三河木綿を再解釈した海辺の舞台 GAMA LOVE FES 2025レポ
ベストカレンダー編集部
2025年11月2日 05:55
GAMA LOVE FES初開催
開催日:11月1日
蒲郡とTGCが描いた3年の取り組みが実を結ぶ――初開催「GAMA LOVE FES 2025」
2023年6月、東京ガールズコレクション(TGC)を企画・制作する株式会社W TOKYOと愛知県蒲郡市は、繊維産業の活性化を目的に連携協定を締結しました。以降、当社のコンテンツを活用した施策を3カ年計画で推進し、蒲郡市内の繊維関連企業の若手社員を中心としたプロジェクトメンバー総勢32名からなるコミュニティを形成。専門アドバイザーとともに繊維の新たな用途やデザインの検討、製品開発を進めてきました。
その集大成として初開催された「GAMA LOVE FES 2025」は、2025年11月1日(土)に竹島園地で行われ、のべ約8,000人が来場しました。会場ではTGCプロデュースによるステージ「MIKAWA PALETTE produced by TGC STAGE」が実施され、地域の伝統素材である三河木綿をはじめ刺し子、ガーゼ生地などを用いた衣装を通じて“繊維のまち・蒲郡”の魅力が発信されました。
連携の背景と取り組み経緯
連携協定締結後、3年間をかけて地域の素材をデザインと製品化につなげる仕組みを構築してきました。プロジェクトでは市内の繊維関連企業の若手を中心にメンバーを選出し、外部の専門アドバイザーと連携しながら材料選定、染色、縫製、デザイン調整を繰り返して衣装制作に至っています。
制作した衣装は今回の「MIKAWA PALETTE produced by TGC STAGE」で全15体が披露され、そのうち2体が2026年2月開催予定の『Samsung Galaxy presents TGC in あいち・なごや 2026』でお披露目されることがサプライズ発表されました。
海辺のランウェイで描かれた二つの世界 ― ROOTS STAGE と NEW WAVE STAGE
「MIKAWA PALETTE produced by TGC STAGE」は15:30~16:50の時間帯に実施され、ファッションショーは伝統と現代性を対比させた2部構成で展開されました。海沿い、竹島を背景にした幻想的なランウェイは夕陽に包まれ、来場者の視線を集めました。
プログラムは伝統の継承と素材の新解釈をテーマとした「ROOTS STAGE」と、現代の多様性と自由なスタイルを表現する「NEW WAVE STAGE」の二本立てです。両ステージともプロジェクトメンバーが手掛けた衣装を着用し、地域の技術やノウハウを積極的に活かした制作背景が紹介されました。
ROOTS STAGE:伝統素材を現代へつなげる表現
ROOTS STAGEでは、三河木綿やガーゼ、ゴブラン織り、起毛生地など蒲郡の産地技術をベースに現代風にアレンジした衣装が披露されました。トップバッターは三河木綿のガーゼで制作された、蒲郡の市花(つつじ・つま菊・ミカンの花)をモチーフにしたドレスを纏った米澤りあです。
ランウェイに登場したモデルと衣装の主な紹介は以下の通りです。
- 米澤りあ:つつじ・つま菊・ミカンの花をモチーフにしたガーゼのドレス。柔らかな光に包まれた演出で歓声が上がりました。本人は「お花のモチーフで生地がたっぷりの衣装で、お花畑を歩いているイメージでした」とコメントしています。
- 瀬川陽菜乃:ゴブラン織りをメインにしたドレス。蒲郡のインテリア生地産地の特色を表現。瀬川は会場の景色や撮影についても感想を述べました。
- 鶴嶋乃愛:綿花や水・雨乞いの要素を取り入れた衣装。鶴嶋は着心地の良さを強調しました。
- ゆい小池(ゆいちゃみ):凹凸感のある収縮素材をトップスに、蒲郡風景を写真織りで表現したオリジナルデザイン。
- 石川悠人:蒲郡オリジナル起毛生地のコートを着用し、シルエットの美しさを語りました。
- 小國舞羽:竹島の海をイメージした衣装でランウェイを彩りました。
NEW WAVE STAGE:多様性とサステナビリティをまとって
NEW WAVE STAGEは「現代の多様性と自由なスタイル」をテーマに、サステナブルな素材活用やアップサイクルを前面に出した演出で構成されました。沈みゆく夕陽を背景にしたフィナーレは幻想的な空間となりました。
主な出演モデルと衣装の説明、並びに制作に携わったプロジェクトメンバーのコメントは次の通りです。
- MINAMI:蒲郡の特産や生き物をモチーフにしたキルティング柄の大きなシルエットのドレス。着用感やルックスについて感嘆の声が挙がりました。
- 植野花道:多重ガーゼを絞り染めしたセットアップにレザーのバッグを合わせたコーディネート。ケータリングのメヒカリのフライを絶賛。
- 村上なずな:刺子生地で仕立てたオールインワンスタイル。
- 川口ゆりな:砂浜をイメージした収縮素材とレースの組合せ。デザインの芸術性が評価されました。
- 那須ほほみ:三河縞を復刻したトレンチコートを着用。田中杏実さんが制作経緯を説明し、三河縞生地を一から制作した点が紹介されました。
- 柏木由紀:寝具用ガーゼやオーガンジーの端切れを再利用したトップスと、織りの“耳”と呼ばれる端材をアップサイクルしたスカートを着用。サステナブルな素材活用でフィナーレを飾りました。
プロジェクトメンバーの田中杏実さんは那須ほほみの衣装について「三河縞の生地をいちから制作し、ベルト部分には三河産地のロープをアレンジした」と語り、藤井彩月さんは川口ゆりな着用の衣装について「蒲郡の砂浜をイメージし、フリンジやレース、ビーズなどで漂流物を表現した」と制作秘話を明かしました。
音楽ライブ、ケータリング、運営情報――イベントの細部
ファッションショー以外にもアーティストライブ、豪華ケータリング、来賓挨拶など内容は多岐にわたりました。オープニングでは蒲郡市長・鈴木寿明氏が登壇し、プロジェクト3年目の集大成としての思いと地域産業への期待を来場者に向けて述べました。鈴木市長は衣装に使われた“三河木綿・刺し子・ガーゼ生地”に注目を促すコメントもしています。
アーティストライブでは、5人組ボーイズグループのWILD BLUEが登場。オープニングは5th Digital Single「Astrist」、続いて「Love is Blind」「Oh Girl」「BOX of DESTINY」などを披露し、ラストは6th Digital Single「君の笑顔とあの空」で締めくくりました。WILD BLUEは2026年2月開催予定の『Samsung Galaxy presents TGC in あいち・なごや 2026』への出演も決定しています。
しなこによるフィナーレパフォーマンス
イベントの締めくくりは原宿発のアーティストしなこ。デビュー後ミュージックビデオの再生数が3,900万回を超えた人気アーティストで、カラフルなユニコーン衣装で登場しました。セットリストには「しなこワールド」「マシュマロパンチ」「グミキュンプリンセス」「ユニコーンパーティー」「歯ラ歯ラ」が含まれ、会場はキッズ層を中心に賑わいました。
しなこは楽曲を通じてポジティブなメッセージを発信し、来場者と双方向の掛け合いを行いながらパフォーマンスを展開しました。
出演者向けケータリングと地域連携
出演者向けのケータリングでは蒲郡市・西尾市・幸田町の特産品を用いたメニューでおもてなしが行われました。メニューは地場の食材を生かした構成になっており、出演者からも好評を得ています。
- 使用された主な特産品
- 蒲郡みかん、西尾抹茶、幸田町の筆柿、梨、太白胡麻油 など
- ケータリングメニュー(一例)
-
- 蒲郡みかんのババロア
- 梨のゼリー寄せ
- パンナコッタ(幸田産筆柿ソース)
- ゴマのブランマンジェ
- 西尾抹茶プリン
- 太白胡麻油を使用した蒲郡クラシック特製ショコラ
- 巻寿司万華鏡
- 蒲郡みかん狩り体験(催し)
運営・開催概要(主要情報)
以下は「GAMA LOVE FES 2025」の主要な開催情報です。開催は入場無料で、地域の産業と観光資源を結び付ける形で運営されました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| イベント名称 | GAMA LOVE FES 2025 |
| 開催日時 | 2025年11月1日(土)開演10:00、終了17:00 |
| 会場 | 竹島園地(〒443-0031 愛知県蒲郡市竹島町2) |
| 料金 | 無料 |
| 公式サイト | https://gamalovefes.jp/ |
| 主催 | ミカワ・テキスタイル・ネットワーク協議会、蒲郡市 |
| TGCプロデュースステージ名 | MIKAWA PALETTE produced by TGC STAGE(ステージ時間:15:30~16:50) |
| 出演(モデル) | 石川悠人、植野花道、小國舞羽、柏木由紀、川口ゆりな、瀬川陽菜乃、鶴嶋乃愛、那須ほほみ、MINAMI、村上なずな、ゆい小池(ゆいちゃみ)、米澤りあ ※50音順 |
| 出演(アーティスト) | しなこ、WILD BLUE ※50音順 |
| MC | 林祐衣 |
主催者・運営の視点と企業情報
本イベントはTGCを企画・制作する株式会社W TOKYOがプロデュースし、地域との連携による地方創生プロジェクトの一環として実施されました。W TOKYOはTGCのブランド力を活用して地方創生やSDGsの推進にも取り組む事業会社です。
以下に同社の概要及びTGCの位置づけを整理します。
- 株式会社W TOKYO(会社概要)
-
- 会社名:株式会社W TOKYO(コード番号:9159、東証グロース)
- 所在地:東京都渋谷区神宮前5-28-5 W Building
- 資本金:246百万円(2025年6月末現在)
- 代表取締役:村上 範義
- 事業内容:TOKYO GIRLS COLLECTIONのブランドを活用したブランディング・コンテンツプロデュース事業
- 公式サイト:https://www.w-tokyo.co.jp/
- TOKYO GIRLS COLLECTION(TGC)について
-
2005年8月から年2回開催される国内最大級のファッションフェスタで、「日本のガールズカルチャーを世界へ」をテーマにモデル、タレント、アーティストなどのトップインフルエンサーが集結します。認知度94%を誇り、リアルとオンラインを合わせた総体感人数は延べ約800万人を超えます。地方創生プロジェクトやSDGs推進など、社会課題への働きかけも行っています。
この記事の要点整理とまとめ
ここまでに記載した重要ポイントを以下の表で整理します。各項目はイベントの開催情報、ステージ構成、登壇者、ケータリング、連携の背景など、読者が把握すべき要素を網羅しています。
| 項目 | 内容(要点) |
|---|---|
| 連携開始 | 2023年6月にW TOKYOと蒲郡市が繊維産業活性化の連携協定を締結 |
| プロジェクト体制 | 蒲郡市内繊維関連企業の若手を中心としたプロジェクトメンバー32名と専門アドバイザー |
| 開催イベント | GAMA LOVE FES 2025(初開催)/開催日:2025年11月1日(土)10:00~17:00/会場:竹島園地 |
| 来場者数 | のべ約8,000人 |
| TGCプロデュースステージ | MIKAWA PALETTE produced by TGC STAGE(15:30~16:50)— ROOTS STAGE と NEW WAVE STAGE の2部構成 |
| 主要モデル | 石川悠人、植野花道、小國舞羽、柏木由紀、川口ゆりな、瀬川陽菜乃、鶴嶋乃愛、那須ほほみ、MINAMI、村上なずな、ゆい小池(ゆいちゃみ)、米澤りあ(50音順) |
| アーティスト | しなこ、WILD BLUE(50音順) |
| MC | 林祐衣 |
| ケータリング | 蒲郡みかん、西尾抹茶、幸田町の筆柿、梨などの特産品を用いたメニューを出演者へ提供 |
| サプライズ発表 | プロジェクトで制作された全15体の衣装の中から2体が2026年2月の『Samsung Galaxy presents TGC in あいち・なごや 2026』でお披露目予定 |
| 主催 | ミカワ・テキスタイル・ネットワーク協議会、蒲郡市(TGCプロデュース:株式会社W TOKYO) |
今回のGAMA LOVE FES 2025は、地域固有の産業資源を現代の表現に結び付けて可視化する試みとして、三年にわたるプロジェクトの成果を示したイベントでした。伝統素材の新たな用途や若手クリエイターの手仕事が集約された衣装群と、音楽や食の要素が融合した構成は、蒲郡市とTGCの連携が示す方向性を端的に表しています。
参考リンク: