転換を進め、ロボティクスやAdvanced Air Mobility(AAM)などの先進技術への投資を行っています。世界の持続可能な未来に向けて、水素燃料電池や電気自動車の技術導入を進めることも明記されています。
また、ヒョンデは2022年の日本再参入以降、FCEV「NEXO」、BEV「IONIQ 5」「KONA」「IONIQ 5 N」を導入し、ZEVのみを展開。2025年4月には2025年ワールド・カー・オブ・ザ・イヤーおよびワールド・エレクトリック・ビークルを受賞した「INSTER(インスター)」の販売を開始していることもイベントの背景説明で紹介されました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| イベント名 | INSTEROID Night by Hyundai |
| 開催日時 | 2025年10月22日(水)16:30〜19:00 |
| 会場 | Terada E Hall(東京) |
| 来場者 | 約150名(メディア、インフルエンサー、クリエイター等) |
| 発表車両 | INSTEROID(INSTERベースのデザインコンセプトカー) |
| ベース車 | INSTER(2025年4月販売開始、2025年ワールド・カー・オブ・ザ・イヤーおよびワールド・エレクトリック・ビークル受賞) |
| 主なデザイン要素 | フレアフェンダー、リアウィング、ウィングスポイラー、21インチホイール、ホイールアーチのエアフラップ、インスタロイド・サウンドスケープ、コックピット的インテリア、キャラクター”Boost” |
| 主要パフォーマー | DJ SO-SO(ヒューマンビートボクサー、世界チャンピオン)、DJ Ryota(DJコレクティブ”FULLHOUSE”主宰) |
| 今後の展示 | Japan Mobility Show 2025(東京ビッグサイト)にて10月29日より展示予定 |
| 企業情報 | Hyundai Motor Company(設立1967年、世界200+国、従業員12万人超)。スマートモビリティ、ロボティクス、AAM等へ投資。詳細は公式サイト参照 |
本イベントは、ヒョンデの“感性の価値”を具体的な体験として提示し、デザインと音楽、ゲームカルチャーを横断する試みとして実施されました。日本市場での意義と今後の展示予定を含め、来場者は視覚・聴覚を通じた複合的な体験を通して、INSTEROIDの目指す方向性を受け取りました。