Shippioが32.4億円を調達、貿易DXとAI開発を加速

シリーズCで32.4億円調達

開催日:10月30日

シリーズCで32.4億円調達
今回Shippioは何をどれだけ調達したの?
シリーズCで総額32.4億円を調達。内訳は第三者割当のエクイティ18.7億円と金融機関からのデット13.7億円で、累計調達額は約70億円になった。
調達した資金は具体的に何に使うの?
プロダクト開発やAI導入(Shippio Clear等)の強化、M&Aによる事業拡張、組織づくりと採用で3年で300名規模の体制構築を進める。

シリーズCで総額32.4億円を調達――国内貿易DXの加速を目指す資金使途

2025年10月30日08時、株式会社ShippioはシリーズCラウンドにて総額32.4億円の資金調達を実施したと発表しました。本ラウンドは、エクイティファイナンス18.7億円(第三者割当増資)とデットファイナンス13.7億円(金融機関借入)の組み合わせで構成され、累計調達額は約70億円となります。

発表文によれば、調達資金はプロダクト開発、M&Aを含む事業拡大、組織づくりへ充当され、「国際物流を、アドバンストに」というビジョンの下、貿易DXのさらなる加速を図るとしています。リード投資家はDNX Venturesで、新規出資として鈴与株式会社、New Commerce Ventures株式会社、株式会社YMFGキャピタルが参画しています。

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資金調達の内訳と引受先

資金の構成・引受先は以下の通りです。第三者割当増資の引受先には既存および新規の投資家が名を連ね、金融機関からのデットファイナンスは複数行からの融資で賄われています。

合計額 32.4億円(エクイティ18.7億円+デット13.7億円)
エクイティ引受先(主な投資家) DNX Ventures(リード投資家)、株式会社環境エネルギー投資、鈴与株式会社(新規)、New Commerce Ventures株式会社(新規)、株式会社YMFGキャピタル(新規)、株式会社デライト・ベンチャーズ、あおぞら企業投資株式会社、Spiral Innovation Partners株式会社
デットファイナンス(金融機関) 株式会社商工組合中央金庫、株式会社日本政策金融公庫、株式会社みずほ銀行、株式会社三菱UFJ銀行、株式会社りそな銀行 他
発表日時 2025年10月30日 08:00

Shippioは本ラウンドで得た資金を基に、プロダクトのさらなる進化、M&Aによる事業拡張、組織体制の強化を進める計画です。目標として掲げるのは、2030年までに日本発着貨物の30%(年間540万TEU)をShippio Platformで取り扱うことです。

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成長の足跡とプロダクト戦略――実績とAI導入の加速

Shippioは2016年設立以降、貿易・国際物流領域に特化したクラウドプラットフォームを提供してきました。特に2022年のシリーズB以降は、貿易プラットフォーム「Shippio Platform」を構成する3つのDXサービスを拡充し、メーカー・商社・国際物流事業者の顧客基盤を拡大してきました。

同社の公表する主要指標は近年大幅に伸長しています。具体的には、2022年以降の3年間でネットレベニュー(売上総利益)は約20倍、取扱コンテナ数は約35倍、プラットフォームのユーザー数は約8倍に達しました。これらは同社サービスが顧客課題の解決に直結していることを示す数字です。

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AIと現場知見を結ぶプロダクト開発体制

Shippioは自社の物流オペレーションチームやグループ通関会社と連携することで、現場寄りの高速な検証・開発サイクルを回す体制を強みにしています。直近でリリースしたAI通関クラウド「Shippio Clear」はその一例で、AI-OCR等を活用した通関関連業務の自動化・効率化を目指すサービスです。

さらに、AI活用に特化した組織として「AI Advanced Lab」を新設。社内でのAIエージェントによる業務自動化検証を進め、次世代の物流オペレーションを構築し、その実証成果を速やかにプロダクトへ反映する計画です。

  • 主要プロダクト: Shippio Platform(複数のDXサービスで構成)
  • 最新リリース: AI通関クラウド「Shippio Clear」
  • 新設組織: AI Advanced Lab(AI活用の本格化と検証推進)

これらの技術開発は、単なるコスト削減にとどまらず、貿易データを経営判断に活用できるようにする点を重視しており、データによる透明性とレジリエンスの向上を目指しています。

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M&Aと実務に根差した成長の実例

ShippioはM&Aによる非連続的な成長も重視しています。2022年に実施した通関会社「協和海運」のM&Aは、収益性や従業員待遇の改善など具体的な成果を出しており、本件は2025年7月に開催された「日本DX大賞」で最優秀賞を受賞するに至りました。

同社は今後も現場の知見とテクノロジーを掛け合わせる視点で、M&Aを含む成長戦略を継続するとしています。

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採用と組織づくり、イベント案内――300名規模に向けた人材戦略

今回の調達は組織拡大にも重点的に投資されます。Shippioは今後3年で300名規模の組織構築を目指し、Sales、CS、事業開発などのビジネス系職種、PdMやプロダクトデザイナー、エンジニア、企画系職種、HR・コーポレートなど幅広いポジションで採用を強化します。

採用関連では本日、採用サイトを全面リニューアルして公開しました。新採用サイトはミッション「産業の転換点をつくる」に焦点を当て、同社が求める価値観や仕事への姿勢、多様なバックグラウンドへの理解を深める構成に刷新されています。

採用サイト
https://recruit.shippio.io/
カジュアル面談(申込)
https://herp.careers/v1/shippioinc/4r0NzhnncI_o
オンラインイベント(HR強化に関する議論)
日時:11月28日(金) 12:00〜13:00 詳細・申込:https://shippio.connpass.com/event/374150/

同社は求人応募の前に話を聞きたい方向けにカジュアル面談を用意しており、約20ポジションで積極採用中としています。

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出資者の評価とShippioの立ち位置、会社情報

今回のラウンドに参加した投資家からは、Shippioの事業進化や社会的意義、業界へのインパクトを評価するコメントが寄せられています。以下に主要投資家および関係者のコメントを記載します(原文の主旨に沿って掲載)。

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投資家からの主なコメント(抜粋)

DNX Ventures マネージングパートナー兼日本代表 倉林陽氏
ShippioはシリーズB以降、マルチプロダクトを擁する国際物流領域のVertical SaaS企業へと進化している。プラットフォーマーとして業界変革を牽引する存在へ成長するため、全力で支援する考えを示しています。

株式会社環境エネルギー投資 パートナー 小林孝弘氏
国際物流領域の非効率は長年の構造的課題であり、デジタル化は国際競争力向上と労働生産性向上に寄与すると評価。デジタル化による輸送計画最適化が環境負荷低減につながる可能性も含め、経済的価値と社会的価値を追求する投資であると述べています。

鈴与株式会社 代表取締役社長 鈴木健一郎氏
国際情勢や貿易政策による環境変化を踏まえ、Shippio Platform構想に大きな期待を寄せて出資。220年以上の物流業の経験を持つ鈴与は、今回の出資を機に連携を深め、国際物流の効率化と価値ある物流サービスの提供につなげたいとしています。

New Commerce Ventures株式会社 代表パートナー 松山馨太氏、大久保洸平氏
Shippioは小売・物流の未来を創るスタートアップとして同社の投資理念に合致。創業初期からの支援経験を背景に、Shippioチームは国際物流のデジタル化を牽引する存在になると信じて支援する旨が述べられています。

株式会社YMFGキャピタル 代表取締役 山口亮太氏
国際物流業界の人員不足と業務の専門性・煩雑さを踏まえ、Shippioは業界課題を真正面から解決できる唯一のプレイヤーであると考え、地域展開を含む支援を行う旨が表明されています。

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CEOコメントと会社概要

代表取締役CEO 佐藤 孝徳氏は、国際紛争や地政学リスクの影響を受けるサプライチェーンの不確実性が増す中で、日本政府も貿易DXを重要アジェンダと位置づけていることに触れ、Shippioのミッションは「産業の転換点をつくる」ことだと述べています。前回ラウンド以降のプラットフォーム拡充と顧客課題解決の実績を踏まえ、今回の出資を受け入れたことへの感謝と、テクノロジーと現場知見の融合で貢献していく旨を表明しています。

会社の基本情報は次の通りです。Shippioは「国際物流を、アドバンストに」をビジョンに掲げ、国際物流プラットフォームの企画・開発・運営を行っています。クラウド上で本船動静の自動更新、見積もり・発注、貿易書類や請求書の一元管理、関係者への情報共有などを提供します。

会社名 株式会社Shippio(Shippio, Inc.)
所在地 東京都港区芝浦1-1-1 BLUE FRONT SHIBAURA TOWER S 9階
代表者 代表取締役 佐藤 孝徳
設立 2016年6月
事業内容 国際物流プラットフォームの企画・開発・運営
取得ライセンス等 第一種 貨物利用運送事業者(関自貨第1714号)、第二種 貨物利用運送事業者(国総国物第107号)、第二種 貨物利用運送事業者(国自貨第386号)、IATA公認代理店認可取得、JIFFA正会員、国際複合一貫輸送約款(2013)、WAYBILL約款(2013)
URL https://www.shippio.io/

Shippioは、プラットフォームを通じて「物流・商流・金流」を網羅する貿易総合プラットフォームの確立を掲げ、ネットレベニューの継続的な2倍成長を目標に据えています。今回の資金調達は、その実現に向けた重要なステップとなります。

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要点の整理

以下の表に本プレスリリースで示された主要事項を整理しました。読者が短時間で核心を把握できるよう、資金額、目的、投資家、主要施策、重要日程などを網羅しています。

項目 内容
発表日 2025年10月30日 08:00
調達合計 32.4億円(エクイティ18.7億円+デット13.7億円)
累計調達額 約70億円
主な引受先(エクイティ) DNX Ventures(リード)、株式会社環境エネルギー投資、鈴与株式会社(新規)、New Commerce Ventures(新規)、YMFGキャピタル(新規)、他
金融機関(デット) 商工組合中央金庫、日本政策金融公庫、みずほ銀行、三菱UFJ銀行、りそな銀行 他
資金使途 プロダクト開発、M&A、組織づくり(採用・HR等)
成長目標 2030年までに日本発着貨物の30%(年間540万TEU)をShippio Platformで取扱
直近の成果 ネットレベニュー 約20倍、取扱コンテナ数 約35倍、ユーザー数 約8倍(2022年以降の3年で)
主要プロダクト・施策 Shippio Platform(3つのDXサービス)、AI通関クラウド「Shippio Clear」、AI Advanced Lab、新規M&A戦略
採用・イベント 採用サイト刷新(https://recruit.shippio.io/)、カジュアル面談(https://herp.careers/…)、オンラインイベント 11/28 12:00〜13:00(https://shippio.connpass.com/event/374150/)

上記のとおり、Shippioの今回の資金調達は単なる資金確保にとどまらず、プロダクトの高度化、AI活用の実践とプロダクトへの迅速な反映、M&Aを通じた市場拡大、そして300名規模の組織づくりという多面的な成長戦略と連動しています。これにより、貿易・国際物流分野のデジタル化を一層推進し、サプライチェーンの透明性と強靱性向上に寄与することが期待されます。

参考リンク: