2026年10月1日発効へ　NOKとイーグルが共同持株会社設立

NOKとイーグル工業、共同持株会社「NOK Group株式会社」設立による経営統合の決定

2025年11月10日15時44分に発表されたプレスリリースによれば、NOK株式会社（以下「NOK」）およびイーグル工業株式会社（以下「イーグル工業」、NOKと合わせて「両社」）は、共同株式移転の方法により、2026年10月1日（予定）を効力発生日として、両社の完全親会社となる「NOK Group株式会社」を設立することを決議し、同日付で経営統合契約書（以下「本経営統合契約」）を締結、株式移転計画（以下「本株式移転計画」）を共同で作成しました。

本経営統合および本株式移転の実施は、各社の株主総会の承認および必要な許認可等の取得を前提としています。発表日は2025年11月10日であり、本リリースは同日に両社取締役会での決議・契約締結を受けたものです。

両社の来歴と事業領域

NOKは1941年にゴム製オイルシールの製造・販売を行う日本ベアリング製造株式会社として創立され、自動車産業をはじめ一般産業機器向けのシール製品をグローバルに供給してきました。1969年にはフレキシブルプリント基板分野でも事業を展開しています。

イーグル工業は1964年にNOKのメカニカルシール製造部門の独立により設立されて以来、半世紀以上にわたりメカニカルシールを中心に自動車・建設機械、一般産業機械、半導体、舶用、航空宇宙の5分野で総合メーカーとしての地位を築いています。

統合の背景・目的と期待されるシナジー

両社は長年にわたり営業面や原材料調達、人事交流などの関係性を保ってきましたが、気候変動対策や次世代モビリティ、次世代エネルギー市場の成長などを受け、環境・省エネに資する新製品開発や海外販路拡大の必要性といった共通課題を抱えています。これらを踏まえ、両社の封じる機能としての「シール」分野における包括的なソリューション提供を目指し、経営統合によるグループ一体経営体制の構築が企業価値向上につながるとの合意に至りました。

統合の目的は、経営資源の効率的・効果的な相互利用による企業価値向上です。現時点で想定されている主なシナジー効果は以下のとおりです。

• グループ資源の最適化による事業成長：NOKの有機材（ゴム）技術とイーグル工業の無機材（金属・セラミック）技術を組み合わせることで製品ラインアップの拡充を図り、顧客基盤の相互拡販を進める。
• 効率的事業運営による収益力強化：物流や営業拠点の効率化、グローバル生産拠点の有効活用、治工具・金型の内製化拡大、購買力向上などにより収益性向上を目指す。
• 経営資源配分の最適化：持株会社下で間接部門を統合・集約し、戦略機能による投資配分やM&Aを含む事業投資の戦略的推進を図る。

これらのシナジーは今後の統合準備プロセスでさらに精査されますが、両社はグループとしての総合的なシーリング・ソリューションの提供が顧客満足度や事業の競争力向上につながると位置づけています。

移行方法、株式移転の要旨およびスケジュール

移行方式は、両社を共同株式移転により共同持株会社の完全子会社とする共同株式移転方式です。これにより両社は設立される共同持株会社の完全子会社となり、現行上場は廃止されますが、共同持株会社株式は東京証券取引所プライム市場へのテクニカル上場申請を行うため、実質的に上場を維持する方針です。

本株式移転に関する主要事項やスケジュール、株式割当て等の要旨は以下のとおりです。

主要スケジュール（予定）

上記スケジュールは現時点での予定であり、手続きの進行状況やその他の事由により両社協議の上で変更される場合があります。

株式移転の方式・割当て

株式移転比率は以下のとおり設定されています。

具体的には、NOK普通株式1株につき共同持株会社普通株式1株、イーグル工業普通株式1株につき共同持株会社普通株式1株を交付する割当てとしています。株式割当てにより発生する1株未満の端数については、会社法第234条等の規定に従い金銭で精算されます。

共同持株会社の単元株式数は100株に設定されます。単元未満株式の保有者は、同法第192条第1項の規定に基づいて共同持株会社に対し単元未満株式の買い取り請求を行うことが可能です。

発行予定株式数・自己株式の取扱い

共同持株会社が交付する普通株式（予定）は211,955,258株です。これはNOKの発行済株式総数173,138,537株（2025年9月30日時点）およびイーグル工業の発行済株式総数49,757,821株（2025年9月30日時点）に基づき算出されたものです。

両社は効力発生日直前に実務上消却可能な範囲で自己株式の消却を行う予定であり、2025年9月30日時点での自己株式保有数はNOKが7,435,847株、イーグル工業が3,505,253株です。これらの自己株式については共同持株会社の株式の割当ては予定していません。また、NOKは効力発生日までにNOK普通株式について総額30,000百万円を上限とした自己株式の取得を行う可能性が合意されており、取得した自己株式は消却する予定です。ただし、実際に消却される自己株式数は未確定であるため、共同持株会社が発行する新株式数は変動する可能性があります。

なお、両社は新株予約権および新株予約権付社債を発行していません。

共同持株会社の基本情報と経営体制

新設される共同持株会社の名称はNOK Group株式会社、本店および本社所在地は東京都港区芝大門一丁目12番15号です。機関設計は監査等委員会設置会社とされます。

資本金は50億円、決算期は3月、純資産・総資産は現時点では確定していません。事業内容は広範で、密封装置類や工業用ゴム製品の製造・販売を中核に、合成樹脂、潤滑剤、各種機械・装置、油圧・空圧機器、粉末冶金、電気・電子機器、医療機器の製造・販売や設置工事などを含めた多岐にわたる事業を行う予定です。

代表者および役員予定

発表時点で公表されている代表者および役員の就任予定は以下のとおりです。

• 鶴 正雄（代表取締役 グループCEO）
• 武田 睦史（取締役 グループCFO）
• 佐藤 祐樹（取締役 グループCTO）
• 鶴 鉄二（取締役）
• 林 一茂（取締役 常勤監査等委員）
• 藤岡 誠（社外取締役 監査等委員）
• 島田 直樹（社外取締役 監査等委員）
• 今田 素子（社外取締役 監査等委員）
• 梶谷 篤（社外取締役 監査等委員）

共同持株会社下で間接部門の集約・統合を進め、グループ全体を俯瞰した投資戦略や資源配分を行う機能を持たせることが明記されています。

手続き上の留意点・配当等の取り扱い

本経営統合の実施は各社株主総会の承認と必要な許認可の取得が前提であり、手続きの進行状況によりスケジュールが変更される可能性があります。株式移転にあたって生じる端数処理や単元未満株式の取り扱いについては会社法の規定に従う旨が明示されています。

配当に関しては、両社ともに以下の範囲での配当が実行できる旨が合意されています。

• NOK：2026年3月31日基準の株主名簿に記載・記録された株主に対し1株当たり65円を限度、2026年9月30日基準の株主名簿に記載・記録された株主に対し1株当たり70円を限度として剰余金の配当を行うことができる。
• イーグル工業：2026年3月31日基準の株主名簿に記載・記録された株主に対し1株当たり65円を限度、2026年9月30日基準の株主名簿に記載・記録された株主に対し1株当たり70円を限度として剰余金の配当を行うことができる。

また、NOKが保有するイーグル工業株式（2025年9月30日時点で14,812,559株）については、株式移転比率に応じて共同持株会社の株式が割当てられ、NOKは共同持株会社の株式を保有することになりますが、効力発生日以降に会社法等に従って相当の時期に処分する予定であることが示されています。処分方法の確定次第、必要に応じて開示される予定です。

要点の整理と参考情報

以下は本プレスリリースで示された主要事項を一覧化した表です。本表は発表内容を整理したもので、各日程や数値は発表時点の予定や記載に基づいています。

本稿では、発表された経営統合契約および株式移転計画の内容を網羅的に整理しました。記載の数値・日程は発表時点の予定であり、株主総会決議や許認可の取得状況、手続きの進行に伴い変更される可能性がある点に留意が必要です。詳細は両社の公式リリースおよび添付のPDF資料を参照ください。