3億円で始動 子ども若者支援の資金循環モデル

日本子ども若者プラットフォーム

開催日:10月30日

日本子ども若者プラットフォーム
この「日本子ども若者プラットフォーム」って何?
米日財団と国内5団体が連携し、寄付・投資・無利子融資を組み合わせて資金を循環させる仕組みを実証する新しい若者支援のプラットフォームです。約3億円の無利子融資で2025年10月に始動しました。
寄付したらどう変わるの?
寄付や投資は単発で終わらず、融資を受けたNPOが事業成長後に返済し、その資金が次の支援へ回る仕組みです。透明性の公表も予定で、継続的で循環する支援につながります。

米日財団の支援で始動した「日本子ども若者プラットフォーム」の全体像

2025年10月30日(木)に実施された設立会見を通じて、米日財団(U.S.-Japan Foundation)と日本の5団体による新しい取り組み「日本子ども若者プラットフォーム」が発表されました。プレスリリースは特定非営利活動法人サンカクシャから2025年11月8日 18時40分に公表されています。

本プラットフォームは、民間の寄付・投資・融資を組み合わせることで「お金が循環する支援」を実現し、子どもや若者を支える団体への支援を単発の寄付で終わらせず、次の支援へとつなげる「社会的資金循環モデル」を目指すものです。米日財団からの約3億円の無利子融資により本プロジェクトは始動しました。

米日財団とともに「日本子ども若者プラットフォーム」始動。 画像 2

発表日時と主催

設立会見日時:2025年10月30日(木)

発表主体:特定非営利活動法人サンカクシャ(プレスリリース日:2025年11月8日 18:40)および米日財団の協力による共同イニシアチブ。

  • 発信元団体:特定非営利活動法人サンカクシャ
  • 協力:米日財団(U.S.-Japan Foundation)
米日財団とともに「日本子ども若者プラットフォーム」始動。 画像 3

参加団体と現場での役割:5団体が連携して支援の網をつなぐ

プラットフォームには、子どもや若者に直接関わる5つの団体が参加しています。それぞれが現場で蓄積した知見と信頼を持ち寄り、支援が途切れない仕組みを共に構築します。

参加団体は次の5団体です。いずれも子ども・若者支援において現場で実績を持つ団体として紹介されています。

ピースウィンズ・ジャパン
被災地での子ども支援、児童養護施設の子どもたちへの留学、学習、異文化交流など教育・体験機会の提供。
Learning for All
教育の機会を失った子どもたちへの現場支援。
DxP(Developing the X Project)
孤立する高校生や若者に対しオンラインでつながる機会を提供。
全国こども食堂支援センター・むすびえ
全国のこども食堂と地域の支え合いの輪を拡大。
特定非営利活動法人サンカクシャ
15歳〜25歳の親を頼れない若者に対して「居場所」「住まい」「仕事」の3つの支援を提供し、孤立を防ぎ自立を支援。

各団体の役割をつなぎ、支援が次世代へと連鎖していく「継続的な支援の流れ」を生む点が本プラットフォームの特徴です。

米日財団とともに「日本子ども若者プラットフォーム」始動。 画像 4

資金循環モデルと「共創ファイナンス」の仕組み

本取り組みの中核は、寄付・ふるさと納税・投資・基金運用など多様な資金を一体化して活用し、お金が使われて終わるのではなく社会の中を循環する仕組みをつくる点にあります。融資を受けて事業を成長させたNPOが返済することで、返済された資金が次の団体・事業に回り、新たな支援が生まれるという構造です。

このモデルは「共創ファイナンス」として表現され、支援を受ける側とする側を分けない、すべての関係者が参加できるファイナンスの形を提示しています。透明性・信頼の確保にも配慮し、資金の使途や成果を確認できる仕組みを整備することが明示されています。

米日財団の位置づけと理事長のコメント

米日財団 理事長 ローレンス・K・フィッシュ氏は、日本のソーシャルセクターが成長途上にある点を指摘しました。米国ではソーシャルセクターが経済の約16%を占める一方で、日本は約1%にとどまるという現状を念頭に、「この未開拓の成長領域を育てたい」と述べています。

理事長のコメントは、同財団にとって本プロジェクトが「社会変革への投資」であり、民間がリスクを取りつつ信頼をベースに課題解決を進める新しい挑戦になるとの位置づけを示しています。

経済界・企業の関与、目指す資金規模とサンカクシャの位置づけ

プラットフォームは米日財団や参加NPOだけで完結するものではなく、経済団体や企業、自治体、個人投資家など広範な参加を求めています。企業の参画により地域や従業員との関係性が深まり、事業を通じた社会貢献の実感が得られる可能性が示されています。

長期的な目標としては、寄付文化と社会的投資を両輪に回しながら運用を拡大し、最終的に100億円規模の共創基金を目指すことが掲げられています。この資金規模の達成によって、プラットフォームは日本における新しい社会的投資のマーケットを形成しようとしています。

サンカクシャの立場と活用計画

サンカクシャ代表理事 荒井佑介氏は、親を頼れない若者たちに居場所・住まい・就労の機会を提供している現場の立場から、本取り組みの意義を説明しています。18歳から25歳の若者層に対して行政の支援が届きにくい事実を挙げ、民間支援モデルの重要性を示しました。

また、サンカクシャは5団体のなかでも活動資金が最も少ない団体と位置づけられており、今回の資金はマンスリーサポーターをはじめ支援者を増やし、団体の活動のベースとなる資金を獲得・発展させる目的で使用されると明記されています。

組織情報と参考リンク

以下は、サンカクシャの基本情報です。団体の公開する活動報告書へのリンクも含まれています。

項目 内容
団体名 特定非営利活動法人サンカクシャ
代表者 荒井 佑介
事業内容 若者の居場所・居住施設の運営、就労支援等の若者支援
所在地 東京都豊島区上池袋 4-35-12 3階
設立 2019年
Webサイト https://www.sankakusha.or.jp/
活動報告書(2024年度) AnnualReport2024_Web.pdf

要点の整理:プラットフォームの狙いと今後の枠組み

ここまで紹介した内容を整理すると、本プラットフォームは次の点を主要な目的として掲げています。

  • 寄付や投資、融資を組み合わせることで資金を循環させる社会的資金循環モデルの実証。
  • 透明性と信頼の確保により、社会的投資を「未来への基盤投資」として位置づけること。
  • 経済界・企業・自治体・個人投資家を含む広範な参加者とともに「社会的投資の新しいマーケット」を創造すること。
  • 最終的に100億円規模の共創基金の形成を目標とすること。

同時に、米国と日本のソーシャルセクターの規模差(米国約16%、日本約1%)に注目し、未開拓の成長領域を育てるという観点が本プロジェクトの理念に含まれています。

項目 内容(本記事で報告した主要ポイント)
発表日(会見) 2025年10月30日(木)
プレスリリース公表日 2025年11月8日 18時40分(特定非営利活動法人サンカクシャ)
主要支援者(初期融資) 米日財団(約3億円の無利子融資)
参加団体 ピースウィンズ・ジャパン、Learning for All、DxP、全国こども食堂支援センター・むすびえ、サンカクシャ
主な目的 寄付や投資、融資を組み合わせ資金を循環させる社会的資金循環モデルの構築と実証
長期目標 100億円規模の共創基金の形成
サンカクシャの活用計画 マンスリーサポーター等支援者の増加による活動基盤の強化・発展
サンカクシャ基本情報 代表:荒井佑介、所在地:東京都豊島区上池袋4-35-12 3階、設立:2019年、Webサイトあり

本稿では、発表された会見内容とプレスリリースをもとに、参加団体の役割、資金循環の仕組み、米日財団の関与、並びにサンカクシャの立場と資金使途の方針を整理して報告しました。公開された情報には各団体の活動報告書や公式サイトへのリンクが示されており、透明性を担保する仕組みづくりが今後の鍵となります。

参考リンク: