アスクル、ASKULを優先復旧へ 復旧計画の要点

アスクル復旧計画第6報

開催日:11月6日

ASKULはいつから普通に使えるようになるの?
段階的復旧で、まずトライアルは既に10月29日開始。拡大は11月12日予定、11月中にWEB注文を順次再開し、本格復旧は2025年12月上旬以降を見込んでいます。
自分の個人情報が流出しているかどうかは分かるの?
第5報で一部情報の外部流出を確認と公表。該当するお客様には個別に連絡中で、問い合わせ窓口や関係機関への報告、調査・監視を継続しています。

事業所向けサービスを最優先に据えた復旧方針と現状

アスクル株式会社は、2025年10月19日に発生したランサムウェア攻撃に伴うシステム障害に対し、事業所向けの業務継続を最優先とする復旧方針を示しています。発表日時は2025年11月6日16時30分で、本発表は第6報に当たります。

同社はまずASKUL(事業所向け)サービスを先行的に復旧させ、安全性と安定稼働の確認を行いながら対象範囲を順次拡大すると明示しています。障害対応にあたっては、被害拡大防止の観点からランサムウェアの詳細説明は限定しており、ログ解析や監視、原因調査を継続しています。

被害発生日とこれまでの発表経緯

ランサムウェア攻撃は2025年10月19日に確認され、以降関連情報は段階的に公表されています。これまでの主な発表は以下のとおりです。

  • 2025年10月19日:ランサムウェア攻撃によるシステム障害確認(第1報)
  • 2025年10月22日:調査状況とサービス現況(第2報)
  • 2025年10月29日:一部商品出荷トライアル運用開始(第3報)
  • 2025年10月31日:一部報道について(第4報)
  • 2025年10月31日:情報流出に関するお詫びとお知らせ(第5報)
  • 2025年11月6日:サービスの復旧状況について(第6報・本リリース)

これらの発表は状況により変更される可能性があるとしており、最新状況の継続的な公表を行うとしています。

段階的に進めるASKULサービスの復旧計画(詳細)

ASKULサービスの復旧は第1弾のトライアル結果を踏まえ、出荷拠点および取扱商品の段階的拡大を行う計画です。各段階は手運用を含むトライアル運用であり、従来の倉庫管理システム(WMS)を使用しない運用として実施されます(※1)。

トライアル出荷運用は通常サービスよりもお届け日数がかかる点が明記されています。対象のお客様には、トライアルで注文可能になった際に個別案内が提供されます。

第1弾:FAX注文による手運用トライアル(10月29日開始)

第1弾は2025年10月29日から開始された出荷トライアルで、初期段階では一部のお客様(医療機関・介護施設を含む)を対象としています。注文方法はFAXで、対象商品はコピーペーパー等の37アイテム(※2)、すべて箱(ケース)単位での受付です。

出荷拠点は新木場物流センターとASKUL大阪DCの2拠点での運用となります。第1弾は限られた品目・拠点での運用であるため、出荷能力は限定的です。

第1弾の拡大(11月12日開始)

第1弾の拡大フェーズは2025年11月12日開始予定で、対象商品・出荷拠点を拡大します。拡大後の対象は一部のお客様のさらなる拡大、注文方法は引き続きFAXです。

対象商品はコピーペーパー等の237アイテム(※3)で、すべて箱(ケース)単位の受付です。出荷拠点としてASKUL仙台DC、ASKUL横浜DC、ASKUL名古屋DC、ASKUL関西DC、ASKUL福岡DCの5拠点が追加され、合計7拠点体制となります(追加拠点からの出荷は11月7日から開始)。出荷能力は従来の1~2割程度であると報告されています。

第2弾(予定):WEB注文を含む手運用トライアル(11月中開始予定)

第2弾は2025年11月中の開始を予定しており、FAXに加えソロエルアリーナWebサイトでの注文再開を行う予定です(※5)。この段階では対象をさらに拡大し、注文方式にWebを加えることで利便性を戻していきます。

第2弾における対象商品は、箱単位注文が第1弾と同様の237アイテム、単品注文として医療機器・衛生材料等メディカル品約470アイテム(※6)を予定しています。箱単位注文の出荷拠点は第1弾と同様の7拠点、単品注文はASKUL東京DCの1拠点での対応を想定しています。出荷能力は第1弾と同様の水準とされています。

本格復旧フェーズ(2025年12月上旬以降)

本格復旧フェーズは2025年12月上旬以降を見込んでおり、ASKUL Webサイトでの注文受付再開と一部物流センターから通常出荷(単品での注文受付、物流センター在庫全商品の出荷)を再開する予定です。順次稼働センターを拡大して通常サービスに近い状態へ戻す計画です。

補足事項として第1弾〜第2弾はWMSを使用しない運用である点、トライアル出荷は通常より時間を要する点が改めて示されています。

その他サービスの現状とASKUL LOGISTの取扱いについて

ASKUL以外の同社関連サービスの状況も個別に公表されています。各サービスの再開時期や運用状況はサービス毎に異なります。

以下に各サービスの現状を整理します。

LOHACO(ロハコ)
現時点では出荷トライアル運用の対象外。サービス再開時期は確定次第案内予定。
パプリ(印刷サービス)
2025年11月中旬より一部のお客様からFAXでのご注文を開始予定。対象のお客様には個別案内を行う。サービスの全面再開時期は未定で、確定次第案内。
ビズらく
システム、Webサイトの安全確認を実施済み。通常サービスを提供中。
SOLOEL(ソロエル)
システム、Webサイトの安全確認を実施済み。通常サービスを提供中。ただし、SOLOEL内の一サプライヤーとしての「アスクル株式会社」は出荷を停止しており、出荷再開時期は確定次第案内。
アスクル外部カタログ連携(直販モデル含む)
現時点では出荷トライアル運用の対象外。サービス再開時期は確定次第案内。

また、ASKUL LOGIST株式会社が行う3PL事業におけるお客様企業(例:株式会社良品計画様ほか)の出荷業務は、本リリースに記載の復旧スケジュールとは異なるスケジュールで運用されます。この点は別途説明される可能性があります。

情報流出、外部対応窓口と調査状況

アスクルは第5報(2025年10月31日)で、同社が保有する情報の一部が外部に流出したことを確認したと公表しています。対象となるお客様およびお取引先には順次個別連絡を行っているとされています。

被害拡大防止を優先する観点から、ランサムウェアに関する詳細情報の開示は差し控えるとし、現在もシステムの詳細ログ解析、異常監視、原因および障害対象範囲の詳細調査を継続しています。個人情報保護委員会への報告や警察への相談等、関係各所への報告・相談も適切に実施している旨が明記されています。

お問い合わせ窓口

情報流出専用のお問い合わせ窓口が設けられています。受付は平日のみで受付時間は9時〜17時です。フリーダイヤルおよびIP電話用の番号が案内されています。

  • フリーダイヤル:0120-023-219(平日9時-17時)
  • 050で始まるIP電話から:03-6731-7879(通話料は利用者負担)

また、同社からのメール連絡は社内ネットワークとは独立した外部クラウドサービスを利用して送信されており、該当外部サービスでのランサムウェア感染や不正アクセスは現時点で確認されていないとしています。

発表内容の要点整理と注意点

以下の表は本リリース(第6報、発表日:2025年11月6日16時30分)の主要事項をわかりやすく整理したものです。発表内容はすべて本文に記載した情報を網羅しています。

項目 内容
発表者 アスクル株式会社(本社:東京都江東区、代表取締役社長:吉岡晃)
発表日時 2025年11月6日 16時30分(第6報)
発生事象 2025年10月19日 ランサムウェア攻撃によるシステム障害
復旧方針 事業所向けASKULサービスを最優先に段階的に復旧、順次範囲拡大
第1弾(開始) 10月29日開始。FAX注文、37アイテム(箱単位)、新木場・大阪DCの2拠点
第1弾拡大 11月12日開始予定。237アイテム(箱単位)、計7拠点(追加5拠点)。追加拠点の出荷は11月7日開始。出荷能力は従来の1〜2割程度
第2弾(予定) 11月中開始予定。FAXに加えソロエルアリーナWeb注文再開予定。箱単位237アイテム、単品約470アイテム(医療関連含む)
本格復旧 2025年12月上旬以降。ASKUL Webでの注文再開、単品での通常出荷再開予定
その他サービス LOHACO・外部カタログ連携は対象外。パプリは11月中旬より一部FAX開始予定。ビズらく・SOLOELは安全確認済で通常提供中(ただしアスクルの出荷は停止中)
情報流出対応 一部情報の外部流出を確認。個別連絡、関係機関への報告・相談、ログ解析・監視・原因調査を継続中
問い合わせ窓口 情報流出専用:0120-023-219(平日9-17時)、IP電話:03-6731-7879(通話料利用者負担)
注記(※)
  1. 第1弾〜第2弾はWMSを使用しない運用。
  2. 37アイテムはコピーペーパー、ペーパータオル、トイレットペーパー、ゴミ袋等。
  3. 237アイテムは※2に加え介護用おむつ、介護用品、飲料、洗剤、飲食消耗品等。
  4. 各センター所在地は同社サイト(https://www.askul.co.jp/corp/company/access/)で確認可能。追加拠点からの出荷は11月7日開始。
  5. 安全性が確認できたWebサイトからの注文再開を進める。
  6. 約470アイテムには注射針、シリンジ、カテーテル、消毒用エタノール、酒精綿、高濃度手指消毒剤、ガーゼ、カット綿、検査用グローブ、新型コロナウイルス抗原検査キット、舌圧子、パルスオキシメーター等(医療関連施設の確認が取れたお客様のみ購入可能な商品を含む)

以上の表は本リリース(第6報)で提示された全ての主要情報を網羅的に整理したものです。掲載の数値や開始時期は発表日時点の情報であり、状況により変更される可能性がある点に留意する必要があります。

本稿ではアスクルが公表した内容を正確に引用・整理して伝えました。問い合わせ先や注意事項、各段階の運用上の制約(WMS未使用や出荷能力の制限、対象商品の範囲など)については本文の詳細を参照してください。