11月18日開始 USJが廃食油でグリーン・ストリート点灯
ベストカレンダー編集部
2025年11月6日 17:35
グリーン・ストリート点灯
開催日:11月18日
ポテトの揚げ油がパークの夜景を照らす──グリーン・ストリート・イルミネーション始動
ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(以下、USJ)は、2025年11月18日(火)より、パーク内のレストランで使用された廃食油のみから精製された100%バイオディーゼル燃料を用いて、「グリーン・ストリート」のイルミネーションを点灯する取り組みを開始します。これはパーク内で使用される電力の一部に、廃食油由来の燃料を直接活用する初の事例です。
点灯は、夏に猛暑対策として誕生した緑豊かな通り「グリーン・ストリート」を夜間に彩るもので、2025年冬のシーズナル・イベント「ユニバーサル・クリスマス・ジョイ」期間中はもちろん、通年での夜間イルミネーションとして継続されます。報道発表は合同会社ユー・エス・ジェイにより、2025年11月6日 14時38分に行われています。
試験点灯と取材案内
詳しい実施に先立ち、試験点灯が2025年11月13日(木)のパーククローズ後に予定されています。取材を希望するメディアは広報室へ連絡するよう案内されています。
今回の取り組みは、既に2024年11月22日から実施している、バイオディーゼル燃料5%混合軽油をライド・アトラクション「ジョーズ」のボートエンジンで活用する実例を発展させたものです。従来の混合燃料利用から一歩進め、パーク初の100%利用へと拡大した点が特徴です。
循環型社会推進プロジェクトの現場:廃食油から燃料へ
USJが掲げる「循環型社会推進プロジェクト」は、CSRスローガン『LOVE HAS NO LIMIT』のもと、パーク内で発生する再利用可能な資源を積極的に活用する取り組みです。廃食油の活用はその代表例で、28施設のレストランで使用された揚げ油を原料としています。
廃食油はまず不純物を取り除く工程を経て精製され、その総量のおよそ80%がバイオディーゼル燃料に生まれ変わります。生成された燃料は用途に応じて、以下のように使い分けられます。
- 軽油に混合し、バイオディーゼル燃料5%混合軽油として使用
- 軽油と混合せずに100%のバイオディーゼル燃料として使用
今回のイルミネーション点灯は、後者の100%活用に当たります。パーク内で発生した廃食油をパーク内の施策に還元することで、施設自らが循環のサイクルを作る狙いがあります。
廃食油の取り扱いと燃料化の流れ
廃食油の処理は複数工程で行われます。まず使用済み油から金属片や食材片などの大きな不純物を除去し、さらに化学的・物理的処理により品質を整えたうえで、バイオディーゼルへと変換します。こうした工程により、燃料としての安全性や性能を確保しています。
下表は廃食油からバイオディーゼル燃料へ至るおおまかなプロセスを示します。
- 原料収集
- パーク内の28レストランで発生した使用済み揚げ油を回収。
- 前処理
- 濾過や脱水により固形不純物や水分を除去。
- 精製・化学処理
- トランスエステリフィケーション等の工程でバイオディーゼルを生成。
- 検査・出荷
- 品質検査を経て、混合や純燃料として用途に振り分け。
パーク内で進むその他の環境配慮型施策
USJはバイオディーゼル利用以外にも、循環型社会の実現に向けた複数の取り組みを展開しています。これらは廃棄物削減と資源の有効活用を目的としたもので、パークの運営に伴う環境負荷低減を目指しています。
ここではプレスリリースに記載された具体的な施策を挙げます。
- 生ごみの液肥化:調理時に発生する食品廃棄物を粉砕・脱水する生ごみ処理機を導入し、廃棄物の減量とともに液肥化を進め、パーク内の植栽用肥料や提携農家への提供を目標としています。
- 工事シートのアップサイクルバッグ:工事中の足場を隠すイメージシートを廃棄せずアップサイクルし、バッグとして一部を従業員に配布する取組みを実施しています。
これらの施策は、USJが掲げるCSRの三分野(地域貢献、インクルージョン、環境)のうち環境分野に位置づけられており、パーク運営と社会的責任を両立させるための実践例となっています。
企業背景とパークの役割:エンターテイメントと社会貢献の接点
ユニバーサル・スタジオ・ジャパンはコムキャストNBCユニバーサルグループに属し、2001年の開業以来、国内外のゲストを集める一大ランドマークとして成長してきました。プレスリリースでは、USJの企業理念や代表的なエンターテイメント提供の事例も改めて説明されています。
記載されている主なアトラクションやエリアには次のものがあります。
- ウィザーディング・ワールド・オブ・ハリー・ポッター
- ジュラシック・パークのエリアを滑走する「ザ・フライング・ダイナソー」
- ミニオン・パークの「ミニオン・ハチャメチャ・ライド」
- スーパー・ニンテンドー・ワールド(任天堂テーマ)
USJはCSRスローガン『LOVE HAS NO LIMIT』のもと、環境対応を含む社会貢献活動を継続しており、今回のバイオディーゼル燃料の活用はその一環として位置づけられます。
要点の整理
以下に、本記事で取り上げた主要情報を表形式で整理します。取り組みの要旨、日付、数値などを確認できます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発表者 | 合同会社ユー・エス・ジェイ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン) |
| 発表日時 | 2025年11月6日 14時38分 |
| イルミネーション点灯開始日 | 2025年11月18日(火) |
| 試験点灯(メディア向け) | 2025年11月13日(木)パーククローズ後(取材希望は広報室へ) |
| 燃料の原料 | パーク内28施設のレストランで使用された廃食油(主にポテトの揚げ油等) |
| 燃料化の歩留まり | 精製後、総量の約80%がバイオディーゼル燃料に変換 |
| 使用形態 | 従来は5%混合軽油での利用(2024年11月22日より「ジョーズ」ボートで実施)。今回のイルミネーションでは100%バイオディーゼル燃料を使用 |
| 関連施策 | 生ごみの液肥化(生ごみ処理機導入)、工事シートのアップサイクルバッグ化 等 |
| CSRスローガン | LOVE HAS NO LIMIT |
| 参考リンク | https://www.usj.co.jp/company/csr/ |
以上の通り、USJはパーク内資源を活用した循環型の取り組みを具体化し、エンターテイメント空間の演出にもその成果を反映させています。廃食油を起点とした燃料化の実例は、施設運営と環境配慮を結びつける試みとして注目されます。
参考リンク: