岡山大×ナガセヴィータ共同講座が始動 糖質で食糧危機に挑む
ベストカレンダー編集部
2025年11月10日 05:44
糖質・植物生化学講座開設
開催期間:11月1日〜3月31日
産学連携で立ち上がった「糖質・植物生化学講座」の設立背景と目的
国立大学法人岡山大学は、ナガセヴィータ株式会社との共同研究講座「糖質・植物生化学講座」を、2025年11月1日付で開設しました。今回の開設は、2025年10月16日に行われた岡山大学の定例記者発表で那須保友学長が発表したもので、プレスリリースは2025年11月9日に配信されています。講座は地球温暖化に伴う食糧問題という地球規模の課題に対し、糖質や植物の潜在力を活用することを目的に据えています。
岡山大学と林原(現・ナガセヴィータ)は、2020年8月に「SDGs産学パートナーシップに関する協定」を締結し、持続可能な開発目標(SDGs)達成に向けた取り組みを進めてきました。協定は昨年度末に一旦終了しましたが、長年の協力関係と研究成果を基盤に、産学連携の更なる発展と食糧危機への実践的な解決策の創出を目指して本講座が設置されています。
なぜ糖質と植物生化学なのか
気候変動が進む中で、環境ストレス下における作物の生産性低下や食料安定供給の確保は喫緊の課題です。本講座は、糖質などの生体化合物と植物・微生物の相互作用を学際的に解析し、環境変動に強い生物資源の利用法や新しい評価技術を開発することを目標としています。
また、本取り組みは文部科学省の「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」が掲げる「卓越性の飛躍から世界的課題を解決する新技術創出」に資するものであり、岡山大学の長期ビジョン2050と整合する研究的挑戦でもあります。
講座の組織体制と関係者
講座名は「糖質・植物生化学講座(Laboratory of Glycobiology and Phytochemistry)」で、設置場所は岡山大学農学部・農芸化学コース内です。設置期間は令和7年(2025年)11月1日から令和10年(2028年)3月31日までと定められています。
研究代表者はウーイ・リーア准教授(特任)で、同氏は岡山大学大学院で博士号(農学)を取得しており、植物生理学、分子生物学、環境モニタリング、バイオセンサー技術など多岐にわたる専門性を有しています。参画教員として守屋央朗教授(兼務)が名を連ね、助教・ポスドクは公募により採用予定です。
記者会見出席者と関係者
- 那須保友(岡山大学 学長) — 定例記者発表で講座設置を発表
- 守屋央朗(学術研究院環境生命自然科学学域(農)教授) — 参画教員
- 今井 明(研究・イノベーション共創機構 産学官連携本部長)
- 岸本治郎(ナガセヴィータ株式会社 取締役 研究技術・価値づくり部門長)
- 竹本圭佑(ナガセヴィータ株式会社 取締役 サステナビリティ経営部門長)
- ウーイ・リーア(ナガセヴィータ株式会社 研究技術・価値づくり部門 ユニットリーダー) — 本講座研究代表者
記者会見では関係者集合写真や会見の様子のほか、本講座の主要研究領域に関する説明資料が提示されました。講座は産学連携の枠組みで運営され、企業側の研究部門と大学の研究・教育資源を結び付ける形で研究推進が図られます。
研究テーマと具体的な研究活動
本講座が掲げる主な研究テーマは以下の通りです。これらは、環境ストレス下の植物生産性維持や生体化合物の利用拡大を目指すテーマを中心にしています。
- 環境ストレス下での植物と微生物の相互作用が植物の生産性に果たす役割の解明
- 糖質などの生体化合物による植物の成長促進やストレス耐性の向上
- 植物に対して有用な生体化合物を効率的に評価するスクリーニング技術の開発
これらのテーマは、生理学や分子生物学的手法、環境モニタリング、バイオセンサーの導入、さらには微生物資源解析を組み合わせた学際的アプローチで進められます。研究は基礎的な機構解明から、評価技術開発、産業応用に向けたトランスレーショナル研究まで幅広く想定されています。
研究手法と期待される成果
- 手法
- 分子生物学的解析、植物生理測定、微生物相互作用解析、環境ストレス下でのフィールドおよびコンテナ実験、バイオセンサーによるモニタリング。
- 期待成果
- 糖質を含む生体化合物の植物成長促進・ストレス耐性付与のメカニズム解明、効率的なスクリーニング法の確立、生産性向上に資する新技術や製品の基礎データ。
本講座は学内外の研究機関および産業界と連携しつつ、助教やポスドクの公募を通じて研究体制の拡充を図る計画です。岡山大学が掲げる地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)の枠組みとの整合性により、地域と連携した実用的な研究展開が期待されます。
公開情報・連絡先、関連資料とまとめ
本講座に関する公式情報や関連リンクは岡山大学のWebサイトに掲載されています。プレスリリースや記者会見の資料、関係者の写真などがダウンロード可能です。参照元URLを含め、問い合わせ先も公表されています。
以下に問い合わせ先、関連リンク、参考資料を整理します。研究・産学連携に関する問い合わせ、岡山大学病院関連の連携問い合わせ、研究機器共用やスタートアップ支援に関する窓口がそれぞれ別に用意されています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 講座名 | 糖質・植物生化学講座(Laboratory of Glycobiology and Phytochemistry) |
| 設置期間 | 令和7年(2025年)11月1日 ~ 令和10年(2028年)3月31日 |
| 設置場所 | 岡山大学 農学部 農芸化学コース(津島キャンパス) |
| 研究代表者 | ウーイ・リーア准教授(特任) — 岡山大学大学院博士(農学)取得 |
| 参画教員 | 守屋央朗(教授・兼務) 他 |
| 助教・ポスドク | 公募により採用予定 |
| 主な研究テーマ | 環境ストレス下の植物と微生物相互作用、糖質による成長促進・耐性、評価スクリーニング技術の開発 |
| 企業パートナー | ナガセヴィータ株式会社(旧:林原) |
| プレスリリース配信日 | 2025年11月9日(配信)、学内発表は2025年10月16日(学長発表) |
| 参考URL | https://www.okayama-u.ac.jp/tp/news/news_id14703.html プレス資料(PDF) |
| 連絡先(産学連携) | 岡山大学 研究・イノベーション共創管理統括部 産学連携課 〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 本部棟1階 TEL:086-251-8918 E-mail:co-creation◎adm.okayama-u.ac.jp(※◎を@に置き換え) |
| その他窓口 | 岡山大学病院 新医療研究開発センター、研究推進課、研究機器共用担当、スタートアップ支援等(各種問い合わせ先は大学公式サイトを参照) |
本稿では、岡山大学とナガセヴィータ株式会社による共同研究講座の設置経緯、体制、研究テーマ、関係者および問い合わせ先まで、プレスリリースに含まれる全情報を整理して伝えた。設置期間や担当者、参画教員、研究テーマ、関連リンクといった基礎的情報を本文中に網羅しているため、研究参加や連携に関する具体的な問合せは上記の該当窓口に行うことが想定される。
参考リンク: