「KAMIHACHI X」誕生 広島再開発にアンダーズ誘致
ベストカレンダー編集部
2025年10月27日 21:56
カミハチクロス名称決定
開催日:10月27日
KAMIHACHI X(カミハチクロス)――交差する場所としての命名と背景
2025年10月27日18時30分付で発表されたプレスリリースにより、広島市中心市街地の基町相生通地区第一種市街地再開発事業における高層棟の名称が「KAMIHACHI X(カミハチクロス)」に決定したことが明らかになりました。発表は株式会社朝日新聞社(代表取締役社長CEO:角田克)と株式会社朝日ビルディング(代表取締役社長:伊藤豊)が参画する朝日新聞グループから行われています。
「KAMIHACHI X」という名称には、紙屋町・八丁堀地区(通称:カミハチ)内外のヒト・モノ・コトが交わる(クロスする)場にしたい、これからの新しい広島のまちづくりを地域の方々とともに考え、発信していく場所にしたい、という想いが込められています。名称決定は再開発のシンボルとなる建物のアイデンティティを明確にするものであり、地域内外に向けた発信軸の形成を意図しています。
- 発表日:2025年10月27日 18:30
- 高層棟名称:KAMIHACHI X(カミハチクロス)
- 参画主体:株式会社朝日新聞社、株式会社朝日ビルディング(朝日新聞グループ)
高層棟上層階に誘致されたホテル ― ハイアットのラグジュアリー・ライフスタイル「アンダーズ」
高層棟の上層階に誘致されるホテルブランドは、ハイアット ホテルズ コーポレーション(本社:米国イリノイ州シカゴ、社長兼最高経営責任者:マーク・ホプラメジアン)のラグジュアリー・ライフスタイルホテル「アンダーズ(Andazではなく、プレス表記に従い「アンダーズ」)」です。本件はハイアットにとって中国地方で初めての進出となります。
アンダーズは地域文化を取り入れたデザインとパーソナルで細やかなサービスを提供するホテルブランドであり、滞在を通して利用者に活力と充足感を提供することを目指しています。ハイアットのロイヤルティプログラム「World of Hyatt」の特典対象となることも明記されています。
アンダーズの特徴と地域性の取り入れ方
アンダーズはグローバルな感性を持つ顧客を想定しつつ、地域に根差したホテル体験を提供することを重視するブランドです。施設内のデザインやサービスにその土地の文化を随所に取り入れることで、滞在そのものが地域理解につながるよう設計されます。
今回の広島での誘致により、アンダーズは地域の観光・文化発信機能と連携しつつ、国内外からの宿泊需要やMICE(会議・研修・展示会等)を含めた集客力の強化に寄与することが期待されます。ハイアット側の位置づけとしては、ラグジュアリーかつライフスタイル寄りの選択肢として、地域性を軸に据えることが重視されます。
ハイアット ホテルズ コーポレーションの概要と保有ブランド
ハイアットは「人をケアすると、人は最高の状態になれる (We care for people so they can be their best.)」を存在意義とする国際的ホスピタリティ企業です。2025年6月30日時点で世界6大陸、80カ国において1,450軒以上のホテルやオールインクルーシブ施設を展開しています。
プレス資料ではハイアットが展開する各ポートフォリオとブランド名が列挙されており、当該リストは以下の通りです。
- ラグジュアリー・ポートフォリオ
- Park Hyatt®, Alila®, Miraval®, Impression by Secrets, The Unbound Collection by Hyatt®
- ライフスタイル・ポートフォリオ
- Andaz®, Thompson Hotels®, The Standard®, Dream® Hotels, The StandardX, Breathless Resorts & Spas®, JdV by Hyatt®, Bunkhouse® Hotels, Me and All hotels
- インクルーシブ・ポートフォリオ
- Zoëtry® Wellness & Spa Resorts, Hyatt Ziva®, Hyatt Zilara®, Secrets® Resorts & Spas, Dreams® Resorts & Spas, Hyatt Vivid Hotels & Resorts, Sunscape® Resorts & Spas, Alua Hotels & Resorts®, Bahia Principe Hotels & Resorts
- クラシック・ポートフォリオ
- Grand Hyatt®, Hyatt Regency®, Destination by Hyatt®, Hyatt Centric®, Hyatt Vacation Club®, Hyatt®
- エッセンシャル・ポートフォリオ
- Caption by Hyatt®, Unscripted by Hyatt, Hyatt Place®, Hyatt House®, Hyatt Studios, Hyatt Select, UrCove
事業の意義と朝日新聞グループの役割、地域連携の具体策
基町相生通地区の再開発地区は、都市再生緊急整備地域「広島都心地域」および特定都市再生緊急整備地域「紙屋町・八丁堀地区」内に位置します。都市基盤の再整備や都市機能の集積が求められる地区であり、国の地域整備方針に掲げられている複数の目標に沿って事業が進められています。
目標には、高規格オフィスの実現による業務機能の高度化、MICE・宿泊機能や観光・文化・情報発信機能の充実・強化、および官民連携による公共空間を活用したにぎわいと交流機能の強化が含まれます。これらを通じて紙屋町・八丁堀地区の活性化とにぎわいのあるまちの形成が目指されます。
朝日新聞グループの具体的な関与
朝日新聞グループは地権者として本事業に参画し、共同施行者として主に既存建物の解体や再開発ビルの建設などを担います。代表施行者は独立行政法人都市再生機構(UR)で、朝日新聞グループはこれと連携して事業を進める体制です。
また、朝日新聞グループは地元のエリアマネジメント団体「エリアプラットフォーム・カミハチキテル」(代表:若狭利康)に参画し、地域との連携を強化します。こうした枠組みを通じて、事業によるまちづくり機能の強化と地域への波及効果が図られる計画です。
施設内の公共空間とその運用
カミハチクロスの1階と6階にはオープンスペースが整備されます。1階は「かみはちひろば」、6階は「かみはちこうえん」と命名され、にぎわい創出や交流の場として活用される予定です。
これらのオープンスペースは、エリアプラットフォーム・カミハチキテルと共に活用される計画で、地域活動やイベント、情報発信の拠点として運用されることが想定されています。公共空間を軸にした官民連携によるまちづくりが具体化されるポイントです。
事業経緯と今後のスケジュール
本事業は都市計画決定から施行認可、権利変換計画認可、既存建物解体、工事着手と段階的に進行しています。以下にプレスリリースで示された経緯と今後の予定を時系列で整理します。
各フェーズの完了や開始時期は、予定の表記があるものも含まれ、変電所棟の完成後や切替工事完了後に供用開始となる工程など、複数年にわたる工程管理が行われます。
- 2022年3月:都市再生特別地区及び市街地再開発事業の都市計画決定
- 2022年10月:市街地再開発事業の施行認可
- 2023年10月:民間都市再生事業計画の国土交通大臣認定、権利変換計画認可
- 2023年12月:既存建物の解体工事開始(旧市営基町駐車場、市営基町駐輪場)
- 2024年10月:高層棟、変電所棟工事開始
- 2025年11月(予定):変電所棟建物完成(切替工事完了後、2027年度予定で供用開始)
- 2027年度(予定):高層棟竣工
- 2028年度(予定):市営駐輪場棟工事開始
- 2029年度(予定):市営駐輪場棟竣工・事業終了
変電所棟については2025年11月の建物完成予定が示されており、その後切替工事が行われ、変電所機能は2027年度に供用開始される見込みです。高層棟は2027年度の竣工予定で、プロジェクトは2029年度の最終工程完了をもって終了する計画です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発表日 | 2025年10月27日 18:30(株式会社朝日新聞社・株式会社朝日ビルディング発表) |
| 高層棟名称 | KAMIHACHI X(カミハチクロス) |
| 誘致ホテル | ハイアット(Hyatt Hotels Corporation)ラグジュアリー・ライフスタイルホテル「アンダーズ」 |
| ハイアットにとっての意義 | 中国地方で初のホテル進出 |
| 朝日新聞グループの役割 | 地権者参画、共同施行者として既存建物解体・再開発ビル建設などを担当(代表施行者は都市再生機構) |
| 地域連携 | エリアプラットフォーム・カミハチキテルに参画(代表:若狭利康)。1階「かみはちひろば」、6階「かみはちこうえん」を整備 |
| 主要スケジュール | 2023年12月 解体開始 → 2024年10月 高層棟・変電所工事開始 → 2025年11月 変電所棟完成(予定) → 2027年度 高層棟竣工(予定) → 2029年度 事業終了(予定) |
| 関連企業代表者 | 朝日新聞社 代表取締役社長CEO:角田克、朝日ビルディング 代表取締役社長:伊藤豊、ハイアット 社長兼CEO:マーク・ホプラメジアン |
| ハイアットの統計(基準日) | 2025年6月30日現在、世界6大陸80カ国で1,450軒以上のホテル・施設を展開 |
上表は本記事で取り上げた主要事項を整理したものです。KAMIHACHI Xという名称は、地域の交差点としての機能と情報発信の拠点性を意図しており、ハイアットのアンダーズ誘致は地域の宿泊・観光・文化機能を強化する要素になります。
再開発は複数年にわたる工程管理と関係者の連携を要する事業であり、朝日新聞グループの施行参加やエリアマネジメント団体との協働を通じて、紙屋町・八丁堀地区の都市機能向上とにぎわい創出を図る取り組みとして進められます。