noteとNAVERが資本提携 20億円で創作支援を世界へ
ベストカレンダー編集部
2025年11月5日 19:22
noteとNAVER提携
開催日:11月5日
NAVERからの出資で描く「国境を越える創作エコシステム」
2025年11月5日16時、note株式会社は韓国の大手インターネット企業であるNAVER Corporationとの資本業務提携を発表しました。NAVERからの出資総額は20億円で、両社はAI時代に適した創作と流通の新しいエコシステムを共同で構築することを目的としています。
今回の提携は、クリエイターが世界中のファンとつながり、持続的に活動できる仕組みを目指すものです。noteは創作から発信、収益化までを支援する日本最大級のメディアプラットフォームであり、NAVERは検索、コマース、フィンテック、クラウド、AI、コンテンツなど幅広い事業を展開する韓国最大のインターネット企業です。両社の特色ある強みを掛け合わせることで、グローバルで通用する創作支援基盤の拡大を目指します。
協業の中身:4つの取り組みと具体的な初動
プレスリリースで提示された協業領域は4つに整理されています。生成AIの技術連携やプラットフォーム間の連携、IP・コンテンツの共同開発、そして戦略的投資の検討です。各領域は相互に補完し合い、創作の発掘・制作・流通・事業化をより高度化することを目標としています。
特に最初の具体的な動きとして、noteの子会社であるTales & Co.とNAVERの関連会社であるLINEマンガが連携し、新たな作家や作品の発掘・育成を進めるプロジェクトを2026年初旬を目処に始動させる予定です。以下では4つの協業領域を個別に整理します。
① 生成AI技術領域での連携
両社はクリエイティブ領域におけるAI活用を共同で推進します。AIや新興技術を活かして、コンテンツの発掘・制作・流通を高度化することが掲げられています。
具体的には、両社が保有するAI技術を組み合わせ、創作支援ツールやデジタルコンテンツの品質向上に資する新サービスの開発・強化に取り組みます。生成AIを用いた制作支援は、個人クリエイターの負担軽減や表現の拡張を支援することが期待されます。
② 両社プラットフォーム間の連携
両社のプラットフォームや関連サービス間でコンテンツやIPの相互利用、クロス配信、グローバル展開の機会を検討します。これにより、クリエイターとファンの関係をより深める仕組みが模索されます。
UGC(ユーザー生成コンテンツ)領域の拡大を目指し、プラットフォーム間での配信や共同プロモーション、発掘アルゴリズムの連携などが想定されます。相互利用により、作品の露出とマネタイズの機会が増えることが意図されています。
③ IP・コンテンツの共同開発・展開
NAVERはWebtoonをはじめとするクリエイター発のコンテンツ制作基盤を持ち、そこから生まれた人気作品をアニメや映像、実写ドラマへ展開するエコシステムを確立しています。noteとTales & Co.のクリエイター支援やメディアとのネットワークと組み合わせることで、グローバル市場で通用する新しいIPを生み出す狙いです。
最初の取り組みは、Tales & Co.とLINEマンガによる作家・作品発掘プロジェクト(2026年初旬目処)で、両社の編集力や配信ネットワークを活かしたタレント発掘と育成が実施されます。
④ 戦略的投資
上記の取り組みを推進するため、両社は戦略的投資の機会を共同で模索します。投資対象は技術、コンテンツ、プラットフォーム補完領域などが想定され、各社のノウハウやネットワークを活かして事業領域の拡大と国際競争力の強化を図る方針です。
この投資連携は、単なる資本提供にとどまらず、事業共創の観点から実行される計画です。合意に基づく案件ごとに具体的な検討が進められることになります。
背景と両社の役割分担:なぜ今、この提携なのか
プレスリリースでは、グローバルでのコンテンツ需要拡大と国を挙げた支援体制の違いが今回の提携の背景として示されています。日本ではマンガやアニメ、ゲームが世界から注目を集める一方で、良質な作品が十分に海外へ届いていない課題があります。
政府の目標としては、コンテンツ産業の海外売上を2033年までに20兆円規模に広げることが掲げられており(経済産業省『エンタメ・クリエイティブ産業戦略』2025年6月)、こうした国レベルの動きも業界に影響を与えています(※1)。
一方で、韓国側は文化関連支出が国家予算比で日本より高く、政策金融やK-コンテンツ戦略基金など公的支援も充実しています(※2、※3)。また、NAVER傘下のWEBTOONは150カ国以上で展開され、UGC由来の作品がドラマ化・映画化される等、制作から流通までを連動させる体制が成熟しています。
note側の強みは「だれもが創作をはじめ、続けられるようにする」というミッションの下で構築してきた創作プラットフォームとメディア連携です。例として、2025年に開催された第4回「創作大賞」では38の協賛メディアとともに約7万件の作品が集まり、これまでに20作品以上が書籍化や映像・舞台化を実現しています。
両社の概要(要点整理)
プレスリリースに記載された両社の事業概要も重要です。NAVERは1999年設立の韓国最大のインターネット企業で、検索をはじめ多分野で事業展開しており、2024年の売上高は10兆7,400億ウォン(約75億米ドル)を記録しました。
noteグループは、note株式会社(メディアプラットフォーム)、Tales & Co.株式会社(クリエイター共創)、note AI creative株式会社(生成AIによる創作支援)の3社で構成され、多様なクリエイター支援の体制を有しています。
代表コメントと関連資料への案内
NAVER Corporation CEO 崔秀妍氏は、noteを「日本の多彩なジャンルと1,000万人のユーザーが持つ個性が集まるプラットフォーム」と評し、AI時代において両社が協働で成長できるパートナーであると述べています。技術革新と新サービス創出を通じてグローバル競争力を高める意向が示されました。
note株式会社 代表取締役CEO 加藤貞顕氏は、NAVERと組むことで作品を広く届ける仕組みづくりが可能になると述べ、新しい創作の仕方や届け方、創作のエコシステムを両社で作っていく考えを示しています。
関連情報や詳細は、noteが公開したリリース(https://note.jp/n/ndbe1078f54a4)およびNAVERの企業情報(www.navercorp.com/en)をご参照ください。
本件の要点まとめと重要データ
以下の
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発表日 | 2025年11月5日 16時00分(note株式会社 発表) |
| 出資額 | 総額 20億円(NAVER Corporation からの出資) |
| 協業領域 | ①生成AI技術連携 ②プラットフォーム間連携 ③IP・コンテンツ共同開発・展開 ④戦略的投資 |
| 初動プロジェクト | Tales & Co. と LINEマンガの連携による作家・作品発掘・育成プロジェクト(2026年初旬目処) |
| noteグループ構成 | note株式会社、Tales & Co.株式会社、note AI creative株式会社(3社) |
| NAVERの概況 | 1999年設立、韓国最大のインターネット企業。2024年売上高 10兆7,400億ウォン(約75億米ドル)。WEBTOON運営。 |
| 関連リンク | https://note.jp/n/ndbe1078f54a4 / www.navercorp.com/en |
本記事では、noteとNAVERによる資本業務提携の発表内容を整理して届けました。提携は技術・プラットフォーム・IP・投資の各領域での協業を通じて、日本発の創作コンテンツのグローバル流通と創作支援基盤の強化を目指すものです。出資額や初動プロジェクトの時期、両社の役割と背景にある政策や市場動向など、プレスリリースに含まれる主要な事実を網羅してまとめています。
- 出典・注記
- (※1)経済産業省「エンタメ・クリエイティブ産業戦略 ~コンテンツ産業の海外売上高20兆円に向けた5ヵ年アクションプラン~」2025年6月24日
- (※2)文化庁 共同研究「新型コロナウイルス感染症の影響に伴う諸外国の文化政策の構造変化に関する研究」:日本0.11%/韓国1.23%
- (※3)韓国 文化体育観光部の方針:政策金融1.74兆ウォンおよびK-コンテンツ戦略基金6,000億ウォンの創設・運用に関する公式発表(KOCCA Issue Focus等)
- (※4)Netflix「今後4年間で25億ドルを韓国コンテンツに投資」—2023年4月発表
参考リンク: